小説『ネギま Story Of XX』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 …唐突だが…


 〜今日のちう様〜


 「クーラー最高♪コイツは人類が生み出した最高の発明品だな〜♪」

 猛暑日通り越して酷暑日の本日、千雨は寮の自室でマッタリ夏休み満喫中。
 周囲にアーティファクトである『電子精霊』を召喚してご満悦。

 「さてと…」

 そして徐にパソコンを起動してネットを立上げ…

 「お!!…キタキタキター!!ブログランキング週間トップ!
  さすが我が電子精霊群の情報操作は完璧だな!何気にアーティファクト使用の修行にもなるし。」

 自身のブログがランキングトップであるらしい。
 なにやら外的操作をしたようだが…。

 「フハハハハ!我が技術と貴様等の能力があれば電脳世界全てを掌握する事も夢ではない!目指せ最強ハッカー!」

 『はい!』
 『恐縮であります!』

 電子精霊達もノリのいいことだ。

 「……って、そうじゃねぇだろ!!」

 『!?』
 『ちう様?』

 時々暴走してしまう千雨であった。
 まぁ、普段ストッパーである事を考えると、1人のときくらいはっちゃけなければ精神的にきついだろう…











 ネギま Story Of XX 52時間目
 『夏休みの過ごし方』










 と、まぁ今の千雨はある一例。


 学園長公認の特殊クラスとなった3−Aの面々は如何様に夏休みを過ごしているのか?
 今回は其れをちょろっと見ていくことにしよう。




 〜天才の発明品?〜


 「出来ましたね超さん…」

 「ウム、遂に完成だなハカセ!」

 工学部の研究室でなにやら怪しげな会話をする超と葉加瀬。
 2人の目の前にはB6サブノートパソコンの様な物が置いてある。
 どうやらコレは、この2人が開発した物らしい。

 「『戦闘力測定装置』、早速稼動テストだナ!」

 「はい!早速行きましょう。」

 要するに(形と大きさこそ違うが)スカ○ターを完成させた様だ。
 何と言うか凄い技術と頭脳である。

 で、外に出て実験開始。

 「先ずは一般人代表の夏美さんからヨ。」

 「はい。……でました!」

 あっという間に数値が表示される。
 知らずの内に被験者(?)にされた夏美の戦闘力は…


 『10』


 低いが極低ではないレベル。
 一般人代表とは言っても演劇部で発声等を行っているから自然と鍛えられているのだろう。

 「フム、性能は上々だナ。…では本命に行こうカ?」

 「そうですね…」

 出来栄えに満足し、次なるターゲットに!
 其のターゲットは…


 「老師、ちょっと良いかナ?」

 「超と葉加瀬か…何だ?」

 「少し、戦闘力を測らせていただきたいかなと。」

 稼津斗だ。
 目下最強の存在の戦闘力は矢張り気になるところだろう。

 「戦闘力って…いや、構わないが、何をすればいいんだ?」

 「特に何も…そのままで…え〜と…アレ?『1』?」

 話をしながら測定すると数値は『1』。
 流石にありえないだろうと思うが…

 「老師、悪いが未変身での全解放をお願いできるカ?今は極端に力を抑えているんだろウ?」

 「あぁ…悪い。未変身状態での全開か……覇ぁぁぁぁぁ!」

 超に言われてXX未変身状態の全開を解放。
 同時に数値もどんどん上がってイク。

 「せ、戦闘力『6千万』を突破!」


 ――ボン!


 で、吹っ飛んだ。
 見事に機械が吹っ飛んだ。

 「そ、測定不能…」

 「う、嘘だろウ?1億までは測れるように設定したのニ…」

 結果は測定不能。
 稼津斗の常識外れの戦闘力は、超科学技術を持ってしても測る事はできないようだ…








 ――――――








 〜始動キーを考えよう♪〜


 エヴァの別荘内部で修行をするのは最早日常。
 夕映も、魔法の勉強は楽しいのか、学校の勉強とは違い非常に真面目に取り組んでいる。

 その結果、

 「頑張ってマスネ。この分ならそろそろ自分用の始動キーを考えても良い頃デス。ご主人のラス・テル マ・スキル マギステルの様な…」

 ネギの使い魔であるスライム少女アクアから始動キーの設定を進められるくらいに上達。

 「なんと…もう其のレベルまでですか…」

 学校の勉強と違い、興味をそそられまくった為に可也真剣に勉強していたと言え、コレには夕映本人も驚きの様子。
 不断の努力の結果だろう。

 「始動キーは自分専用の魔力通路の扉を開く鍵ですから其の設定は重要デス。
  設定には長い儀式が必要ですから、今の内に考えておいても損はありまセンヨ?」

 「わ、私の始動キー…」

 俄かに現実味を帯びてきた自分が『本格的』な魔法を使う姿にドキドキする様だ。

 「自分に最もシックリ来る言霊なら何でもいいんデスガ……実際に好きな食べ物を始動キーにしている人も居まスシネ。」

 「…参考までにどのようなものでしょうか?」

 「確か…『ニクマン・ピザマン・フカヒレマン』でシタネ。」

 「速攻で誰だか分ったです!」

 参考までに聞いたのは酷い部類だった。
 夕映の始動キー完成まではまだかかるだろう。








 ――――――








 〜探し出したら其の後は?〜


 これまたエヴァの別荘内部。
 今度の場所は『レーベンスシュルト城』。
 全ての修行場に通じる転移魔法陣が敷かれている別荘の中枢だ。

 其の城のテラスで一息入れているのはネギとエヴァ。

 「時にネギ、お前はナギを探し出して、会ったら如何するか考えているのか?」

 「…いえ、特には。探し出せるかどうかも…余りにも手掛りは少ないですし。エヴァンジェリンさんは如何するんですか?」

 簡単なティータイム中で、話題はナギの事で『会ったら如何するか?』がメインらしい。

 「ふむ…取り合えず1発殴るか。」

 で、エヴァの答えは非常にバイオレンスなモノだった。

 まぁ、考えてみれば当然といえるだろう。
 『呪いを解きに来る』と言う約束そっちのけで行方をくらまし、挙句の果てには子作りまでしてたのだから。

 加えて、呪いを解く目的で近づいたネギがいまや自分の契約主であり弟子であり想いを寄せるようになったのも大きい。
 簡単に言うと、ナギへの想いなど完全に霧散してしまったのだ。

 で、残ったのは呪いをかけられた屈辱と、約束破られた怒りのみ。

 「あ、やっぱりですか…」

 ネギも納得だ。

 「当然だ。…そうだネギ、お前も1発殴ってやるといい。」

 「ぼ、僕が!?」

 「考えてみれば、あいつは赤ん坊のお前をほっぽり出して行方をくらましたのだ。立派に育児放棄だろうが!」

 「あ…確かに。」

 言われて見れば何とやら。
 確かにネギはあの事件までナギに会った事がないのだから、これはある意味正論だ。

 「…エヴァンジェリンさんとの約束を破って、僕を育児放棄して…確かに1発殴った方が良さそうですね。」

 で、ネギもアッサリ『会ったら1パン』を決定!
 良い感じに『自分の正義』を貫く姿勢が出来上がっているご様子。

 巷の『正義の魔法使い』が見たら目玉が飛び出る光景であるが…

 「ハッハッハ!良くぞ言ったネギ!矢張り我がマスターであり弟子ならばそうこなくてはな!」

 「最低コレくらいじゃないとエヴァンジェリンさんには及びませんから!」

 なにがなにやら……まぁ、非常に良い関係ではあるようだ。
 若しかしたら10年後には『最強にして最凶の魔法使い夫婦』が誕生するのかもしれない…








 ――――――








 〜再婚するの!?え、この美人さんと!?〜


 其れはまったくの偶然だった。

 運動部の仲良し4人組、裕奈、亜子、アキラ、まき絵は夏休用の買い物に出かけた際に其れを見かけてしまった。


 そう、裕奈の父親である明石教授が見知らぬ金髪美女とカフェで話しているのを!


 「うわっ、綺麗な人…!」

 「できる女性って感じだね…」

 「ホンマのブロンド美女や…」

 まき絵、アキラ、亜子は率直な感想を述べるが裕奈はそうはいかない。
 極度のファザコンではなくなったとは言え、相変わらず『お父さん子』で有ることには変わりない。

 其の裕奈にとってコレは見過ごせない。


 「アレ?」


 ――コツゼン


 あっという間に離脱し…

 「おとーさん!誰この人!?」

 光速で2人が座る席に。

 「うわっ裕奈!?何時の間に…」

 「たった今!おとーさん……若しかしてこの人と再婚する気!?」

 で、何やらとんでもない事をのたまった。

 「「は?」」

 コレには明石教授だけでなく同席の女性も虚を衝かれた様子。
 だが…

 「あははは…ち、違うわよ。私と彼が結婚だなんて…会うのも10年ぶりなのに…!」

 「え”?違うの…スンゴク仲良く話してたのに?」

 どうにも早とちりだったらしい。

 「ふふ…はじめまして、ドネット・マクギネスよ。貴女の母親の友人だった者よ。」

 「へ?おかーさんの。」

 で、更に予想外の事実。
 要するにこの金髪美人――ドネットと明石教授は旧知の仲だった、それだけのようだ。

 「えぇ。ふふ、あわてんぼうな所はユーコそっくりね。貴女、お母さんに似た美人に育つわよ?保障するわ。」

 そして…

 「おかーさんの……も〜〜、紛らわしいよおとーさん!!!」

 「え、僕のせい!?」

 「だって一言言ってくれれば良いじゃん!!そうすればこんな勘違いしなかったのに〜〜!!」

 「いや、だって彼女はね…」

 「問答無用!私はとっくに関係者です!!」

 「あ、そう言えばそうだっけか?」

 「娘の現状くらい認識しろ〜!!このダメ親父〜〜!!」

 裕奈爆発。
 いや、状況だけで言うなら完全に自爆なのだが…


 「ふふ、ホントにユーコそっくりね。」

 ドネット的には何処か懐かしい光景だったらしい。








 ――――――








 〜一般人の疑問〜


 「不思議だよね…」
 「だよね…」
 「なんでだろね〜〜♪」


 チア部3人娘の円、桜子、美砂にはある疑問があった。
 それは…

 「「「如何して稼津斗先生はガチマッチョじゃないんだろう?」」」

 こう言う事であった。

 稼津斗の非常識な強さは麻帆良武道会で既に証明済み。
 更に、その後の魔法ばらしで強さの秘密も知った訳だが、それでも納得いかないのだ。



 稼津斗の比較的細身の身体は!



 あの強さだけを見るならどんな豪腕マッチョかとも思うが、稼津斗は決して筋肉ムキムキではない。
 素人目には矢張り疑問だ。

 「そりゃ兄ちゃんの考え方のせいちゃうかな?」

 其の疑問への答えは通りすがりの犬耳少年、小太郎が答えてくれた。

 「小太郎君?其れどういうこと?」

 3人を代表する形で円が問うと小太郎は『其れはな?』と前置きをしてから説明開始。


 「兄ちゃんが言うには、筋肉は太く硬く鍛えるとクソ力は強くなるけど重くなって柔軟性とスピードが無くなるんやて。
  せやから筋肉が太くならんように柔軟性と剛性を6:4の割合で持たせて細く絞り込んでんねん。」

 「細く?」

 「せや。俺も触った事あるから分るんやけど、兄ちゃんの腕の筋肉は、まるで生ゴムみたいな弾力があったで?
  兄ちゃんは、細いんやなくて身体に一切の無駄がないんや。スピードとかとんでもないで?」

 矢張り身体も普通じゃなかったらしい。
 小太郎が言う事だけを聞いてると簡単なように思えるが、実際に合成と柔軟性を持たせたまま細身に絞り込むのは非常に難しい。


 「スピードって…カヅッちはドレくらいのスピードがあるの〜?」

 で、『スピード重視』と聞けば其れがどれほどなのか気になるのは人の常。
 桜子の質問は当然だろう。



 だが、聞かれた小太郎は冷や汗垂らして苦笑い。

 「どしたの?」

 「いや…そやなぁ…うん、兄ちゃんのスピードはな?でっかい鍋の中で真っ赤に焼けた小石に貫手かましても火傷せんのや…!」

 「「「へ!?」」」

 「火傷は熱いものと触れ合ってる時間が長いからおこるんやて!火傷する間も無く素早く動かせば平気なんやと!!」

 「「「うそだぁぁ!!」」」

 とんでもなかった。
 一体どれだけのスピードをしているのか…最強戦士の謎は尽きない。




 因みに…


 「覇あぁぁぁぁぁぁぁぁ…!」


 ――ザクザクザクザクザクザク!!!


 件の稼津斗は本当に焼けた小石に貫手をかまして修行中!

 トンでもない修行は事実だった!
 もう並みの修行ではダメなのだろう…

 「…よし。」

 で、手には火傷一つなし。
 凄まじい修行だ……コレを見たら其の強さには誰もが納得してしまうのだろうね…











 以上が、3−Aの夏休みの過ごし方のホンの一例である。
 教師も生徒も矢張り普通ではないところは夏休みでも健在。



 だが、夏休みは始まったばかりだ。

 これから先何が起こるのか……其れはまだ分らないが現状は平和なものだ。






 そう、『今』は………











  To Be Continued… 


-52-
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