「俺も名乗ろう。俺の名前は暁冬風
______魔法名は、Desperatio 016(絶望と幻想の創造者)」
冬風は、鋭い眼光を向けて言う。ステイルは嘲笑する。
「冗談はよしてくれ。君は能力者のはずだ。それが魔術を使える?はっ!馬鹿馬鹿しいね」
「うるせぇよ三下。これ見てから言いやがれ。『氷よ。我力になり全てを凍結させよ!』」
冬風がそう言い放った瞬間、ステイルの足元がパキパキと凍っていく。
「っく!は!」
ステイルはそれを燃やすが、冬風は次に動く。
「食らえよ、魔術師ステイル。『完全なる氷の槍よこの者を貫け!』」
今度は氷の槍が冬風の後ろ側から突如として現れ、ステイルを貫こうとする
「Kenaz(炎よ)―――PurisazNaupizGebo(巨人に苦痛の贈り物を)」
炎剣を出しそれに対応するステイル。今度はそれを全て砕いて冬風に狙いを定めるが
「無駄だ。『イージス』」
冬風はまた回りに結界を展開させて、炎剣を防ぐ。
「っな!なんで、君は陰陽師だろ?!何で詠唱なしに魔術が使えるんだ!」
ステイルが動転しているが、冬風はゆっくりした口調で説明するように言う。
「俺があんなちんけな陰陽師どもと一緒にするな。俺の魔術は“失われた最古の魔術(エンシェントマジック)”お前も知ってるだろ?俺はイギリス清教『必要悪の教会(ネセサリウス)』所属の魔術師だ」
ステイルは自らが属している教会の一員と知り、そんな人物が居たかと自分の記憶を漁っているのだろう。しかし、インデックスの回収任務に当てられるような魔術師が冬風のことを名前で知っているはずが無い。なぜなら、
「俺の魔術サイドでの通り名は、“絶望の魔術師(デスペレードマジシャン)”こっちの方が有名だが知ってるか?」
「あれは4年前に死んだはずじゃあ」
「その年に俺が学園都市に入ったとしたら?」
ステイルはまだ自分の中で納得ができていないらしい。それもそうだろう。死んだと知らされている最大主教クラスの人物が目の前に居るのだから。
「『浄化の光よ。この者へ降り注げ!』」
その瞬間天井に魔方陣が現れ、ステイルに光の塊が降り注ぐ。
「!」
ステイルは辛うじて反応して後ろに跳んで下がる。そして、自らの最強の魔術を放つ
「これは君でも止められない筈だ。教皇クラスの魔術だ。」
「やってみな。絶望の淵へ叩き落してやる」
「その余裕が命取りにならないことを祈るんだね
____世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの火よそれは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なりそれは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なりその名は炎、その役は剣。顕現せよ、我が身を喰らいて力と為せ――――――ッ!!」
ニヤニヤしながらその人型の炎を出すステイル
「殺せ。魔女狩りの王(イノケンティウス)」
ステイルの最大魔術“魔女狩りの王(イノケンティウス)”その意味は必ず殺す。それが冬風に襲い掛かってくるが
「世界を創造した始まりの爆発よ。その意味は始まりと終わり。全てを創造し、全てを破壊し、最初の光に、最初の闇に、人類への幸福を生み出すのと同時に絶望を生み出す爆発よ。我に嘆かれし時、全ては創造され全てを終わらせよ!」
そのとき、イノケンティウス内にねじれが起こりステイルの顔が引きつる
「殺っちまえ!ビッグバン!!」
爆音がフロア中に鳴り響きイノケンティウスが弾け飛ぶ。
________________っが、イノケンティウスはすぐに再生してしまう。
「ははは。イノケンティウスがそう簡単に消えるはずがないじゃないか」
「なるほど。ルーンがどっか貼ってあるな。」
冬風がそういうと、少し笑顔が引きつる。
「おいおいステイルさん?顔に出てるぜ?『爆炎よ!荒れ狂え!』」
そういうと、ステイルの周りに炎が集まり、ステイルが横っ飛びでかわすと、その場所に火柱が立つ。
そうすると、イノケンティウスが後ろから腕を振り下ろしてくる。
「させるか。イージス」
また結界が現れそれを拡散させる。
「君の魔術は固有名詞のあるものとないものがあるけどどういう仕組みなんだい?」
「特別に教えてやる。俺の魔術は動作と詠唱で基本的に成り立っている。っで、強さで、やることが決まってて、一番弱い奴は動作だけ、一番強い奴は詠唱+固有名詞か、固有名詞のみ。間の強さの奴は詠唱のみ。っま、強さの基準は俺が決めてるだけだけど。そら、次だぞ!」
腕を冬風が上から下に振ると、魔方陣が現れて、その中から隕石が落ちてくる。
「食らえ!」
ステイルにそれが落ちる。辛うじて防いだようだが、所々に傷跡が目立つ。
「まったく、厄介な魔術だね。」
「いいだろ?やんねぇよ『裁きの風よ吹き荒れろ!』」
ステイルを中心にして風が巻きつき、ステイルを切り刻んでいく。
「ぐぅ!」
ステイルが悲痛な声を上げる。
「イノケンティウス!」
イノケンティウスがステイルの呼びかけで冬風に直攻撃するが、イージスで簡単に止められてしまう。
「もう一つ教えてくれるかい?」
ステイルが息を荒くして聞いてくる。
「何でもどうぞ?」
「君はカイハツというものを受けたはずなのに何故魔術が使える?」
「簡単な話、俺の魔術はお前らと全然違うから、開発されても無傷で使えるってこと。チートでしょ?あ!俺の科学での能力も見せてやるよ。」
そういうと、冬風は炎を手に掌握し始める
「『doomflame(破滅の炎)』」
熱線が手からステイルへ伸びていく。ステイルはかわすことができずに右肩に大穴を開けた。
「これが俺の“ある”を“ない”に“ない”を“ある”にする“幻想作り”だぜ?」
もうステイルは、こちらを睨む気力しか残ってないがイノケンティウスは元気なようで襲い掛かってくるが
「あ〜もうお前飽きた消えて」
イノケンティウスの存在を無かったことにして、ステイルの前に立つ。
「死ね『雷光よ。目の前のものを焼き尽くし、吹き飛ばせ!______雷砲雷鳴」
冬風の後ろから、大きな魔方陣が現れ、雷のエネルギー砲のようなものを放つ。刹那ステイルの意識は闇に沈んでいった。
「さよなら。ステイル=マグヌス」
★★★★★★★★★★★★★★★★
「___________っは!」
ステイルは公園のベンチで目が覚めた。
「失態ですねステイル」
「君が助けてくれたのか?」
「いえ、あなたと戦った少年がまるで何もなかったかのように全て元に戻しました。」
「まさか、僕が手も足も出ないなんて、絶望の魔術師。想像以上だ」
「私でもあの方相手では難しいかもしれません。暗殺専門の最強魔術師は」
「最初に会った少年のほうも僕の炎をかき消したし、本当にどうなっているんだこの町は」
「私は最初のほうの少年にアプローチをかけてきます」
「気をつけなよ」
「分かっています」
Magician of despair toward the next enemy defeated Fang stale = Magnus(絶望の魔術師はステイル=マグヌスを倒し次なる敵に牙をむく)