校内を歩き続けるが、人形たちは出てこなかった。
「あの・・・さ、」
香苗が申し訳なさそうに口を開く。
「さっきはごめんね。あんな酷いこと・・・」
「こっちこそ、ごめん。」
俺がそう言うと、香苗は納得したようで深いため息を一つついた。
「あのさ、あの夜も関係してるの?」
もうだめだ、香苗には話しておかないとな。
「あぁ」
「エリーちゃんも?」
「エリーには助けてもらったんだ。」
香苗は考え込む。
「そっか、話してくれてありがとね。」
「あ、うん。」
香苗は案外あっさりと納得してくれた。
「・・・先輩?」
聞き覚えのある声だった。
「千夏!!」
振り返ると、千夏がそこにいた。
「千夏ちゃん、大丈夫!?」
香苗も近づく。
「はい、私・・・隠れていたんですけど・・・。」
コツ、コツっと何かが歩く音が聞こえた。
「来た!?」
千夏は咄嗟に俺の後ろに隠れる。
『・・・・・・』
新しい人形がそこに立っていた。
今までのような、西洋人形だが、口が焼けただれていた。
「あ、あの人形が私の事を・・・」
人形はその場で止まりただ俺たちを見てくる。
その時だった、
-主、殿?-
頭の中に声が響く。
「この声、エリーか!!」
-あぁ、こちらはあと1体で終わりだ。千夏とは合流できたか?-
「あぁ、だが、ちょっと厄介な事になっててな。」
-そうか、もう少しだけ待ってくれ。最後を倒せば消えるはずだ。-
「わかった。」
だったら、あとは・・・
『・・・・・・』
しかし、不気味すぎる。
そして、何か奇妙なものを感じる。
「千夏、香苗の近くにいてくれ。」
「・・・わかりました。」
「直樹!?」
「大丈夫!!」
剣を創り、構える。
『・・・・・』
しかし、人形は攻撃をしてこなかった。
「なんだ?」
それどころかピョンピョン跳ねたり、クルクル回ったりしている。
「・・・あぁと。」
香苗の方を向き、
「・・・どうする?」
「えぇっと・・・」
この状況に香苗も困惑していた。
「・・・そうだな。」
俺は剣を消し、人形に近づく。
「せ、先輩!?」
「多分、エルスみたいな感じなのかもしれない。」
人形の前でしゃがむ。
「おい。」
人形は俺のことをジッと見てくる。
「お前、俺たちのことを襲わないのか?」
人形は首を縦に振る。
って事は無害って訳か。
-主殿、最後の敵を倒した。じきに解除されるだろう。-
「そうか、ありがとな。・・・それと・・・」