〜〜ウソップside〜〜
おれ達はパガヤのおっさんとコニスの家で、空島の料理を味わいながら色々と話を聞いている。
さっき爺さんから”貝”について少しは聞いたが、色んな種類の貝があって、空での生活には
欠かせないものらしい。
「しっかし島雲と海雲ねェ」
おっさんが言うには、おれ達が船で進んできたのが海雲で、この辺のフカフカで歩けるのが島雲らしい。
しかも島雲は切り出して圧縮したり出来るらしい。何だか頭が付いて行かなくなってきたぞ。
「ウソップのアホー!」
「イヤ何でおれだよ!?」
ルフィが貝に向かっておれをバカにしているのですぐさまツッコむ。
「ふふっ、じゃあその貝のてっぺんを押してみて下さい」
空島の住人のコニスが説明する。ルフィが言われるがままに押してみると、
『ウソップのアホー!』
「うわ!ウソップが貝にバカにされた!」
「お前の声だよ!さっきの説明聞いてなかったのか!?」
今遊んでいるのは音貝(トーンダイアル)。音を録音・再生出来る貝らしい。いや〜貝ってすげーな。
これ使って何か新しい武器でも作れたら面白そうだ。
こうして貝でルフィやチョッパーと遊んでいるとビビがベランダで何かを探し始めた。
「どうした?」
ゾロがビビに話しかける。
「いえ、ナミさんはウェイバーを降りてこっちに来てるみたいですけど…兄さんはどこへ行ったんでしょう?」
そういえばラーズを見ないな。まァあいつなら何してても平気だろ。
「アイツは空も飛べるからな。どっかに行ってんじゃねェのか?さっきも地図見て何か考えてたし」
何やってんだろうな?せっかく美味いメシもあるってのに。
「ち…父上、大丈夫でしょうか?」
「ええコニスさん。私も少し悪い予感が…」
二人とも急に不安げな表情を浮かべた。何かあんのか?ルフィも同じ事を思ったらしいな。
「何だ?どうした?」
「このスカイピアには絶対に足を踏み入れてはならない場所があります。その土地はこの島と隣接しているので、
ウェイバーなどではすぐに行けてしまうんです。そこは神の住む土地”アッパーヤード”と呼ばれています」
神?そんなもんが空島には居るってのか?コニスは話を続ける。
「ここスカイピアは全能の神”神(ゴッド)・エネル”によって治められているのです」
「……そっか、絶対に入っちゃいけない場所かァ……ウフフフフフ〜」
ルフィの奴絶対入る気だろ!ウフフじゃねェよ!!頼むから少しは話を聞け!!
「何話してんの?」
ナミもようやくやってきたか。ひとまずパガヤのおっさんとコニスから聞いた話を説明する。
「そういえばラーズは用事があるって言って、どっかに飛んで行ったけど…」
ますます怪しい。アイツ一体何考えてやがんだ?
「ひとまずビーチに戻ってみようぜ」
ゾロに促され、おっさんとコニスに別れを告げ全員でビーチに戻ってみる。
すると、海の向こうからラーズが飛んできた。改めて見るとつくづく変だなアイツ。
「よっと…みんな揃ってどうしたんだ?」
ビーチに着いたラーズが話しかけてくる…なんか服が汚れてるのは気のせいか?
「兄さんが居なくなったから心配してたんです」
「どこ行ってたのよアンタ?」
すかさずビビとナミが問い詰める。
「ちょっと確かめたい事があってな。でも、おかげで確信が持てた。とりあえず船に戻ろうぜ」
ラーズは満足げに話している。何か見つけたのか?皆不思議そうな顔をしつつ船に戻る。
「まず、俺の行ってた場所だが…神の島ってとこに行ってた」
「「「ぅおい!?」」」
おれとサンジ、ゾロが一斉にツッコむ。少しは考えて行動しろや!平気な顔して行ってんじゃねェよ!
「ずりーぞラーズ!」
やっぱルフィも行く気まんまんだったんだな。隣に居るチョッパーと同時に溜息をつく。
「何か理由でもあったの?」
いつも冷静なロビンが聞く。
「あァ。その神の島には…地面があった」
なん……だと?
「この空島に?」
「そうだ。んでもう一つ面白いモノも見つけた…ジャヤのクリケットさんの家の、”もう半分”だ」
んなっ!?どういう事だ!?
「ジャヤでゾロに海岸線を覗いて貰ってたのも調べる必要があったからだ。あそこは地殻変動で陸地が沈んだんじゃない。
島ごと浮き上がってこの空島に来たんだ。おそらくノーランドが一度ジャヤを離れた後に
強烈な突き上げる海流でココまで来たんだと思う。だから次にノーランドがジャヤに来たら島が無くなってたんだ」
おいおいマジかよ。そんな事が昔に起きたってのか?
「待って…それならもしかして」
ロビンが何かに気付いたみたいだな。
「あァ。昔ノーランドが見た”黄金郷”はここ空島にあったんだ。そしてその島は、俺達の目の前にある!」
「「うひょーーー!!」」
ルフィとチョッパー絶叫。やっぱり黄金郷はあったんだおやっさん!!
「でもその島にはエネルって神がいるって話よ」
ナミが問いかける…おい、どうやったら目がベリーになるんだ?言葉と行動が全く合ってねーぞ。
「らしいな。さっき手下みたいなのが島で襲いかかってきたし」
もう一戦交えてんのかよ!ちゃんと団体行動取りやがれ!!
「兄さん…もしかしてやっつけたんですか?」
ビビが分かってる答えを聞く様に質問する。敵が襲ってきてラーズが帰って来てるから…
「一応話したけどダメだったから返り討ちにした」
ですよねぇ〜〜。大体ラーズが負ける姿が想像つかねェ。他のみんなも呆れ気味だ、ルフィ以外。
「よっしゃー!行こうぜ黄金の島に!!」
こうなったルフィは止まりそうにないな。目がキラキラしまくりだし。
「ひとまずこの島から離れようぜ。さっき俺が敵を倒したせいでココまで追っ手が来るかもしれないし。
さっきの島の人に迷惑かける訳には行かないからな」
「誰のせいよ全く…」
ナミもさすがに呆れてるな。出来ればおれも神になんて会いたくはないんだが…仕方ないか。
「それとロビン」
「何かしら?」
ラーズはロビンを呼び出して小声で話している。しばらくするとロビンがいきなり上機嫌になった。
あいつ何言ったんだ?ロビンが鼻歌歌うなんて尋常じゃねェぞ。あっ、ロビンがラーズの腕にくっついた途端、
ナミが怒り出した…ナミとロビンのコントはいつまで続くんだ?
「黄金の島だって!楽しみだなウソップ!」
チョッパーも目を輝かせていた。コイツは冒険が楽しみなんだろうな。
「出来れば平穏に進んで欲しかったが…すでに無理っぽいな」
諦めよう。おれにはコイツらを止める事は不可能だ。
「あの狐は役に立つのか立たねェのか…」
サンジが頭をかきながら愚痴っている。お前ナミとロビンに挟まれてるラーズが羨ましいだけじゃねェのか?
「今度は神とご対面ってか。面白くなってきやがったぜ」
ゾロ、その顔は悪人だって。何でそんなに嬉しそうなんだよ!?神に対して恐れ多い!
「黄金郷…どんなとこなんでしょうね?」
ビビも王女なのに何でこんなに好奇心が強いんだ?あっ、リトルガーデンでもルフィについて冒険に
出て行ってたな。バロックワークスにも潜入してたし図太い神経してるぜ。
こうして入ってはいけない島へと船を進める麦わらの一味。そこで待っているのは黄金郷か、はたまた神か。
段々と日は沈み、夜がやってこようとしている。