小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

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第二十五話 千本鳥居を抜けて…


Side エヴァ

一十が指さした先にあったのは…

名物の人力車、つまり人が引っ張る車だ。

「何人まで乗れそうですか?」

「そうだな、どう見ても二人乗りといったとこか」

今ここには、私、千雨、茶々丸、さよ、一十と一応チャチャゼロか。

「どうしても三人乗れないな。どうするつもりだ?」

「そうですね〜……そうだ! すみませ〜ん」

一十が人力車の引手に何か言いに行ったようだな。

「ちょっと、その人力車、引かせてもらえますか?」

「おう、坊主。なんだ引きたいのか? まあ少しならいいぞ」

「本当ですか!! やったぁ!!」

なにやら、一十が人力車を引いてきたな。

「エヴァさんこれに乗って、千本鳥居まで行きましょう!」

「お前が引いたとしても確実に二人乗ることができないがどうするんだ?」

「えと、ですね。さよさんは浮いているので席の後ろの場所に入ってもらいます!」

「私がここですね」

いや、そこは荷物を置く場所だろ…?

「それで茶々丸さんと、千雨さんが席に座ってもらいます」

「私はどこに座ればいいんだ、一十?」

まさかバックに入れなんてことは言わないよなぁ?

「?? エヴァさんは、茶々丸さんのひざの上に座ってください」

「なるほど……なに!!!!」

茶々丸のひざの上だと!!!

「なるほど、さすが十百さんです。ではマスターこちらに」

「誰が座るかぁ!!!」

「だめですよ。千雨さんの上にはゼロさんが乗るんですから」

「ああ、あれを抱えるのか」

「オイ、ソウイウ扱イハ御主人ダケデ十分ダ! オ前ノ頭ノ上ニ乗セロ!!」

「あ、そうでした。じゃぁ、千雨さんがエヴァさんを…」

「誰がぁノルカァ!!!」

はぁはぁ、まったく一十は……ん?

「マスター、おとなしく乗っていてください」

いつの間にか抱きかかえられて乗せられていた!!!

「待て! 私は…」

「みなさ〜ん、乗りましたか?」

「ああ」

「はい」

「乗りました〜」

「ノッタゼ」

な、なぜだ……。

何故そんなにノリノリなんだ!!

「ではエヴァさんが右とか左とか先導してください!」

「クッ……分かった。今回だけだからな、こういうのは」

「はい、では…」


そういえば一つ気になることがある。

一十がこの人力車を引くんだよな。

この人力車…を引く?

一十の速さで…

「行きますよ!! つかまっててください」

「千雨、茶々丸!! しっかりつかまってろ!!」

一十が一歩踏み出したとき、世界がものすごい速さで流れて行った。

「うぇぁ!! 何だ!! どうなってるんだエヴァンジェリン!!」

「言っただろう時速120kmで走ると!!」

「何人乗ってても関係ないのかアイツ!!」

「このスピードから考えて、まったく邪魔になってないのだろう」

「マスター、時速114kmで走行中です」

そうか、なるほどな…。

なんて言えるかぁ!!

「一十、次右だ!!」

フフフ、さすがにその速度では曲がりきれ…

「ケケケ、オイ御主人。どりふとッテシッテルカ?」

「レースとかでやるアレか? …まさか」

「曲がりま〜す!!!」

ギャギャギャ―――――!!!(ドリフト音)

曲がった……。

「フ、フハハハ! そうだ、それでこそ一十百だ!!」

「マスターが私の上で子供のようにはしゃいでおられます、ハァハァ」

「おいおいおい!! これ絶対人力車じゃねえよ!! 新手のジェットコースターだろ!」

「楽しいですね。カメラを持ってくるべきでした」

さよ、さすがにこの速さでは…

「左だ! 一十」

ガギャガガ!!!



「おい待ちな! この奈良から京都にかけて走りで俺たちに勝とうなんて百年早いぜ!」

「そうでヤンス!!」

「我ら走り屋三兄弟! 赤一郎!!」

「青二衛門」

「黄三太が相手になる!!」


「マスター、走り屋と思しき輩が並んで走っています!!」

なに! ほう、まあいいだろう。

「貴様たちに一十の走りを超えられるか試してみるがいい!!」

「一郎兄貴、あれ人が引いてるでヤンス!!」

「バカな…。時速100kmは出ているぞ!!」

「そんなことはどうでもいい!! 走りで勝てばいいだけだ!!」

「ほう、引く気はないか。いいだろう」

さてこの道の先には…

「バカめ。お前たちは知らないだろうが次のS字カーブは通称死神の通り道という。そのスピードでは曲がりきれまい!」

「ハッ、バカは貴様らだ! 見せてやれ一十!」

「は〜い」

一十百流……二連(ダブル)ドリフト!!

ギャギャガガガ―――

「なにー!! 曲がっただと!!」

「兄貴―――!!」

「黄三太ぁ!!!」


「ほう、一人減ったようだな?」

「黄三太の仇、討たせてもらうぞ!!」

「そうでヤンス。それにこの先は180°のヘアピンカーブ!別名悪魔の宴、多くの走り屋が命を失った鬼門でヤンス!!」

「ハッハッハ、バカめ。そんなカーブ一十にとっては鼻歌気分で抜けられる! いけ!!」

「いぇっさ〜」

一十百流……一八○(パージョナル)ドリフト!!

キャガギャギヤア――――!!!

「そのスピードで曲がっただとぉ!!!」

「うわ〜 デヤンス――――!!!」

「青二衛門!!!」


「ほう、貴様が残ったか」

「くっ、二人の意志は俺が受け継ぐ!!」

「エヴァさんこの先って確か…」

「そうだ! 伝説の走り屋ですら断念した下り坂二連ヘアピン!! ついた通り名が、地獄への片道キップ!! ここでスピードを落とさなければ……死ぬぜ」

「フッ、お前はいったい何と走っているつもりだ? スピードを落とすなどコイツにあるわけがない」

「ばかな……死ぬ気か!」

「死ぬかどうか見てみるがいい!! やれ一十百!!」

「らじゃぁ〜」

一十百流奥義……大連二曲線(ライダー・オブ・レジェンド)ドリフト!!!

ギャギャアガアガヤギャギャガガ―――――――!!!!

「ばかな…曲がっただと……。俺は伝説に挑んじまったのか……ウァァァァ!!!」


「マスター、後ろで爆発を確認しました」

「奴は最後まで走り屋だったというわけだな」

フッ、まあ千本鳥居につく前にいいものが見れたな。

「あ、見えてきましたー」

「よ〜し、そのまま突っ込め! 一十」

「はぁい」

ダンと石畳のうえを走る感じが伝わってくるな……。


「マスター、おかしいです」

「ああ、どうやら同じところを走っているな。あの鳥居に何かしらの仕掛けがしてあったのだろう」

「どういたしますか?」

空間的な罠か……。

本来の力が使えれば脱出できるかもしれないが…

「エヴァさん、この道長いですね〜。どこまでも続いてますよ〜!」

「これはループしているだけだ。さて、どう脱出するか…」

「同じところループしているなんてゲームの罠みたいですね」

そんな可愛いものではないぞ。

脱出できなければずっとこのままになってしまうのだからな。

「でも、ループって限界以上ループすると壊れちゃうんですよね〜」

「!! それだ一十! この鳥居のループ、限界までループさせれば抜けられるかもしれないぞ!」

「なるほど〜。じゃ、スピードあっげま〜す!!」

周りの風景がさらに後ろへ……

「ちょ、飛ばし過ぎだ一十!!」

「ただいま時速156kmです」

「あ! 何か見えてきました!!」

何回ループしたかはわからないが、一つだけ鳥居が電気を帯び始めてきたな。

「ほう、あの鳥居が原因か。まあいい、一十このまま進め―!!」

「は〜い」

そして……

パリン!!

「あ! 大きなお屋敷が見えてきました!!」

「どうやら、ループを抜けたようだな。よくやった」

「えへへ……」

ここに来るのも久しぶりだな。



Side クロラージュ

しかし、驚いた。

いや、俺が千本鳥居についたとき、ちょうどネギ君とかが出てきたんだよ。

ただ、原作みたいに慌ててなかったんだよな。

まあ、夕映のアーティファクトがどうとか言ってたから、小太郎君は夕映に負けたのか。

「夕映さん、助かりました」

「ネギ先生、仮契約とはいえ契約してしまったならその相手に対してしっかりと責任を持つべきです」

「え……」

「ノドカは、いえアスナさんもまだ学生です。ネギ先生、しっかりと先生として仮契約者の主人として守ってあげるですよ」

「は、はい!」

うんうん、夕映が先生みたいだな。

いつの間にか大人になって……。

師である俺はうれしいぞ。

「そのことなんだけど……ユエちゃん、その仮契約だれとしたの?」

「え/// その…クロロさんと…」

おい、レッドなぜに俺をにらむ?

「ちょっと話があるから来なさい! ユエちゃんはそこで待っててね」

「は、はいです」


ちょっと離れたところまで連れてこられた。

「で、なんだ?」

「一応聞くけど、無理やりじゃないわよね?」

「おい……俺をなんだと思ってるんだか」

「一応よ。ふぅ〜」

なにを溜息ついてるんだか…

「それにな、仮契約の申し出は夕映からしてきたんだぞ」

「え! それ本当!」

「ああ。だから…」

その瞬間、アスナはぐっと顔を近づけてきた。

「なら、その仮契約大事にしなさいよね」

「? 言われないでもそうするつもりだが?」

「たぶんアンタじゃわかってないから、わかりやすく言ってあげる」

それは助かる。

「いい、女性にとって異性とのキスがどれほど重いものなのか知ってる?」

「おいおいおい……。そういうのじゃないだろ、この仮契約」

「私みたいに成り行き上とか昨日の本屋ちゃんみたいな事故でのキスと、自分から申告したユエちゃんのキスでは重さが違うの」

いつからそんなにいい言葉を言えるようになったんだアスナ?

重さ……か。

「ああ、それくらいは理解してるつもりだ。師として仮契約の主として夕映が危機に陥った時には前に…」

「そうじゃないわよ! 私が言ってるのは魔法使いのユエちゃんでも仮契約者のユエちゃんでもなくて、一人の学生としてのユエちゃんよ!」

……なるほどな。

「つまりアスナは俺が一人の少女である綾瀬夕映を不幸にすると思っていたんだな」

「ま、そんなとこね」

「甘く見るな」

「うっ」

なぜ一歩ひく?

あ、結構マジ顔だったか?

「まあ、お前に心配されずとも大丈夫だ。少なくとも男の屑にはなりたくないからな」

「ま、まあそれならいいけど。なんかアンタって鈍感そうだからちょっと心配になっただけ」

「ひでえな」

「そう? ま、それだけだから」

そういってアスナは戻っていった。

鈍感そうか……。

否定できんな。


「話はおわったですか?」

「ん、まあね。少しだけいい主を持っていいな、と思っただけ」

「///い、いえ別に」

「お〜い、先行くぞ」

「あ、待ちなさいよ!」

「クロロさん、待つですよ」


それでだ…

「おい、刹那。お前一応神鳴流だろ? まったくこれくらい引き離して来いよ…」

「すみません。機械の力には勝てませんでした…」

「あ〜さ〜く〜ら〜?」

「え、私のせいになるのソレ?」

「大体こんなもの持ってるのお前くらいだろ!!」

「うう、確かに…」

さっきまではネギ君、アスナ、俺、夕映、本屋ちゃんとカモだけだったんだが…。

刹那と木乃香が合流してから、朝倉、パル、まき絵が合流した。

おいおい……。

裏の関係者以外はちょっとな。

まあ、まき絵は半分足突っ込んでるし、パルも…何とかなるか。

「刹那さん、この先って…」

「西の総本山です」

「え、じゃあ結構危険なんじゃ!」

「いやいや、そうとも限らんよ。ま、少なくとも木乃香がいるし」

「どういう意味よ?」

そういって階段を上りると、大きな門が目の前に現れた。

古い建物だな、エヴァが喜びそうだ。

ギギィ〜…と門が開かれると…


「「「「「「「おかえりなさいませ 木乃香お嬢様」」」」」」」


「え!!」

「な、言ったろ。木乃香がいれば安全って」



中に入ってゆっくりしていると、西の長の近衛詠春がでてきた。

多少ふけてはいるが、わかる。

強いな……。

少なくとも俺が分かるんだ、結構強いだろ。

「おと〜さま〜!」

なんか木乃香が抱き着いてるし、うん。

これはこれで和むな…。

「ネギ君、親書」

「あ、はい」

うんうん、これで親書はしっかりと西の長に…

「!! ネギ君、なにか来る!」

「なに! せっかくの親書を渡してるときだってのに!」

全く誰だ!!

「おい、西の長…いや近衛詠春。悪いが席を立たせてもらうぞ」

「いや、私も行こう。来客に露払いを任せたとあっては、関西呪術教会の長としての顔が立たない」

ほう、年老いても…てほど老けてないが、いい気迫だな。

さて、西の長の力見せてもらおうか。


外に出ると遠くからガタガタ言う音が近づいてくるのが分かった。

西の勢力か?

いや、さすがにフェイトにしてはやり方が雑というか…

「来るようですね」

「ああ、さてと…。どれほどのものか見せてもらおうか?」

「実戦など久しぶりですから、あまり期待しないでください」

「そうか? ……来る!!」

ガタガタという音が近づきそして…

ダン! っという音と共に人力車が現れた。

……なぜに?

てか、その門の前階段だったよね〜。


「あ、クロラージュさん」

ああ、俺の良く知ってるやつだ…。

「詠春、大丈夫だ。俺の知り合いだ」

「そう、なのですか?」

「ほう、私のことを忘れたか? 近衛詠春」

「まさか…」

人力車から降りてきたのはエヴァだった。

なんだかいいことがあったようで、満面の笑みじゃないか。

「たまにはこういうのも悪くないな」

「エヴァ、まさか人力車で登場するとはな…」

「他のメンツもいるぞ」

そういって指差した先には…

真っ青な顔をしているちうちうと、目を回しているさよと、マスターの無邪気な姿をフォルダーにとか言ってる茶々丸がいた。

つまり、夕映もここにいるから六班全員がここに来たわけだ。

というよりも…

「お〜い千雨、大丈夫か? こう顔が真っ青だぞ」

「…二度と人力車になんて乗らないことにするわ」

「そんなに、すごかったのか?」

「…帰り乗って見ろ。うぇ…気分が」

お〜お、弱ってるよ。

そんなだったのか…。

「茶々丸はどうだった?」

「マスターが私の上で…ハァハァ」

ダメだ。完全にトリップしちゃってるな。

「さよ?」

「目が〜まわります〜」

まあ、いつもと変わらないな。

しかたないな〜。

「茶々丸、さよ自分で歩けよ。俺は千雨で手一杯なんだからな」

「ちょ……待て」

「なんだ? まさか自分で歩けるとか言うなよ。そんな青い顔して」

「だからって…」

別にお姫様抱っこしたって大丈夫だろ。

だめなのか?

「いいから、少し休んでろ。まだ一般人の部類に入るんだからな」

「///……ああ、そうさせてもらう」

よっと。

う〜ん、夕映を持った時とは違うな。

こう、背の高さぶん持ちにくい。

まあ、落とすことは絶対にないけどね。

「千雨さん……大丈夫ですか?」

「綾瀬か……わるいな」

「気にするなです」


何の話だ?

よくわからんが、とにかく千雨を横にしてやらないと。


「マスターが私の上で…」

「目が〜」

お〜い、さっさと戻ってこ〜い。

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