小説『Lost Magic』
作者:イズミ()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

『ナニガイイカナ?ナニガイイカナ?』

人形は笑うかのように俺たちに語りかける。

-物には魂が宿る、それが悪く変わったのが怪異だ。-

「説明ありがとな。だけど、今は話を聞いている暇はないんだよ。」

「先輩・・・」

千夏は心配そうに見上げてくる。

「大丈夫、こんなもん誰かが操ってんだろ。」

だけど、そんな事はなかった。

『ソウダ、オニゴッコニシヨウ。ソウシヨウ!!』

-大変になってきたな。-

「千夏、逃げるぞ!!」

俺は人形を蹴り飛ばし、店の入口を目指して千夏の手を引き走り始めた。

-何故、契約しない?-

「胡散臭いからだよ!!」

「先輩!!」

『オニゴッコ、オニゴッコ。』

後ろから声が響いてくる。

「あと少しだ!!」

扉が見えてくる、人形との距離もまだある。
これなら、

「開いた!!」

扉を開け、千夏と共に外に出る。

『アァァァァァァァァ!!ズルイズルイズルイ!!アァァァァァァァァァ!?』

人形は外には出られないらしく、中で表情を変えずに叫んでいる。
それがあまりにも不気味すぎた。

「行こう、早く逃げなきゃ。」

千夏の手を引き路地裏を歩く。

-6-
Copyright ©イズミ All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える