小説『Lost Magic』
作者:イズミ()

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(直樹side:体育館)

様子がおかしい。
すぐにわかった。あの怪異が声を張り上げて怒っているのだ。
何かが起きたに違いない。

「女を殺せてないだと!?」

怪異はそう叫んだ。

殺せてない・・・?

「香苗は、生きてるのか?」

怪異は慌てて口をつぐみ携帯電話をしまう。

「主殿!!」

横を向くとエリーがいた。

「香苗が生きてるらしい。」

自分で言葉にすると、腹の奥底から何かが湧いてくる気がした。

「香苗が生きてる。」

そうだ、生きてるんだ!!

「エリー、もう大丈夫だ。」

「主殿・・・」

「エルス、千夏を守ってくれ。」

「わかった。」

エルスは剣を作る。

「エリー・・・二人でやるぞ?」

「・・・調子が良すぎはしないか?」

「さてねっ!!」

エリーと同時に走り出す。

「クッ!?」

マズは・・・

「エリー!!」

エリーは動けない怪異の腹を剣でなぎ払う。
重い音と共に怪異は吹っ飛び壁に激突する。

「悪しき魂よ!!我が剣の光を受け!!そして、去れ!!」

エリーがそう声を上げ剣を掲げると剣に黄色いモヤがまとわりつく。

「ハァァァァァァァ!!」

剣を振り下ろすと、光が怪異を包み込む。

やがて、光が収まってくる。

「・・・やったのか?」

怪異がいたところには千夏の体が倒れていた。

「あぁ、早く終わらせよう。」

エルスが千夏を抱え近づいてくる。

「エルス。千夏殿を体のとなりへ。」

エルスは言われた通りに千夏を体のとなりに置く。

「エリーさんお願いします。」

「任せろ。」

エリーが目を閉じ集中する。

やがて、人形から光の玉が出てくる。
玉はやがて、千夏の体の中に収まっていく。

「さて、これで終わりだ。」

千夏の指が微かに動いた。

「千夏ッ!?」

すると、千夏はゆっくりとまぶたを開く。

「せ、先輩?」

千夏は俺を見るなり、

手を伸ばし抱き寄せてきた。

「結構、大胆ですな。」

エリーが意地悪く笑う。

「あぁ、戻れた。ちゃんと触れる。それに、暖かい・・・」

・・・千夏ってこんな奴だったけ?

「千夏、ちょっとキツいよ。」

それに胸が・・・

「・・・あっ!!」

千夏はすぐに話してくれた。

「す、すいません・・・」

「さて、どうかな?何かおかしいところはないかな?」

「いえ、平気ですよ。体も普通に動きます。」

千夏はエリーに答えながらも頭を撫でる。

「う、うぅ、我はいいのだが・・・」

思わず、俺は笑ってしまった。

「何がおかしいのだ?」

「別に〜。」

・・・さて、次は、

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