小説『ネギま Story Of XX』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 「…旅行に必要なもの持ってないな。」

 修学旅行前の最後の土曜日、準備をしていて此れである。


 ――のどか達が来るのは夕方だから必要なもの買いに行くか…
 「クスハ、買い物に行くぞ。」

 「きゅ〜ん♪」

 クスハを肩に乗せ、いざ買出しへ出発!



 …時に狐は電車に乗せることが出来るんだろうか?









 ネギま Story Of XX 9時間目
 『旅行前に猛特訓!?』









 「ゴーヤクレープ1丁〜〜〜♪」
 「あ、私もー」

 「お、ゴーヤ行くのかい姉ちゃん?苦いよー?」

 「話し聞けーーーッ!そこのバカ2人!!」

 都心は渋谷。
 若者の街で休日を謳歌するは、柿崎美砂、釘宮円、椎名桜子の『麻帆良チアリーディング3人娘』
 彼女達もまた、修学旅行に必要なものを買いに来たらしい。

 …果たして目的物を購入する為の予算が残るのかは些か謎であるが。


 「あ〜ん楽しい!私達普段麻帆良から出ないからね〜。」

 桜子の言う事は尤も。
 必要なものが一通り揃っていて不便が無いとは言え、些か閉鎖的であることが否めないのだ『麻帆良学園都市』は。
 年頃の少女達にとって週末に都心へ繰り出すのは此の上に無い楽しみと言える。

 「ん?」
 「どったの美砂?」
 「アレ…」

 柿崎が指差す先には露店の前で何やら悩んでる稼津斗が。
 如何やらクスハは無事に(?)電車には乗れたらしい。

 「如何したの稼津斗先生?」

 「柿崎、釘宮に椎名。君達も修学旅行の為の買い物か?」

 「そうだけどカヅっちは如何したのかにゃ?」
 「ちょ、桜子失礼だよ!」

 余りにも砕けすぎな桜子を円が咎めるが、勿論稼津斗はそんなもの気にしない。

 「別に構わない、好きなように呼べばいいさ。抹殺レベルの渾名ででも無い限りは目くじら立てるものでもないだろ。
  で、如何したかと問われれば、どれを買おうか迷っていると答える事になる。」

 指差す先には数種類の革ジャケット。
 中々良いデザインのものが数種類。
 成程、稼津斗でなくても此れには目移りするだろう

 「別の店でシルバーのアクセサリーも買ったからあんまり買えないからな…どれにするか本気で悩むよ。」

 「因みにカヅ君はどんなのがお望みでしょう?」

 「前は白いの使ってたから、今回は黒いのにしようかと思ってる。」

 「なら…」
 「これなら如何かな?」

 円と桜子が手にしたのは共に黒で背中に紅で漢字一文字が入っているもの。
 円のには『闘』、桜子のには『武』と入っている。

 「此れは良いな。…よし、此れにしよう。2着とも貰えるか?」
 「あいよ!2つで9000円ね…まいど!」

 あっさりと決断。
 やはり、第3者からの意見と言うものは大事である。

 「助かったよ。…似合うか?」

 早速『武』の文字が入った方を着てみる。

 「にゃは、良く似合うよカヅっち♪」
 「黒は没個性って言うけど、稼津斗先生だと完全に着こなしてるよね…」
 「流石。」

 「いや、本気で感謝する。あのままだったら決まらなかったかもしれないからな。こんなモンで悪いが、お礼に取っておいてくれ。」

 取り出したるは福引券。
 さっきデパートで買い物をしたときに貰ったらしい。

 「俺はくじ運が最悪でな…ティッシュ以外の物が当たった例がない。だったら君達が有効活用してくれた方が良い。」

 福引券は3枚、つまりは1人1回引ける訳である。

 「さてと、目的は果たしたから俺は麻帆良に帰る。ショッピングは結構だがあんまり遅くならないようにな。」

 「了解っす。」
 「分かってますって。」
 「では、月曜日に。」

 手を振る3人に稼津斗も手を振る、クスハは尻尾を振る。



 「ところで…」

 「「ん?」」

 「クスハちゃんはどうやって電車に乗ったんだろう?」

 その疑問は尤もではあるが、きっと解消される事はないと思う。








 ――――――








 さて、稼津斗が渋谷で買い物をしている頃、エヴァの別荘では文字通り『地獄の特訓』が行われていた。

 「ホレホレ、チャントヨケネェトシンジマウゼ?」
 「隙有りです、ネギ先生。」

 50℃の砂漠地帯でチャチャゼロ、茶々丸の2人を相手にしているのはネギ。
 エヴァに弟子入りしてからと言うもの、日々魔力キャパシティの上限アップと実戦訓練を行っている。
 で、今行っているのは『従者が居ない状態での戦い方』の勉強。

 此の修行自体は既に何度も行っている。
 唯、1対1ではかなり反応できるようになってきたためゼロと茶々丸の2人を相手にするように言われたのだ。

 「く…ラス・テル…」

 「ダカラオセェッテ。」

 「うわぁぁぁぁぁ!」


 …すっごい飛ばされた。

 と、此処でタイムアップ。

 「チェ、ツマンネーナ。」
 「ですが、2人相手に攻撃は出来なくとも、大分動きを見切れるようになったかと。」

 「ちゃ、茶々丸さん達には未だ敵いません…僕より明日菜さんは大丈夫でしょうか…」

 ネギの心配は無理も無い。
 自分の修行も相当に過酷だが、明日菜は更にその上を行く過酷さなのだ。

 修行開始直後に、エヴァが明日菜に気と魔力の融合戦術『咸卦法』を教えたところ、何と一瞬でマスター。
 で、それ以降咸卦法を自由自在に使う事が出来る様に修行メニューが構築され…


 此の別荘での七日前に極寒の雪山へレッツゴー!!
 アーティファクトに頼らず、咸卦法のみで生き抜けとの課題を言い渡された。




 で、その雪山ではそろそろ課題が終了しようとしていた。


 因みに如何考えても過酷な此の課題、エヴァは勿論『逃げ道』を用意している。
 救助を呼ぶためのハンドベルを明日菜に渡していたのだ。

 此れを鳴らせば、瞬時にエヴァが助けに来てくれて課題は終了となる。
 唯『助けを呼んだら、助けてはやるが即時破門』と言われては出来るはずが無い。

 それ以前に、人一倍負けず嫌いな明日菜がそう言われてベルを鳴らすことなどありえない。

 『負けるモンですか!エヴァちゃんのアホー!!!』と吼えてベルを握りつぶした(!)時には流石のエヴァも驚いた。


 「…時間か。」

 手元の時計の針が7日間が経過した事を知らせる。

 「フン…」

 懐から、没収した仮契約カードを目の前で仁王立ちする明日菜に投げてよこす。
 受け取った明日菜は、すぐさまアーティファクトを取り出し、其れを地面に突き刺し高らかに言う。

 「7日間、生き抜いたわ!文句は無いでしょ!?」

 此の7日間で相当に鍛えられたのか、『ハリセン』ではなく『大剣』の状態で現れる破魔の剣。
 そんな明日菜にエヴァは1つ聞く。

 「貴様、何故其処までする?あのぼーやの為に此処までする義理は無い筈だ。
  此方はけして生温い世界ではない。あのまま日々を平和に暮らす選択肢もあったはずだ…其れを聞かせろ神楽坂明日菜。」

 「大層な理由じゃないわよ。あいつをほっとけないだけ。其れと記憶を消されるのなんて真っ平だったから。
  もっと言うなら、あいつや稼津斗先生、エヴァちゃんと一緒にいたいと思ったから…かな。」

 「…それだけか?」

 余りにも単純且つ純粋な答えにエヴァが目を丸くする。

 「それだけよ!」

 「そうか…くくくくく…はっはっは!全く、阿呆も此処までくると国宝級だな神楽坂明日菜!
  良いだろう、貴様の覚悟は受け取った!課題は合格だ、これからはぼーやの修行に合流してもらう。」

 「阿呆って…ちょっと、こっちは命がけだったんだかんね!もうちょっとなんか無いわけ!?」

 「最大級の賛辞なんだがな…ふむ、そう言えば外では未だ日付が変わっていないな…」

 僅かに考え。

 「喜べ神楽坂明日菜。貴様には世界で唯一私を『キティ』と呼ぶことを許してやる。」

 「は?」

 「今日は貴様の誕生日だろう。プレゼントと課題達成の褒美だ。不満か?」

 言われた事を頭の中で反芻する。
 世界で唯一…つまりは自分だけが称する事を許された名前。
 つまりは特別。

 「粋なプレゼントじゃない…ありがたく頂くわ!」

 「フン…だが、決して『ちゃん』付けをするなよ?背中がむず痒くなる。」

 「分かってるわよ『キティ』!」

 「分かってるならば良い。ではぼーやの元へ行くとしよう。あいつのレベルアップに驚くなよ『明日菜』。」

 此処に新たな友情が誕生した。


 因みに、砂漠地帯では水分補給無しで修行をぶっ続けていた(続けさせられていた)為
 ネギが極めて危険な脱水症状を起こしており、ゼロ、茶々丸共にエヴァに制裁された事を記しておく。


 しかし、救済処置とは言え首から下を氷付けにして1.5?のアク○リアスを口に突っ込むのは些か乱暴だと思うのだが…








 ――――――








 場所は移って稼津斗の家。
 其処にある稼津斗特製の鍛錬場。
 エヴァの別荘と同等のものだが、此方は内部の時の流れが更に速い。

 で、此処に居るのは稼津斗とその従者5人とクスハ。

 「…何処かで新たな友情が芽生えた気がする。」

 「「「「「は?」」」」」

 「いや、唯の妄言だ気にしないでくれ。で、説明したとおり『気』と『魔力』は本来相反するもので特別な技法を使わない限り同時使用は出来ない。
  其れはオリハルコンの心臓を持つ俺達も同様でな、無限に供給される力を『気』として使うか『魔力』として使うかは個人の特性によって決まってくる。」

 全員真剣に聞き入っている。
 まぁ、自分のこれからに関わってくる事なのだから当然だろうが。

 「此の中で其れが顕著なのは和美だ。」

 「え、私?」

 「そうだ。お前の場合、俺と同様に供給される力を『魔力』で使うより『気』で使う方が効率的でな。
  他の4人は個人でバランス配分が異なるが、気でも魔力でも充分な力が出せるんだ。」

 「私は魔法使えないんだ…」

 流石の和美も若干沈む。
 まぁ、面と向かって『お前には魔法の才能が無い』と言われたようなものだ、無理も無い。

 「だが、逆に言うと『気』の才能に関しては此の5人の中では最高レベルだ。俺と同じような技が使えるぞ?
  因みにだ、亜子は頑張れば精霊と意思の疎通が可能になるな。大概の魔法を『無詠唱』で使えるようになる。
  楓と真名は鍛えれば『咸卦法』が使えるようなるし、のどかは幻の最強魔法と言われる『宇宙魔法』が使えるようになるな。」

 恐らくは『仮契約』の際に5人の性質を読み取ったのだろうが、此処まで分かるとは…
 矢張り此の男はチートである。

 「尤も、一朝一夕じゃあ行かないし、何より力を身体に馴染ませるのが先決だからな…先ずは2年間此処で修行してもらう事になる。」

 「「「「「2年間!?」」」」」

 さらっと言われた事に流石に驚く。

 「ちょ、ちょっと待ってや先生!2年間て流石に無理やろ!?」
 「卒業できないです〜!」
 「修学旅行も行けないでござるよ〜〜!」
 「でもさ、2年間は稼津兄と寝食を共にするんだよね?」
 「そう考えれば悪くないな。」

 何か一部おかしなのが混ざっているが、彼女達の意見は尤もである。

 「大丈夫だ。此の空間は外の720倍のスピードで時が流れてる。
  此の中で2年過ごしても、外では明日の午後4時…1日しか経ってない。」

 「あ、それなら大丈夫(やね)(ですね)(でござるな)」

 納得、そして了承。
 此れであっさり納得してしまう辺り、既に『一般人』とはかけ離れた思考になってきているらしい。

 「そや先生、1つ質問。」

 「何だ?」

 「ウチ等ってもう『不老不死』に成ってるんやろ?やったらこれ以上は成長せんのやろか?」

 「あ〜…其れは実に難しい質問だな。…確実じゃないが構わないか?」

 亜子が頷くのを見て説明を始める。

 「俺の予想が正しければ和美、真名、楓の3人はこれ以上成長する事は無いが亜子とのどかはまだ成長する可能性がある。」

 「ふぇ、『不老不死』なのにですか?」

 のどかの言う事は尤も。
 『不老不死』とは元来そうなった時点から歳をとらず外見は変わらないはずなのだ。

 「普通はそうなんだが、オリハルコンの『不老不死』は実に都合の良い代物でな…『宿主が最も力が発揮できる姿』までは成長するんだ。
  もっと言うなら年老いた爺さんや婆さんがオリハルコンの力を得た場合間違い無く『若返る』しな。
  亜子とのどかに関しては予想だが、オリハルコンの特性については俺を改造した組織のデータバンクに残ってた物だから信憑性は高いと思う。」

 「そうなんや…どれくらいまで成長するんやろ。」

 「恐らくは17、8位までじゃないか?俺も19歳で成長が止まってるし、『青年期』が最も力が充実してるって事なんだろうな。
  さて…オリハルコンの説明は此れくらいにしておこう。今度は自分の『アーティファクト』の番だ。」

 言われて、5人ともカードを取り出し何時でも呼べるようにする。

 「先ずはアーティファクトを召喚してくれ。」

 頷き…


 「「「「「アデアット!」」」」」


 5人同時にアーティファクトを召喚する。
 現れたアーティファクトは…


 和美には大きな布と、小型のロボットの様な物。

 亜子には救急箱に酷似した取っ手のついた箱。

 真名には威力の高そうな大型ライフル。

 楓には鎖分銅が付いた篭手と、無数の苦無が装着されているベルト。

 のどかには広辞苑級のハードカバーの本と其々異なる物が現れる。


 「良し。今度は自らのアーティファクトに意識を集中させろ。そうすれば自然と能力や使い方が頭に流れ込んでくるはずだ。」

 言われ通りにするとあら不思議。
 まるで、説明書でも読んでいるかのようにその使い方が理解出来てくる。

 「理解したか?」


 「ばっちり♪」
 「大丈夫や。」
 「理解したよ。」
 「でござる。」
 「分かりました。」


 全員が納得したのを見て、稼津斗は満足そうに頷く。

 「じゃあ、どんな物か説明してくれるか?出席番号順で和美から。」

 出席番号順とはまた…

 「来たね〜じゃ、遠慮なく。私のアーティファクトは2つだね。
  布の方は『一体化する外套(カモフラージュ・マント)』で被れば完全に景色と同化出来る隠密アイテムさ。
  最大10人まで一緒に入れる上に、中には高性能の情報処理施設付き。
  で、こっちの小型ロボットはスパイゴーレムの『報道者の魂(ソウル・オブ・パパラッチ)』で最大8体を超遠距離で展開できるよ。
  戦闘能力は皆無だけどステルス性は抜群。アメリカ国防総省(ペンタゴン)の情報でも簡単に引き出せるさ。
  あと、複数展開時には手元に置いた1体で他のゴーレムの映像をリアルタイムで閲覧できるよ♪」

 「…行き成り反則気味なモノが出たな。アメリカ国防総省(ペンタゴン)のセキュリティも突破可能とは…」

 だがしかし、情報戦重要なのは確かな事。
 此のアーティファクトは和美にはぴったりと言えよう。

 「じゃあ次は亜子。」

 「え〜と、ウチのは此の救急箱『癒しの小箱』やね。
  中身は包帯と薬品で、包帯の方は長さ無限で制限無しや、硬化剤を塗布すれば捕縛用のロープ代わりにもなるて。
  あと、状態異常の回復と治癒の効果があるみたいやけど状態異常の回復は遅いみたいや。
  薬品の方はウチのイメージ次第で何でも出せるみたいやね。
  其れこそ量販店のあるような薬から、劇薬、爆薬、魔法薬にアロマオイル、果ては一般の飲料物まで幅広く。」

 「此れは又凄いな…」

 「更に箱自体がめっちゃ硬いねんから、そのまま鈍器として使う事も可能やけど、此の箱に書かれてる文字はなんやろ?」

 そう、此の箱には見たことも無い文字で何か書かれている。
 見たことが無い以上分かりようは無いが…

 「此れは『癒し』って書いてあります。」

 「「「「「!!!」」」」」

 のどかがあっさり解読完了。

 「のどか、読めるのか?」

 「はい。」

 「…やろうと思えば『古代神官文字(ヒエラティック・テキスト)』解読できるんじゃないか?」

 「多分出来ると思います。」

 「「「「………」」」」

 「気を取り直して真名…とは言っても見た目が凄く分かりやすいんだが。」

 取り合えずのどかの文字解析能力は保留にし先に進む。
 で、真名のアーティファクトは確かに見た目が非常に分かり易い。

 「確かにみたままの大型ライフルだけど、此の『アルテミスγ』が打ち出すのは実弾じゃなくて『魔力弾』だね。
  弾数は使用者の魔力に直結するけど、稼津斗にぃの言うとおりなら魔力は無限大状態だから弾切れは無し。
  魔力弾には反射と貫通性能が有るから適当にばら撒くだけでそれなりに戦えるかな。」

 「反射する魔力弾か…」

 「それと左手のグリップを絞る事で『チャージ』が出来るね。チャージ状態でグリップを離すと最大10発の魔力弾が同時発射される。
  ついでにチャージ状態のままと右手のトリガーを引くと超強力な魔力砲を放てるよ。」

 これまた凄いモノが出た。
 真名にピッタリの上、実質回避不能の射撃が可能になるとは…此れも稼津斗のと言う存在と契約したが故の特異性か…

 「次は拙者でござるな。」

 続いては楓。

 「あぁ、さくっと頼む。」

 「あいあい。拙者のも見たまま鎖分銅『八岐大蛇(ヤマタノオロチ)』と苦無の『翡翠(かわせみ)』でござる。
  八岐大蛇の方は実に強力な鎖分銅でござる。鎖自体の強度が半端無い故、一度此れで捕縛してしまえば脱出は殆ど不可能でござるよ。
  翡翠の方は魔力体にござる。投擲した場合、着弾と同時に爆発する使用でござると同時に拙者の意思で中空に停滞させる事も可能でござる。」

 「その場合の爆発は?」

 「其れも拙者の意思で可能でござる。」

 「本気で凄いな…今まで出たの、どれもSAクラスのアーティファクトだぞ…」

 此の状況には流石に稼津斗も驚く。
 楓までで、既に並みの魔法使いなど足元にも及ばない位のアーティファクトが登場しているのだ。

 「最後にのどか…頼む。」

 「えっと…」

 「如何した?」

 「多分、私のが一番反則だと思います。此のアーティファクト『薄命の魔導書』は私が見た、或いは受けた技や能力が順次記されていくものです。
  そして此の魔導書に記されたものはそのまま私が使用することが出来ます。既に稼津斗せんせーの『羅刹爪』が登録されてます。」

 「おいおい…本気で反則だ。」

 「流石に他の人のアーティファクトや生まれながらの体質はコピー出来ないみたいですけど…。
  でも、それ以上に此の魔導書は相手の名前が分かる事が条件ですが、人の思考を読むことが出来るんです。」

 「何だと!?」
 「マジ?それ凄くない?」
 「読唇術ならぬ『読心術』や!」
 「のどか殿に隠し事は出来ぬでござるな…」
 「ま、宮崎の性格上悪用は無いだろうから、其れは安心だね。」


 通常、相手の技を受けると言うのはリスクが大きい。
 だが既にのどかは『不老不死』、極論を言えば『どんな技でも使えるようになる』のだ。
 おまけに相手の思考が読める…此れを反則と言わずして何が反則なのか聞いてみたいものである。


 「此れだけのアーティファクトに全員不老不死…やろうと思えば俺達6人で全世界征服できるんじゃないか?」


 確かに。
 まぁしないだろうが。


 「其れは兎も角、全員のアーティファクトの特徴は分かった。ドレも此れも使用者にこの上なく合ったアイテムだ。
  …良し、それじゃあ一息入れてから早速修行を開始するとしよう。」

 「その前に質問でござる。」

 「何だ楓?」

 「拙者達も稼津斗殿のように『変身』出来る様に成るでござるか?」

 楓が言うのは稼津斗の『XX状態』の事。
 オリハルコンの心臓を得て不老不死と成ったのならば自分達も成れるだろうかと思ったのだろう。

 「理論上は可能な筈だ。だが、恐らくアレに覚醒する為の最後のトリガーは『感情の爆発』だ。
  俺の場合は、壊れた世界を見た時の『絶望』、家族や仲間を失った『悲しみ』、
  大切な者を守れなかった自分や、世界を壊した奴への『怒り』と言ったものが限界を超えたときに覚醒した。
  まぁ、オリハルコンの力を得た時点で既に並みの魔法使いより相当に強くなってるからな、変身できなくても問題ないさ。」

 「どうせなら出来るように成りたいけどね。」

 「ま、気持ちは分かるさ。時間は有るんだ焦る事は無い。さ、一休みだ。」


 こうして開始された修行。



 エヴァに鍛えられているネギと明日菜。
 稼津斗に鍛えられる和美と亜子と真名と楓とのどか。



 修学旅行までに相当な力をつけるであろう此の9人。
 異なる時間の流れはあっという間に過ぎ去り、修学旅行当日の朝を迎えるのであった…













  To Be Continued… 

-9-
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