小説『未完結作品のオリキャラがリリカルな世界に転生しちまったよ・・・』
作者:DFGNEXT()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

今回はちょっとグダグダになりました・・・。
おかしいな・・・プロットの段階ではもうちょい纏まってたんだが・・・。

というわけで今回はティアナにフォルが叫びます。

ティアナファンのみなさん・・・先に謝っておきますすみません。

それではどうぞ!!


第一章「Cross of StrikerS」

第十五話「真実と夢」


「えっと・・・報告は以上かな。現場検証は調査班がやってくれるけど、
 みんなも協力してあげてね。しばらく待機して何もないようなら撤退だから」

「「「「はい」」」」

「で・・・・・・ティアナは・・・・・・」

「・・・・・・」

「ちょっと・・・・・・私とお散歩しようか・・・・・・」

「・・・・・・はい」



なのはとティアナはみんなから少し離れ、森の奥に入っていた。
ここで少し話そうとする。


「失敗しちゃったみたいだね・・・・・・」

「すみません・・・一発逸れちゃって・・・・・・」

「私は現場にいなかったし、ヴィータ副隊長に叱られて、
 もうちゃんと反省していると思うから改めて叱ったりはしないけど・・・・・・。

 ティアナは時々、少し一生懸命すぎるんだよね。
 それでちょっとヤンチャしちゃうんだ。でもね・・・・・・。

 ティアナは一人で戦っている訳じゃないんだよ。集団戦での私やティアナのポジションは、
 前後左右全部が味方なんだから、その意味と今回のミスの理由、
 ちゃんと考えて同じ事を二度と繰り返さないって、約束出来る・・・・・・?」

「・・・・・・はい」

「なら、私からはそれだけ、約束したからね・・・・・・」





「ティア!」

「ティアナさん・・・」

「・・・・・・フォル・・・スバル・・・・・・」

「色々・・・ごめん・・・・・・特にフォルには、私のカバーまでしてもらったのに・・・」

あちゃあ・・・。やっぱり気にしていたか・・・・・。
確かに無茶はまずいが、いい加減に切り替えないと自分が参る
そういってつぶれた奴を幾人か俺は見てる。

「それ自体は構いませんよ・・・。ところでなのはさんに怒られました?」

「少しね・・・・・・」

「そう・・・・・・」

なのはさん、絶対曖昧にしてるだろうな・・・優しいから・・・。
でも優しいのはいいんだけど、なんでティアナさんが
ああいった行動をしたのか理解してないな。

まあ仕方ないのかね・・・。

俺がその立場だったら絶対そうしている。

「ティア、少し向こうで休んでていいよ。検証の手伝いは、あたしがやるから・・・・・・」

「そうですよ。少し休んでください」

「ううん、大ミスまでしてサボりまでしたくはないわよ。一緒にやろ」

「うん!!」

「そうですか、では俺も手伝いますよ」



なのはSide

―ホテル近郊の森


「そういえばなのは、さっき新人の子に、何か言っていたみたいだけど・・・・・・」

「ユーノ君見てたの?・・・うん、スターズのフォワードの子がね。ちょっと・・・・・・」

私は機密事項に引っかからない程度に、ユーノくんにさっきのことを話した。
その後何か少し考えた後、私に話しかけた・・・。

「なのは・・・・・・・・・」

「なに、ユーノくん」

「何で彼女が、そんな無茶をしたか分かる?」

「多分・・・・・・彼女の過去が、原因じゃないかな・・・・・・」

「・・・・・・そう・・・なのははそう思うんだ・・・・・・」

「えっ?」

「なのは・・・みんな、なのは達みたいに、
 力に恵まれている訳じゃないんだ。その事は忘れないで・・・」

「分かってるよ、大丈夫・・・・・・」


(なのは・・・・・・多分分かってないよ・・・あの子が何であんな事をしたのか。
 人の過去なんてその人の基盤にはなっても、今ある苦しみと問題が違うよ。
 僕もそういう気持ちは多少あったから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 でも、これは僕が言うことじゃない。部外者に近い僕じゃ説得力は無いし、
 できれば自分で気づいてほしいかな)


「ユーノくん?」

「どうしたの、なのは?」

「なんか・・・難しい顔をしてたから・・・・・・」

「大丈夫、何でもないよ・・・・・・」

そういうとユーノくんは黙ってしまった・・・。


なのはSide out


時間が経ち、撤収準備が整い機動六課メンバーは隊舎へ戻ってきた。
すでに空は夜の闇へと誘われようとしていた。

「みんな、お疲れ様。じゃあ、今日の午後の訓練はお休みね」

「明日に備えて、ご飯食べて、お風呂でも入ってゆっくりしてね」

「「「「「はい」」」」」


なのはさん達が一足先に隊舎に引き上げて
俺たちもという段階になったとき・・・。

「・・・スバル・・・」

「あたし、これからちょっと、一人で練習してくるから・・・・・・」

「自主練? じゃあ、あたしも付き合うよ」

「あ、じゃあ僕も!!」

「わたしも!!」

「ゆっくりしてねって言われたでしょ・・・・・・あんた達はゆっくりしてなさい」

「それにスバルも・・・悪いけど、一人でやりたいから・・・」

「うん・・・・・・・・・」

一人でやりたいと言うことは、昼間のことが原因だということは明白だな。
正直心配だけど、まあ無茶しなきゃいいな。

ティアナさんは隊舎に一回戻り、訓練の準備をしに行った。
多分裏でやるんだろうな。


ティアナ・・・無理は絶対にするなよ・・・・・・・・・。



−六課隊舎内−


「・・・・・・あのさ・・・二人とも、ちょっといいか」


ヴィータちゃんから声をかけられ、わたし達は休憩コーナーに移動し、
改めてヴィータちゃんの話を聞くことにした。


「訓練中から、時々気になってたんだよ・・・ティアナのこと」

「うん・・・・・・・・・・・・」

「強くなりたいなんてのは、若い魔導師ならみんなそうだし、
 ムチャも多少はするもんだけど・・・・・・。時々ちょっと度を越えてる。
 あいつ・・・・・・ここに来る前、何かあったのか?」

「うん・・・・・・実は・・・・・・」


わたしは話すことに少しためらったが、昼間もユーノくんに聞いてもらっているので、
みんなの意見も聞きたく話すことにした。




―隊舎、女湯

「ティアさんの・・・お兄さん?」

「うん・・・・・・」


湯船につかりキャロが聞いているが、
あたしはこのことを話す時はどうしても暗くなってしまう。

「執務官志望の、魔導師だったんだけど・・・ご両親を事故で亡くしてからは、
 お兄さんがひとりでティアを育ててくれたんだって・・・」

「だけど・・・任務中に・・・・・・」

「亡くなちゃったんですか・・・・・・」

「うん・・・ティアがまだ10歳の時にね・・・・・・」




―隊舎、男湯


「えっと、フォルはティアさんのお兄さんのこと知っているの・・・」

「まぁな・・・といっても俺が知ってるのは情報だけ
 本人にはあったこともないし、完全に理解しているわけじゃないが・・・。
 とりあえず本人にやましいことはなかったはずだが・・・」

「だが?」

「でも、そのあとが問題だったんだ・・・・・・」

「問題って・・・」

「それはスバルさん達と一緒に話すよ。とりあえず上がろう・・・・・・」

俺たちは風呂から上がって、食堂でキャロ達を待つことにした。
それにしてもなぜに湯船が・・・。



ヴィータSide

「ティアナのお兄さん、ティーダ・ランスター。当時の階級は一等空尉。所属は首都航空隊・・・享年21歳」

目の前にウィンドウを展開し、ティアナのお兄さんのデータを表示し説明をした。

「けっこうな、エリートだな・・・」

あたしは素直に感心する。
21歳という若さで一等空尉というのはかなり早い。

「そう・・・・・・エリートだったから・・・なんだよね」

「どういうことだ?」

あたしはフェイトの言うことに、ちょっと引っかかる物があった。
いったいどういう事なんだろう。

「一等空尉が亡くなった時の任務・・・逃走中の違法魔導師に、
 手傷は負わせたんだけど、取り逃がしちゃってて・・・」

「まぁ、地上の陸士部隊に協力を仰いだおかげで、
 犯人はその日のうちに取り押さえられたそうなんだけど・・・」

「その件についてね・・・心ない上司がちょっとひどいコメントをして、
 一時期、問題になったの・・・・・・」

「コメントって・・・何て・・・・・・」

ヴィータSide end



―六課食堂

「『犯人を追い詰めながら取り逃がすなんて、
 首都航空隊の魔導師としてあるまじき失態で、たとえ死んでも取り押さえるべきだった』
 とか・・・・・・」
 
「もっと直球に、『任務を失敗した役立たずは』云々とか・・・・・・」

「ひどい・・・・・・」

「あんまりです!!」


エリオとキャロは大人達の行ったことに怒りを思えていた。
ティアナさんはそのときどんなに傷ついたんだろうか・・・。

「一応その台詞ほざいた奴らは先月汚職が発覚して全員逮捕されたけどな。
 だがそんな程度じゃ、ティアナさんの心の傷を埋めるには程遠いですね」

まあこの逮捕劇には俺が一枚絡んでるんだけどね・・・。
実際はこの件についてぶち切れた俺がありとあらゆる
情報網を利用して調べ上げたんだけど・・・。

「当時、ティアはまだ10歳・・・・・・たったひとりの肉親を亡くして、
 しかもその最後の仕事が無意味で役に立たなかったなんて言われて
 ・・・ティアはすごく傷ついたんだ・・・。

 だから、ティアは証明するんだって・・・・・・お兄さんが教えてくれた魔法は、
 役立たずなんかじゃないって・・・どんな場所でも、どんな任務でもこなせるって・・・」




―夜間、隊舎裏


あの後俺が様子を見に行ってみると、ティアナさんはまだ裏庭でのトレーニングを続けていた。

周囲にターゲットとして配置し魔力スフィアが多数。
その中のどれかひとつがランダムに発光する仕組みになっていて、
発光したスフィアに素早く照準を合わせる。
そうすることでターゲティングの速さと正確さを高めることを目的とした訓練である。

俺はティアナさんに近づこうとしたが、
ヴァイス陸曹が同じように様子を見ていたみたいで一旦様子を見ることにした。


「もう4時間も続けてるぜ。いい加減倒れるぞ・・・」

「ヴァイス陸曹・・・・・・見てたんですか・・・」

「ヘリの整備中に、スコープでチラチラとな・・・・・・
 ミスショットが悔しいのはわかるけどよ・・・
 精密射撃型のスキルはそうホイホイうまくなるもんでもねぇし、
 ムリな詰め込みで妙なクセを付けんのもよくねぇぞ

 ・・・・・・って、昔なのはさんが言ってたんだよ。
 俺はなのはさんやシグナム姐さん達とは、割と古い付き合いでな」


ヴァイス陸曹の言い方には、何か実体験を感じさせる物があった。
確かヴァイス陸曹は・・・・・・。

「それでも・・・詰め込んで練習しないと、上手くならないんです。・・・・・・凡人なもんで・・・」

「凡人か・・・俺からすりゃ、お前は充分に優秀なんだがな・・・うらやましいくらいだ・・・。
 まっ・・・邪魔する気はないけどよ。お前らは体が資本なんだ。体調には気ぃつかえよ・・・・・・」

「ありがとうございます・・・大丈夫ですから・・・・・・」

そういってヴァイス陸曹は帰っていった。
フォルクローレが言いたいことをすべて彼は言ってくれた。

でも・・・"僕"が言いたいことはそれだけじゃない・・・。

「どうしようかストゥルーダ・・・リガルーダ・・・・・・」

(・・・お前がしたいことをすればいいさ。)
ストゥルーダはそういう・・・。

(そうだね。ティアナっちなら理解してくれるさ)

「そうか・・・そうだな・・・」

なら今はフォルクローレの立場は捨てよう・・・。

「セットアップ・・・」

そういって俺は18歳モードへと変わる。
バリアジャケットを纏い俺は"ティアナ"の元へ向かった・・・。




「はぁはぁ・・・」

「何やってんだティアナ・・・」

「!?フォル・・・なの・・・?」

ティアナは驚きの表情とともに動きを止める。
その表情には戸惑いもある。

(フォル・・・の姿だけど・・・身長は私よりも大きいし、
 それにあのフォルがため口・・・?
 ううん、それだけじゃないフォルはあんな悲しい目をしていない。)

ティアナが見ているフォル・・・いや志村圭哉の瞳はフォルのものと違い
悲しみにあふれていた。家族を失い、普通を持たなかった彼の瞳だ。

「いやぁ体はフォルだけどね。僕はフォルじゃないさ。」
「!!??それってどいうこと!!フォルに何かしたの!!??」

そういってティアナはクロスミラージュを構える。
しかしそれは・・・。

「っ・・・。なにこれ・・・。」

すでに氷によって硬く閉ざされていた。
これは彼のグリーンフォース「氷」の技の一つ「フリーズバインド」
もうこれで彼が解除しない限りそれを使用することはできない。

「フリーズバインドとでも言うかね。あっそれは僕が解除しない限り取れないから」
「あなた・・・何が目的なの・・・?」

「目的ねぇ・・・。それは決まってるだろ?」

それは、と彼は一息を置く。

「お前の悩みに真剣に向き合ってやろうと思っただけさ」

「っふざけないで!!!あなたに何がわかるって言うのよ!!
 私のこと・・・何も知らないくせに・・・」

「そりゃ知るわけないだろ。お前の相棒のスバルもエリオもキャロもフォルも
 隊長陣たちも。 何故か、それはお前が話さないからさ」

「・・・話したところで・・・何がわかるっていうのよ!!」

「まあ確かに話してもわからないかもしれないな・・・。
 だが、話もしないお前が言う台詞じゃねぇよ、馬鹿」

「何ですって!!」

「そうだろ?馬鹿は言いすぎかもしれないが俺の言ってることに何か間違いはあるか?

 お前は隊長陣・・・いや皆に認めてもらいたい。
 だけど訓練は地味。成長も実感できない。先日はミスショットをした。
 それを「自分は凡人だから」といって逃げているのに私のことを知らない?
 お前はどうしたいんだよ?」

「あ、あなた一体何者なの・・・?」

「ん?あぁ俺か・・・。そもそもお前はフォルクローレ・シュテンゲルの正体を知ってるのか?」

少し皮肉を交えた顔で彼は問う。

「知ってるわよ。長い歴史を持つシュテンゲル家の次男。
 最年少でデバイスマイスター資格をとり、
 その上で魔導戦闘技術も相当できる天才。
 さらにテレポーテーションやグリーンフォースなどのさまざまなレアスキルを持っている。
 あの年で嘱託魔導師で魔導師Sランク・・・。

 あたしみたいな才能のない凡人じゃ到底追いつけない存在よ」

ティアナそう吐き出した。
それが今まで溜まっていたものだったんだろう。
だがそれは本人としては堪ったものではなかった。

「ふざけるなよ。あいつがしてきた努力を僕がしてきた努力を
 お前みたいなわからずやが否定するなんて10年早いわ!!」

「僕がしてきた努力・・・?あなた本当に一体何者なの?」

「それじゃあまずフォルクローレが何者か答えてやろう」

彼は・・・と一息置いた。
そして彼は真実を告げる。

「あいつは転生者さ」

彼が初めて自らそれをカミングアウトした・・・。

「転・・・生者・・・?」

「そう、あいつは別の世界で生まれ16年のときを経て死んだ。
 その後この世界に転生したのさ」

「そ、そんな話信じられるわけないじゃない!!」

「あらあら、内心ではどう思っているやら・・・。
 それにしてもはやてとシグナムはすぐに納得してくれたのにねぇ・・・」

「はやて部隊長とシグナム副隊長が・・・?」

その言葉を聴いたティアナは過去の彼の周りであったことを思い出す。

『主はこう言っていた。『天才や努力型って言われて喜んでいるけど。
 心の中では悲しみに包まれている。今はただそれを埋めるために目標を探している。けど』
 約束はきちんと守るとてもいい子や』・・・だそうだ』

『それはまた・・・。悲しみって?』

『今はまだいえません・・・。かなり言いにくいことなので・・・』

それがもし生まれ変わる前の世界での出来事だとしたら・・・?

『いえ、楽しんでますよ。家事は好きですし、
 それにさっきいった能力のおかげでいろいろパシらされてますし・・・』

これも嘱託魔導師としてのことではなく、前の世界でのことだったら?

『ふふ、やっぱり地球なんだな・・・』

『それにしてもちゃんと入っていられなかったなぁ・・・。
 折角銭湯に来たから長湯したかったのに・・・』

『えぇ大丈夫ですよ、ティアナさん・・・。
 いまからあのロストロギアに・・・。
 お風呂の怨みを晴らさせてもらいますから・・・』

この言葉も彼が前の世界で地球・・・それも日本出身だったら・・・?

「まさか・・・本当に・・・?」

「あら、納得してくれた?なら話は早いや。
 今言ったとおり、彼は別の世界出身さ。
 肉体はともかくその精神は・・・いや魂が、か・・・。

 そして彼は前の世界でも魔導師だった。もちろんこの世界とは違うね・・・」

「違う・・・?・・・まさか!」

「その通りだよ。彼が使うテレポーテーションはレアスキルなんかじゃない。
 まあこの世界ならそういってもいいが、先天性じゃない。
 彼が必死で努力して、古文書を読み漁りやっと完成させた一大契約魔法さ。

 まあグリーンフォースは先天性(生まれつき)だが、
 コントロールまでにはかなりの時間を費やしたのさ。
 一体マスターまでに何人傷つけたかね」

「あの莫大な力が・・・全部努力の産物だって言うの・・・?」

「厳密に言えば才能と言っていいんだろうがそれはまた別の事情さ。
 今話すことじゃないさ」

確かにこの力は才能と言っても良いだろう。
努力したということも、その資質も
すべて作者・・・桜井義人が"設定"したことだ。

唯一の例外として「虚無(ゼロ)の力」があるが、それはまた別の話だ。

「まあいいわ・・・。それであなたは何でそんな話をしたの?
 話を聞いた限りではあなたはフォルではなくその前世の人物ってことでしょ?」

「・・・やはり冷静だな・・・。最初からそうだったらいいのさ。
 ああそうさ。僕はフォルクローレ・シュテンゲルの前世さ。名前は今はいいだろう」

「その前世さんがなんで私に構うの?フォルならともかくあなたは関係ないでしょう?」

「少し勘違いしているようだが、別に僕は二重人格などの類ではないぞ?
 僕は僕であり、フォルクローレさ。まあ割り切った状態だと思えばいい。

 さて関係は確かにまあない。構ったのはあくまで君が僕に似てたからさ」

「似てた・・・?」

「そう、幼くして肉親を失い。周りが才能のある奴だらけで悩んでいるところとかな」

「どういうこと・・・?」

ティアナは少し戸惑っていた。
幼くして肉親を失ったと言うところはまあ良いとしても
あれだけの力を持ちながら周りが才能のある奴だらけ・・・?と

「ん?後半のことかい?それは簡単なことさ。
 考えてみてくれよ。5歳のころ横にいるのはすでに大学卒業レベルの知識を持ち
 俺と同じ先天性能力はすでに世界の頂点。何事にも万能で皆からの信頼も厚い。

 15歳のころそいつが連れてきた親友はちょっとした能力はあったが、
 魔力はそこまで高くないが、すでにエース級の力を持ち
 さっき言った親友とコンビを組んでいる。

 16歳のころ同じくそいつから紹介された後の俺の親友は特殊すぎる先天性能力で
 すでにトップを走っていたさ。本人は謙遜してたがな。
 それでもはたから見れば最強の能力持ちさ。

 僕は悩んださ。まわりの奴らはこんな才能のある奴ばかり
 俺はどうしてこんなに弱いのかってね」

「どうして・・・そんな・・・弱いなんて考えたの・・・?」

「・・・14のときに俺は敵に親友を目の前で殺されたのさ。さっきいた奴らとは別のな」

「・・・・・・」

「そいつも才能のあるやつだったなぁ・・・。俺が自殺未遂から救ってからわずか一週間で
 俺達の組織でトップクラスの力を手に入れていた。

 まあそんな話はいいか。とりあえず僕は悩んでいたのさ。
 あいつらも努力しているって気づくまではな・・・」

「だからって・・・あなたと私は違う!あなたには小さくても才能があった!!
 でも私には・・・。ない・・・・・・」

「本当にそう思っているのかティアナ・ランスター?
 ならば教えてやるよ。お前にも才能はあるさ。確かにお前はなのは達みたいに天才じゃないがな
 自らを過小評価せず、場を冷静に判断できる。射撃と幻術を使いこなし、
 仲間を守って、知恵と勇気でどんな状況でも切り抜ける才能を持ってるんだ」

「そんなの・・・」

「まあその過小評価するのが無駄に大きいがな。
 とりあえずこれだけ聞いておくか。お前はどうして強くなりたいんだ?

 兄のためか?」

「そ、それは・・・・・・」

「おそらく、それだけじゃないな。
 それだけなら先日の行動の後黙りこくったりしないだろう。
 たぶん大方こういう思いなんだろうな。

 『誰も傷つけたくない。誰も失いたくない』ってな」

「っ・・・・・・・・・」

「図星・・・かな・・・?だったらうれしいが。
 まあ僕も似たようなもんだ。この能力が憎かったのさ・・・。

 この能力がなければ誰も傷つけなかったし、
 あいつらにも会わずに暮らせただろうからな。

 だけど・・・そのない場合を想像したら少し怖かったな。
 俺は両親を失った悲しみで、ふてくされてだろうし。
 あいつは自殺してたかもしれないし、
 さっき言った16歳のときにあった親友も
 真の力を発揮できなかっただろし・・・な・・・」

「あなたは自分の才能を憎んでたって言うの・・・?」

「まあな。だってそうだろ?力がなかったら平和に暮らせたのに
 持ってしまったがために関わることになった。
 それが後天的ならいさ。僕の場合は生まれながらに"決められて"いた。

 だから恨んだけど・・・親友は同じ運命・・・しかも俺以上に過酷だったっていうのに
 それを認めて前に進んでいったからさ。僕も吹っ切れて進むことにしたんだ」

「そんなあなたの過去の話しをして結局あなたは何が言いたいの・・・?」

「あぁそうだな。横道にそれた。まあ僕が言いたいのは・・・
 周りを良く見ろ、一人で抱え込むな。わかってもらえなくてもきちんと話せ。
 それがお前の望む強さへの近道だからな」

「そう・・・・・・ありがとう・・・なんか吹っ切れた気がするわ」

「そうか・・・さて・・・僕の役目はこれで終わりかな?あとはフォルが話したいってよ」

そういうと彼の姿は8歳児の・・・いつものフォルクローレの姿に戻った。
瞳も悲しみのものではなくなっていた。

「さて・・・僕の話を聞いてどうでしたか?少しでも何かを得てくれれば
 俺もすべてを話してよかったと思えるんですが・・・」

「・・・ふふ、ははは!やっぱりフォルはそうじゃないとね。
 ・・・えぇ吹っ切れた気がするわ」

「それは良かったですが、おそらくそれはあくまで今だけな気がします。
 だから・・・ちょっとだけヒントを与えますよ」

「ヒント・・・?」

「えぇ・・・。ティアナさん。どうしてなのはさんがああいう訓練をしているかわかりますか?」

「そ、それは・・・」

「まあヒントだけですが、答えは八年前にあります」

「八年・・・前・・・?」

「えぇはやてさん曰く、そこがなのはさんが変わった境目だと・・・」

「そう・・・ありがとう・・・」

「でもティアナさん。
 なのはさんはきちんとあなたのやりたいことは理解していましたよ。
 ・・・フリーズバインド解除・・・」

そういうとクロスミラージュを覆っていた氷が晴れる。

「ティアナさん。ちょっとクロスミラージュ貸しくれますか?」

「え、えぇ・・・はい・・・」

その言葉とともにティアナはクロスミラージュをフォルに渡す。
それを受け取ったフォルはクロスミラージュに言葉を発する。

「デバイスマイスター権限・・・。セカンドリミッター限定解除・・・。
 よし、と・・・ティアナさん命令してみてください。
 『モード2』と・・・」

そういってフォルはティアナにクロスミラージュを返す。
受け取ったティアナは静かに「モード2・・・」と言う。
すると・・・。

「これは・・・」

クロスミラージュの形が僅かに変わり、銃口から魔力刃が出ていた。

「ティアナさんは執務官希望ですからね。
 ここを出て執務官を目指したら、どうしても個人戦が多くなる。
 将来を考えてなのはさんは用意はしてたんだ。

 だけどその前に基礎をきちんとやって・・・原石であるあなたを
 きちんと磨いてからそれを教えたかったんですよ」

その言葉を聞いたティアナは
なのはの優しい思いと言葉に感動し
ティアナの目から涙がこぼれれ、口からは泣き声がこぼれる。

「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

「その言葉はなのはさんに自分の思いをきちんと伝えたうえで
 なのはさんにちゃんと言ってくださいよ・・・。

 さて出すぎたまねをしましたね。今日は学校があるのでそろそろ帰ります。
 また明日会いましょう・・・」

「ま、待って!!」

テレポートをしようとしていたフォルをティアナが止める。

「どうかしました?」

「お礼も言いたいけどその前に・・・あなたはなんで私に構ってくれたの?
 前世のことだけで・・・?」

「・・・まあそれもありますが・・・もう一つありますよ。
 俺も・・・機動六課のメンバーですから・・・」

「それって・・・!」

「えぇ俺は機動六課諜報特別秘密部隊 特別隊長 フォルクローレ・シュテンゲル。
 さらに機動六課ライトニング部隊 ライトニング5・・・。
 つまり職場上もあなたと俺は仲間・・・仲間の悩みは解決して上げるものでしょう?」

「そう、だったの・・・」

「約束ですよ。絶対になのはさんと話し合ってください。それでは」

「あっ・・・」

ティアナが御礼をし終わる前にフォルは帰っていった。
遅かったのもあるが、単純に言われるのが恥ずかしかっただけである。

「・・・ありがとう・・・フォル・・・・・・」

ティアナはそう呟くと隊舎のほうへと戻っていった。
今日は言われたとおり無茶はせず静かに休もうと思っていた・・・。

明日は模擬戦がある・・・。自分の思いをちゃんと伝えよう・・・。



後書き


作者「やぁっちまったぜぇえええ!!」

フォル「やっちまったな・・・。」

作者「最初は魔王のところで介入して
   「うっせんだよ。バーカバーカ」ってな感じにする予定だったが
   堅児とかぶるからそもそも魔王フラグを折ることにした。
   まあ当初から決まっていたことだけどな。」

フォル「つまりこの人は第一話投稿したあたりからこうすることにしていたのさ。」

作者「まあそういうこと・・・。さて次回は例の模擬戦。」

フォル「ティアナさんはいったいどうするのか?」

作者「それでは皆さんまた!!!」

-19-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




魔法少女リリカルなのは StrikerS 高町なのは バニーVer. (1/4スケール PVC製塗装済み完成品)
新品 \11175
中古 \9080
(参考価格:\17800)