小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜ウソップside〜〜


 ラーズがいなくなって三日が経った。その間の船の空気は重苦しいものだった。特にナミは丸一日泣いてた事も
 あり、ロビンとビビがずっと慰めていた。あれからラーズの事は誰も会話に出さなかった。いや、出せなかった。

 それぞれが、ラーズの想いを感じていた。おれもアイツと出会ってからの事を考えていた。



 初めて会った時は正直ちょっとビビッてた。なんせ魚人の海賊と海軍をまとめて倒してたし、その後に
 サンジと戦った時は一方的に動けなくしてたしな。
 
 けど、アイツと一緒に海に出た時から不思議と仲良くなっていた。それに、東の海からアイツはずっとおれの
 事を気にかけ、おれを鍛えてくれた。

 ローグタウンでやられた時はびっくりしたな。アイツでも負ける事があるなんて思ってなかったから。

 リトルガーデンでナミが熱にやられた時は慌ててたな。自分が毒にやられてるの気付かない程に。

 アラバスタではアイツが見事に反乱を止めてたし、アイツに鍛えて貰ってたおかげでエージェントを倒せた。

 空島では神様まで倒して黄金郷を証明出来た。

 
 そして、今ラーズは船にいない。けど、ラーズの想いは受け取れたと思う。

 もう、立ち止まるのは終わりなんだ。前に進んで、アイツにもおれ達の名前が轟くくらいになってやる。
 それがおれ達に出来る事なんだ。




「みんな、いいか?」




 考え事をしていたら、いつの間にかみんなが甲板に集まっていた。ルフィがみんなに声を掛けている。
 みんなが輪になって話を聞こうとしている。

「おれは今回の事で決意した」

 ルフィの言葉をおれ達は真剣に聞いている。

「もう絶対に仲間を失わねェ。こんな辛い思いは一度で十分だ。だから…」

 

「ラーズに誓う。もう負けないって」

 そう言って拳を握り締めて前に突き出した。 

 それを見たゾロが口を開く。

「おれもラーズに誓う。強くなると」

 ゾロも拳を突き出した。

 サンジも続く。

「勝ち逃げなんてさせるかよ」

 そう言って拳を突き出す。

 チョッパーも。

「ラーズを救うんだ!」

 拳を突き出した。

「今度は私が頑張る番です!」

 ビビも拳を前に出す。

「ラーズの想い、受け取ったわ」

 ロビンも。

「ラーズの為にやってやるぜ!」

 おれも真っ直ぐ拳を突き出した。そのままみんなはナミを見る。


「…私はもう負けない。海軍にも世界にも。絶対にこの船にアイツを引き摺ってきてやるわ」


 そう言って拳を突き出してきた。一番落ち込んでたナミが一番気合入ってるな。みんなもそれを感じて笑っていた。
 ラーズがいなくなってから、初めての笑いだった。



「行くぞ!おれ達は前に進むんだ!!」



「「「「「「「おう(ええ)!!」」」」」」」



 おれ達は次の島へ向けて出航した。見てろよラーズ!!











  〜〜ナミside〜〜


 私達はラーズに誓いを立てて出航した。島を出てから三日が経った。海も特に荒れずに順調に進んでいる。


 みんなは航海の間もそれぞれ色んな事をやっている。ルフィは体から煙を出したり出さなかったり。
 ゾロは相変わらず一心不乱に体を鍛えている。サンジ君も料理を作ってない時は蹴りの練習している。
 ウソップも武器を開発しながらも狙撃の練習をして、チョッパーはラーズもしてた瞑想をしている。
 ビビもウソップに作って貰った武器の特訓を、ロビンも新しい能力の開発をしている。

 私も、指針を確認しながら新しくなった天候棒を使いこなせる様にしている。

 昨日よりも少しでも強くなるために。




 しばらく船を進めていると、視界の隅に何かが映った。

「あれは…灯台?」

 何でこんなとこに灯台なんてあるのかしら?

「なんか見つけたのか?」

 ルフィが近くにやってくる。

「この先に灯台があるみたいなんだけど…何かあるのかしら?」

「気になるなら行ってみようぜ!目指せ灯台!」

 ルフィが言うと、チョッパーやゾロがオールを漕ぎ始める。進路もそんなに外れないし、まぁいいか。

 少しオールを漕いでいると、灯台に着いた。側には家みたいなのがあるみたいだけど、誰か住んでるの?




「ばーちゃん、ばーちゃん!大変だよ、海賊だよ!」

「本当かいチムニー!?よーひ、ちょっと待ってりゃ!」


 やっぱり人はいたみたいだけど…

「応援でも呼ぶ気か?だとすると面倒だな」

 私達海賊だしね。でもここでまた一騒動なんて起こしたくはないわ。


「あーーもひもひ!?え〜〜と…………何らっけ?忘れまひた!ウィ〜〜ッ!」

「「酔っ払いかよ!?」」

 ゾロとウソップが額に青筋立てながらツッコむ。あの人昼間から泥酔してんの!?


 ひとまず、悪い人でもなさそうね。私達は船を降りて話を聞いてみる。まず、小さい女の子がチムニー。
 隣にいるうさぎみたいなのはゴンベ。酒飲んでるお婆さんはココロさんって名前みたい。


「こんなとこで何やってんだ?」

 サンジ君が尋ねている。

「ここはシフト駅!ばーちゃんは駅長なんだよ。毎日海列車が走ってるんだ!」

 チムニーが答える。海列車って何?

「もうすぐそこを通るハズだよ!」

 チムニーが指差した方を見ると…海の中に線路?どういう事なの?
 
 不思議に思っていると、何やらカンカンと音が聞こえてきた。


「何の音だ?」

 ルフィが首を捻っていると、私達の目の前をもの凄い速さで鉄の塊が走って行った。何今の!?

「な…なんじゃありゃ!!船がケムリを吐いてたぞ!」

 ウソップも口を大きく開けて驚いていた。今のが海列車!?どういう仕組みになってるのかしら?
 蒸気船じゃないみたいだし…不思議ね。



「そんで、一体どこへ行きてェんだい?」

 お婆さんが酒を飲みながら聞いてくる…まだ飲むのね。

「私達は記録に従って進んでるだけです。ここからだと北の方」

「そうか。そりゃ「ウォーターセブン」だね。さっきの海列車もそこから来たんだ。別名「水の都」っつーくらいで
 いい場所だわ。何よりあそこの造船技術は世界一らよ」

 へえ。何だか凄そうな場所ね。

「って事はすげェ船大工もいるな!」

 話を聞いていたルフィが嬉しそうにしている。

「あそこは世界最高の船大工の溜まり場だ。色んな奴があそこで船作ってるら」

「…よーし決めた!そこ行って必ず船大工を仲間にするぞ!!」

 
 そうして、ココロのお婆さんやチムニーに別れを告げて出航する。船に待機してたロビンやビビ、チョッパーに
 「ウォーターセブン」の話をする。みんなは新しい仲間の話に盛り上がっていた。
 次の島ならメリー号も修理出来るでしょうしね。


 

 新しい仲間、か…





「これで…これでいいんだよね?ラーズ…」





 空を見上げながら、一人呟いた。答えは、勿論返ってこない。







 間もなく一味の前に、新たな島「ウォーターセブン」が見えてこようとしていた。
 
 

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