『ナニガイイカナ?ナニガイイカナ?』
人形は笑うかのように俺たちに語りかける。
-物には魂が宿る、それが悪く変わったのが怪異だ。-
「説明ありがとな。だけど、今は話を聞いている暇はないんだよ。」
「先輩・・・」
千夏は心配そうに見上げてくる。
「大丈夫、こんなもん誰かが操ってんだろ。」
だけど、そんな事はなかった。
『ソウダ、オニゴッコニシヨウ。ソウシヨウ!!』
-大変になってきたな。-
「千夏、逃げるぞ!!」
俺は人形を蹴り飛ばし、店の入口を目指して千夏の手を引き走り始めた。
-何故、契約しない?-
「胡散臭いからだよ!!」
「先輩!!」
『オニゴッコ、オニゴッコ。』
後ろから声が響いてくる。
「あと少しだ!!」
扉が見えてくる、人形との距離もまだある。
これなら、
「開いた!!」
扉を開け、千夏と共に外に出る。
『アァァァァァァァァ!!ズルイズルイズルイ!!アァァァァァァァァァ!?』
人形は外には出られないらしく、中で表情を変えずに叫んでいる。
それがあまりにも不気味すぎた。
「行こう、早く逃げなきゃ。」
千夏の手を引き路地裏を歩く。