翌日、俺は千夏・・・いや、怪異を放課後体育館に呼び出した。
今は部活も中止となってるから潜り込むのは簡単だった。
「きますかね?」
鞄の中にいる千夏が話す。
「大丈夫だろ。来なかったらその時はその時だ。」
-あ〜、あ〜、主殿聞こえるか?-
「あぁ、バッチリだ。」
エリーには怪異を捕まえるための下準備をしてもらっている。
「っと、来たようだ。」
体育館の重々しい扉が開かれる。
「あ、先輩。どうしたんですか?急に話したいことがあるって。」
「あぁ、少し・・・いや、大事な話だ。」
「そうですか。」
怪異は警戒もせずに近づいてくる。
「で、なんですか?」
「あぁ、それはな。」
「主を捕まえるためだ。」
怪異が慌てて後ろを振り返る。
その瞬間、体育館中の空気が張り詰める。
エリーにやってもらったこと、それは体育館に防護の結界を貼ってもらう事だった。
「悪いな、もう正体はバレてんだよ。」
怪異が目を細める。
「何を言ってるんですか?エリーさんもこんなの冗談じゃ済まされませんよ?」
「冗談・・・のぉ?」
「冗談じゃないんだよ。」
怪異は俯き1つ舌打ちをした。
「全く、こっちもようやく邪魔な女を消せたんですけどね。」
空気が冷える。
「邪魔な女?」
怪異は笑う。
「そう!!本物の方もいなくなればいいと思っていたんですよ!!」
怪異の笑いは止まらない。
なんだ、この嫌な予感は・・・
「『村江 香苗』って言う、クソ女ですよ。」
香苗・・・?
「待てよ!!なんで香苗の話が出てくんだ!!」
訳がわからない。なんで、香苗が?
「この体の持ち主は、それだけその女の事が妬ましかったんでしょうねぇ?」
俺は急いで、携帯を取り出し香苗に電話をかける。