小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第十五話 桜並木の吸血鬼事件


Side クロラージュ

世界の修正力のすごさには恐れ入った。

どうやら、吸血鬼の噂が流れてるらしい。

しかも、ネギ君はエヴァだと感じ取ってるとか。

「どうするか迷ってたけど、ほっといても大丈夫そうだな」


たしか、今日エヴァとネギ君の戦いが起こるんだよな。

本屋ちゃんを狙ったエヴァがネギ君に気付かれて戦うことになるのか。

まあ、負けないだろ。

茶々丸もいるし。

俺はそれまでは昼寝でも…

「誰だ! 真祖の姫君などしらん!!!」

「ふぇぇ、アルクさんって人だったんです。このあたりの公園に〜」

「そんなものがいれば私が気付くだろ!!」

「そ、そんなぁ〜」


ああ真祖の姫君にあったんだっけ?

あのアルクだよな…、どうやってあったんだ?

えーと一十百言う通りなら…

1.ネギ君と着物姿の木乃香に会う
2.世界樹広場のあたりで二人と別れる
3.気が付いたら公園にいる
4.アルクと、たぶんネロだろうけどと会う
5.ポチの遠吠えで光の空間が出てきて、気が付いたらエヴァハウスの前

どうやって行ったんだ?

さっぱりわからん。

エヴァに血を吸わせてみたけど一十百に変わったとこはなかったし……。

放っておくか。


今はそれよりも今日のことが気になる。

さすがに本屋ちゃんは気が付かないだろうけど、何が起こるかわからないからな。

心配だ、エヴァもネギ君も。

そう言エヴァ……ちがったそう言えば今日は身体測定の日じゃなかったっけ?

「エヴァ、学校いかなくていいのか?」

「今はそれどころじゃない! 私以外にも真祖がいるんだ、それもかなりの大物らしい」

「ああそうだな…」

まさか別世界の人です、なんて言えないよな……。

まあ、それっぽいことを言ってごまかすか。

「エヴァあのな、その真祖の姫君はここにはいないぞ」

「……どういうことだ」

「噂だが、異世界を渡り歩く力がある真祖の姫君がいるらしい。その渡り歩く力からアルク(歩く)と呼ばれているらしいんだ」

「そうなのか?」

「だから、会えた一十百は運がよかっただけだ」

「そうか……」

すまんエヴァ、90%ほど嘘だ。

というか、ほとんどデタラメだ。

まあ、会えないから大丈夫だろ。

「エヴァ、今日は身体測定の日だろ。学校へ行くべきだ」

「…あれは嫌いだ」

そりゃ、呪いのせいで成長できないからな〜。

でも行ってもらわねばなるまい!

「そういえば、この前より少し大きくなってないか?」

「ばかな、私は登校地獄の呪いで成長しないはずだ」

「わからんぞ、俺が来たんだし……、何か変わってるかもしれないぞ」

「確かに…、よし今から行くぞ!!」

ははは、なんて早業。もう行っちゃったよ。

さてと俺も行きますか。

「あれ? クロラージュさん、どこへ?」

「俺もちょっと中等部に」

「? いってらっしゃ〜い」

何事もなかったかのように手振ってるし。

知ってたけど、一十百お前は大物だ。



さてと、なぜ俺が身体計測のときにここに来たかというと…

はっきり言おう!

眼福目当てだ!

安心しろ、覗きはしない。

運よく出会えたら……の方がいい!

ロマンだ、パンを銜えながら曲がり角で頭をぶつける、あれに似ている。

さてと、誰と会えるかな?


「誰もいないな、さすがに女子中といえども下着姿で歩き回ることはないか」

少し残念だ。

いや、かなり残念だ!!

しくしく……。

学園長でもいじめてくるか。


コンコン

「うむ、入ってよいぞ」

「何様のつもりだ妖怪」

「ふぉ、いきなりじゃのう…」

「さて、帰るか」

「何をしにきたのじゃ?」


しかし、つまらないな。

こうなったら、あるはずのない特殊能力を使うか。

その名も“ぼうえんきょう”

効果:妄想力で今どんな状況か見ることが出来る

……誰でもできるんじゃね?


「何をやってるです?」

「む、師の背後を二度もとるとは…さすがだな」

「いえ、普通にとれるです」

確かに、いつも警戒するほど大変じゃないし。

警戒してもわからないし……グスン。

「それで……なんでここにいるんですか。一応女子校です」

「気にするな、ロマンが最優先だ」

「……そうですか。それで、ぼうえんきょうがなんとかと言ってたですが?」

「あ、声に出てたか。実はな、妄想力で身体測定の現場を観察しようかと」

「なにするつもりですか――――!!!」

すまん、そこまで怒るとは思わなかった。

それにだな……、ちょっと待った。

夕映? せめて服を着てから話そうか?

下着姿でふらふらするのはよくないぞ。

「…なんです?」

「いや、その、眼福です」

「!!!!!」

気が付いてなかったんだな。

合掌しとこ。

「ななな、なにをおお拝んでるです!!!」

「いや、まず服を着ようか」

「教室の中です!」

そうか、教室で着替えて行くのか。

今いるとこは教室の前、必然的に下着姿だと。

なるほど……。

って、考えてる間に服を着られた!

うむむ、夕映による眼福タイムは終了か、残念。

「な、なんで残念がるです…?」

「そりゃね、見てて飽きないし。くわぁわいいし!」

「////今見たことすべてを忘れるです――――――!!!!」

学校内で魔法の射手を撃たないでください、ばれます。

ついでにかなり当たった、痺れる……ううう。


仕方ないので中等部から出ていくことにした。

いや、だってさ、夕映が…

「もし、ノドカの下着姿を見たら……ただでは済まさないです」

って言ったから。

だってあの時の夕映の後ろ姿に鬼が見えた。

めちゃくちゃ怖かったよ。


そう言えば、原作通り本屋ちゃんはネギ君のことが好きになったのかな?

今度、夕映に聞いてみようかな。



Side 夕映

「うう、顔が合わせづらいです……」

さすがに、油断してたです。

まさかクロロさんが来てるなんて……。

「どうしたんだ?」

「あ、エヴァさん。クロロさんに下着姿を見られたです」

「な、ここにきているのか」

「急いで追い出しておきました」

「よし、よくやったぞ!」

「次会うとき、どうすれば…」

「ま、まあアレもそこまで深くは覚えていないはずだ。気にするなとは言えないが、あまり意識することもないだろう」

そうですね、今日のことは忘れることにします。

これ以上の失態をするわけには…

「ん、夕映、お前宛の置手紙だ。クロラージュからだろう」

「気が付かなかったです。

  “黒い下着がとてもよく似合っていたぞ! はなまるをあげよう!”

………」

「ゆ、夕映? 殺気と羞恥と困惑が見事にブレンドされた魔力を出すな!」

クロロさん。

どうやら、次に会ったとき私の魔法を間近で見てもらうことになりそうです。

覚悟してるです――――――!!!!



Side クロラージュ

身体測定の日の夜…

「出席番号27番 宮崎のどか…」

「ひっ!」


お、やってるやってる。

時間通り、キャラも原作のまま。

よし、いける。

そして…

「待て―――!!」

来たかネギ君。

さて、相手は闇の福音だ。

本気でかからないと…

「ラス・テル マ・スキル マギステル 光の精霊67柱(セブテントリーギンタ スピーリトゥス・ルーキス) 集い来りて(コエウンテース)…」

アルェ?

そんな量の魔法、原作で撃ってたっけ?

敵を射て(イミニクス・サギテント) 魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾(セリエス) 光の67矢(ルーキス)!!」

撃ちやがった!

エヴァかわせるか!

「っく 氷盾(レフレクシオー)!」


次々当ってるけど、何とかなりそうだ。

見てるこっちもひやひやものだな。

「君はうちのクラスの……エヴァンジェリンさん!」

さてここから……あれ?

そう言えば、アスナがきて武装解除された本屋ちゃんを任せるはずだよな。

そうだ、よね。

でもさ、この魔力って…

「エヴァさん? 何やってるです?」

我が弟子きた―――――!

ちゃんとアスナも一緒か、よかった〜。

でも、そういえば……武装解除って服がはじけ飛ぶんじゃ……。

夕映、頼むから…

「この世には良い魔法使いと、悪い魔法使いがいるんだよ。氷結(フリーゲランス) 武装解除(エクサルマティオー)!」

うわ、魔法薬が完全に本屋ちゃんを巻き込む方向に…

「うあ!」

「ほう、レジストしたか…」

ああ、ネギ君はね。本屋ちゃんは気を失ったまましっかりとくらってるよ。

マントを翻しエヴァが空に……ん?

この魔力の上昇は……。

そう言えば確か原作にはいないキャラがここに。

「私の親友に何するです!! 雷の88矢(セリエス・ルーキス)!!」

やっぱり!

エヴァ後ろ後ろ!

「なに……うわぁ!!」

あ〜あ、エヴァが森の方に落ちた。

まあ直撃はしてないから大丈夫だろうけど、心配だな。

見に行くか。



「くぅ、まさか夕映が躊躇なく撃ってくるとは…」

「お〜い、エヴァ無事か?」

「な、なぜキサマがここにいる!」

「覗き見」

「おい…」

「いやとにかく、夕映がいるのに本屋ちゃんを脱がしたのはまずかったって」

「確かにそうだな。む、来たか」

「仕方ない、夕映は任せろ。ネギ君は任せる」

「わかった」


さて、一番いいのは

ネギ&アスナで夕映は本屋ちゃんのほうだけど……。

「なんてことをするです……クロロさんがなぜここに?」

うえ、ネギ君&夕映か。

安定のチームだな。

「なぜここに?」

「フフフ、夕映悪いがエヴァとネギ君の邪魔をさせるわけにはいかない」

そう、俺が相手になってやろう。

と、言う前に…

「なるほどです。あの武装解除はクロロさんの指示でしたか……」

「え? いや…違うぞ」

やばい、ヤヴァイって!

夕映の背後にリョウメンスクナノカミが見える!

お前京都に封印されてるだろ!!! 

ちがった、あれは夕映の怒りのオーラか……。

矛先は、俺。

……アルェー、コレハマズイノデハ?

「エヴァさんの邪魔をする気はないです。ですからクロロさんのそばから離れた方がいいです」

「あ、ああ。そうさせてもらう。ゆ、夕映、その殺すなよ」

うわ〜、エヴァさん俺は生贄ですか?

まあ、夕映はそこまでのことをする弟子じゃないから大丈夫だ。

「…努力してみるです」

ピギャー!!!

まずい、逃げる、逃げなければ殺されるー!!!

「あ! 逃がさないですクロロさん!」


「はあはあ、み、見つけましたよエヴァさん!」

「…ああそうだったな。さて、ぼーや一人で私を倒せるのかな?」


よしここまでくれば被害も少ないだろ。

えーと、夕映がついて来てないんだが…。

諦めて……くれないよな。

「ま、待つです」

へとへとになってるけど大丈夫だよな。

よし、ここは少し悪役っぽく振る舞うとするか。

「ククク、夕映よ。追ってくるのはいいが、まさか俺を倒せると思っているのか?」

「はあはぁ、ふぅー。いえ、倒す気はないです」

あれ?

意外に冷静じゃん。

これなら…

「少し裁きの鉄槌を受けてもらうだけです」

期待した俺が馬鹿だった〜。

でもさ、ほら街中でそんな大きな魔法を使うほどじゃない……。

あ、これってフラグか?

「安心するです、一撃です」

「ほう、一撃か。 ……ん、一撃?」

「エヴァさんが私に教えてくれた魔法で、中の上程度の威力らしいです」

あれ、その魔法って…

「ハ、古代語魔法(ハイ・エイシェント)じゃないよね…?」

「よく知ってるですね。まだそこまでの出力は出ないので大丈夫、のはずです」

「はずってなに!」

「いくです! フォア・ゾ・クラティカ・ソクラティカ 来れ(ケノテートス) 虚空の雷(アストラプサトー) 薙ぎ払うです(デ・テメトー) 雷の斧(ディオス・テュコス)!!」

うげあぁ!!

ホントに唱えやがった!!

「無詠唱でできるか? 白の炎(フランムルス・アルビカンス)!」


目の前で未完成の雷の斧と出力不足の白の炎がぶつかり合う。

そう時間にすれば一瞬だった。

俺の方の白い炎が…

0.34秒で消えた。


…あと?

聞きたいか、俺の悲鳴?

「グギャァァァァ!!!」

ばかな、手加減してくれたんじゃ?

「あ、しまったです。上手く安定できないので力任せに魔力を込めてしまったです」

それは、それは……。

ふっ、だがこの程度の魔法で倒れる俺ではない。

白の炎とぶつかってかなり威力が落ちたのか、何とか倒れずに済んだ。

ここは、少しかっこよく腕を組んで…

「ほう、やるな。さすが我が弟子だ」

「!!まともにくらったはずです!」

「まだ未完成のようだったな、これでは俺を倒すことはできん」

頼むから、完成品を俺に叩きつけないでくれよ。

今だって立ってるのがやっとなんだからな。


「さすがです、はぅ」

「どうした?」

「ちょっとクラッと来ただけです」

全力疾走の後の雷の斧(過剰魔力)をつかえばさすがに疲れるよな。

仕方ないな、運んでってやるか。

立ってるのがやっとじゃないのかって?

あまい、少女を運ぶのに力はいらん!!

つまりたとえ気を失ってても運ぶことすら可能だ……たぶん

「まったく。ほら、おぶってやるよ」

「///いいい、いいです。大丈夫です」

「ウソつけ、さっきからふらふらしてるぞ。まったく…」

ひょいっとかいう擬音が似合うような感じで夕映を抱き上げてやった。

まあ、俺の身長と夕映の身長だとやっぱりこれの方がいいな。


「///ちょっと待つです!」

「なんだ?」

「こ、この体勢はちょっと…」

「別に大丈夫だろ、これって一般的に“お姫様だっこ”っていわれる持ち方で、結構安定する持ち方だから」

「そ、そ、そのことではないです」

別に人がいないから見られてるわけでもなかろうに。

ま、俺からしてみれば、可愛い弟子をこのポーズで持って行けるのはかなりの役得だ。

「ま、あんまり気にするな。気にするから恥ずかしく思えるだけだ」

「…クロロさんは気にしないんですか?」

さてと、選択肢がほしい質問だけど、答えは勝手に出てくる。

「想像に任せる、そっちの方がいいだろ」

「う〜、卑怯です」

さてと、エヴァの方はうまくいったかな?

-16-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




ネギま!? DVD1 スペシャル版
新品 \666
中古 \1
(参考価格:\7350)