小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

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第十二話 テストに向かう少女達


Side クロラージュ

「それで、早くもばれたと」

「ごめんなさいです」


夕映め、そうそうに正体ばらしてどうするんだ〜。

重要なカードを一枚切っちゃったよ。

優秀な弟子だと思ってたけど、こういうところがあるからな。

まあ、しょげてる夕映が可愛いから許す。

それに、茶々丸が“その時のネギ先生の表情です”っていって写真をくれたし。

正直、ふいた。みごとに目がウルウルしてるし……。

「まあいいさ、笑えたから」


問題は……一十百の持ってきた情報。

ネカネ・スプリングフィールド、ネギのお姉さんだよな。

あれ、従姉弟だっけ?

まあよくわからないけど……。

なぜここにいる?

まずいぞ、かなりずれてきた。

「一十百、間違えないんだよな」

「はうぅ、ま、間違えないですクロラージュさん」

原作ではウェールズにいるはずだろ?

ネギが心配になったか?

それとも学園長の陰謀か?

考えてもわからないな。

よし、学園長に聞きに行くか。


「というわけで来てやった」

「なにが……このセリフ、前にも言わんかったかのう?」

「いや、気にするな。それでな、ネギ君って本当に一人で来たのか?」

「そのはずじゃが……、どうかしたかのう?」

学園長の反応から見て本当に知らないみたいだな。

「いやなに、イギリスからここまで一人で大変だっただろうと思っただけだ」

「そうじゃな、まだ十歳の子供じゃからな……」

なんだよ学園長、そんな罪悪感に苛まれたような表情して?

訳ありなのは知ってるけどな。

「まあいい。面倒なことがあったら俺に言ってくれても構わないぞ。ネギ君の事なら無料で手伝ってやる」

「ほ、これはいいこと聞いたわい。そのうち頼むとしようかの」

やば、変な約束しちゃったな……。

まあいいか。

ネギ君に関っていれば、ハーレ……ゲフン、もとい原作介入できそうだからね。



Side ポチ

「ガウ」



Side エヴァ

今、私の前のポチのSideは必要あったのか?

「マスターが変な電波を受信しました」

「御主人モ、ズイブントナジンデキタナ」

この人形従者め、言いたいこと言いおって。

この頃あの二人に振り回されているが……。

まだクロラージュは目的がはっきりしているぶん、わかりやすい。

「しかし、一十はなんだ! 特に目的もないだろう!」

つい叫んでしまったが、それくらい奴の、一十の行動目的が分からん。

可能性としては、友達のため、が一番高いのだが……。

それだけで本当に動けるのか?

「ケケケ、御主人。十百ノココニイル目的ヲ知リタイノカ?」

「ああ、そうだ」

いったい何のために…

「御主人ノ無力化ダト言ッテイタゼ」

「私の無力化だと?」

なぜチャチャゼロがそんなことを……そうか! 

いつも頭の上に乗ってたためか!

「それで、私の無力化と言うのはなんなのだ」


「ただいま戻りました〜」

!!ちょうどいい所だな。

クックック、私の無力化とやらをしっかり説明してもらうとするか。


「姉さん、マスターの無力化とは?」

「適当ニ言ッテミタダケダ」

「一十百さん、お疲れ様です」



Side 一十百

帰ってみると、エヴァさんがニタァ〜って笑ってました。

なんか、い、いやな予感がします。

「えと、あの、どうしました?」

「フッフッフ、私の無力化か。随分と大胆だな一十百」

はう、正式名称で呼ばれました。

これは、マズイです。

「えと、その〜、今日はこれで…」

まず逃げないと…

「逃がすか!」

「ぐえぅ…」

エヴァさんの反応が恐ろしいほど速かったです。

「はぅぅ、エ、エヴァさん〜……」

「安心しろ、正直に話せば「切リ刻ンデヤル」……ん?」

「ひぅ! な、何のことですか?」

「おいチャチャゼロ、勝手に割り込んでくるんじゃない!」

「ケケケ、御主人ノ無力化計画ハ順調カ?」

「あれ? なんでそのことを知ってるんですか?」

「……本当ニヤッテタノカ?」

あっ、ゆ、誘導尋問!

ゼロさんすごい!じゃなかった。

……はうぅ隣のエヴァさんからくろ〜いオーラが出てる。

「ほう、本当だったのか。ユックリ聞かせてもらうぞ、ソノ計画」

エ、エヴァさんの口調がゼロさんみたいになってる!!


それで、今僕はギザギザの氷の上に正座させらてます。

拷問器具ですこれ…。

「さて私の無力化計画について話してもらおうか」

エヴァさんがニタァって笑ってる。

でもこれって、えと、シラを切るシーンなんじゃ?

よし!

「口が裂けても言うものか!」

「ほう、いい度胸だ」

エヴァさんが氷の板を持って……えと、作り出していました。

「100枚がいいか、111枚がいいか?」

「エヴァさん、枚数に加減がないですよ〜!」

「なら言え」

「この身が朽ちてもこの秘密だけは…」

ズシン…

エヴァさんの横に氷の板が積み上げられてました。

「ほう、ずいぶんと強情だな?」

「ひぁ! そ、その枚数はおかしいです……」

だって、390枚なんだよ。

分かりやすく“390枚分”って書いてあるからわかるんだ〜。

「私を無力化することに何の意味がある?」

「えと、ですね、僕はよくわからないです」

「どういうことだ?」

「クロラージュさんが“エヴァの無力化計画も着実に進んでいる。なし崩し的に妹ポジションまで…”って言ってたので…」

「………」

「エヴァさんも知って……たんじゃないんですか?」

「フフフ、よくやったぞ一十」

あれ? 氷が消えちゃいました…。

でもエヴァさんのくろ〜いオーラが前よりも増えてるみたい…。

「クロラージュさん、その、気を付けてください」


そのあとだけど、クロラージュさんがさっきの僕と同じことをやってました。

でも氷にとげが付いてて痛そうでした〜。

「ケケケ、御主人モカナリノリノリジャネエカ」

「面白いんですか、ゼロさん?」

「アマリ深クハ考エルナヨ」

「はい。そうします」


「さあ、答えろクロラージュ!」

「ことわ…ギャァァァ!!!」

「30枚ほど追加してやろう」

「妹のくせにドSとは……反則…ギャアウアウウアウ!!!」

「さらに20枚くらい追加してやろう」


その夜、クロラージュさんの叫び声が途絶えることはありませんでした。

でも秘密は守ったんだって!

かっこいいね〜。



Side クロラージュ

ううっ、足が痛い。

昨日はかなり辛かったな。

正直死ぬかと思ったよ……。


帰ってきたエヴァが言っていたんだが、もうすぐテストなんだそうだ。

うん、俺には関係ないんだよ。

本当ならネギ君もバカレンジャーを連れて頭のよくなる本(笑)を探しに行くはずだから……。

でも、ずれた。

見事に……、だってここに…

「今回のテストは頑張るです!」

「そうだよね、ネギ君のためだもん!」

ここにブラック(夕映)とピンク(まき絵)がいる。

なぜだ、どうしてこうなった!

「ゆ、夕映。そのさ、図書館島の魔法の本をとりには…」

「そんなものに頼るつもりはないです!」

夕映、いつからそんな熱血キャラに……。

なんでだ?

俺の弟子だからか、俺熱血とは程遠いけど。

「そんなの探すより、普通に勉強した方がいいって」

まき絵まで…。

お前はかなりのヴァカではなかったか?

レッド程じゃないけど……。


「やばい、ヤヴァイな。かなりずれはじめてる」

「それよりも、なぜここで勉強している」

エヴァハウスだもんね〜。

さすがに別荘を使うわけにはいかなかったさ。

まき絵は“まだ”一般人だからね。

「エヴァさんは勉強しないですか?」

「今回ビリになるとネギ君が先生を辞めちゃうんだよ!」

「ぼーやがどうなろうと知ったことでは…」

「エヴァは勉強してもダメなんじゃないか?」

「ほぅ、それはどういう意味だ?」

「いや、バカレンジャーのメンバーチェンジとかな。バカパープルとか」

「キサマ、この場で引き裂いてやろうか」

やべ、なんか怒らしちゃった。

ここは、穏便に。

「いやほら、エヴァがクラスからバカにされるのは兄としてよろしいことではないからな」

「いつキサマが…」

「それに、褒めてやりたいじゃん。よく頑張ったって、こうなでなでして」

「////なに! ほ、本気でやるつもりか?」

「もちろん、頑張ったならな」

「今の言葉、確かに聞いたぞ!茶々丸、私たちも勉強するぞ!」

「わかりましたマスター」

なぜかわからんが、やる気を出してくれたようだな。

これで、ネギ君の負担も少しは軽くなるだろう。

「クロロさん」

どうしたんだ夕映?

そんな風に俯いて?

「その、私も……頑張るです」

そうか、いいだろう。

「安心しろ夕映、ちゃんとなでなでしてやる」

「////き、期待してやるです」

うん、可愛いから許すしかない。


ということで、今エヴァハウスは猛勉強会なわけだ。

俺は見てるだけ。

中学生の勉強って難しいじゃん。

俺だってわからん。

「『私はこの本を読みました』を英文にすると…」

英語か、懐かしいな。

「I readed this book でしょうか?」

「あれ夕映ちゃん、読むの過去形ってreadedだっけ?」

「過去形ですから-edのはずです」

そうだっけ?

俺も曖昧だな。

えーと、read readed readed readingだったか?

そうだったな。うん、間違えない。


「こんにちは〜」

お、一十百が来たな。

「あれ、勉強中ですか?」

「そうです、今は英語です」

「難しいんだよ〜」

そういや一十百って頭いいのか?

「あ、夕映さん。readの過去形はreadedじゃなくてreadです。不規則変化なんですよ」

どうやら頭がいいようだ、ちくせう……。

「そういえば、エヴァさんも頑張ってるんですね」

「当たり前だ、一応クラスの一員だからな」

さっきとは打って変わって……ま、いいけど。

「その、クロラージュさん…」

「ん? なんだ」

「クロラージュさんはお勉強しないんですか?」

ガウァ―! まさか一十百からくるとは……。

だが俺にはそんなことする…

「せっかくだ、キサマたちもやれ。一応中学生だろ?」

「はい、頑張りましょうクロラージュさん!」

逃げられね〜。



それでな……。

おかしいんだよ。

いつの間にか、バカレンジャーがそろってるんだ。

なぜだ!

「気にするなでござる」

「そうネ。細かいことは気にしてはいけないヨ」

「バカネギのためだから仕方なくよ!」

「エヴァ、おまえ友達多かったんだな」

「なぜこうなった?」

エヴァにもわからないか……、俺にもわからん。

「リーダーから聞いているでござるよ、よい師を持ったと言っていたでござる」

「!!いいい言ってないです///」

あらら、夕映が口を滑らせたのか。

まあいいや。

「このままだと私たちがテストで足引っ張っちゃうから…」

「ココで勉強させてもらうネ」

「だ―――、なぜここなんだ!」

「気にしてはだめです」

「そうだよエヴァちゃん」

だめだこりゃ。

完全に勉強モードだ。

ネギ君もかなり楽できそうだな。

俺は楽できないけどね。


さてと、これだけバカレンジャーが全力で勉強に挑めば……。

ん?

「わからないです」

「わからないよ〜」

「わからないでござる」

「わからないネ」

「わからないわよ」

ヴァカレンジュァアーを期待した俺が馬鹿だった。

だが、こちらにも秘策がある。

エヴァ、茶々丸、一十百の三人がいる。

何とかしてみせるさ!


俺? わかるわけない!

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