小説『Short Stories』
作者:しゃる()

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【変な食べ方】

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「ゆーくん、その食べ方変だよやっぱり!」

「どこが?」

「ビスコ解体して食べるのはおかしい!」

「ああ、ばらした方が二枚食べれてお得なんだよ」

昼休みの教室、僕達はビスコの食べ方について議論していた。
といっても、河合さんが一方的に文句を言っているだけなんだけど。

「ゆーくんの食べ方はカレーライスのライスだけ先に全部食べてるのと一緒だよ!」

何故そこでカレーライスが出てきたのかはわからないけど、河合さんが言わんとしてることはわかった。

「いや、それは少し違う。僕のこれは、カレーライスのライスを少しだけ別に食べて、残ったライスにルーをたっぷり使っているという状態だ。」

つまり、ただのライスの味とカレーライスの味の二種類を堪能している。さらに、カレーによる辛さをライス単体で食べることで中和する意味もあるという計算された行動なのだ。
と、案の定河合さんは僕の言った言葉の意味を理解できていないようだ。首を傾げている。
しかたない、説明するか。

「ビスコは普通に食べれば一種類の味しかしない。でも、二つに分けることでクリームが少ないクッキーとクリームが多いクッキーに別れる。つまり、単純に二枚になるだけでなく、クッキーに対するクリームの比率が違う2パターンの味が楽しめるということだよ。わかった?」

「……うん、わかった」

河合さんは少し首を傾げたが理解してくれたようだ。よしよし、これでもう僕の食べ方に文句は言うまい。

「でも、ハンバーガーとかお寿司を解体して食べるのはおかしいと思うよ」

「……ぐっ!?」

僕は口に運んだビスコを落としそうになった。痛いところをつかれた……流石にそれはおかしいと自分でもわかっている。お寿司を解体してしまったらただの刺身と寿飯だし、ハンバーガーを解体して食べる人なんて聞いたことがない。僕以外に。

というか、なんで僕の解体癖をそこまで知っているんだよ河合さん……。

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