「それでは、次は香苗殿ですね。」
エルスが言う。
「あぁ、エリー。あいつの居場所はわかるか?」
「・・・すこし、待っておれ。」
エリーが集中し始めた時だった。
「・・・あ、れ?」
千夏がポツリとつぶやいた。
「千夏?」
「せ、先輩。へ、変な感覚が・・・」
千夏は扉を指差す。
「校舎から・・・」
「校舎?」
「千夏殿、どういう意味だ。」
エリーは集中をやめ千夏に話しかけていた。
「え、あ。動いた。」
「お主・・・わかるのか?」
「え?」
わかる?
「どういうことでしょうか?エリー殿?」
「要は、千夏殿は目覚めたのだよ。」
「目覚めた?」
「『能力』だよ。」
「『能力』・・・ですか?」
「千夏殿はそのまま気配を追ってくれ。」
「え、あ、はい!」
「エルスはここで待機、主は一緒に行くぞ!!」
エリーは急に走り出した。
「な、なんなんだよ!!」
俺もエリーを追い走り出す。