小説『ネギま Story Of XX』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 「…ネギ君とカヅッチ、目覚めないね…」

 「だな。ネギ先生の傷も頻度は少なくなったがこれ以上はヤバイ――おっさんが言うには明日の日の出位がタイムリミットだってよ。」

 「それ過ぎるとどうなるの〜?」

 「二度と目を覚まさねーか、二度と魔法が使えなくなるらしい。」

 稼津斗とネギが取り込まれて2日。
 稼津斗は相変わらず熟睡状態で、ネギは時折破裂したかのような傷を負う。

 2人の精神世界で何が起こっているのかは千雨と桜子には分らない。
 ただ、ラカンが言うには『感覚で言えば休み無しで10日間は戦っている計算』であるとの事。

 ネギの傷の頻度は少なくなっては来ているがそれでもダメージが大きい事には変わりは無い。
 如何にエヴァに鍛えられていようとも、大きなダメージを何度も受ければ何れは命に関わる。
 稼津斗も、ノーダメージとは言え丸2日間も眠り続けているのは流石に宜しくない。
 尤も稼津斗の場合はタイムリミットは無いのだが…

 「私も覚悟決めた方が良いかもな…」

 ちらりと千雨が見た先には、試練を強制解除する黒い短剣。
 闇の魔法の試練も、いよいよ佳境というところだろう。











 ネギま Story Of XX 70時間目
 『Get the New Power』










 稼津斗の精神世界での人外エンドレスバウトは時間が経つにつれ、衰える何処ろがより激しさを増していた。
 稼津斗も龍も身につけた服は既にボロボロで全身傷だらけの満身創痍。

 だが、それでも戦うのは止めない、止められない。
 2人とも心の底からこの戦いを楽しんでいるのだ。

 「まったく…如何に休む事も死ぬ事も出来ない世界とは言え、その世界での戦いをあぁも楽しそうに行うとはな…」

 コピーエヴァも呆れた様子でその戦いを見ている。
 時の流れで言うなら既に10日超。
 その間、仕切り直し的に動きが止まる事はあっても決して戦闘そのものが止まる事は無い。

 仕切り直す度に力も技も鋭さが増している。
 決着が付く頃には稼津斗は更にパワーアップしている事だろう。

 「覇ぁ!!」

 「ムン!!」

 肘打ちと跳び蹴りがかち合い、互いにその反動で弾かれるように間合いが開く。
 もう何度目かも分らない『仕切りなおし』だ。

 「「ふぅ……」」

 互いに息を整えるのも仕切り直しではお馴染みとなった光景だ。
 が、今回は少しばかり勝手が違う。

 今までは呼吸を整えたら直ぐに又、闘いが始まっていたのだが今回はどちらも飛び出さない。
 それどころか構えてすら居ない。

 「…爺さん、そろそろじゃないか?」

 「うむ…そろそろじゃな。」

 ただそれだけを聞けば終幕宣言だし、実際そうなのだろう。
 にも拘らず、この2人の顔には戦闘時にみえた鋭さと激しさが一切見て取れない。

 変わりに浮かぶのは穏やかな笑みだ。

 「本当は、もう少しだけ爺さんと闘っていたいんだが……外で待ってる連中を心配させても悪いからな。」

 「ふむ…ワシ等の体感でおよそ10日じゃからな。」

 矢張りフィニッシュ宣言。

 「なぁ、爺さん……俺は強くなれたか?」

 「充分よ。じゃが、ワシを超えるのならば…な。」

 唐突な稼津斗の質問に答え、龍は構える。
 右手を人差し指と中指だけを伸ばして後は軽く握った形。
 右腕は肘を頭の高さまで上げ、肘から下はやや上向きにし、逆に手首は下向きに。
 左足は軽く持ち上げ殆ど右足だけで立っているような状態と言う何とも不思議な格好。

 だが、其れの意味を稼津斗は知っている。

 「最後は、矢張り其れだよな…」

 「無論よ。うぬが此れまで1度たりとも防御も回避も破る事も出来なかった我が奥義『瞬滅殺』。
  此れを完璧に防ぐか、或いは避けきるか……はたまた真正面から撃ち破るかをして初めてワシを超えたと言える。」

 「だな。」

 其れは龍の奥義の構え。
 過去に何度も喰らい、闘いの度に止めを刺されてきた技だ。

 一瞬で相手との間合いを詰め、すれ違い様に経絡を突いて其処に莫大な気を叩き込む。
 すれ違った一瞬の後で、攻撃された側は体内を気の本流が暴れ周り、身体の内側からダメージを与えられる。

 あまりの速さに発動したら回避は出来ない。
 また、内側からの攻撃ゆえに防御も出来ない。

 防御も回避も不能の技――其れが龍の奥義『瞬滅殺』。

 だが、稼津斗も慌てない。
 何度も喰らって、そして如何して撃ち破るかをずっと考えてきた。

 その答えとして、

 「色々考えたが……行き着いた先は此れの他には無かった。」

 稼津斗もまた構えた。
 スタンスを広く取り、腰をやや落とし、その腰の位置に利き腕の拳を固定した構え。
 空手の基本にして究極の打撃『正拳突き』の構えだ。

 「ふむ…正解に最も近い答えだが、其れが正解かは…」

 「今此処で決まる。そうだろう?」

 「如何にも。」

 瞬間、空気が変わる。
 フィニッシュの一撃前とは思えなかった穏やかな雰囲気とは違い、今は空気そのものが鋭利な刃物になったかのように張り詰めている。

 コピーエヴァですら、この空気に言葉を発することが出来ないで居る。

 そして当の2人は構えたまま動かない。
 最大の一撃を放つ為の闘気を高め、また互いに其れをぶつけ合う。

 達人同士の闘いでのみ起こる気合のぶつかり合い『気組み』が行われているのだ。
 其れはドンドン強くなり、次第に周囲のものが2人の気に弾かれて飛ばされていく。
 更にコンクリートの地面にも亀裂が入る。

 「むん!」

 「ぜぁぁぁぁ!!」

 動いたのは略同時だった。
 龍が浮かせていた足を地に着けたと同時に、稼津斗が気を練りこんだ左拳を一閃!


 ――ドゴォォォォォォォン!!


 凄まじい爆裂音と共に、その左拳に練りこまれていた気が炸裂し、精神世界の街を破壊する。
 そして…


 「見事。」

 気が治まると、其処には振り抜かれた稼津斗の拳が突き刺さった龍の姿が。
 逆に龍の右腕は稼津斗には届いていない。

 「我が『瞬滅殺』よくぞ破って見せた!」

 それは龍の奥義を破った証拠。
 数え切れない挑戦の果てに、遂に稼津斗が龍を超えた瞬間でもあった。

 「すまない爺さん…未熟な拳ゆえ、此処までの威力……必要なかった。」

 「いや、其れが良い。うぬの一撃、今までのどんな攻撃よりもワシの魂に響いた。
  そう、瞬滅殺は防御も回避も不能な技……ならばワシの一撃が炸裂する前に迎撃するより他に喰らわぬようにする方法は無い。
  じゃが其れは生半可な技では到底我が拳には及ばぬ。」

 「俺もそう思ったからこその正拳突きだ。
  破る方法については結構早い段階から見当がついてたんだが、其れをできる技がなかった。
  色々考えた技は有ったが、ドレも通じるとは思えなかったんだがこの正拳突きだけは通ると思った。
  いや、俺の部の原点でもある、この『気を篭めた正拳突き』以外には爺さんの奥義を破る術は無いと思ったよ。」

 拳を引き、稼津斗は言う。
 現実世界だったらお陀仏の一撃も、精神世界なら問題ない。

 「其れで良いのだ。如何なるものも原点こそが究極。…うぬの真髄しかと見せてもらったぞ。」

 龍もまた笑みを浮かべ稼津斗を褒める。
 自分を超える存在が現れたことが、心底嬉しいようだ。

 「爺さん…」

 「その一撃に名を送らせて貰おう。天地を総べる王の拳……『天地覇王拳』。」

 「天地覇王拳……いい名だな。気に入ったぜ爺さん。」

 「其れともう1つ。」

 「まだ何か有るのか?」

 稼津斗の一撃に名を送っただけでなく更に何か有ると言う。

 「あの極大の気功波…虚空裂風穿であったか?虚空を穿つ烈風等と言った威力ではない。
  全てを消しつくす覇王の咆哮――『覇王翔哮拳』とするが良い。」

 「覇王翔哮拳……センスも良いな爺さん。ありがたく新たな技名も頂戴するよ。」

 闘ったからこそ分る稼津斗の気功波の凄まじさ。
 龍はその威力を認め、感心し新たな技の名を送ったのだろう。

 「ふぅ…心底嬉しいぞ小僧――否、稼津斗よ。」

 「爺さん…名前…」

 「ワシを超えた相手を最早小僧などとは呼べぬ。
  稼津斗よ、ワシはずっと探していた――我が拳を継ぐ事が出来る者を。
  じゃが、名の有る武道家もワシの域に達するものは居らなかった………だがお前と出会えた。
  全然のヒヨッコだったが、ワシは直感したぞ……何れワシを超える逸材であるとな。」

 「…だから殺さなかったのか?」

 頷き続ける。

 「ワシのこの暗殺拳もワシ1人が覚えていたのでは何れは埋もれてしまう。
  お前ならば、或いは継げるかも知れぬと思ったワシの目に狂いは無かったわ。
  現実のワシが生きているうちに其れが成し得なかったのが残念じゃったが…其れも果たせた。
  涅槃に居るであろうワシの魂も満足しておるわ。」

 「そうだと良いな……いや、きっと満足してくれてるな。」

 「最早教えること叶わぬが、何度も闘ったお前ならばワシの拳は身体で覚えて居よう。
  我が奥義『瞬滅殺』もお前ならば教えずとも使う事が出来る…ワシの武をお前に託す。」

 意識の覚醒が近いのか、周囲の建物が少しずつ崩落を始める。
 龍の身体も少しずつ光の粒となって消えて行く。

 「爺さん……あぁ、アンタの武は俺が受け継ぐ。そして、絶えないように伝えて行くさ――丁度、有望な奴が居るからな。」

 「其れは嬉しき事だ……お前と闘えて、そしてワシを超えてくれて…嬉しかったぞ稼津斗よ。」

 「俺もさ爺さん。アンタと出会えて、闘う事が出来て本当に良かったよ。」

 互いに笑顔。
 もう心残りも無い。

 龍の身体は胸の辺りまで消えている。
 街も殆どがその姿を消している。

 「お前を想う者達の事、大切にしてやれ。」

 「あぁ、勿論だ。」

 「ならば良い。……ではな稼津斗。」

 「じゃあな……爺さん。」

 龍の身体が完全に消え、街も消える。
 同時に、稼津斗の意識も急速に現実へと浮上して行った…








 ――――――








 一方でネギの方もいよいよ闇の魔法の習得の最終段階とまで来ていた。
 幾重にも重なった暴発は、しかし回数を増すごとに少しずつだが確実に適合できるようになってきている。

 特にコピーエヴァに『ネギ』と呼んでもらうと言う目標が出来てからはそれが顕著だ。


 「ぐ……うあぁぁぁぁぁ!!」


 そして通算150回目の挑戦。
 術式の固定は既に体得している。

 問題はその先――掌握からの術式装填で失敗しているのだ。

 今もまた、固定は成功している。
 全ては此処からだ。


 「ぐぬぬ…」


 そんな中でネギは考える。
 自分は『何故』強くなりたいのかと。

 フェイトを倒す為、大切な仲間を守れるようになる為、このコピーエヴァに名前で呼んでもらうためetc…etc…
 理由は幾らでも思いつくが、如何にもしっくり来ない。

 村の人達を助ける言うのも、石化解除が出来ないと無理なのでこれも違う。


 ――僕が強くなりたい理由は……


 脳裏にフラッシュバックするのは6年前の悲劇の光景。
 魔物に襲われる故郷の村。
 自分を庇って石化したスタンと、大怪我をしたネカネ。
 そして…


 ――精々幸せにな…


 助けに入った父の姿。
 が、父であるナギの姿がよぎった瞬間、ネギの中で何かが切れた。


 ――ブチン!!


 「!?」

 其れはもう盛大に。
 あまりの音にコピーエヴァが驚いたくらいだ。

 「そうだ…僕が強くなりたい理由…」

 固定された術式が急速に安定して行く。

 「僕は強くなって…父さんを…『英雄ナギ・スプリングフィールド』を1発ブッ飛ばす!!」

 「なんだとぉ!?」

 「掌握(コンプレクシオー)!!」

 「此れは!!」

 固定された圧縮魔力を握り潰すように自らに取り込み、魂と馴染ませる。
 今回は其れが驚くほどにスムーズに、かつ完璧に成されている。

 ネギの周囲には暴力的な魔力が逆巻いて居るモノの今までの様に暴発する気配はない。

 「『闇の魔法』…会得したか。」

 「はい。どうやら色々考えすぎてたみたいです。
  取り合えず強くなって父さん探し出して一発ぶん殴るって思ったら恐ろしいほど上手く行きました。」

 「英雄を、其れも自分の父親をぶん殴るとおくびも無く言うとはな…成程、我が本体が気に入る訳だ。
  諦めてしまうか、或いは暴発に耐え切れずに精神が死ぬかと思ったが…くくく、見事だよネギ。」

 約束通りに名前で呼び笑いかける。
 ネギも其れに笑い返す。

 だが、会得したからと言って其処で終わりではない。

 「では、150回もの苦労の成果…見せてもらうぞ!」

 断罪の剣を展開し、ネギに襲い掛かる。

 ネギも慌てずに、拳に魔力を装填し迎え撃つ。


 そしてその2つがかち合い…



 ――カッ!……ガゴガァァァァァァァァァァン!!!



 核爆弾が爆発したかのような強烈な閃光と爆音が、ネギの精神世界を覆いつくした…








 ――――――








 「そろそろ夜が明けるね千雨ちゃん…」

 「あぁ…そうみてーだな。」

 現実世界では、ラカンの言う『タイムリミット』が迫っていた。
 およそ2時間ほど前から、ネギに新たな傷が出来るのは極端に減り熱も下がってきている。
 今は寝ているだけと言っても過言では無い状態にまで落ち着いている。

 「私はさ、自分でやるとか言っておきながら、先生の試練を止めるのを迷ってんだ。」

 「千雨ちゃん?」

 「稼津斗先生の方はさ、タイムリミット越えても多分大丈夫だと思う。オッサンも稼津斗先生は大丈夫だつってたしな。
  けどネギ先生は違う。もし目を覚まさなかったら、二度と……」

 視線を短剣と巻物に移し、更に続ける。

 「もしも、もしも此処で私が強制的に試練を解除したらネギ先生はやっぱ怒るかな?」

 「ん〜〜…其れは無いと思うな〜。ネギ君なら大丈夫だと思うよ?」

 「だよな。」

 何かを決意したように千雨は強制解除の短剣を手にする。
 朝日が昇りきるまで後僅かだ。

 もう、これ以上は待てない。


 「なぁ、先生…アンタはまだ10歳なんだぜ?無茶して最悪の結末なんて有って良い筈ねぇ。
  余計な事したってんなら、幾らでも罵詈雑言浴びせてくれてかまわねーから……もう、起きろよ!!」

 短剣を手にし、一気に巻物に突き立てる。

 「悪いな先生…けどよ、アンタに何か有ったら悲しむ奴が大勢居るんだ…」

 突き立てる瞬間に固く閉じた目を開ける。

 「!?」

 だが、その目飛び込んできたのは短剣が突き立てられた巻物ではなく、短剣を指で挟んでいる手。
 そしてその手の主は紛れも無く…

 「おはようございます、千雨さん、桜子さん…ご心配おかけしました。もう、大丈夫です!」

 ネギだ。
 ギリギリで、本当に全てが終わるギリギリで目を覚まし千雨の短剣を止めたのだ。

 更に、

 「く…あぁぁぁ…と、少し寝すぎか?微妙に身体がだるいな…」

 「カヅッチ!!」

 稼津斗も目を覚ました。

 「マジかよ……こんなタイムアップギリギリで……こ、この馬鹿野郎!目覚めんならもっと早く目覚めろ!」

 「へ?あ、は、ハイ、スイマセン!!」

 「スイマセンじゃねぇ!散々ぱら私と椎名に心配かけやがって!!……本気で…本気で心配したじゃねぇかよぉ…」

 目覚めたネギに思いっきり怒鳴るも、其れはドンドン弱くなり最後には涙声に。

 「千雨さん…はい、本当にスイマセン…それとありがとうございました。」

 そんな千雨に再度侘び、そして礼を述べる。
 千雨ももう何も言わず、ただ小さく『頑張れよ、先生』とだけ言った。


 「…俺とネギはどれ位寝てたんだ?」

 「丸2日〜。その間は私と千雨ちゃんは寝ずの番で、ラカンさんはネギ君の為の薬草とか私達の食料採って来てくれた〜。」

 「そう、か…ありがとうな。」

 「にゃはは、これしき如何って事無いよ〜。寧ろこっちに飛ばされたばっかの頃に護ってもらったお礼かにゃ♪」

 稼津斗の方も詳細を聞き、礼を言う。
 尤も、稼津斗の方は千雨も桜子も殆ど何もしないで放置状態だったのだが其れは言わぬが花だろう。


 「おーーー!目覚めたか坊主、兄ちゃん!」

 「ラカンさん!」
 「ジャック。」

 更にラカンが薬草採り&食料調達から帰還。
 バッチリのタイミングと言えるだろう。


 「ほう…?コイツは…成程な!よくやったぜ坊主!態々確認するまでもねぇ!会得したな『闇の魔法』を!」

 「はい!運用方法も、分ってます。」

 ネギが両腕に魔力を集中すれば、其処には紋様が現れる。
 この紋様こそが『闇の魔法』を習得した証だ。

 「ハッハッハ、命懸けで会得したお前だけの力だ誇りに思いな――で……兄ちゃんの方は如何だ?」

 ネギを褒め、今度は稼津斗に問う。

 「寝すぎて些か身体がだるいが…気が澄んでるのが良く分る――今までには無かった感覚だが…」


 ――轟!!


 気が溢れ出しXXに変身。
 その漲る気は、2日前よりも遥かに強くなっているのが千雨と桜子にも分る。

 「悪い感じじゃあない。」

 不適に笑い、言い切る。

 「くっくっく…コイツぁ最高だ!!おし、もうちっと何か精の付くもん採って来てやる!
  そいつを食って一休みしたら修行始めるぜ坊主!」

 「ハイ!!」

 呵呵大笑をかまし、ラカンは修行開始を宣言し、ネギもそれに答える。
 『強くなるための修行』は漸く此処からがスタートだ。







 ――――――








 その頃――


 「そう、ネギ君とジャック・ラカンがね…」

 霧に包まれたオスティアの周辺にある巨石群の一画に、ゲートポート襲撃メンバーが集まっていた。
 彼等の目的もまた此処オスティアであった。

 奇しくも稼津斗達の読みは的中していたのだ。


 「良いのフェイト?ネギ君がこれ以上強くなったら面倒じゃない?」

 「構わないよ、セクスドゥム。あまり順調すぎるのもつまらない。
  それに、ネギ君のあの急成長には興味があるし、全てが順調である今、彼は僕の楽しみさ。」

 「へえ?まぁ、私も氷薙稼津斗には興味があるけれどね…」

 「まぁ、何れにせよ…」



 ――ずぅぅん…!



 「次に会うときが楽しみだよ。」

 「私達を圧倒した人間ですものね…」

 会話の最中に聞こえてきた轟音は竜種が着地した音。
 が、その竜は最早無いも言わない。

 フェイトとセクスドゥムの背後には……水労に閉じ込められた竜の石像が物言わずに佇んでいるだけだった。





 ――拳闘大会開催まで、あと3週間
















  To Be Continued… 


-70-
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桜風に約束を−旅立ちの歌−
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