小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

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第十話 学園に迫る黒い影


Side クロラージュ

俺が魔力を高めているとき、次々と悪魔のような魔族が落とされていく。

「チャチャゼロと茶々丸と一十百か……やるな。 ん!」

目の前に魔族が降り立つ、魔力がたまりきっていない俺には……。

「イッテコイ十百!」

「はい! クロラージュさん、頭下げてください!」

俺の下げた頭の上を風が抜けていく……。

目の前には身の丈ほどの剣を持った一十百が魔族を両断していた。

「大丈夫ですか?」

「おうよ! もう少しだ!」

茶々丸とチャチャゼロが近くに降り立つ。

「意外ト多イジャネエカ」

「そうですね姉さん……。 !!第二陣来ます」

雲と見間違えるほどの量の魔族が空を埋め尽くす……。

「マスター、お願いします」

「ふん、見ていろクロラージュ!」

いつの間にかエヴァが俺の横にいて、聞いたことのない詠唱をしている。

次の瞬間、目の前の魔族の群れは地面に落ちて行った。

「相手は死ぬ。わかりやすい、良い魔法だ」

「会得したんだな。さすがだ…」

俺の魔力ももう少しで全力だ。

「第三陣来ます!」

「まかせるです」

俺の弟子である夕映が空から降りてきた。

「さよさん、あの魔族をなるべく一か所に集めてほしいです」

「わかりました」

一十百の後ろからさよが現れ魔族たちに手をかざした。

ポルターガイストの力で魔族が空の一か所に集められる。

「いまです!」

そこに向けて夕映の雷のような光弾が放たれ、魔族を粉々にする。

さて、きめるか。

「あそこだな…」

杖にため込まれた魔力を放つ。

黒い魔族の宮殿に向け、桁違いの炎の矢が降り注ぐ…。

「終わったな」

黒い宮殿は燃え上がり、そして塵になった。

「すごいです…」

「さすがクロラージュさん!」

「まさか、ここまでやるとはな」

振り上げた杖が俺たちの勝利を称えていた……。



「て、夢を見たんだ」

「夢落ちかキサマ―――――!!!」

「雷の光弾ですか」

「ぼ、僕は怖くて無理かな〜」

「そんな戦い今は起こりません」

「ツマラネエナ、少シ斬リ合イタイゼ」

「わたしもちゃんと出ていました、よかったです」

いや、こんな風な戦いってやりたいよな〜。

敗北しないなら HAHAHA


とにかく、これから仮契約者候補である、ちうちう、バカピンクのどちらかを探しに行ってくるか。

「それじゃ…」

「いってきまーす!」

先に一十百が出発していった。

ん?

どこに行ったんだ?

「エヴァ、一十百はどこに行ったんだ?」

「ああ、相坂さよの体を作れる人に会いに行くそうだ」

「誰だ、それ?」

「茶々丸の作り主の…」

「ああ、超と葉加瀬のふたりか」

「……なぜ知ってるかつっこまんぞ」

うあ、つっこみがなくなった。

「てかさ、作ってもらえるのか?」

「私は無理だと言った」

「だよな。で一十百の反応は?」

「……“友達のためですから、きっとわかってもらえます!”だそうだ」

一十百、その友達の過大解釈はやめたほうがいいぞ。

普通できない事も“友達ですから”でどうにかなると思ってなければいいけど…。


「そう言えば、学園長がお前を呼んでいたぞ」

「警備の事か?」

「その事かは分からんが…、面倒事だろう」

しかたないな。

あの妖怪爺の所へ行くか。



「すまぬの、こんなに朝早くから」

「いえいえ、別荘は昼ごろでした」

「そうか。コホン、実はな、この辺りに魔物がいるらしいのじゃ」

「…ボケたか妖怪」

「ひどい」

「それでなぜ俺を呼んだんですか?」

「魔物がいるら…」

「消し飛ばしてくれようか妖怪」

「ひどいじゃないかのう?」

「本当なのか?」

「本当じゃ。黒い大きな獣の姿らしい」

「結界はどうした、結界は!」

「抜けられた、のじゃろう」

おいおい、結界が弱かったか……。

それとも、その黒い獣が強いのか、どっちだ。

それよりも…

「その魔物はどこにいるんだ?」

「この辺り……そうじゃな、中等部周辺じゃな」

なんでだ?

魔力か、それとも人間以外がいるからか?

「とにかく、その黒い獣の退治をお願いしたい」

「いくらだ?」

「このくらいじゃな」

「よしのった!!」

即答ですよ。わるいか!

高いんだよ、金額が高いの!

引き受けるしかないよ HAHAHA



ということで中等部のあたりを詮索しています。

「獣、黒い獣? 狗族か?」

ああ、確か小太郎君が原作で黒い犬になってたな。

しかし、まさか狗族が来ているとも思えないしな〜。

何なんだろ黒い獣って。

「あれ〜、お兄さん何やってるの?」

振り返ってみると、バカピンク……もとい、佐々木まき絵がいました。

なんだこの展開?

「ちょっとばかし噂の獣をね」

「噂の獣?」

しまった!

魔法関係のことだったか?

「黒い風の噂かな?」

「黒い風の噂?」

「うん、夜になるとこの通りをすごい速さで黒い風が駆け抜けるんだよ」

例の獣か……。

よかった、一般人にもばれてて。

「多分それだ」

「なら夜じゃなきゃ現れないよ」

しかたない、夜まで待つか。

……バカレンジャーの一人を信じて大丈夫か?



Side 一十百

「と、言うわけでぜひお願いしたいんです」

ここって、ほんとに学校かな?

見たことのない機械がいっぱいなんだけど……。

「確かに可能ですけど…」

「ぜひお願いします」

「そうネ。茶々丸のボディのプロトタイプがあったはずネ」

「ありましたね」

「その中にその藁を入れれば完成ヨ」

「動力源は……必要ないんでしたっけ」

「は、はい。たぶん自分で動かせると思います」

「大丈夫だそうです」

「誰と話してるネ?」

「えと、その体を使う人です」

「…幽霊カ?」

「はい!」

「なぜそんな満面の笑みで答えるんでしょうか?」

「ま、まあいいヨ。それで、顔はどんな感じネ?」

「あ、そうでした。ちょっと待っててください」

メモ帳にさよさんの似顔絵を描きます。

「はい!」

「……うまいです」

「確かにうまいネ」

えへへ、褒められました。

これで、さよさんにも友達がたくさんできそうです。

「データだけは取らせてください」

「? はい!」



Side クロラージュ

夜、中等部の桜並木。

ここって、吸血鬼の噂が流れるところだよな。

噂の桜並木にならなければいいが…

「あれ? お兄さん、本当に来たんだ〜」

佐々木まき絵がいる…。

よろしくない、まことによろしくないぞ!

魔法が使えないじゃないか!!

「ちょっと待った。こんな時間に出歩いていいのか?」

「えへへ、ヒミツにしておいて」

可愛くウインクしやがって……。

全く……。

そういや、うわさ好きの麻帆良のパパラッチはいないのか?

「朝倉和美っていうのが来るかと思ってたんだが…」

「ああ〜。今日は来てないね」

昨日はいたのか?

というか“朝倉と知り合いだったの?”とかいうのはナシか……。

さすがバカピンク。


「危ないんじゃないか? 俺はともかくとして…」

「そうかな〜? きっと大丈夫だよ」

なんてノー天気な。

相手は学園の結界を抜けてきた強者だぞ(知らないだろうけど)。

ケガじゃすまない可能性だってあるんだぞ。

説得は……無理そうだな。

どうしたものか。



Side 竜宮

今回の任務はなかなか難しそうだな。

数は……100、いや150か。

これなら追加料金をもらってもよさそうだ。

「ずいぶんな数だな」

横にいる刹那も驚いているようだな。

黙っていても敵の数が減るわけでもない。

「そろそろ始めるとしようか」

「そうですね」


今回は見学者として一十百君がいる。

彼は回避に置いて絶対の実力を持っているから、一安心だが……。

あれだけの攻撃で無傷というのだから、攻撃の才能もあると思うのだがな。

「この位置からなら……ん?」

なんだ、次々に敵の数が減っていく……。

黒い、何かが敵を喰らっている?

「どうした竜宮?」

「分からないが、獣のようなものが侵入者を喰っているようだ」

「なに!」

いったいあれは……?

!! 消えただと!

「あ! この感じ…」

後ろの一十百君が辺りをうかがっている?

「どうかしたのか?」

「はぁぇ! えと、いま…」

彼の言葉を聞く前に巨大な力の気配が学園の方に向かっていった。

「しまった!」

「やっぱり! 僕が追いかけます!」

「待て君は……」

すでにそこには一十百君はいなかった。

「竜宮くるぞ!」

「後ろの心配をしているときじゃなかったね」

一十百君、心配だが君に任せるよ。



Side クロラージュ

おいおい、いくらなんでも黒い獣っていうにはデカすぎやしませんか?

「なに、あれ? 黒いワンちゃん?」

バカピンクよ、現実逃避するな。

せめて逃げてくれ。

俺も逃げるから。

「グルル…」

今俺の前にいる獣は全長8mくらいの黒い犬、いや狼か。

体から恐ろしいほどの魔力、いや気が出てやがる。

どこの魔物だよ!

式神だろうけど、こんな強そうなやつが例の噂の獣だったとは……。

「あれが黒い風? えっと、あぶないよねぇ」

「言わんこっちゃない。動くなよ、変に動くと襲いかかってくるかもしれないからな」

「そ、そうする」


とはいえ、勝てるか?

魔法が使えない時点で勝てないよな HAHAHA

こうなったら、佐々木まき絵を裏の世界に引き込むの覚悟で魔法を使うか!

それに認識阻害があるから平気かもしれないな。

ついでにバカレンジャーの一人だし。

よしいける。

「これからちょっとしたマジックであの犬を追い払うから動くなよ!」

「へ、マジック? よくわからないけどわかった」

わかってないな、まあいっか。

「コル・コスト・ラス・ラージュ・エスタルロージェス 魔法の射手(サギタ・マギカ) 火の12矢(デュオデシム・イグニス)!」

悪く思うなよ、黒い犬。

多少のけがは覚悟してくれ。

そして……、俺の放った火の矢は犬に喰われた。

喰われた?

てか何喰ってやがる!

「ガウ」

ごちそうさまでした、って言ったな確実に。

頭下げてるし。

しつけが行き届いてるな、あの犬。

「ってそこじゃない! ならば コル・コスト・ラス・ラージュ・エスタルロージェス 魔法の射手(サギタ・マギカ) 火の40矢(クアドラギンタ・イグニス)!」

今度のは喰らいきれまい!

俺の炎の矢は黒い犬の……しっぽに防がれました(笑)

普通のワンちゃんなら火傷じゃすまない一撃なのに……。

この黒い犬無傷だし。

「追い払えないね・・・」

そんな心配そうな目で見るなー!

しかたないな、これだけは使いたくなかったが…

「佐々木まき絵」

「なに?」

「1,2,3で逃げるぞ」

「逃げるの?」

「いや、危険だし」

「そうだね」

「いくぞ! 1,2,3!」

振り返った先に黒い犬が……あれ?

 クロラージュはにげだした
 しかし、まわりこまれてしまった

ハグァ!

電波が、いやそんなこと言ってる場合じゃ…

「あれ、回り込まれた後って相手のターンだっけ?」

「そうだな。けど、よろしくないぞ…それは」

黒い犬も空気を読んだらしく…

「ガァウ!」

と吠えると飛び掛かってきた!

まずい、このままじゃ、二人まとめて…


「ポチ! お座り!」


今の声は……一十百か!

て、黒い犬が綺麗にお座りしてるし!

「間に合ってよかった〜。おいで」

黒い犬が一十百の前まで行ってしっぽ振ってるよ。

「一十百、その犬って…」

「は、はい。僕の家で飼ってるポチです」

「なぜここに?」

「おなかが減ったらしいです。ダメだよ変な鬼みたいなの食べちゃ」


その後、竜宮から聞いた話によれば……式神の大半が喰らわれていて、仕事がやりやすかったらしい。

さっき言ってた変な鬼ってそれの事か!

一十百、せめて首輪くらいつけといてくれ。

ひもで繋いでおいてくれないと、被害が…

「あれ? 鎖でつないでおいたんだけど?」

「ガウ」

「おなかが減って食べちゃった? 今度からはもうちょっとご飯を多くするね」

「ワオォーン!!」

もういいや、後で学園長から金もらおう。


「撫でていい?」

佐々木まき絵、お前は大物になるよ。

間違えない……。

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魔法先生ネギま!(1) (講談社コミックス―Shonen magazine comics (3268巻))
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