小説『Short Stories』
作者:しゃる()

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【神様】

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子供の時、夢が沢山あった。神様はいると信じていた。

少し大きくなると、現実を見るようになった。神様を信じなくなった。

大人になって、現実を受け入れるようになった。
神様は……


責任転嫁の対象だった。


神様を信じる人は、神様に何を求めているのか、神様に何を期待しているのか。
存在しないものにいくら期待してもしょうがない。

否、存在しないからこそ、いくら期待しても問題が起きない。

人は何かに縋る。先が見えない恐怖から目を逸らす様に。

神様とはなんなのか。

神様とは、私達の都合に合わせた、勝手な存在だ。

いくらでも設定を変えられるし、いくらでも能力をつけられる。そこにいないのだからいくらでも頼ることができる。

幸運なことが起きれば神様が助けてくれたことになるし、不幸なことが起きれば神様の気まぐれになる。

人はよく「人のせいにするな」と言うけれど、神様という存在を作った時から、人はもう、責任転嫁をする生き物になってしまったのだ。

人は、神様という便利な道具を使って生きている。

神様は、人間による人間のための集団妄想だ。

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