俺はこれで終わりだと思っていたんだ。
だけど、
「人が・・・いない?」
「どうなってるんだ?」
本通りに出てみると、人の気配が全くなかった。
町並みは変わっていない。むしろ、そのまま人が・・・
『ニンゲンダ、』
と、声が聞こえ振り返るとそこには騎士の石像が立っていた。
「ひっ!?」
千夏は俺の後ろに隠れる。
『・・・シツレイシタ、ムスメヨ。ワタシニハアクイハナイ。アンシンシテクレ。』
「・・・さっき、会った人形とは違うみたいだな。」
-怪異にはこういう奴も多い。-
うるせぇな・・・
『・・・オマエハマジュツシカ?』
「は?」
『オマエカラ、カスカナマリョクヲカンジル。』
-多分、私の魔力だろう。-
「いや、俺は魔術師じゃないしただの学生だ。」
『フム・・・ワカッタ。ワタシハ「エルス」キシノセキゾウダ。』
「そうか、よろしくな。エルス。」
『・・・オチオチ、アイサツモデキナイカ・・・』
エルスは背を向ける。
「ど、どうかしたんですか?」
『ムスメヨ、オソレルナヨ。』
『ヤァット、ミツケタァァァァ!!』
エルスの視線の先にはさっきの人形が宙に浮いていた。
『ミンナァァァァァ、ニンゲンダァァァァァァ!!』
人形が大声を上げると、周囲が一気に騒がしくなった。
『・・・ヤッカイナコトヲ!!』
エルスは石の拳で人形を砕く。
『ウギュウゥゥゥゥゥゥ・・・』
『ショウネンニゲロ!!』
-無理だ、囲まれた!!-
周りを見渡すと、そこらじゅうに人形や石像、剥製が囲んでいた。
-さて、どうする?契約者よ。-
・・・ってか、この状況じゃ限られてくるんだが・・・