小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

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第一話 実力と追跡


Side 転生者

「ああ、朝か。太陽がまぶしいな。………太陽?」

見上げた空にはさんさんと輝く太陽があった。俺って………そうだ!


「転生したんだ!」


手元には学生証らしきものと、ノートが二つと、布袋が一つと“ゴミ魂へ☆”って書かれた封筒があった。

ラスト一個のはシュレッターにかけたくなったが耐えた。えらいぞ、俺!

「えっとなになに……」


『ゴミ魂へ

 仕方ないので君を麻帆良学園の近くに落としておいた。

 あとは好きにして。杖とかだけはプレゼントしてあげるから。

 第二のゴミ生を満喫してね

                   神より

P.S 寝床とか知らないし、君はどこでも平気だよね。ゴミ魂だし。

じゃあね☆』



はい。もちろん破きましたよ。粉々になるまで。

俺は悪くないですから、ハイ!

「とはいえ、寝床なしとかやってられないな」

仕方なく布袋を開けると、筆記用具、星が先に着いたかわいい杖、“ゴミ魂へ有難く使え”と書かれた紙が出てきました。

破きましたよ。安心してくださいな。

「てか、なんだよこの杖。練習用のやつか……」

泣いてやる〜!


はっ!

こんなことをしている場合ではない。

心底いやな神だったが、筆記用具はうれしかった。ノートつきだしな!

「今のうちに原作の事をこのノートに書けるだけ書いておく! 忘れたら唯一のアドバンテージが無くなっちまう!」

このノート『こうりゃくぼん』が出来上がるころには真夜中になってました。

野宿です、いいです。諦めます。

「明日から魔法の練習しよ」

寝る前最後に見たのは、自分の学生証……

“クロム・クロロ・クロラージュ”という名前と、“トリプルCなんて君らしいじゃん”と書かれたメモだった。

「バカ神―――――――――――――!」



――次の日――



「朝か……」

太陽はいつも上ってくれるよな。有難いね〜。


「さて、試してみるか」

杖を構えてイメージする。

原作にあった、あの魔法……

「プラクテ・ビギ・ナル 火よ灯れ(アールデスカット)!」

ボッ!

火が灯った。魔法が使えた。


「いやっほ―――――い!」

まさか、ただの火が灯る魔法だけでここまで感動するなんて思わなかったわ。

まったく、魔法が使えるだけ神に感謝するか。

「よし次! プラクテ・ビギ・ナル 魔法の射手(サギタ・マギカ) 光の1矢(ウナ・ルークス)!」

ぽすん……

出ないし。

なんで! いやだってさ、いきなり10矢とか無理だと思ったから1矢にしたのに、それすら出ないとか……

「俺ってそこまで才能ないのか……?」

頭を横に振り考える。

そうだ、得意な属性があるはずだ。その属性さえわかれば……

「えーと、原作では 光の矢 雷の矢 風の矢 がネギ君だろ。エヴァンジェリンが 氷の矢 闇の矢 だったか? 他には 火の矢 砂の矢 くらいか?」

多いな。いいさ!一つずつ調べてやる!


分かったのは、火の矢以外発動しない……

「才能が乏しいな、うっうっう……」

グシグシ

泣いてる場合じゃない! 

こうなったら、原作でネギ君が使ってた魔法を多少変えて使えるようにしてやる!

「見ていろネギ君! まだ会ったことはないが、才能が全てじゃないことを教えてやる〜!」




Side  ?

今、僕は急いでいる。

学校へ行こうとしてるんだけど、電車が止まったらしい。

よくあるんだけど、このごろ頻繁に運の悪いことが起こってる。


「この前はタクシーが突っ込んできたし、その前はバイクにひかれそうになったし……」

僕は運が悪いのかな?

大丈夫、こんなことでめげたりはしない。


「それに、電車ほどじゃないけど…… 速く走れるし!」


 他人から見ればその少年は風のように見えたという。

 時速75?で走っていればそうも見えるが……


「この公園を抜ければ近道だね。よし!」

駆け抜けようとすると不思議なお兄さんがいた。

星の付いた杖を構えて何か言ってる? というより唱えてる?

「何やってるんだろ……」

次の瞬間、僕は自分の見ている光景が夢かと思えてしまった。

お兄さんの持ってる星の付いた杖から火の矢みたいのが出て空に飛んでった……

「はわぁ! 魔法使い!!!!」

お兄さんがこっちに気が付いて一言、こう言ったんだ。

「仕方ないな、記憶を消すか」


僕は全力で逃げ出した……



Side  クロラージュ

しまった、炎の矢に集中して周りを見てなかった。

今の魔法見られたか……。

いや大丈夫、こういう時は確か認識阻害魔法とかなんとかが…


「はわぁ! 魔法使い!!!!」


おい麻帆良! 認識阻害どうした。仕方ないな、使えるかどうかわからないが…

「仕方ないな、記憶を消すか」

そう、こんな感じに言えば腰を抜かして捕まえやすく…

って逃げた! てか速い! 車より速いとかおかしいだろ!

「魔法使いか? いや裏の人間ですらないだろうな、あの反応」

なら捕らえないとマズイ。オコジョになるのはいやだー!!!

「しかし、なんて速さだ……。今の俺じゃ追いつけない! 車くらいなら抜かせるのに」

しかしどうやらその少年の向かう先、向かう先、ことごとく足止めを食らっているようだった。

信号が赤、踏切が閉まる、バーゲンセールの人混み、トラック事故。

「なんだかわからないけど、これならギリギリ追いつけるか?」


かなり走って、何とか追いつめた。運悪く袋小路に逃げ込んだのが運のつきだ。

「ゼイ ゼイ やっと追いつめた。さてどうしたものかな」

少年の方を見てみると、すでに泣きそうになってるし。

というか、あのスピードで息が上がってない!!

どんだけのスタミナだよ。それよりも重要な事実がある。

この少年……可愛い系だ。

身長は150cmあるかないか、顔だちも幼いというか少女と言われても信じてしまいそうだ。

「オイ、一つだけ確認させてくれ。男……だよな?」

「? はい、そうです」

よし。これで全力で逃げる女の子を追っかけた変態ではなくなったぜ!

しかし、声も高い。ほんとに男か?

「ハッ! そうかお前……」

「ひうぅ……」

「一般的に“男の娘(おとこのこ)”と呼ばれるやつか」

「何か……字が違うような気がします」

「いや、これであってる。君みたいな少年の場合」


……このセリフ、変態の香りがする。

マズイ、魔法使いとバレるより変態と思われる方がマズイ。

「安心しろ。別に君の体には興味はない」

「ふぇ? ………えっと、変質者さんですか?」


……墓穴ほったぁぁぁ――――!

「ちち違うんだ! 怪しい者じゃないと言いたいだけだ!」

「ほぇ。 えっと、あの、その……」

しまった。完全にオワタ。 記憶消せるかな………ハハハ(泣)

-2-
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