小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜ビビside〜〜

「逃げろ〜!!大蛇(うわばみ)だ〜〜!!」

「ギャーーー!!」

「何て大きさなのかしら…これも空島の影響?」

「面白れェ、ブッた斬ってやる」

「助けてーー!!」

 私達の前に現れたのは壁なんかじゃなくて、巨大な大蛇だった。何よあのサイズ!?とてもじゃないけど勝ち目が
 ないわ!とにかく逃げないと!

「ジュララララララ!!」

 大蛇がルフィさんに向かって行ったけど、ルフィさんは上手にかわしていた。大蛇はそのまま太い樹に
 噛み付いていったけど…樹が溶けてる!?毒でも持ってるの!?あんなのにやられたら即死間違いないわね。

「トニー君!ここは逃げましょう!!」

「おう!とても勝てそうにないぞ!」

 私はトニー君の背中に乗って逃げる準備を始めていた。こんなとこで蛇なんかに食べられてたまるものか!


「おーい毒大蛇〜、エサはこっちだぞ〜」

 ルフィさんが大蛇を挑発している。今がチャンス!!

「今よトニー君!!」

「逃げろ〜〜!!」

 私とトニー君は大蛇がルフィさん達に攻撃してる間に戦線離脱して行った。





「何とか蛇からは逃げ切れたわね…」

「でもルフィ達とはぐれちゃったな」

 そう。蛇から逃げ切れたのは良かったんだけど、他の皆と離れてしまったの。こんなに広い森じゃ何処に行ったのか
 さっぱり分からない。でもじっとしてても仕方ないから目印に向かって進むしか無さそうね。

「ひとまずはあの大きい蔦に向かってみましょう。一番分かりやすそうだし」

「そうだな!ロビンもきっと来てくれるだろうし」

「でもルフィさんとMr・ブシドーは大丈夫かしら?迷子になってないといいけど…」

「…そればっかりはどうしようもないからな」

 あの二人は合流出来るのかな?それにしても、またあの蛇が出てきたらどうしよう?私とトニー君じゃ
 とてもじゃないけど勝てそうにないし…となると、

「ねぇ、トニー君」

「どうしたビビ?」

 この島で無事にいる為に、トニー君に頑張って貰おう!







  〜〜サンジside〜〜


 ラーズはエネルと森の奥に消えて行った。アイツがおれに頼んでくるって事はよっぽど危険なんだろう。
 ナミさんの側を離れたのも、ココで戦うと被害が出るからに違いない。

 おれはまだ二人の仲に納得はしてねェが、こんな時にそんな事は言ってられねェ。
 ラーズがおれに任せてくれたんなら、おれは全力で船とナミさんを守ってやるさ。


 そうしてメリー号で待っていると、何やら森の方に雷が落ちた。驚いて上空を見たが、雲なんて
 どこにもなかった。何だ今のは?

「今の…もしかしたらエネルかもしれねェ」

「あん?どういう事だウソップ?」

 コイツは何か知ってんのか?

「さっきラーズとエネルが船から降りた時に音が聞こえたんだ。エネルの方からバチッて。もしかしたら
 エネルは雷人間なんじゃねェか?クロコダイルは砂人間だったし、雷人間がいてもおかしくはないだろ?
 そういう奴等は悪魔の実の中の自然系って言われてるらしい。体が雷だから、基本的に攻撃は通じない。
 だからこの空では神なんて呼ばれてるんじゃねェのか?さっきおれ達が船に乗って来たのに気付かなかったのも、
 雷の速さで動いてたんなら納得するし」

 …確かにウソップの言う事は信憑性があるな。だが、

「ちょっと待てよ。エネルが雷人間ってんならラーズはどうやって勝つんだ!?」

 雷なんてどうやって戦うんだよ!?幾らアイツが強くても厳しいだろ!?

「サンジはクロコダイルにおれ達が捕まった時に居なかったな。詳しくは知らねェけど、ラーズはそういう奴等に
 攻撃出来るみたいだ。あの白い炎が特に効果あるみたいだぞ」

 なるほど、あの炎はそういう事だったのか。確かにローグタウンでも煙野郎が出て来た時にはルフィじゃなくて
 アイツが出て戦ってた。アイツの炎はただの炎じゃなかったんだな。
 ホントにデタラメな野郎だ。

「しかし…雷なんてヤバイんじゃねェのか?今のがエネルの攻撃だとして、雷なんて避けれるのか?」

「おれもそこまでは分からねェ。ラーズを信じるしかないだろうよ」

 確かにウソップの言うとおりだな。しかし今の話はナミさんに聞かれてなくて良かった。船内に行っててくれて
 助かったぜ。あんまり心配させたくねェからな。

 そんな事を考えていると、何やら変な声が聞こえてきた。今度は何だ!?



「ほっほほーーう!!貴様等が青海人か」
「見つけたぞ!ほほほう!!」
「こいつらだな!ほっほほう!!」


 見ると、帽子(ヘルメット?)を被って丸眼鏡をつけた丸いデブが出て来た…しかもそっくりなのが三人も。
 一人だけ帽子を被ってるが、他の二人は全く一緒だ。何だコイツ等は!?

「どうしたの!?…って何コイツら!?」

 ナミさんも船内から出て来て驚いていた。まァそりゃびっくりするよな。

「ほっほーう!おれの名はサトリ!」
「おれはホトリ!ほほう!」
「ほっほう!おれはコトリ!」

「「「おれ達神兵三兄弟!!」」」


「なんだコイツら!?とりあえずうっとおしいぞ!」

 ウソップに賛成だな。一人でもうっとおしそうなのに、その三倍かよ!?
 一応三対三だが、あんまりナミさんは前に出て欲しくねェからな。早めに一人片付けるとするか。

「ほほう、右足で蹴りをしてくるか」

 んなっ!?この帽子、おれが動作に入っただけで動きを読みやがった!これが心網ってヤツか。ラーズの言ってた通り
 かなり厄介な能力だな。どうする?おれじゃ攻撃を読まれて戦いにならない。


「サンジ!この帽子はおれがやってみる!ナミと残り二人を頼むぞ!」

 ウソップの野郎、最近ホントに逞しくなってきてやがる。確かウソップも攻撃が読めるみたいだし、おれも負けてられねェ!

「分かった、直ぐに片付けて加勢するからやられるなよ」

「ラーズの一番弟子を甘くみるなよ」

「私もいるんだからね!」

 ナミさんもやる気まんまんだな…こうなると、無理に止めるよりはカバーしつつ戦った方がいいな。

「分かった…でも無理はしないでくれよ?後でラーズに怒られちまう」

「任せなさい!」


 こうして三対三の戦いは始まった。







  〜〜ラーズside〜〜


 ある程度エネルが来る事は予想していたが、こんなに早いとはな。まァ雷速で動けるなら島の端から端まで
 あっという間だろうし。便利な能力だよ全く。


「もうそろそろいいのではないか?」

 俺の後ろでエネルが喋る。確かにそれなりに森に入ったしここなら大丈夫だろう。

「ならこの辺でいいか」

 お互い動きを止める。エネルは余裕全開だ。俺の能力を知らないからだろうな。しかし自然系の奴等はみんな
 隙だらけだな。攻撃が全て効かないとでも思ってんのか?まァ俺や黒ひげの能力はレアだろうけど、
 もう少し防御も考えた方がいいと思うぞ。その点俺は防御が弱かったから徹底的に回避能力を鍛えたからな。
 最速はボルサリーノさんをイメージしてたから、多少の速さじゃ驚かないぞ。


「しかし神を前にしてその落ち着きぶり…自信の表れか、はたまた無知ゆえか」

「どっちだろうな?”ゴロゴロの実”の能力者、エネル」

 俺の言葉を聞いたエネルの眉が少し動いた。初めて正体を見破られたのか?

「…ほう、ただ頭が切れるだけではなさそうだな。それにその尻尾…貴様も能力者だな」

「まァ俺はアンタみたいな自然系じゃないけどな」

「そこまで分かってるなら、どうする?私に触れる事すら出来ないのは知ってるだろう?」

「普通はそうだろうな。だからこそ、空島の人間から神なんて呼ばれてるんだろ?だが俺達は遥か地上から
 やって来た異物だからな。今までと一緒と思わない方がいいぞ」

 そう話していると、エネルはいつの間にか自分の腕を雷化させて、俺の頭上に伸ばしていた。

「神の裁き(エル・トール)!」

 エネルはいきなり巨大な雷を落としてきた。辺りに青白い光が迸る。





「…おいおい、神と名乗る奴が不意打ちかよ」

「私の力の片鱗を見せておこうと思ってな…今のを避けるとはやはり貴様は面白い!ヤハハハハ!」

 俺はさっきまで自分が居た場所を見る。近くの大木は燃える前に炭と化していた。何てバカげた熱量だよ。
 まともに喰らうと洒落にならんな。しかし、今の攻撃でエネル攻略の糸口が掴めたな。予想通りだった事で
 少しは俺に有利になるだろう。

「全く…今のが開始のゴングって事でいいんだな?」

「ヤハハハハ!いつでもかかって来るがいい!神の力に絶望せよ!!」






 こうして島の各地で戦いが始まった。



 

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