小説『とある絶望の幻想現実』
作者:コンダクター()

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「義理とはいえ兄妹とその友人が互いに悲しみながら殴りあわなければいけない現実がそこにあるならよぉ。俺がそのふざけた幻想は_____________俺が全部作り変える!」

立ち上がり、利き手の左手を握り高らかと宣言する冬風。その姿は、上条当麻の真逆の構えが原因なのか、最愛には隣に当麻がいるように見えてしまう。

「舐めた事言ってんじゃねぇ!」

最愛が呆然としている隣で、麦野が自身の“原子崩し”を使ってレーザーを放つ。それに対し冬風は一つもあわてずに左手でそのレーザーを殴る。すると、“パキンッ!”の音と共に麦野のレーザーが消える。

「はぁ!?何で消えるんだよ」
「麦野、今お兄___暁は左手だけ能力を全て打ち消します。他は普通の人間となんら変わりないので、隙さえ付けば超楽勝です」
「結局、ぼろぼろの体じゃ何もできないってわけね」
「いやいや?別に俺はこれで戦うなんて一言も言ってないんだけど?」

冬風はアイテムから距離を置く。アイテムは、最愛が冬風との距離を詰めてフレンダが爆弾を放り、麦野がレーザーの準備をしている。

「最愛、お前は俺の能力を当麻と同じものだと思ってるならその考えは捨てた方がいい。_______幻想の空間(ファンタジーフィールド)」

冬風が空間に手をかざすと、最愛のスピードは落ち、麦野のレーザーは消え、爆弾は冬風にたどり着くことなく爆発する。

「へ?」
「な!?」
「嘘……」
「どういうこと?」
「いや、そんな驚かれても困る。この空間を俺の思う通りに改ざんしただけなんだが?」
「それが超異常なんですよ」

能力を使えないのでは勝てるわけが無いので下がる最愛。冬風も別に傷つけようとは思っていないのでその場を動かない。睨み合う状態が出来上がる

「俺には敵わない事わかっただろ?逃がしてくんない?」
「まだ敵わないと決まったわけじゃない」
「最愛。俺は誰といつも一緒に居る?」

冬風が溜め息をつきながら聞く。最愛は何を聞いているか分からない表情をしたが、

「超上条さんですよね。」
「当麻もだが俺を学校に行かせない奴らが居るだろ」

それを聞いて、最愛はやっと気づいたような顔をして冷や汗を流し始める。

「LEVEL5の方々ですか」
「そ、あいつら言っとくけど俺に勝ったこと一度たりとも無いよ?」
「この間の第2位も勝ったってわけ?」
「麦野、暁は今の話だと第1位にも勝った事になります」
「「「!!!」」」

全員が驚愕の表情で冬風を見る。冬風は気にせずに、交渉を持ちかける

「逃がしてくれ、頼む」

一行に戦う姿勢を見せない冬風。普通の暗部だったらこの話を持ち出しただけで逃がしてくれるのだが今回はそうは行かないようだ。

「お前に勝ったら第1位より強いって事だよなぁ!」
「結局、逃げれるとは思わないほうがいいってことよ」
「あんたを超殺します」
「俺の能力をまだ知らないのに?」
「あかつきの能力は多分、現実を幻想に幻想を現実にする能力。違う?」
「滝壺さんは俺を冷静に分析してたってわけか。」

流石に能力が割れたら交渉のカードが無くなる。つまり、逃げるしかないということだ。

「じゃぁ、逃げる。俺はお前らと戦いたくない。」
「逃がさねぇよ!」

レーザーを放つがすでに冬風はそこにはいない。その場の全員の視界から消えたのだ。

「悪いけど、そんな遅い攻撃とまって見えるからから避けさせてもらうぜ」

麦野の耳元に現れた冬風、麦野が冬風の顔を殴ろうとするが、また消える。滝壺が冬風のAIMを探すが、彼はAIMを出していないのでどこに入るのか分からない。

「俺はお前達を傷つけはしない。けど、カメラで俺の能力を知った研究者は殺させてもらう。」
「それを超黙ってさせるとでも?」
「いや、逆に止めてみろ。そしたら殺せるだろう。」

冬風は四人の陣形の真ん中に現れる。

「俺が逃走者。お前らが鬼。ほら、よく子供が遊んでるだろ?鬼ごっこでもしようか」
「「「「はぁ!?」」」」
「俺は逃げる。そして、あるタイミングで研究者の居る部屋に行って研究者を殺す。それまで俺は絶対に殺さねぇ。なんならドアの前に一人下っ端でも付けときな。お前らは俺に攻撃してもいい。でも俺はお前らに攻撃はしない。能力のチェンジは積極的にするけどな。タイムリミットは今12時だから。4時までだ。学校があるし、日課のランニングを欠かしたくない」

っと勝手に研究所内へ逃げてしまう。

「あの野郎ふざけやがって!やってやるよ!見つけだしてぶち殺してやる」

その言葉にほかのメンバーもうんうんとうなずく。

「結局自分から殺されようとしてるってわけよ」
「超何がしたいのかわかんないです」
「あかつきは何かたくらんでる」

麦野の号令で全員が冬風を探し始める。そして、闇の世界の鬼ごっこが始まった。









★☆★☆★












「頼むぜ。俺を見つけて捕まえろよ。お前の為なんだ最愛。」

冬風は、全員が散会した後の同じ場所に現れる。彼は光学操作で姿を消していただけでずっと同じ場所に居たのだ。そして、先ほど送られてきたこの依頼の追加情報が送られていた。その内容は

『ターゲットはアイテムを護衛として雇っているが、奴の本当の目的は________である』

何度見てもイライラする文章。彼は携帯の画面を切り替え、ある人物に電話する。

「もしもし?今大丈夫か?」
『こんな時間に何のようだァ?』
「俺の依頼がちょっとやばくてな。手伝ってくれ」
『お前が俺に頼むなんて珍しいなァ。いいぜェ』
「サンキュ、どうしてほしいかは付いてから直接言う」
『了解。すぐに向かうぜェ』

冬風は通話を切る。そして、今度は別の人間に電話する。

『どうした冬風。なんか用か?こんな時間に』
「お前の力を借りたい。俺の部屋の合鍵お前持ってるだろ?」
『あるけど……』
「俺の部屋の引き出しの一番上のものを今から送る地図の場所に持ってきてくれ。着いたら連絡な」
『分かった』
「頼んだぜ」

そう言って、電話を切る。彼は窓の外の学園都市の中では珍しすぎる満天の星空を見上げた。

「頼むぜ、レータ。当麻」

冬風は、その場から姿を消した。






Tag of hopelessness, despair or happiness or listen(絶望の鬼ごっこ、待ち受けるは幸福か絶望か)

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