一通りの少ない裏路地に目的の場所はあった。
「ここみたいですね。」
店の扉にはさっき千夏に見せてもらったポスターが貼ってある。
「行きましょ?」
千夏が先に入り、俺も後に続く。
店内は、薄暗く西洋人形の独特の雰囲気を更に濃くしているようだった。
「案外、中は広いんだな。」
「奥に長く、続いているみたいですよ。」
千夏は周りを見ながら進んでいく。
それにしても、色々種類があるんだな。
-・・・こ-
「え?」
「どうかしましたか?」
「今、声が聞こえたような・・・」
「・・・そうですか?」
千夏の反応を見る限り・・・気のせいなのか?
「それにしても、西洋人形の服って綺麗ですよね。」
「ん?あぁ、そうだな。」
店内の人形は色とりどりのドレスを着せられている。
絢爛豪華とでも言うのだろうか。
「へぇ、ってコレは凄いな。」
店の最も奥にガラスのショーケースにに入った。
1体の人形が入っていた。
瞳を閉じて、ただ眠っているかのようにその人形はいた。
「すごい、生きてるみたいです。」
千夏も食い入るように見ている。
ショーケースの横に一枚の紙があったそこにはただ一文。
『エリー』
ただ、それだけ書かれていた。
「エリー、この人形の名前か?」
「みたいですね、それにしても凄いですよね。
人ってこんなリアルな人形も作れるなんて。」
俺と千夏はただただ驚くだけだった。
ガタンッ!
そう、後ろから聞こえてきた。
「ひっ!?」
俺は咄嗟に振り返る。
だが、薄暗いせいか状況がよくわからない。
それでも、
トコトコと何かが歩くような音は聞こえてくる。
「せ、先輩ッ!!」
「千夏、大丈夫「違います!!ショーケースが!!」
ショーケース?と振り返ると。
「なッ!?」
ショーケースの中の人形は目を開き俺を見ていた。
-あなたが私の契約者か?-
「は?」
-今、この場は怪異に支配された。-
「何、言ってんだよ!!」
「先輩、どうしたんですか!?」
「え・・・?」
-今、この娘に私の声は届かない。-
『ワタシマリー、イッショニアソビマショ?』
乾いた声が響いた。
振り返るとそこには1つの西洋人形が立っていた。
『ナニシテアソブ?ナニシテアソブ?』
「先輩・・・」
千夏は俺の腕にしがみつく。