「こ、コレは・・・」
目の前には白く輝く鎧が立っていた。
「さて?気分はどうだエルス?」
「・・・ふむ、悪くない。体が軽いぞ。」
「エルス・・・なのか?
・・・見違えたな。」
エルスは俺の目の前に立ち跪いた。
「我が王よ、これより我が身はあなたの剣となり盾となります。」
「い、いや、待ってくれよ。俺は別にそんなつもりじゃ。」
「これは騎士の儀式みたいな物だ。
聞くだけ聞いておけ。」
エリーは面白そうに俺を見る。
「先輩、ガンバです。」
千夏まで・・・
「ハァ・・・けど、よろしくな?エルス。」
俺は右手を差し出す。
「えぇ、存分にお使いください。」
エルスは俺の手を取る。
「・・・さて、和やかなのは構わないが。
エルスよそろそろ、主を外に返さねばならない。」
「帰れるのか!?」
エリーはあくびを噛み殺しながら。
「あぁ、私は『剣の魔女』だぞ?
次元の裂け目位は切り裂けるさ。」
エリーは剣を生み出すと、何もないところで縦に振り下ろした。
そこには何もないはず、だが、確かにその空間には切れ目が入っていた。
エリーは剣を差し込み、横に払うするとそこには見知った風景が広がっていた。
「なっ!?」
そこは俺の家の庭だった。
「すまないな、主殿。少し記憶を借りさせてもらったよ。」
エリーは剣でその開いた空間を指す。
「先輩、帰れるんですね!!」
千夏は嬉しそうに俺の顔を見てくる。
「そうだな、やっとだ。」
千夏と一緒に行こうとした時だった。
「王よ・・・」
振り返ると、エルスが立っていた。
「あのさ、エルス。王ってのはやめてくれ、なんかくすぐったいよ。」
「では、・・・なんとお呼びすれば・・・」
「直樹でいいよ。」
鎧の中はわからないが、エルスが笑ったような気がした。
「そうですか、では直樹殿。
また、会いましょう。」
エルス・・・
「あぁ、じゃあな。」
俺と千夏は開いた空間を通った。