小説『ネギま Story Of XX』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 ――エヴァンジェリン邸

 その中の1室において…

 「マクダウェル、これからお前の封印と呪いを解く。」

 「満月の夜がこれほど待ち遠しいと思ったことは無い。早速頼むぞ。」

 そう、今宵は満月。
 最強と称される魔法使い『エヴァンジェリン.A.K.マクダウェル』の封印と呪いが解かれる日である。









 ネギま Story Of XX 8時間目
 『真祖解呪で如何よ?』









 「せやけど、驚きやね。」

 一方此方は解呪の準備を進めている稼津斗を見ている、ネギ&明日菜と稼津斗の従者5人&クスハ。

 「何が?」

 「エヴァが吸血鬼やったことや。」

 事前に聞かされていたとは言え、まさかクラスメイトが真祖の吸血鬼などとは思いもしなかったのだろう。
 亜子の感想は、成程、当然といえる。

 「私としては襲われかけた亜子ちゃんと本屋ちゃんが此の場に居る事が驚きだけど?」

 明日菜の驚きも至極当然。
 下手をすればエヴァンジェリンの下僕となっていた可能性があるのだ。

 「そうですけど稼津斗せんせーが居ますから。」

 「大体にして、この期に及んで騒ぎ起こす馬鹿じゃ無いっしょ、エヴァちゃんは。」

 納得。
 稼津斗の恐るべき戦闘力は、学園の猛者が鎬を削る『売店戦争』で無敗を誇っていることから誰もが知っている。
 其れのみならず『アノ』エヴァンジェリンが大人しく解呪の提案を受けている=抵抗したところで敵わないと言うことでもあるのだ。


 「さてと…此れくらいで大丈夫か。始めるぞ。」

 準備完了。
 全員が稼津斗とエヴァの周りに集まる。

 「?稼津斗にぃ、魔方陣は?」

 「書いてないぞ。必要ないし。」

 「なれば何の準備をしていたのでござる?」

 「この建物の全体を強化して、認識障害結界と魔力遮断結界を張ったんだよ。
  そもそも魔法使うより『気』を同調させた方が早いんだ俺の場合。ま、見た方が早い。」

 そう言いながら、エヴァンジェリンの頭に左手を乗せる。

 「お、オイ!」
 「動くな。」

 勿論それにエヴァンジェリンは反発しようとする。
 しかし、稼津斗の一言で抑えられてしまう。

 決して大きな声ではないし、殺気や怒気をはらんでいる訳ではない。
 が、その鋭く真剣な眼光に黙るより他無いのである。

 「…成程な。」
 ――此れだと先に封印を解いた方が良さそうだ…と成ると…

 封印の性質を読み取りながら、其れを己の気と同調させる。
 同時に己の気を高め封印解除の為の力を蓄える。

 「解析完了。行くぞ…同調・解!!」

 高めた『気』を一気にエヴァンジェリンに流し込む。
 ただ見ているだけでは何が起きたのかは分からないが…

 「さて、如何だ?」

 「ふふ…ふははははは!素晴らしいぞ氷薙稼津斗!満月の時以上に力が溢れてくる!やはり自由に力が使えるというのは良いものだな!」

 如何やら、封印は解除成功らしい。

 「お褒めに預かり光栄だ…さて、お次はいよいよ呪いの方なんだが…はっきり言う、この呪い正攻法じゃ絶対に解けん。
  何と言うか、この呪いの術式は滅茶苦茶で中途半端なのに使われた力が異常に強くて変質して呪いを通り越して解除不能の拘束具になってる。」

 「ぐぬ…そうじゃないかとは思っていたが矢張りか!ナギの奴めぇぇぇ!!」

 怒りの真祖…無理も無いが。
 で、此処で子供先生から質問。

 「えっと、カヅト如何言う事?」

 自分の父がその呪いを掛けたとは知っていたが、詳細が分からずネギは問う。

 「つまりだ、正常な呪いが対象物を鎖で拘束し、何箇所かを南京錠で止めたような物だとしよう。
  此れならば南京錠を外していってやればたとえ掛けた本人でなくても時間さえあれば誰にでも解けるよな?」

 全員頷く。

 「だが、マクダウェルに掛けられてるのはそうじゃない。
  言うなれば対象物を鎖と太いワイヤーで雁字搦めにした上で無駄に大量の南京錠を掛けて、更に鎖とワイヤーと南京錠を溶接した感じだ。
  こうなると第三者は勿論、掛けた本人でさえ此れを解くのは不可能だ。故に壊さねば対象物は開放できない。
  で、無理にやると対象物さえ壊れるんでな、そうならないために先に封印を解いたと言う訳だ。」

 再び左手をエヴァンジェリンの頭に乗せる。

 「そう言う訳だからマクダウェル、今度はお前も全力で魔力を開放してくれ。」

 「そうするとしよう。」

 そうして再度気を同調させるが…

 「!!」
 ――く、此れは…術者以外の力を弾く障壁だと?厄介な!


 力が弾かれる。
 だが、其処は稼津斗、このくらいの障壁では止まらない。

 「覇ぁぁぁ…!」

 障壁に弾かれないように気を高める。
 そして周囲に火花放電が起き、変身しました銀髪蒼眼のXXに。

 「えぇ!?」
 「はぁ、超サイ○人!?」

 既に見たことの有る5人を除いて当然驚く。
 エヴァンジェリンでさえも。

 「な、貴様その姿は一体!?」
 「動くな!魔力を集中しろ!」

 問いかけるが其れは隔てられる。

 「…良し、障壁突破…同調・絶!」

 封印解除の時とは比べ物にならない力が光と共に溢れ出す。
 洒落にならない膨大な力が部屋の内部を暴れまくる。
 事前に強化を施していなかったら完全崩壊を起こしているだろう。


 そして…


 「…解呪完了だ。」

 この一言が全ての工程が終了した事を示す。
 で、解呪終了なのだが…

 「…あのさ、エヴァちゃん何か成長してない?」

 「何だと?」

 明日菜の指摘通り、エヴァンジェリンの見た目は明らかに成長している。
 130位だった身長は、明日菜と同程度まで伸び、体の凹凸もハッキリしている。

 「其れはおまけだ。俺の『気』で細胞を活性化させて15歳相当まで成長させたんだが、如何かな?」

 「貴様そんな事まで出来るのか…さっきの姿と言い何処までも予想外な奴だな。」

 「褒め言葉と受け取っておく。」

 「好きにしろ…さて…」

 ネギと明日菜に向き直る。

 「解呪の条件なのでな、ぼーやと神楽坂明日菜、お前達を鍛えてやる訳だが…私の訓練は厳しいなどと言うレベルではない。
  一歩間違えば死ぬかもしれん。特に貴様等は『攻撃型』だから余計に激しくなるが…「勿論お願いします!!」…ほう?」

 全てを言い終える前にネギが志願する。
 と成れば当然明日菜も。

 「寧ろ上等!」

 「…くくく、はははは!良いぞ貴様等!そう来なくては!気に入った早速明日から始めてやる!今日はもう帰って休むが良い!」

 「はい!お願いしますエヴァ…いえ師匠(マスター)!」

 15年間も自身を縛り付けてた呪いと封印が解かれた歓喜も有るだろうが、あっさり師弟締結。
 稼津斗の仕事も取り合えず終了。
 変身解いて、黒髪黒目に戻る。

 「何か勝手に盛り上がってるみたいだし、俺達はお暇しよう。」
 「でござるな。」








 ――――――








 唐突だが近衛近右衛門には懸案事項が有る。
 其れは稼津斗の事でだ。

 否、稼津斗自身に何か問題が有るわけではない。
 自身が目したとおりネギにとってこの上なくプラスに成っている。
 近右衛門自身、解呪の話をされたときの事で所見の時より稼津斗を高く評価し買っている。

 ならば問題とは何か?
 実は魔法先生及び魔法生徒が何時の間にか『親稼津斗派』と『反稼津斗派』とも言うべき派閥に分かれてしまっているのだ。
 因みに『親稼津斗派』は高畑、刀子、高音が代表格で、稼津斗の実力、考え方、人柄を評価してる人達。
 一方の『反稼津斗派』はガンドルフィーニ、神多羅木何かが代表格で、稼津斗の実力を認めつつそれ故に危険視してる人達。

 明石教授、弐集院、瀬流彦、シャークティなんかは中立。
 立場上は近右衛門も中立なのだがどちらかと言えば『親稼津斗派』より。
 まぁ、この2つは特に対立などして居る訳ではないので別に良い。
 いざとなれば自分の鶴の一声で如何にだって成るのだ。

 つまり現在の最大の懸案事項とは…


 「2人とも少し落ち着いてくれんかのう…」

 目の前で顔がくっ付きそうなくらいの距離で睨み合ってる稼津斗とガンドルフィーニである。
 稼津斗からは『気』が、ガンドルフィーニからは『魔力』が溢れ出している。

 「エヴァンジェリンの封印と呪いを解くとは一体如何言う事かね!?」
 「爺さんの許可は取って有るんだ、問題無いだろ!」

 何と言うかこの2人、壊滅的なまでに仲が悪い。
 ガンドルフィーニは『反稼津斗派』の筆頭よろしく稼津斗を一方的に危険視してるし、
 稼津斗は稼津斗でガンドルフィーニの通り一遍等な考え方が気に入らないらしい。

 顔を合わせればこの様な小競り合いは最早日常茶飯事。

 流石に此のままではいかんと、1度夜の警備を組ませたときは凄かった。
 途中で案の定小競り合いが勃発。
 そのままヒートアップしリアルファイトに発展。
 結果だけを言えば、稼津斗が大幅に手を抜いたとは言え2人とも怪我は無く引き分け。
 だが、この攻防の余波だけで侵入者&召喚ユニットが全滅したと言えばその凄まじさが分かると思う。


 で、その日以降目立っての小競り合いはそれほど起きていなかったのだが、
 エヴァンジェリンの解呪を切欠に、久々に勃発。
 2人の気と魔力で、学園長室の調度品が幾つか壊れている。


 「大体GパンにTシャツと言うその服装はなんだね!」
 「今は服装は関係ないだろうが!」

 論点がずれるのは何時もの事であり、2人がヒートアップしている証拠。
 で、大体何時も此処まで来ると…



 ――ゴォォォォォ!



 稼津斗の肩に引っ付いていたクスハがガンドルフィーニを燃やしてターンエンド。
 何と言うか、すっかり稼津斗の使い魔となっている。

 「やっと終わったかの…青い炎とは手加減無しじゃのう…何かその妖狐ちゃん、どんどん強くなっとりゃせんか?」

 「何時も俺の鍛錬に付き合ってもらってるからな。…時に如何にかならないのか、この人?」

 良い色に焼けた…いや、元が色黒なので大差ないガンドルフィーニを指差し言う。
 ピクリとも動かない辺り、クスハの火炎放射(青)で完全KOされたらしい。

 稼津斗自身、ガンドルフィーニの実力は認めている。
 だが、その考え方が有る意味で危険なので指摘した結果が此れである。
 ほぼ同様の思考だった高音が稼津斗の考え方を認め、視野を広げたのとは対照的。
 やはり大人になり凝り固まった考え方を解くのは容易でないらしい。

 「どうしようもないのぉ…彼自身は悪い人間ではないでの…
  実力も確かなものなんじゃが…長年染み付いた考えを解きほぐすのは難しいわい。」

 「だよな。まぁ良いさ、ガンドルフィーニ教諭には末永く喧嘩相手になってもらうとするよ。
  そろそろ1時限目が始まるんで失礼する…壊れた物の代金は給料から天引いといてくれ。」

 「うむ、了解じゃ。自習監督よろしくの。」

 「了解だ爺さん。ネギと一緒に適当に頑張るよ。」

 今回の事が何時の間にか魔法先生&魔法生徒の耳に入り、稼津斗の評価は更に高まって行くのであった。








 ――――――








 「それにしても今朝は大変だったね稼津斗にぃ。」
 「まぁ無理も無いと思うんやけど。」
 「見事なロリボディが1日でアレでござるからな…」
 「でもまぁ何とか成っただろ?」
 「アレで納得する我がクラスに一抹の不安を覚えるけどね。」
 「『先天性発達異常症候群』…よく考えましたね…」
 「…一体何の話なのでしょう…」

 昼休みのオープンカフェ。
 そこに居るは稼津斗、和美、亜子、真名、楓、のどかの6人と稼津斗に用事が有って来た高音の計7人とクスハ。
 話題は呪いを解かれた真祖の姫である。

 人が集まる場所だが音声に特化した『認識障害結界』を張っているので問題ない。
 周囲の人にこの7人の会話は聞き取られないのだ。


 「マクダウェルの事だ。あいつの呪いと封印が解かれた事は知ってるだろ?
  その時におまけとして肉体を成長させたんだが…なんと言うか幾ら3−Aの連中でも気になったみたいで…」

 「そ、其れは些か拙いのでは無いでしょうか?」

 「で、のどかが言った『先天性発達異常症候群』だ。数年分の成長が1晩で起きる先天的な遺伝子異常と言う事で納得して貰った。」

 「よ、良く誤魔化せましたわね…」

 「何人か納得してなかったが、目の前に実際にそうなった奴がいるモンだから無理やり納得したみたいだけどな。
  で、俺にどんな用事なんだ、高音。まぁ、十中八九マクダウェルの解呪に関してだろうが…」

 此れに高音は首を横に振って否定する。

 「…違うのか?」

 「私の出来る範囲ではありますが、彼女の事を歴史の裏まで調べてみました。
  調べてみれば…成程、彼女を『悪』と断するのは早計であり、視野の狭い愚かな考えと思い知らされました。」

 そう、高音は独自にエヴァンジェリンについて、公表されていない歴史の裏まで自身の出来る範囲で調べていた。
 そして分かった事…彼女は自ら望んで『真祖』と成ったのではない事、真に憎しみを持って殺したのは自身を真祖とした相手のみであると言うこと、
 ただ、平和に生きたいと言う為に追っ手を返り討ちにし…そして結果として賞金が雪ダルマ式に増えていったこと…

 自分でも此処までたどり着けたのだ、稼津斗がそれ以上のことを知らないのは有り得ないだろうと考えていた。


 「成程…と成ると用件は一体何だ?」

 「その…エヴァンジェリンの呪いは『アノ』サウザントマスターことナギ・スプリングフィールドが掛けたものと聞いています。
  となれば相当なものだと思うのですが、どうやって解呪をしたのか知りたくなってしまって。」

 「あぁ…そう言う事か。」

 成程と納得する。
 何度か耳にした『サウザントマスター』の話。
 此の世界の魔法関係者にとって其れは『最強』を意味する人物。
 と成れば、彼の者が掛けた呪いをどうやって解いたのか気になるのは道理。
 偶に夜の警備で組む事があり、その実力を知っている高音でも少々信じられない。

 「端的に言うと俺が解いたのはあくまで『封印』で呪いを『解いて』は居ない。」

 「解いては居ない?」

 「つまりだ…









 *只今稼津斗説明中









 で『解』かずに『壊』したと言うわけだ。…碌に知識が無いのに使える力が強いってのは相手にすると面倒極まりないな。」

 和美、亜子、真名、楓、のどかは納得。
 いや、高音でさえちょっと納得してしまった。
 稼津斗から聞かされた『呪いの真実』に、改めて公表されている歴史を鵜呑みにしてはいけないと痛感する。

 と…


 「わっはっはっはっは、そうか、そうか!殺しても死なん奴とは思っていたが、生きていたか!!」

 高笑いと共に話題の中心であるエヴァンジェリン.A.K.マクダウェル惨状…もとい参上。
 一緒にネギと明日菜、そして茶々丸も居る。

 「御機嫌だなマクダウェル。自由になった気分は如何だ?」

 「稼津斗か…最高の気分だ、おまけに思いもしない事が分かったのでな。」

 興奮気味のエヴァが言うにはサウザントマスターことナギ・スプリングフィールドは生きているかもしれないと言う。
 彼女自身、ナギは既に死んだと思っていたのだが、其れは何とその息子であるネギが否定したのだ。

 「お前の親父さん、生きてるのか?」

 稼津斗もまた驚く。
 此の世界の事を調べている時に知ったのだが、公式記録ではナギは10年前に死んでいるのだ。
 そして裏の裏まで調べても生存していると言う記録は無かったのである。

 「うん…6年前、僕は父さんに助けてもらった。そして此の杖を貰ったんだ。」

 「そうか…じゃあ頑張って親父さん探さないとな。」

 クシャリと頭を撫でる…矢張り癖らしい。

 「うむ、そうだな…奴の手がかりならば京都に行っては如何だ?一時期ナギの奴は京都に居た事がある。
  修学旅行も近いし丁度良い。巧く行けば何か情報が手に入るやも知れんぞ?」

 エヴァからもたらされた情報にネギの顔が一気に明るくなる。

 「良かったじゃないネギ!アンタのお父さんの情報が手に入るかもって!」

 「はい!ありがとうございます師匠(マスター)!」

 「ふん…扱き甲斐のありそうな弟子の為だ…時に稼津斗、貴様に聞きたいことが「昨日の事ならノーコメントだ」…何だと?」

 「説明するのが面倒くさい。」

 一刀両断。
 如何やらよほどの事がない限り、自身の従者以外に本当の事を話す気は更々無いらしい。

 「そんな事を言われては余計に気になるではないか!」

 「気にするな。寧ろ気にしたら負けだろ。今一番大事なのは、修学旅行が京都であるということだ。
  一度も行った事がないからな…京都、今から楽しみだ。」

 「オノレ、話題をそらしたな…」

 「マクダウェルは楽しみじゃないのか?」

 「楽しみに決まっておろうが!!」

 此の2人の会話で、高等部の高音を除いて全員が修学旅行が楽しみになっていたのだが…








 ――放課後・学園長室



 「「京都行きが中止!?」」

 学園長室に呼び出されたネギと一緒に来た明日菜が聞いたのは『京都行き中止』の報。

 「うむ。で、代替案はハワイなんじゃが…」

 「そんなぁ…」

 漸く父親の情報が手に入るかもしれないと思った矢先に此れである。
 ネギでなくとも落ち込むだろう。

 だが、何と言うか近右衛門も運が悪いと言える。
 何処で聞きつけたのか…


 「覇ぁぁぁ…波導掌!京都行きが中止だと!?」
 「爺、如何言う事か説明してもらおうか!」

 学園長室の扉を破壊し稼津斗&エヴァの麻帆良最強タッグ(暫定)襲来!
 其れのみならず…

 「京都行き中止ってなんでさ!」
 「説明してや!」
 「稼津斗にぃが大阪出身で…」
 「京都への修学旅行は行った事がないと知っての狼藉でござるかな?」
 「中止はダメです〜!」
 「マスターの楽しみを奪うのは看過できません。」

 稼津斗の従者である和美、亜子、真名、楓、のどかとエヴァの従者である茶々丸にクスハも襲来。

 更に…


 「説明してもらおうか、学園長?」
 「事と次第によっては容赦しないでござる。」

 一瞬で背後を取られ、真名に大型の拳銃を、楓に苦無を突きつけられてしまう。

 「ちゃ、ちゃんと説明するから落ち着いてくれんかの…」

 冷や汗だらだら…無理も無いが。
 襲来した8人の気迫たるや、それだけで人1人位殺せそうな勢いである。

 「えっと説明する前にの…」

 ちらりと和美、亜子、のどかの方を見る。
 つまりは魔法関係である事を示しているのだが…

 「大丈夫だ爺さん。後から入ってきた絡繰以外の5人は俺の従者だ。」

 「…稼津斗君、すまんがもう1度言ってくれるかの?」

 「だから、和美、亜子、真名、楓、のどかは仮契約して俺の従者になった。」

 「「「「……」」」」

 ネギ、明日菜、エヴァ、そして近右衛門沈黙。
 茶々丸は破壊されたドアを修復。

 「…どうした?」

 「「えぇぇぇぇ!?」」
 「なんじゃとぉ!?」
 「何時の間に…と言うかいきなり5人だと!?」

 4人とも驚愕。
 と言うか、ネギ、明日菜、エヴァは昨日の内に突っ込むべきだと思うのだが、解呪の方が気になって、全く疑問にも思っていなかったらしい。

 「仮契約は此の前の日曜日に。…と言うかそんなに驚くほどの事か?」

 「拙者と真名は兎も角、朝倉殿、亜子殿、のどか殿が従者になったことに対する驚きでござろうな…」

 「その3人はおおよそ魔法には関係してないし、そもそも非戦闘員だからね…」

 「あぁ、そう言う事か…」

 「やけどウチ等は後悔してへんよ。」

 「稼津斗せんせーへの想いなら誰にも負けない自信がありますから。」

 「てな訳で、京都行き中止の詳細を話して欲しいんだけどさ、学園長?」

 見事な連携(?)で有無を言わさず、京都行き中止の説明に持って行く。
 既に見事なコンビネーションが出来上がっている。

 「うむ…そうじゃのう。実はの京都には『関西呪術協会』と言う魔法関係としては西の総本山とも言うべき組織の本部があっての…
  其処は東の総本山である『関東魔法教会』とは…」 「非常に仲が悪い。」

 「…んじゃが表立って対立しているわけじゃないんじゃよ。じゃが此の度西洋魔法使いの英雄『ナギ・スプリングフィールド』の息子である
  ネギ君が此の麻帆良で教師になったために…」 「西からの反発が強くなったと言うわけでござるな?」

 「…しかしの、何時までもいがみ合ってもおれんので…」 「親書でも送って関係の改善を図るんですね?」

 「そう思ったんじゃが…」 「先方が難色を示しとるわけや。」

 「そこで…」 「ネギ君に親書を届けてもらおうって訳だね?」

 「と思うのじゃが…」 「西からの妨害が考えられるから京都行きは中止にして、親書は日を改めようと言う事か。」

 「君達はエスパーかいの!?」

 此処まで先読みするとは、見事な洞察力です。


 「まぁ良いわい。そう言う訳での、此の親書を届けてもらえるかのネギ君?」

 「は、はい頑張ります!」

 色々と端折った気がするが、兎に角ネギに親書を渡すように言う近右衛門。
 其れにネギは緊張気味に応える。
 とんでもない大役を命じられた上妨害があるかも知れない、緊張しない方がおかしいが…

 「ほれ、悪い癖だぞネギ。必要以上に緊張してる。そんなに肩に力入ってたら出来る事も出来ないぞ?」

 「稼津斗の言うとおりだぞぼーや。一流たる者、常に余裕を持って自然体で居るものだ。」

 稼津斗とエヴァに叱咤されてしまう。

 「で、でも…」

 「ま、無理も無いが…お前は1人じゃないだろ?神楽坂も居れば俺も居る。亜子達や絡繰だってそうだ。
  何よりお前の師匠は、世界最強の『悪』の魔法使い『エヴァンジェリン.A.K.マクダウェル』なんだ、恐れる物など何も無い。」

 「うだうだ悩む前に先ずやる事が大切だぞぼーや。失敗してしまったら師匠として尻拭いくらいはしてやる。」

 「てかね、アンタもっと周りを頼んなさいよ!頼ってくれきゃ、アタシ何のための従者か分からないじゃない!」

 「そやでネギ君…1人よりも大勢。『3人よれば文殊の知恵』や。」
 「あの…私達に出来る事なら協力します。」
 「報酬の方は学園長に請求するから心配しなくて良い。」
 「拙者も力を貸すでござる。」
 「だからさ、遠慮しなくて良いんだよ!」
 「私も全力でサポートさせていただきます。」

 「カヅト、師匠(マスター)、明日菜さん…其れに皆さんも…はい、ありがとうございます!
  学園長、ネギ・スプリングフィールド、親書の件…確かに拝命しました!」

 「うむ、任せるぞい。皆も協力してやってくれい。」

 「元よりそのつもりだ爺さん。」
 「精々、私達に任せておくが良い。」

 天下無敵の超戦士に世界最強の魔法使いが一緒に居るのなら何の心配も無い。
 更に期せずして協力者は増えたのだ、余計な心配はすべきでは無いだろう。



 こうして決まった京都旅行。
 花の都の千年王城では一体何が待つのやら…
















  To Be Continued… 

-8-
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