小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜ラーズside〜〜

 八年振りに会ったナミは、シャレにならない程可愛くなっていた。危なく全力で抱き締めそうだった。
 特に不自然なくらいに育った立派な胸が非常に目立つ!
 なんとか理性を保ちつつ、クールを装う。ここは多分大事なシーンだからな!

「落ち着いた?」

 ナミは頷いた。不味いな、どんな仕草でも可愛く見えてしまう。

「ひとまずアンタには聞きたい事があり過ぎるんだけど。」

「だろうなぁ。色々と話すと長くなるだろうし、一旦村に戻らないか?」

「そうね。もうここに用はないし。…ラーズ?」

「んっ?」

「ありがとね。」

 ナミの笑顔は俺のハートを撃ち抜いた。見た!?今の顔!最高だよ!心の中で万歳三唱しておこう。

「あぁ。」

 あぁ。って何だよ!…駄目だ。ナイスな言葉が出て来ない。

「んじゃ帰ると「チチチチチ!」…あの声は。」

 後ろを振り返ると、懐かしい服に身を包んだ人達がずらっと並んでいた。

「あいつら…!アーロンと取引してた海軍!」

 ナミが海軍を睨み付けている。真ん中にいるのはネズミ大佐か…。ホントにネズミ顔だな。

「君がアーロンを倒してくれたのかね?海軍として感謝するよ。我々も手を焼いていてね。」

 よく口が回るな〜。それで今の地位まで登ってきたんだろうな。

「アーロンと組んでおいてよくもそんな事が言えるわね!」

 叫ぶナミ。

「チチチチチ。海軍である私がいつそんな事をしたのかね?証拠はあるのかい?」

「なんて汚い…。」

 いや、マジで汚い。汚すぎてむしろ清々しいくらいだ。

「ところで女、君もアーロンの一味じゃないのかね?その肩のタトゥーは。」

「!?」

 ナミは少し怯む。

「一味ならば一緒に連行させて貰うよ。チチチ「まぁ待ちなよ。」…何だね?」

 ネズミとナミがこちらを向く。

「コイツは無理やり一味に入れられたんだ。ここは見逃してはくれないか?」

「残念だがソイツほ認められん。抵抗するなら容赦はしないぞ?」

 一応聞いてみたがやっぱりか。俺はナミの前に立つ。

「悪いね海軍さん。コイツを連れて行かれる訳にはいかないんでね。」

「ほぅ。我々海軍を敵に回して無事に済むと思っているのか?」

「海軍の強さなら多分アンタよりは知ってるつもりだよネズミ野郎。」
 
 不適に笑ってみる。

「何だと?」

「最近まで俺も海軍にいたからね。「白狐」って言ったら少しは分かるかい?」

 そう言って尾を動かしてみる。

「!?まさか、本部の若手ナンバーワンと噂の、あの「白狐」なのか!?何故こんなとこに!?」

 ん〜予想より評判上がってたな。まぁいいや。見るとナミも驚いていた。まだ話してなかったからな。

「で、どうする?コイツを連れてくなら俺は全力でアンタ達を潰すよ?」 

 海軍達を睨む。

「い、いくら「白狐」と言ってもこの人数で掛かれば勝てまい!そして捕まえた私は
 更に昇格出来る。チチチチチ!」

「やれやれ。ナミ、少し下がってて。直ぐ終わるから。」

「えっ。でも…。」

「大丈夫。」

 ナミに笑顔を向ける。実際雑魚だろうし。見ると海軍達は沢山の銃の照準をこちらに合わせていた。
 後ろには一発たりとも通さないぞ。尾を揺らして迎撃体制に入る。

「撃てー!!」

 その声が聞こえた瞬間、銃弾が飛んできた。
 覇気を込めた尾を高速で動かし弾を防ぐ。

「なっ!?ば、馬鹿な!」

 絶え間なく飛んでくるが、構わず弾き続ける。
 やがて弾が尽きたのか、銃声が止む。

「もういいか?」

 今度はこちらの番だ。海兵達に向かって「嵐脚」を飛ばしまくる。

「うわぁぁぁぁ!?」 「ぎゃぁぁぁぁ!?」 「ひいぃぃぃ!?」

 あっという間に倒れて行く海兵。気付けば残っているのはネズミだけだ。

「さて、後はアンタ一人だけど。」

「ひっ!?た、助けてくれ!」

「悪いな。元々アンタも潰す予定だったんでね。」

 右腕に尾を巻き付ける。

「まて!何がのぞm「うるさい。」ブハッ!?」

 有無を言わさず殴り倒す。ネズミは白目を剥いて気絶した。

「はい、終了。ナミー帰ろうぜ。」

 ナミは驚きすぎて口が開いたままだった。

「ナミ〜?」

「…はっ!アンタいつの間にこんなに強くなったの?昔と全然違うじゃない!」

「それも後で話すよ。それより村の皆に報告だ。もうアーロンは倒した、ってな。」

「何か納得いかないけどまぁいいわ。ちゃんと話聞かせなさいよね!」

「はいはい。」




 そうして二人仲良く帰ろうとしたら、また邪魔が入った。今度は何だよ?

「……ィイ!」

 あん?何か海の方から声が聞こえた気がする。

「ナミィィィィィ!!」

 声の主が小船と共にそのまま前に飛んできた。…落ちてきた。

「「……。」」

 二人で呆然としている。煙が晴れた所から人が出て来た。

「ナミ!助けにきたぞー!」

「なんつー乱暴な着き方だ!傷が開くだろーが!」

「て、て、て、敵はどこだー!大海賊キャプテン・ウソップが相手だ!」

 飛んで来たのはまさかのルフィ達だった。予想より大分早いな。もう少し後かと思ったんだが。

「んナミすわぁーーん!助けに来ましたよーー!!」

 …うん、この世界でのサンジは俺の敵だ。このマユゲ野郎!つーか本当に騒がしい連中だな。

「…ナミ。このお祭り集団は何だ?祝いにしては準備が早くないか?」

 分かっているが一応聞いておこう。

「えっとそれは「ナミはおれ達の仲間だ!!」…ルフィ。」

「って事はアンタ達が麦わらの一味か。」

「そうだ!」
 
 ルフィって本当に自信満々だな。ドン!って効果音が良く似合う男だ。

「その麦わら帽…。アンタがルフィだな。で、そこの剣士が”海賊狩り”のゾロ。
 んで長い鼻はさっきウソップって言ってたな。…で金髪のグルグルマユゲの方は?」

「テメエ!おれはサンジって名前があんだよ!オロすぞコラ!」

「お前おれ達の事知ってんのか?」

「あぁ。特にルフィ、アンタはな。ガープさんから色々聞いてるよ。」

「じいちゃん知ってんのか!?」

「シカトしてんじゃねえ!!」

「昔ガープさんに助けられたからな。」

「そっか。んで何て名前なんだ?」

「あぁ、俺はラーズ。ナミとは幼馴染みなんだ。色々あってここに戻ってきたのも久し振りなんだよ。」

「シカトすんなってんだろ!?」

 サンジがキレたのか蹴りを放ってきた。おいおい初対面の人間をいきなり蹴るなよ。

「落ち着けよ、サンジ。」

 その蹴りが届く前に尾で蹴り足を止める。

「「「なっ!?」」」

 ルフィ以外の三人が驚く。そのルフィは

「うひょー!ラーズなんだそりゃー!」

 興奮して目がキラキラしていた。どうなってんだこれ?

「俺も能力者だからな。動物系の実を食べたキツネ人間だ。」

 三人は多少警戒している。それが普通だよな。東の海じゃ能力者はほとんどいないし。

「すっげー!変身とか出来んのか!?」

 ルフィには関係ないらしい。

「まぁ一応な。」

 解放して完全なキツネになる。

「「「……。」」」

「かっこいーーー!」

 ルフィのテンションが振り切れそうだ。ナミもビックリしている。
 そりゃ幼馴染みがデカイ狐になってるからな。

「と、こんな感じだよ。」

 元の姿にもどる。尾はいつも通り出たままで。

「おいラーズ。ここの魚人や海軍はお前がやったのか?」

 ゾロが質問してくる。さっきので更に警戒されてる様な…。

「あぁ。魚人はこの村を支配してたからな。ボコボコにした。海軍はナミを連れて行こうとしたから
 同じくボコボコにした。」

「たった一人でこれかよ…。」

 ウソップはちょっとビビッてるみたいだな。

「そっか。ナミを助けてくれてありがとな!」

 ルフィは笑って話してくる。何故かすでにある程度事情を知ってるみたいだ。ん〜やっぱいい奴だなこいつ。

「気にするなよ。それより今から村でアーロンの解放祝いでもやるつもりだが一緒に行くか?」

「いいのか!?」

「アンタ等はナミの仲間なんだろ?なら構わないさ。後サンジ。俺が気に入らないなら後で幾らでも
 相手するから、今は報告とお祝いが先だ。ゾロの傷も完治してないみたいだし。
 ウソップは…うん。鼻が長いな。」

「うおい!おれは他に言う事無いのかよ!?」

「…分かった。ナミさんが無事ならいいだろう。後で相手して貰うからな白髪野郎。」

「はいはい。」



「…ん?どうしたナミ?」

 ナミは何か言いたそうだ。

「ルフィ、みんな…。ごめんなさい。」

「にしし。気にするな!おれ達は仲間だからな!」

「まぁな。」 「そ、そうだぜ!」 「そうだよナミさぁ〜〜ん!!」

 ゾロ、ウソップ、サンジも答える。

「!!……ありがとう!」

 もう泣かずに笑っていた。

「んじゃ落ち着いたとこで村に行くか。今日は祭りだ!」

「「「「「おぉーーー!!!」」」」」

 さて、俺も久し振りに楽しむか。

「……いい仲間だな。」

「うん!」



 みんなで村へと歩いて行く。
 ワイワイ騒いでた所為で、シャッターを切る音に気付かないまま……。







  〜〜ネズミside〜〜

 「白狐」。奴は危険だ。我々海軍相手にも一切手加減がなかった。そしてあの強さ。しかも最近名を聞く
 麦わら達とも繋がってたのか!チチチ、私をこんな目に合わせた事を後悔させてやる!

「……まずは体が動く様になってからだな。」






  こうしてココヤシ村には平和が訪れ、元海軍のホープは立場を変えていった。


 

-13-
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