小説『ネギま Story Of XX』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 ネギの故郷であるイギリス・ウェールズに辿り着いた一行は、只今ネカネのもてなしうけてる真っ最中。
 特別大きくはないが、でも小さくも無いと言う絶妙な家の中で一時の寛ぎタイム。

 「すいませんね〜こんな大人数で押しかけて、こんなご馳走まで頂いて…」

 「ホント美味しいねこのお食事。失礼だけどイギリスは飯不味いって聞いてたけど、そんな事無いね♪」

 「でも良いですね〜〜、こんな美人のお姉ちゃんが居て。日本語ぺらぺらです。」

 「ネギ君の礼儀正しさも、お姉さんを見れば納得ですよ。」

 そのもてなしを遠慮無く受けながら、話題はネギ…ではなくネカネ。
 稼津斗やアスナなんかはネギの手紙で見た事はあるが実物は初めて。
 実際見ると矢張り違うものがある。

 「あら、そんな…。でも安心しました。貴女方のような人達に支えられて…ネギの事をこれからも宜しくお願いいたします。」

 自身への賞賛は謙遜で返し、逆に一行に感謝の弁を述べる辺り出来た人だ。

 「まかせてよ〜〜!!」
 「大丈夫だよ〜〜!」
 「ネギ君のことは私等に任せて〜〜!!」

 で、何時も通り。
 何時如何なる時でも3−Aは3−Aであった。

 だが、其れがまたネカネに一種の安堵をもたらしたのも事実であるようだ。











 ネギま Story Of XX 58時間目
 『旅立ちのハプニング』










 ネカネの家でのもてなしを受けた一行は続いてネギの思い出の地巡りに。
 ネギが学んだ魔法学校を一通り回り、今はネギが良く遊び&修行をしていたという湖の見える高台に。

 「因みに、此処で始めてタカミチと会ったんです。」

 「そうなんだ。」

 魔法学校以上にネギにとってこの場所は思いで深い場所のようだ。
 皆、ネギの話に夢中になっている。


 「あの、カヅトさん…」

 「ん?何だ、ネカネさん?」

 其れを幸いと、ネカネはカヅトに話しかける。

 「その、ネギはご迷惑をおかけしていないでしょうか?10歳の子供が教師と言うのは、未だに信じられなくて…」

 内容はネギの事だ。
 家ではあんな風に言っても、矢張り内心は不安が有るのだろう。
 姉として当然の事だ。

 「いや、ネギは良くやっている。失敗や危なっかしさもあったが、今は可也確りしてる。
  その辺は小太郎って友人が出来たおかげで、適当に肩の力が抜ける様になったのも大きい。
  周囲は年上ばかりと言う環境の中で、同年代・同性の友達と言うのは思った以上に大きな存在だからな。
  加えて、最近は視野が広がって『大局的に』物事を見れる様になってるみたいだ。」

 「そうですか…」

 ほっと一息。
 生徒である彼女達は勿論信用できるが、同僚で更に大人である稼津斗の意見は安心できるものだろう。

 「ついでに3−Aの面子と常時接していれば嫌でも鍛えられる――主ににメンタル面がな。」

 「そ、そうですか…(汗)」

 取り合えずネギが受け持っている生徒は『色々凄そうだ』と言う事は分ったらしい。


 「ねぇお姉ちゃん。」

 「あら、なぁに?」

 「後でちょっとお話あるんだけど…良い?」

 一通りの『思いで巡り&思い出話』が終わったのだろう。
 ネギはネカネに話があると切り出す。

 内容は……今回の帰郷の真の目的だろう。








 ――――――








 「えぇ〜〜〜!魔法の国へ行くですってぇ!?」

 夜、今回の帰郷の真の目的を話した瞬間である。
 ネカネとしては単純に夏休みを利用しての帰郷と思っていただけに、『魔法国訪問』は正に『寝耳に水』だろう。

 「ああぁ…」――クラリ

 「お姉ちゃん!?」

 余程のショックだったのか立眩み。
 心配なのは分るが少々過保護気味でもあるようだ。

 「大丈夫だよお姉ちゃん。僕1人で行くわけじゃない、カヅトやここに集まっている人達も一緒にだから。」

 この場には『蒼き翼』のメンバーも勢揃い。
 此れだと寧ろウェールズに残る面子の方が少ないくらいだ。

 「そうは言っても流石に其れは…」

 「大丈夫よネカネお姉ちゃん。悔しいけど、今のネギって物凄く強いから。」

 「アーニャ?」

 心配するネカネに『大丈夫だ』と言ったのは意外にもアーニャ。
 麻帆良での『アノ』物凄い模擬戦+人外修行を見たのみならず自身も『軽く』模擬戦した結果ゆえだろう。
 あれほどの物を見て、体験した後ではこの面子の『凄さ』は否定できるものではないようだ。

 「ハッキリ言って異常ね。今のネギには多分ウェールズの魔法学校の生徒全員が束になっても勝てないわ…」

 「えぇ!?そ、それ程なの!?」

 「そうなの!それだけでも凄いってのにカヅトはそのネギを2割程度の力で倒しちゃうような化け物なのよ!?」

 「えぇぇぇぇ!?」

 些か失礼な物言いだが、それでもネカネにはこの面子の『トンでもなさ』は伝わったようだ。
 稼津斗とネギを交互に見やり、そのまま沈黙。


 「アーニャが変な嘘を吐くとも思えないし……ねぇネギ、どうして突然魔法の国に?」

 「…父さんの手掛りを探しに。」

 「!!…そう、そうなのね…」

 真の目的の更にその先。
 其れをネギから、しかも一切の誤魔化しは無く真っ直ぐな視線で言われ、納得。

 「…分ったわネギ。でも、貴方はまだ10歳よ?魔法世界へ行ける扉はそう簡単には…」

 「心配無用、其れは私が手伝わせてもらった。」

 納得しつつもまだ不安が残るネカネの言葉を隔てた野太い声。
 その声の方を見ると褐色肌に長い白髪、そしてこれまた長い白髭の老人が。

 白色の長いローブを身に纏い、これで頭に三角の帽子でも被っていれば完璧なまでの『魔法使いのお爺さん』だ。

 「校長…」

 「おじいちゃん!」

 「久しぶりじゃなネギ。」

 どうやらこの老人、ネギとは知り合いのようだ。
 ネカネの『校長』との呼称から、この人物こそがネギが学んだ『魔法学校の学園長』その人なのだろう。
 そしてネギの呼び方から察するには、恐らくネギの祖父でもあるのだろう。

 「久しぶりです、帰って来ました…」

 「うむ。中国では『男子三日会わざれば活目して見よ』と言うが……見違えたぞネギ。」

 髭のせいで分かり辛いが口元に笑みを浮かべ、老人は心底嬉しそうにネギを見る。
 そのまま今度は視線を稼津斗へと移し…

 「君が氷薙稼津斗君かな?」

 「あぁ、氷薙稼津斗は俺だ。…はじめましてだな、魔法学校学園長殿。それとも『ネギの爺さん』と呼んだ方が良いか?」

 「どちらでも構わんよ。ふむ…」

 挨拶代わりと握手を交わしながら、老人は稼津斗を見る。

 「どうかしたか爺さん?」

 「いや…成程、コノエモンが高評価を下すのも納得した。君が一緒ならば大丈夫だろうて。」

 「そう言って貰えるのは光栄だな。」

 どうやらコノエモンからネギの話と共に聞いていた稼津斗のことを自身の目で確かめていたようだ。
 結果は…言うまでもなく、この老人もまた稼津斗の力と人柄を見極めプラス方向の評価を下したようだ。

 「さて、挨拶は此れくらいにして…思ったよりもこの日が来るのは早かった。ネギよ……己が目で見据える覚悟はあるかの?」

 「ハイ!」

 『何を』とは言わない問いだが、それでも迷い無く答える。
 その目には一点の曇りも見受けられない。

 「過去を振り返らずに只楽しく生きる道もある…誰も責めはせんぞ?」

 「そうだとしても、僕には出来ません。過去に囚われず、でも忘れる事はせず。
  胸に抱えても、けど其れを枷にしないで未来へ歩む……僕が日本で学んだ大切な事です。」

 「ふむ…。くっくっく…これはまたワシの予想を遥かに超える成長ぶりだわい。よかろう…付いて来なさい。」

 そのまま老人に案内される形で、一行は魔法学校の地下に。
 校長が自ら案内する辺り、普通は入る事ができない場所なのだろう。


 「ん?…極弱いが人の気配が…爺さん、この地下で誰か暮らしているのか?」

 「…なんと『彼等』の気配を感じ取るか?凄いのう…その応えはイエスでありノーじゃよ。
  ネギは分って居ろうが、この先にアノ村の皆が居る。事件後此処に運ばれて、外部の一切から保護してきたんじゃよ。」

 その途中、僅かに人の気配を感じ取った稼津斗だが、老人の答えは曖昧なもの。
 そのまま最深部へ到着し大きな扉の前に。

 「彼等はあのときのままじゃよ…」



 ――ギィ…



 「「「「!!!!!」」」」

 扉の先の光景、それには一行も流石に驚いた。
 部屋中に安置された等身大の人の石像、其れが数え切れないほどに…

 「…待て、どう言う事だ?この石像群からは僅かだが『人の気配』を感じる…!」

 「確かに…って、ちょっと待ってまさか…!!」

 「間違いないでござろうな…」

 その石像から発せられている僅かな気配に、気配察知に長けたリインフォース、和美、楓が反応。
 リインフォースは兎も角として、ネギの過去を見た者は此れが何であるかを察したようだ。

 「お前の…村の人達か…」

 「うん…」

 そう、この石像群は前にネギが見せた過去の映像の中で魔族によって石化された人々だった。
 村1つ分の人間を、6年もの間此処に安置し、ある意味での保護をしていたのだ。


 「…そうか、この爺さんがスタンか……。」

 「うん…。スタンお爺ちゃんとお姉ちゃんが護ってくれなかったら、僕は皆と一緒に此処で石像になってた。
  そうしたらエヴァンジェリンさんや3−Aの皆、カヅトやコタロー君にも会えなかった…
  ……僕は、貴方方のおかげで今此処に居ます、今日はその報告に来ました…」

 内心はショックだろう。
 だが、其れを顔には出さずにネギはただ感謝の意を石化した村人達に述べる。


 「ねぇ、稼津君の力でどうにかならないの?」

 「…無理だな。」

 それでも矢張り無理をしているのは分るのだろう、裕奈は稼津斗に如何にか出来ないかと言うが答えは否だ。

 「ネギの過去を見たときは同調系の技で如何にかなるかとも思ったが…駄目だな。
  『解』では解けないほどに術式が強いし、『絶』の術式破壊では彼等ごと砕いてしまいかねない…」

 「そっか〜…そうなるとのどかのコピー技も同じ理由で駄目だよね…亜子は?」

 「ウチも駄目や。幾らアーティファクトの魔法薬はウチのイメージ次第でとは言うても石化の完全解除が出来る薬なんて神がかり過ぎてな…
  精霊との融合魔法も、やっぱし強すぎて村の人達を壊しかねへんのよ…手段はあっても使えない…悔しいな。」

 力が強い故に、無抵抗の石状態を解除する事が出来ない。
 なんとももどかしい事この上ないだろう。

 「スマンなネギ…」

 「うぅん、良いよ。そんな簡単に行くとは思って居ないし、僕自身心構えは出来てたから。
  今日、皆に会えてよかった……やっぱり此処が僕の出発地点だって再確認できたから。」

 「そう…か。そうだな…」

 だが、ネギの顔には迷いは無い。
 この光景に多少のショックは受けただろうが、迷わず進むべき道はぶれていない。

 「…僕はこれから此処に居る皆と共に魔法世界に行きます。
  父さんの手掛りが第一ですが……その先は正直分りません…でも必ず戻ってきます。
  戻ってきたら、真っ先に此処に報告に来ます……だから行ってきます、皆!」

 石化した皆を見据え、だが迷わずにネギは出発の報告。
 其れを見たネギの祖父である老人は満足そうに微笑み、ネカネもまたその成長に頼もしさを感じていた。








 ――――――








 ――明朝


 まだ朝霧の残るウェールズの丘に一行はいた。
 いよいよ魔法世界に向けて旅立つのだ。

 行くのは勿論『蒼き翼』の面々なのだが、その他の生徒も特別に『ゲートポートまで』同行を許可してくれた。
 入国手続きはしないので、其処でトンボ帰りとなるのだが其れもまた貴重な体験だ。


 「それじゃあ行ってきます。」

 「いってらっしゃい…気をつけてね。アーニャも、皆さんも…」

 出発の挨拶もそこそこに、一行は霧の奥へ。
 濃い霧の中ではあっという間にその姿は見えなくなってしまう。

 「………」

 「まぁ、向こうにはナギの友人も待って居るし、何より氷薙稼津斗君をはじめアレだけの者達が一緒じゃ…心配要らん。」

 「えぇ…」

 姿が見えなくなったものの、ネカネは暫くネギ達が進んでいった方向に手を振り続けていた。








 ――――――








 村を出発した一行は濃霧の中をドネットの先導で進んでいた。
 ドネット曰くゲートは一種の『異界』に存在している為、正式な手順を踏まねば辿り着けないのだそうだ。

 それでも10年に1度くらいは一般人が神隠しで迷い込んでしまう事が有るらしいのだが…


 「霧が晴れてきたな…」

 そのまま暫く進むと霧が晴れ、朝日と共に巨大な何かが視界に入ってくる。

 「えぇ、着いたわ。此処がゲートよ。」

 其れはまるで巨大なストーンヘンジ。
 上り始めた朝日に照らされ、何とも言えない神秘的な感じを醸し出している。

 そしてその周辺に集まる人々。
 きっと一行と同様に魔法世界への渡航を考えている魔法使いかその関係者だろう。


 「思ったよりも人が居るようだな?」

 「此れでも少ないくらいさ。このゲートが開くのは1週間に1度、酷い時には1月に1度位なものなんだ。」

 「更に、このゲートは世界でも数箇所にしか無い筈ネ。」

 リインフォースの問いに答えるは真名と超。
 過去に魔法世界を訪れた事が有る者と、未来人だけに多少詳しいようだ。

 「ゲートはそろそろ?」

 「えぇ、後10分ほどね。この第1サークルに入って待っていてくれれば良いわ。」

 ゲートの解放まで10分ほど。
 此れくらいの時間ならば内部で雑談しながら待っている方が早い。


 「世界に数箇所で1週間に1度…そりゃ交流無いよね〜。」

 「マジで鎖国なんだな。」

 「けど楽しみや〜。まほーの国かーー!」


 尤も既に雑談はさっきからしているのだが。

 「ん?」

 「どうかしましたか稼津斗さん?」

 「いや…妙な気配というか圧迫感みたいなものを感じたんだが…気のせいか?」

 そんな中で稼津斗は妙な感じを受けていた。
 良く見ればネギも何かを感じたようだ。

 「ゲートは特殊な大型魔法陣を使用しているから、其れの魔力を貴方の鋭い感覚が感知したんじゃないのかしら?」

 「そう…かな?」
 ――それなら良いんだが……何かが妙だ。何だ、この全身に纏わり付く様な『嫌な感じ』は…


 ドネットに言われても何処か腑に落ちない。
 だが、そうは言ってもゲート解放は近い…一応は警戒をしながらも転送に備える事に。

 「時間よ。」

 そして遂にゲートが開いた。

 「地面が光ってる…!」

 「此れが次元跳躍大型魔法陣ですか…!」

 足元が光り、その光が天まで上って行く。
 その光が一本の柱となり、さらに地上のみならず空中にも大小さまざまな魔法陣が展開されていく。



 ――キィィィィィィィィ…ドォォォン!!



 光が最高潮になり、天を衝くほどになったと同時に轟音と共に光が弾ける。
 その場に残ったのは静寂のみだ。




 だが、勿論其れで終わりではない。

 「此れにて到着…か?」

 「えぇ、着いたわ。」

 一行は先ほどまでとは全く違う場所に。
 平原のストーンヘンジが今は近未来的な建物の中だ。

 転送装置だったのか一部同様のものが見受けられるが、それ以外は極めて近代的。
 魔法というよりも一種の宇宙ステーションのようにも感じられる。

 「此処は何処なん?」

 「ゲートポート。まぁ空港みたいなものよ。ここで出入国の手続きをするのよ。
  20分後に別の場所へのゲートが開くから、見送りの皆さんはそちらにね。」

 「「「「「は〜〜い!」」」」」

 見送りだけなら手続きは必要ない。
 帰りのゲートはウェールズではない場所に開くが、其処からはドネットが移動手段を用意してあるだろう。




 一方『蒼き翼』の面々は、手続きカウンターで入国許可の真っ最中。
 ゲート通過前に預けておいた契約カードや真名の銃器等の受け取りだ。

 とは言っても預けたのはそれだけ。
 和美のカメラや千雨のノートPCは預けるようなものでもない。

 「では此方になりますね。封印はゲートポートを出るまでは解除できませんのでご了承下さい。」

 「はい、ありがとうございます。」

 手続きも滞りなく終わり、後は外に出るだけだ。


 ――何も起きなかったか…俺の思い過ごしだったかな?


 稼津斗も何事も無く入国できる事に内心安堵していた。
 此れならば『只の悪い予感』で済ませられるからだ。


 だが…


 「ネギ先生!!」

 慌てた様子でドネットが。

 「ゲートに密航者が!貴方の使い魔だと言い張っているわ!」

 「え!?」

 突然の緊急事態発生。
 ネギの使い魔とは……少なくとも使い魔のアクアは先程からネギの肩に乗っかっているから違う。
 だとしたら一体何者だろうか?


 急いでその場に行くと…

 「あ、兄貴〜〜〜!!」

 「か、カモ君!?」
 「生もの!?」

 「久々の出番なのに旦那は相変わらずその呼び方かよぉ!!」

 何時ぞやエヴァにクール便でイギリスに強制送還されたオコジョ妖精、アルベール・カモミールの姿が!
 何処でネギを見つけたかは知らないが、付いて来たのだろう。

 だが、使い魔単体でしかもその主が不明という事で御用に。
 そこでネギの名を出したのだろう…相変わらず迷惑極まりない。

 「…何か戯言を言っているようだが、ネギの使い魔はこのスライム少女の『アクア』だけであってそのオコジョ等ではない。
  それに、確かそいつは『下着窃盗2000枚』の罪で投獄されていたはずだが?」

 「ひでぇっすよ旦那あぁぁ!!」

 「事実だろう。」

 だがそうだとしても扱いなど変わらない。
 ネギに救援の視線を送るも…

 「…え〜と、僕の使い魔じゃありません。」

 「兄貴〜〜〜〜!?」

 ネギもばっさり。
 完全に見限っていた。

 「相変わらず迷惑な生ものだ…大人しく戻って………!?」
 ――この感覚はさっきの!…いや、ゲートで感じたのよりも更に強い!!


 カモを強制送還させようとした矢先、再度感じた『嫌な予感』。
 いや、其れはもう予感などではなく明確な『気配』だ。

 「ネギ。」

 「うん…!」

 ネギも其れを感じていたらしく、即座に稼津斗と共に指示を出し始める。

 「刹那さん、再度探知の術を!」

 「気配の察知を怠るな。何時でも戦えるようにしておけ。」

 的確に、かつ迅速に。
 蒼き翼の面々も其れに従うように動く。
 武闘派とバックスに分かれての見事な布陣が出来上がって行く。

 「稼津斗先生…」

 「俺とネギの思い過ごしなら笑い話で済むが…恐らくそうはならない…!」


 一切の気を抜かず、警戒態勢。
 其れを遠方から見ている一団が…

 「僕に気付いたのか…?有り得ない…とは言えないか彼とネギ君ならね。」

 その中の1人、少年と思われる人物は呟き一行を見やる。

 「まぁいいさ…挨拶だ。」

 瞬間、超高速で何かが放たれた。



 「「「「「!!!」」」」」

 その放たれた何かの風切り音に、全員が気付き反応する。
 超高速で飛んでいるのは石の槍の様なもの。

 其れはネギの背後から…回避できる速度ではない。

 「く…ネギ!!」

 直撃を喰らえば只では済まない。
 稼津斗は一瞬でネギの背後に移動し…


 ――ドンッ!!


 その石槍は…速度を落すことなく、稼津斗の胸を貫いていた…










  To Be Continued… 


 

-58-
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魔法先生ネギま!(37) (講談社コミックス)
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