【直樹side】
授業も終わり家に帰ろうとした時だった。
「あ、先輩。」
教室の入口から顔をのぞかせていたのは千夏だった。
「千夏か、どうしたんだ?」
「あ、いえ、迷惑じゃなければ一緒に帰ろうかなぁって・・・」
「別に構わないよ。」
俺は鞄を持ち、千夏と一緒に廊下を歩く。
「ところで、エルスが護衛についたんだって?
どんな感じなんだ?」
「えぇ、エルスさんは面白い方ですよ。
あんなにゴツゴツした鎧を着ていても家事を手伝ってくれますから。」
俺の家でも同じ感じだと伝えると、千夏は口を抑えて笑う。
「そんなにおかしいか?」
「あ、いえ、ただ先輩も同じだったんだなって。」
「俺じゃなくて、エリーがやっているんだけどな。」
「そうですか・・・あっ!」
千夏が何かに気づいたようで鞄の中を開ける。
「・・・すいません、教室に忘れ物しちゃったみたいです・・・」
千夏は申し訳なさそうに頭を下げる。
「あぁ、じゃあ待ってるよ。」
「はい!すぐにとってきますね。」
千夏は廊下を駆け出した。