小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

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第十一話 少年先生到着


Side クロラージュ

「一十百、コイツはなんだ!」

「へぁぅ! えと、ポチです」

「ガウ」

なんかエヴァハウスにポチがいる。


エヴァが連れて来いって言ったらしいけど、こんなに大きいとは思ってなかったんだろうな〜。

連れて帰ってきたときエヴァがポカ〜ンとしてたもんな。

「まあいいじゃないかエヴァ。面倒は一十百がみるんだし」

「まあそうだが、問題はそこではない!」

問題なんかあるのか?

食費は一十百がどうにかしてるし、その他の世話も一十百がどうにかするだろ。

「何が問題なんだ? 学園長からの風評か?」

「それもあるが…。クロラージュ、あの犬を見て分からないか?」

「あれは黒い狼と言いたいのか? どっちも変わらないぞ」

「そうではない! 流れ出る気の量が尋常ではないのだ」

確かに。犬だから多いんじゃないか、とかそんなのじゃないよな。

どれくらいかと言うと、気=魔力だとしたら、流れ出る量で常に白の炎が撃てるクラス。

恐ろしいな全く…。

「確かにただの犬じゃないよな……。なんだあれ?」

「一十に聞くか。おい一十!」

向こうの方にいたはずの一十百がいつの間にか目の前に来ていた。

縮地法か? 

いや、魔力や気は使えないから、ただ走っただけか……。

この純粋チートめ。

「はい、なんですか?」

「ポチだが、どこで拾った?」

拾った確定なんだ……。

「ふぇ? えと、たしか…」

なんか回想シーンが入りそうだな。

「お茶をご用意しますか?」

「ナイスだ茶々丸!」

さてと、ゆっくり聞きますかな。



Side 一十百 回想

今、僕は京都にいます。

かけっこしたくて、車と走ってたら京都まで来ちゃいました。

えへへ……。

まだ小学4年生の僕にはちょっと遠いお散歩になっちゃった。

「どこだろ〜。グスン、おうちに帰りたいな〜」


迷子になったときは、橋の下に行くといいんだって。

親切なおじさんが紙でできたおうちに住んでるらしいんだ。

「でも、橋すらないよ。どうしよ……」


迷ってるうちに大きなお寺に着いちゃいました。

ロープに白い紙が貼ってあって入れないようになってるけど…

「僕なら平気かな? 迷子だし」

中に入ってみると古い建物が一つあって、中から“グルル…”って声が聞こえたんだ。

僕はワンちゃんって好きなんだ、ニャンニャンも好きだよ。

えと、それで紙に何か書かれている物がいっぱい扉の所に貼ってあったんだ。

これってお札っていうんだよ。

それで、みつけたら絶対にはがしちゃいけないんだ。

絶対にはがしちゃいけないんだ。ぜったいにだよ。

「えと、たしか……。フリですね、わかります!だったかな?」

ぺりぺりーって全部はがしちゃった。


はがし終えると勝手に扉が開いたんだよ、僕知ってる! 自動ドアだよね。

「中に誰かいますか〜」

「グルル、ガァァ!」

「ひあ!」

中には黒いワンちゃんが鎖につながれてたんだ。

鎖にもたくさんお札が付いているみたい。

「ガァ!」

「うぅぅ、なんか怒ってるみたい。そっか、お散歩に行きたんだね!」

頑張って鎖のお札をはがしていきました〜。

テレビとかでお札をはがすとバリーンってなって封じ込められていたあくりょーさんがお外に出られるらしいんだ。

「もうちょっと待っててね」

「グル?」

ワンちゃんもお外に出られるみたいで喜んでくれました。

後は、ワンちゃんの額のお札だけだね。

「えと、ポチ! ふせ!」

「グル?」

あれ?

ワンちゃんふせてくれない、なんでだろ〜?

「えとね、ふせはうつ伏せになるんだよ」

「? ガルル」

「じゃ、もう一回、ポチ! ふせ!」

「ガウ」

やった〜。伏せてくれた。

じゃ、最後の一枚をはがそ〜。

ペリッ…。

バリン、バリン、カラカラ……

「ほぇぁ!鎖が吹き飛んじゃった、びっくりした」

「グアァァ!!」

「耳がぁぁうぅ。でも、ポチ! お座り!」

「ガウル?」

「お座りだよ!」

えへへ、ワンちゃんにお座りさせるのって夢だったんだ。

「グルル…」

「ポチ! お座り!」

「ガウ」

やったー!!!

「これで僕と友達だね。僕は一十百だよ、よろしく!」

「……ガウ。ワルルウォォォン!!!」

「うん、よろしくねポチ」

おうちまでポチに乗せてもらったんだ。

においでわかったんだってすごいな〜。



Side クロラージュ

「っていうことがありました」

つっこみたいが、エヴァと夕映が全力を持って止めてるから、つっこんじゃいけないんだな。

「そ、そうだったんだ。まあ、いい話だったな」

「えへへ、褒められちゃいました」

「ガウ」

「あ、お散歩にいってきます」

そういって一十百とポチと頭に乗ってたチャチャゼロがでていった。

よし!

「エヴァ、夕映、つっこんでいいか?」

「そうだな」

「ずいぶん我慢したです」


よし、息を吸い込んで…

「いや散歩のレヴェルじゃないし!」

「そこか! 橋の下の紙の家に住んでいるおじさんが、いい人と言う解釈は!」

「立ち入り禁止らしきところに入る口実が“迷子”と言うのもすごかったです」

「てかフリってなに! 自分で振ってたじゃん!」

「札をはがして勝手に空いた扉を自動ドアと言っていたぞ!」

「あくりょーをわざわざ散歩に行かせてました。すごいですね」

「そして、あの狼をポチ! しつけまでした!」


よし、このくらいか。

ふぅ〜。

エヴァも夕映もつかれきってるな。

「どうするエヴァ」

「私に聞くな」

「どうする夕映」

「私ですか?」

どうしよ。

てかさ…

「エヴァ、今の話からして、あれはなんだ?」

「寺1つを使ってまで封印するつもりだった狼か。しめ縄、扉の札、鎖、そして額の札……。これだけ厳重に封印する予定だったんだ。ただの式神程度なわけはない」

「下手すると伝説級の魔物か何かか?」

「八岐大蛇とか九尾の狐とかと同じ部類ですか? 恐ろしいです」

「確かにな。単独だったらどれほど危険だったか分からないが…」

そうなんだよ、今は一十百と一緒なんだよな。

どうやったかは分からないけど、友達らしいから大丈夫と思ってしまう俺がいる。

「もしかすると、一十百があの狼の力を抑えてるのか?」

「それはない」

「さすがにないです」

だよね〜。

まあ一応安全だし、一十百にまかせるか。


さてと…後は、佐々木まき絵か……。

あの時、魔法使っちゃったもんな。

さすがにマズイよな〜、学園長になんて言われるか。

「エヴァ、魔法がばれるとマズイ…よな」

「フッ、マズイのは学園の奴らだけだ。キサマには特に被害もないだろう?」

「オコジョ生活が…」

「そうはならないだろう。最悪、学園の責任にすればいい」

そうか、そうだな。

「心配性ですね」

「そりゃ、エヴァは大丈夫だけど夕映はオコジョになる可能性があるんだ。弟子として守ってやりたいじゃん」

「////だ、だだ大丈夫です。そこまで師の手をわずらわせないです」

顔を赤くしながら手をブンブン振られてもね〜。

可愛いから許す。

仕方ない、途中経過でも話に行くか。

「ちょっと学園長の所に行ってくる」


「と言うわけで来たぜ学園長」

「なにが“と言うわけ”なのかは分からぬが…。どうしたのじゃ?」

どこから話そうか…。

そうだ、ここは一十百が使ったあれを使うか!

「実はな…」


かくかくしかじか


「なんだよ」

「なるほどのう、さっぱりわからん」

やはりだめか。

しかたないな、ここは押し切るか。

「砕けろ妖怪」

「ひどいじゃないかの」

よし、押し切った。


「そうじゃった。君にまだ話してないことがあったのう」

「話してない事?」

……ネギ君か!

しまった、いろいろあって日にちの計算がずれた。

「新任の先生の事だろ」

「ふぉっ、知っておったのか?」

「まあな。サウザンド・マスターの子供、ネギ・スプリングフィールド」

「そうか、そこまで知っておったのなら…」

「協力してやる! ただし、条件がある」

「金かのぉ?」

「いや、ネギ君が来たとき俺を紹介しておけ」

「なぜじゃ?」

「きにすんな。とにかく、それだけでいい。それで協力してやる」

「ふむ、まあいいじゃろ」

よし。これで原作介入できそうだ。待っていろネギ君!


そして次の日…。

学園長から連絡があった。

来たかネギ君。

俺は学園長室のドアを開ける…

「おお、きてくれたか」

「黙れ妖怪」

「ひどいじゃないかのぅ」

さてと、学園長にあいさつしたところで…あの子がネギ君か。

小柄だが、将来有望性のある顔をしてるな。

恐るべしイケメンの息子。

「君がネギ君か。よろしく」

「はい、よろしくお願いします」

ん? もっと世間を知らないガキかと思っていたが、礼儀正しいじゃないか。

見込みがあるぞ。

だてに、原作ハーレムになってないな。

「さて、自己紹介だな。俺の名はクロム・クロロ・クロラージュ、偉大な魔法使いだ」

「い、偉大な魔法使い…」

「どこがじゃ?」

「灰にするぞ妖怪」

「さっきからひどくないかのぅ…」

いや、あいさつ、相槌のようなものだ気にするな。

「えっと、僕の名前はネギ・スプリングフィールドです。よろしくお願いします」

「よろしく」


あれ?

たしか、原作では明日菜と木乃香がネギ君を連れてくる予定じゃなかったけ?

なんでいないんだ。

「ネギ君、一人でここまで来たのか?」

「? はい。日本は人が多いですから大変でした」

あれ?

なんか、ずれてね?

やばくね、これはやばくね……。

「妖怪、もとい学園長! ネギ君が担当するクラス名簿を見せてくれ!」

「どうしたのじゃいきなり」

「いろいろとな…、とにかくみせろ」

学園長からクラス名簿をもらう。

開いてみると……。

よかった、メンツは変わってない。

しかし…、どことなく違く見える。

まあいいか、なんとかなるだろ、これくらいなら。

「ふぅ。ネギ君、新しいクラス頑張れよ。俺は応援してるぞ」

「は、はい。ありがとうございます」

「それじゃ学園長、俺は帰らせてもらうからな」

そういって退出する。

いろいろずれたか? 

こうなったら、エヴァ、茶々丸、夕映に協力してもらうとするか。

よし、クラスの方にも行ってみるか。


ここだな、ってすでに黒板消しのトラップが仕掛けられてる!

ネギ君のためにも外しといてやろうか、いやここは自力で乗り越えるんだ。

それに、俺はのぞくだけだし。

のぞいてみると、知った顔が結構いた。

いつものメンツもそうだが、実際に見てみると美人が多いな。

いつかこのクラスを俺の手中に……できないな。

無理だから狙いでも絞っておくか。

「何やってるです」

「うわ! 師の背後を取るとは……やるな夕映」

「…そういう事ではないです」

「わかってるって。さてと新しい先生が来るのは知ってるな」

「知ってるです」

「見ればわかると思うが、魔法使いだ」

「ふつうじゃないですね」

そこに気が付くとは、さすがだ。

「ああ、いろいろ問題が起こるだろうから“生徒”として助けてやってくれ」

「先生の態度等によるです」

ああ、ガンドルフィーニ先生のせいですね。

しかたないんだよ、そういう風に教育されたんだから。

「とにかくたのんだ、エヴァとか茶々丸にも…」

「私がどうかしたか?」

「フッ、俺の後ろを取るとは、さすが我が妹」

「誰が妹だ!」

蹴りは、飛んでこなかったか。

「何の話だ?」

「新しい先生の事だ、詳しいことは夕映から聞いてくれ」

さて、帰るか。

エヴァハウスだけど。



Side 一十百

新しい先生が来るんだって〜。

あ、今は学校にいます。

僕もこの時間は学校にいるんです。


テストの点は…80〜95くらい、かな。

「ケケケ、俺ハコノママデイイノカ?」

「大丈夫です、なんとなくですけど」

ゼロさんは僕の上にいます。

ついでに男子校です。


初めてここに来た時には…女の子と間違われたんだよね。

友達は……少ないんだ。

作ろうとしないわけじゃないんだよ、その……なんかみんなの目が危ないんだよ。

こう、ハイライトが消えてたりするんだ。

「よ〜し、お前ら〜、席につけー!」

あ、先生が来た。

この先生、僕の事を女の子と完全に間違った先生だ。

そして僕の名前が読めなかった先生だなぁ。

えへへ、でも嫌いになれないんだけどね。

「今日は、新しい先生がいらっしゃる。みんなきちんと…」


「オイ、新シイ先生ッテドンナノダ?」

「ほぇぅ! 喋っちゃダメです」

「安心シロ、腹話術ダ」

「そうなんですか……。あ、僕がやってるんですね」

「ソウイウコトダ」


「では、入ってきてください」

案内されて入ってきたのは……金髪のお姉さんでした。

あれ? この感じ…

「あのひと…魔法使いさん?」

「ソウミタイダナ、ナンデココニ来タンダ」

「こんにちは、イギリスのウェールズから来ましたネカネ・スプリングフィールドです。みなさんとは英語の授業で一緒になります」

「変わった名前だね〜。イギリスの人だからかな?」

「ケケケ、コイツハ面白イナ」

「?」

「すぷりんぐふぃーるどッテ言エバさうざんど・ますたート同ジジャネエカ」

「それって、エヴァさんを封印している人の…」

「ソウイウコトダナ」

エヴァさんに言った方がいいのかな?

でも言っちゃうと、うがー、って言って襲いに行っちゃうのかな?

「御主人ニ報告シロヨ」

「はぅ! やっぱり、しなきゃだめですよね」

「ケケケ、ソレハソウダ」


エヴァさんが“うがー”ってならなければいいな。



Side 夕映

あれがクロラージュさんの言っていた魔法先生ですか。

十歳くらいにしか見えないです。

いくら頭が良くても世間を知らないのはあまりよくないですから…

「エヴァさん、あの先生がピンチになったら……。エヴァさん?」

エヴァさんの機嫌が悪そうです。

あの先生に関係があるのでしょうか?

「…ナギめ!」

怖いです。

さわらぬ神にたたりなしです。


そういえばさっきの黒板消しのトラップの時、不思議に思った人が結構いたようです。

障壁くらい消しておくべきだと思うのですが……。

それよりも、何か嫌な予感がするです。

十百さんではないですけど、私の友達になにかありそうな予感が……。

「気のせいですね。仮にあの先生がノドカを泣かせるようなことがあれば…」

私の全力を持って頭を下げさせるです。

「お、おい夕映。魔力と殺気を少し押さえろ、あのぼーやが怖がっている」

しまったです。

無意識に魔力を高めてしまったです。

あとでお話しすることになりそうですね。

「クロラージュさん、生徒として手伝うのが早くも無理そうです」

仕方がないので、思いっきり魔力を高めたです。

そのときのネギ先生の表情は忘れられそうにないです。

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