小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

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第十六話 休息と決戦


Side クロラージュ

どうやら、アスナの障壁を抜く蹴りで戦いは終わったらしい。

原作でもそうだったな。

あとは、停電まで待つか。


それでだな、エヴァが風邪を引いた。

なぜだ?

原作知ってるからわかるけどさ、吸血鬼が風邪って、花粉症って……ねぇ。

「おい、ゴホ、いまよからぬことをゲホ考えてなかったか?」

「はいはい、病人は安静にしてようね〜」

「お、おのコンコンおのれ〜」

完全に辛そうだ。

まあ、十歳の少女が風邪を引いたと思うのが一番近いのか?

大変そうだな。

そう言えば一十百がいないな。

「どうした」

「いや、エヴァの下僕同然で健気に頑張る一十百がいないのはなぜだ?」

「ああ、薬湯がどうとかケホケホ言って出て行った」

「薬湯? なんか一十百が持ってくるんだから、恐ろしく効きそうなんだが…」

「ああそうだな、薬なら茶々丸にも頼んであるから平気なんだが」


そう言えばもうすぐネギ君が来るんだったな。

寝かしつけておかないと、厄介だな。

てか、ネギ君が来てエヴァが気を失うのか?

ま、どっちでもいいか。

とにかく、今はエヴァの看病だな。

「コホコホ、おい」

「ん? なんだ」

「私のゲホ私の看病なんかしていていいのか?」

「悪くはないだろ」

「他にやることもあるだろう?」

ずいぶんと消極的だな。

エヴァらしくない、弱ってるからか?

「まあいいじゃないか、納得できないか?」

「お前だと裏がありそうだ、ケホケホ」

酷い言いようだ、まったく。

「じゃ、暇だからでいいよ」

「そうか、暇なら仕方ないな」

ハハハ、顔がにやけてるぞ。

茶々丸、なぜいない。

このエヴァの映像が残せないじゃないか――!!

仕方ない、網膜に焼き付けておくか。


「エヴァさーん、いませんか〜」

お、きたきた。

「こんな時に、あのぼーやめ…」

「俺が出るから、寝てろ」


「おや、ネギ君じゃないか。エヴァになんかようかい?」

「あ、クロラジュさん。こんにちは」

お、挨拶するとは偉いな。

さすがネギ先生だ。

「でも、なぜここにクロラジュさんが?」

「ああ、エヴァハウスの二階に住まわせてもらってるからな」

「ええ!! 危なくないんですか?」

危ないって、おいおい……。

まあ、仕方ないか。

「エヴァが闇の福音と呼ばれてるのは知ってるけどな、そんな人から聞いた情報より自分の目で見た方が正しいんだよ」

「そ、そうなんですか?」

「そうだ。それに、エヴァも君の生徒だろ。先生が生徒をそんな風に見てはだめだぞ」

「そう、でした…」

うんうん、ちゃんと反省してる。

あれ?

そう言えば、茶々丸の事件がないな……。

双方危険がない方がいいんだが、少しまずいな。

まあ、何とかなるだろ。

「それで、エヴァに何か用だったのか?」

「はい!」

さてどうするか。

弱ってるエヴァの前に連れてくのも…

「私に何の用だぼーや」

下りてきちゃったし、寝てろって。

「エヴァさん、その、これを受け取ってください」

ハハハ、原作のセリフとちげーや。

下手すりゃラブレターだな、そのセリフ。

まあしっかりと“果たし状”って書いてあるからいいか。

「ほう、そんなものを出さなくとも、今ここで決着をつけてもいいんだよ」

「うっ!」

おいおい、自分の体調考えろよ。

階段から落ちるぞ。

「エヴァさん…あれ?」

ふらっとしやがった!

間に合え!

ぽすん、ナイスキャッチ。

セーフ、危うく階段6段くらい飛ばして落ちるとこだった。

全く、世話のかかる妹だこと。

「クロラジュさん? あの、エヴァさんは……?」

「風邪だ、それと花粉症のおまけつき」

「この人本当に吸血鬼ですか!!」

「そういうな、いろいろ結界とか呪いとかで大変なんだ。今のエヴァはネギ君と変わらない十歳の少女だよ」

「そうだったんですか…。知りませんでした」

まあ、エヴァが人に弱みなんて見せるわけないし、仕方ないよな。


さてと、俺は少し出かけるとするか。

本当はエヴァの夢の中を見たかったんだが、ここは我慢しよう。

それにネギ君なら悪いようにはしないだろうし。

……そうか、原作で茶々丸がネギ君に任せたのもわかる気がする。

「ネギ君、悪いけど俺ちょっと用事があるんだ。戻ってくるまでエヴァの看病を頼む」

「はい? え! え―――!!」

「大丈夫、そんなに大変じゃ…」

「いいんでしょうか?」

「先生だろ。明日戦うことになっても、今は大事な生徒だろ」

やべ、今いいこと言った気がする。

ネギ君の表情を見ればわかる。

ふっふっふ、クロラージュお兄さんはすごいだろ。

「そうでした…、頑張ります」

「そんなに時間はかからないさ。最悪、茶々丸か一十百が帰ってくる」

「十百さんもここに!」

あれ、一十百がいつ知り合ったっけ?

そうか、木乃香と一緒の時か。

「まあ、一十百は執事みたいなもんだから」

「そうですか、知りませんでした」

「それじゃ、任せた!」

さてと、停電のことを聞きに行くか。

原作のように復旧が早くなるなんてことはさせないぞ。

ここだけは譲れない、あれじゃエヴァが納得できないだろうからな。



「おい、妖怪。停電について話がある」

「ふぉ、なんじゃいきなり」

妖怪についてのつっこみは無しか。

「停電の時間を20時〜24時ピッタリにしてくれ」

「もともとそうするつもりじゃが?」

「そういう話じゃなくてな、復旧をジャスト24時にしろってことだ」

「何かあるのかのう?」

お前がやらせてるんだろ、エヴァ対ネギ君の戦い。

「タイムリミットはしっかりしてもらわないと困るからな」

「……よかろう」

「もしも、予定より早く復旧しようものなら…覚悟しておけ」

「め、珍しく本気じゃのう。なにかあったのかの?」

「気にするな。約束したぞ」



Side 一十百

よし、薬湯の材料も手に入ったし、急いで帰らないと!

「御主人モ大変ダナ」

「そうですね、呪いが早く解けるといいです」

「ソウジャナクデダナ、今持ッテル物ハナンダ?」

薬湯を入れるための材料なんだけど…

「マンドラゴラ・冬虫夏草・満月草・ヤドリギ・竜の牙・ユニコーンの角粉ですけど?」

「俺ノ寝テル間ニ……。イヤ、ツッコマネエヨ」

何か変なものあったかな?

どれも、万病に効く材料だから大丈夫のはずだよね。

前に作ったこともあったし。

「それじゃ、急いで帰ります」

「アア。ソウシテクレ」


「それでゴホこれはなんだ一十…」

「僕の特性の薬湯です、絶対に効きますから!」

「あ〜あ、茶々丸が早く帰ってこないからエヴァがトンデモ薬湯を飲むことに…」

「途中、猫が……マスターすみません」

「ええい、私は吸血鬼の真祖、こんなもの飲み干してくれる!」


エヴァさんは薬湯を全部飲むとぐっすり寝ちゃいました。

「一十百、明日には良くなってるよな。起きないとかないよな?」

「クロラージュさん、大丈夫です。目が覚めるころには完璧に治ってます」

「そうか、それならよかった。エヴァの顔色が蒼白になってるが……、大丈夫なんだな?」

「はい!」

クロラージュさんはホントにエヴァさんを心配してるんですね、優しいです。

「マスター、どうか安らかにお眠りください」

茶々丸さん、縁起でもないこと言わないでください。



Side クロラージュ

次の日、エヴァの風邪はしっかり治っていた。

ついでに花粉症もよくなったらしい。

お、恐るべし一十百薬湯……。



学園全体が漆黒の闇に包まれている。

その中で一人の少年と吸血鬼の少女が火花を散らす…。



エヴァがネギ君と戦ってるようだな。

エヴァは茶々丸を連れて上空から魔法の射手で攻撃か…・。

原作なら、吸血鬼化されたバカピンクその他もろもろがいた気がするんだが、まあいいか。

対するネギ君は、予想通りの重装備だな。

アンティークの魔法具まで使ってるからな。

勝負は……ややエヴァ有利か。

「クロロさん。あまり覗きはよくないです」

「あんまり気にするな、ビデオ撮影中だ」

「何のためのものですか?」

「そりゃ、エヴァがネギ君に負ける……あれ?」

「どうしたですか?」

「エヴァって、ネギ君に負けるのか?」

「私に聞いてどうするです!」

考えてみれば停電の復旧が早くなったからネギが勝てたんだっけ?

いや、くしゃみの差でエヴァが押し負けるんだったな。

しかし、本当にそうなるのか?


「なあ夕映」

「なんです?」

「どっちに勝ってほしい?」

「微妙ですね。ノドカのこともありますからネギ先生に勝ってほしくもあり、私の目標になるであろう魔道士としてエヴァさんに勝ってほしくもあり…」

「なるほどな〜。てか、やっぱり本屋ちゃんはネギ君を好きになったか」

「やっぱり?」

「まあ、いろいろとね」

「そうですか。ノドカの邪魔をするならクロロさんでも容赦しないですよ」

怖いって。

横でそんなオーラ出さないで。

「あ、安心しろ。そこまで他人のことに関わるつもりはない」

さて、こんなことをしてる間にネギ君とエヴァが橋のほうに行ったみたいだな。

「移動するぞ夕映」

「わかったです」


さて、どうなってるかな?

お!どうやらエヴァと茶々丸がネギ君の捕縛結界にかかったみたいだな。

そしてここで、茶々丸が結界を破る……。

破る…。

あれ、遅いな。

すぐのはずなのに?

「エヴァさん、観念してくれますね」

「っく、またこんな結界で!」

あれ?

茶々丸〜?

どうした?

「マスター、せめて私に結界を解除できるプログラムがあれば脱出できたのですが…」

はい?

茶々丸に結界破りの機能がついてない?

………。

アルェ?

まてまて、これはまずい。このままだと普通にエヴァの負けに…

「ククク。ぼーや、運がなかったな」

「え?」

エヴァをとらえていた捕縛結界にひびが入って……。

パリン!

砕いちゃったよ。

どうやった?

「え―――!!! ど、どうして!」

「昨日、とある飲み物を飲まされたんだが…。それの効果らしいな、力がみなぎるようだ」

ああ、一十百のトンデモ薬湯か。

さすがだな、エヴァがものすごい魔力をだしてる。

「クロロさん。ネギ先生、万に一つも勝てないと思うです」

「たしかに。でもな、戦いは最後までわからんぞ」

「この状態からどうやって負けるです?」

「あくまでも、“ネギ君対エヴァ”ならだ」

「? どういう意味です?」

「なに、そろそろだろ…」


「こら〜 あんたたち〜!!!!」

「ほらきた」

「この声は、アスナさんですか!」

「ああ。ネギ君を助けてくれる良きパートナー、のはずだ」

「いまいち、確信的でないのが気になるですが…」



Side 一十百

「結界が消えているからかなり数が多いな」

「ああ、まあいつもより多めの報酬があると思えばいい依頼だ」

「あの〜、僕がここにいる意味ってあるのでしょうか?」

「「………」」

ふぇ〜ん、何かコメントしてください。

今僕は、竜宮さんと、桜咲さんと一緒に夜の警備をやってます。

いつもよりも、黒い鬼が多いです。


「いや、しかし…」

「気になってるのだが…」

「「君(貴方)の上に乗っているのはなんだ(なんですか)?」」

「ゼロさんです」

「ケケケ、ヨロシクナ」

「私の記憶が正しければ、それはエヴァンジェリンの人形ではなかったか?」

「はい。少しだけ貸してもらっているんです」

「そう、なのか?」

「家ノ中デ暇ヲスルヨリモ、コイツト一緒ノ方ガイロイロデキテ面白イカラナ」

「よくあのエヴァンジェリンが了解したものだな」

「? 意外とすんなり貸してもらえましたけど」

「そろそろ、仕事にかかるか」

「そうですね」

「は〜い」

じゃあ、え〜と……。

ゴソゴソ…

「ん? 何をやっているんだい?」

「え〜と、あ! あった」

忘れてきたかと思いました。

「それは…笛?」

「フルートです」

「「なぜに?」」

「ふぁ! えと、ですね、まあ見ててください」

いつものように、音を紡いでいきます。

「いい音色ですね」

「これから戦いなるのだが、心が落ち着くな」

吹き終わりました。

「しかし、何の意味が?」

「はい! 今の曲は“黒犬のワルツ”っていう曲なんです」

「黒犬? …まさか」

「オイ! アレヲ呼ブツモリカ!」

「はい!」

月の光をさえぎって僕の愛犬が来てくれました。

「ポチ! おいで」

「ガウ」

「よしよし。じゃあ、ご飯の時間だよ」

「ガァァァウ」

「行け!」

僕が指をさすと真っ先に向かっていきました。

さっき、ご飯上げたんだけどな〜。


「おい刹那、私たちが出る幕があるのか?」

「…ない、な。すでに半分が壊滅状態になっている」



Side クロラージュ

「ぼーやにも従者がいるじゃないか。これで対等だな」

「負けませんよ、エヴァンジェリンさん!」


さてと、ここからは見なくてもいいな。

先に帰ってるか。

エヴァが橋から落ちるのを助ける役でもしようと思ったんだが、やはりそれはネギ君に任せるとしよう。

「じゃ、夕映。後の撮影よろしく」

「なんでそうなるです!」

「いろいろとな」

「…結界の周りの気配ですか?」

はい?

あ、そうか。学園の結界が消えてる今はかなり危ない状況なんだったな。

いや〜、すっかり忘れてた、

「一人では危険です!」

「え、いや……気にするな。俺を誰だと思ってる」

「そう、ですね。一応私の師ですから、大丈夫ですね」

一応ってなに、ううう〜泣いてやる。

まあ、かっこよくできたからいいや。

さてと、言ったからにはやらないとな。

弟子の期待を裏切るわけにはいかないからな。


「それじゃ、ここは任せたぞ」

「分かったです。き、気を付けて行ってくるですよ」

うん、いい感じだ。


それと……

誰かに手伝ってもらわないと、俺がやばい!!

ヘ〜ルプ(泣)

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