小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

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第ニ十八話 激戦・勝利への作戦


Side クロラージュ

いや〜、さすがにこの量は……。

今は草原の真ん中で式神に囲まれてます。

木乃香の魔力で呼び出しまっくたらしい。

で、ネギ君が竜巻の壁みたいなのを作ってくれたから話す時間が出来たわけだ。

「それでだ」

「なによ。この状況を打開できる作戦でもあるの?」

「ある! ……あ〜、一応ある!」

「「なんで言い直したのよ!(のですか!)」」

レッドと刹那の同時つっこみか。

まあよしとしよう。

「まあ、木乃香を助ける方法はある。この囲まれた状況を打破する作戦はない」

「お嬢様を助けられる作戦だと!」

「そうだ。簡単に言うと、機動力の高いネギ君が敵の本陣につっこんで、ピンチになりそうだったら仮契約カードを使って仮契約者を召喚すればいい」

「なるほど!」

「てことで、刹那。ネギ君と仮契約しておけ」

「はい……ってなんでそうなるんですか―――!!」

ノリつっこみか〜……。

さすが西の子だな。

「いくら刹那が速く移動できるからって一瞬というわけにはいかないだろう。それに、俺と仮契約するよりも気軽だろ?」

「……確かにそうですが」

「とにかく今だけでもいいから、急いだ急いだ」


ということで、ネギ君と刹那が仮契約をした。

「いいか、俺とネギ君が木乃香のとこまで真っ直ぐ行く。二人は……あ」

「まだなにかあるんですか?」

「ネギ君この障壁もう少し持たせて」

「が、頑張ってみます!」

さてと、ネギ君が頑張ってくれてる間に…

「よし。念話(テレパティア)!」

持ち出したのは夕映のカード。

「夕映、聞こえるか? ちょっと頼みたいことがある」

≪なんです?≫

「ピンチだから手伝ってと連絡してほしいんだが」

≪誰がこの状況で助けに行けるですか?≫

「イエローとブルー」

≪!! あの二人なら……わかったです≫

「よし。もしちゃんと二人が来たらなでなでの時間を増やしてやろう!」

≪う〜///それはいいです≫

ははは。

さてと…

「ネギ君、さんきゅー」

「いえいえ」

「じゃ、ネギ君は杖でまっすぐ飛んでくれ。こっちにも助っ人を用意したから大丈夫だ」

「助っ人ですか!」

「そうだ。俺は顔が広いからな」

その助っ人が君の生徒だとは思わぬだろうけどね。



Side 一十百

「うう…」

「オ、気ガ付キヤガッタ」

「あれ? ゼロさん…」

僕は何でここで寝てたんだっけ?

え〜と…

「ポチト連絡ヲトッタアト倒レタンダロ?」

「そうでした! エヴァさんは…」

「御主人ナラ、今サッキ封印ガ解ケタラシクテ上機嫌デ出デ行ッタゾ」

よかった〜、うまくいったんだ。

「ゼロさんは何でここに?」

「御主人ガ“一応お前の従者だろ。だったら起きるまでここにいてやれ”ッテ言ワレタカラナ」

えへへ……。

ちょっと、ううん、かなりうれしいかも。

「オイ、動ケルヨウニナッタナラ、サッサト追イカケルゾ」

「はい!」

いつも通りゼロさんを頭に乗せてエヴァさんを追いかけます。



Side クロラージュ

ネギ君は空が飛べるからな〜!

俺は…

「おい兄ちゃん、わるいけどな…」

「ここは通せないって言うんだろ!!」

さっきから式神どもに邪魔されて思ったよりも前に進めない。

「ええい、どけ!コル・コスト・ラス・ラージュ・エスタルロージェス 来れ火精(ウェニアント・スピリートゥス) 焔の精(フランムルス・イグナウス) 炎よ渦巻いて(ガルム・フランムルセルオーニ) 焼き払え(オル・ヴァセンス) 爆炎の都(エクスプロセブス) 火の爆風(フラーム・カピタイム・イグナムエンス)!!」

うわ〜、だとか言って燃えながら消えていく式神。

本来、無双できるほど俺は強くないんだけど、この式神たち弱い。

たぶん、魔法の射手で倒せるくらい。

これなら残してきたアスナと刹那も大丈夫だろう。

さてと急がないと。

俺の残った魔力的に……あと白の炎3回っていったところか。

前に比べると魔力量増えたよなぁ…。

っと、いけないいけない、現実逃避はまだ早いな。

それに、現実逃避ってのは目の前に式神がそれこそ山のようにいて…

「「「「「「「「ここは通さへんで――――!!!」」」」」」」」

あはは、おかしいな。

黒い大きな山が見えるよ〜。

なんでだろ〜?(現実逃避)


「リク・ラク ラ・ラック ライラック 来たれ氷精(ウェニアント・スピーリトゥス) 闇の精(グラキアーレス・オブスクーランテース) 闇に従え(クム・オブスクラティオーニ) 吹雪け(フレット・テンペスタース) 常闇の氷雪(ニウァーリス) 闇の吹雪(ニウィス・テンペスタース・オブスクランス)!」

この声は…と振り返った時、俺の頭の上を黒い吹雪が通り過ぎて行った。

俺が式神の方を見たときには式神たちは……あ〜、ひどい状態になっていた。

ここでその状態を説明するのはちょっと、ってくらいひどい状態になっていた。

「フッ、こんなところで手間取っているとは…。所詮はクロラージュと言ったところか」

そう言いながら、金髪の我が妹が降り立った。

腰に手を当てて、いかにもすごいだろとでも言いそうだ。

「なんで魔法が使えるんだ? 封印されてたんじゃないのか?」

「ちょっとばかり有能な下僕…いや、執事のような存在がいたからな。限定的に封印を解除してもらったとこだ」

有能な下僕て……一十百だろ。

何をしたんだか?

それに、なんかエヴァの機嫌が悪い。

顔がむくれてる感じがする。

たぶん、エヴァの事を放っておいたからなんだろうな…。

俺も自分の事でいっぱいいっぱいだったからな、エヴァの事まで気がまわらなかったんだよな〜。

どうしてもエヴァって強いイメージがあったからなぁ〜。

しかたない、ここは…

ぽふ、なでなで。

「お、おい。なぜ撫でる?」

「いや、力のない我が妹を置き去りにしてしまったからな。それの罪滅ぼし、というわけだ」

「//こ、こんなことでごまかれたりはしないからな」

「あ、やっぱり、怒ってる?」

「石にされかけたんだからな、その時の気持ちが分からないわけではないだろう!」

あ〜、結構怒ってるみたいだな。

「あ〜、スマン。どうしてもエヴァって強いイメージがあったから、一人でも大丈夫だなと思ってしまったんだ」

「まったく、一十がいなければ今頃私は石になっていたところだ」

「一十百に助けられたのか…。すごいな」

庇ってもらったのか?

いや、それじゃ封印の方が解けないな。

「なぜだかわからないが、一十は石化を解くことができた」

「え゛、なにそれ。魔法とか使えないのにか?」

「そうだ。変な道具で茶々丸の石化を一瞬にして治していたが、それとはまた別の力だった」

おいおい、一十百……。

お前はどこでそんなチートを買ってきたんだい?

ぜひ俺にもほしいよ。

「まあ、やつのおかげで今こうしてここにこれたんだ。感謝はしている」

「そうだな」

さてと…

「エヴァ、ここのあたりの式神を任せていいか?」

「構わないが、キサマはどうするつもりだ?」

「ネギ君の飛んでいった方向に行く。たぶんだけど大がかりな何かがあると思う」

「なるほどな」

エヴァが少し遠い空を見上げた。

なんとなくわかるんだろうな〜。

「大方、近衛木乃香の膨大な魔力を使った召喚でも行うのだろう」

鋭いな。

「まあ私には関係のないことだ」

「あれ、エヴァならネギ君に自分の実力を見せつけるかと思ったんだけど…」

「…その手もあったな」

あ、やば、面倒なことに…。

「エヴァ、だからな…その、後から合流してくれないか? ほら、影を使った移動もできるだろう?」

「こいつらを始末してから合流か? 面倒だ」

え、どうしよ。

俺がまずいんだよね、このまま進むのって。

魔力量的な問題で……。

なるべくエヴァが頑張って倒してくれるといいんだけど…。

よし、こうなったら…

「もしも、ここでこの式神たちを足止め…てか倒してくれたら、そうだな……明日一緒に京都とか奈良を見て回ろう」

「………?」

「いや、やっぱダメか?」

「その、二人で…か?」

「別に茶々丸とかが一緒でもいいけど?」

「クックック……そうか。そうか!そうか!!」

あれ? なんかエヴァの魔力が吹き上がってるんだけど…

「その約束忘れるなよ、クロラージュ!! ここの式神は私がどうにかしてやろう!!」

なんだかわからんが、交渉は成立したようだ。

「よし。じゃ、いきますか!!」


後ろでとてつもない吹雪が舞っていたが、俺は振り返ることなく走り続けた。

エヴァ、手加減くらいしてやってくれ…。



Side 一十百

あ、えと、今僕ピンチです。

「お久しぶりやな〜、十百はん」

「あ、はい。その、お久しぶりです…月詠さん」

また会っちゃいました。

「オイ、ナンダ知リ合イカ?」

「ちょっと…」

「斬り合った仲どす〜」

…間違ってないけど、なんか違うよね。

「あの、その…また、斬り合わないとだめですか?」

「だめどすえ〜」

うう、黒い笑みが…

「ケケケ、丁度イイジャネエカ。斬リ合ワセロ」

「ふぇ、で、でも…危ないですよゼロさん」

ゼロさんも動けるようになったみたいなんですけど……。

やっぱり斬り合うのは危ないです。

「十百はんに追いつくために今回はコレを使わせてもらいます〜」

そういって月詠さんが新しい刀を抜きました。

その刀は、黒い…うっ……。

「オイ、ドウシタ?」

「ゼロさん、あの刀…危ないです」

「妖刀ひな、どすえ」

妖…刀……。

「ゼロさん、あの刀を月詠さんの手から離すことってできそうですか?」

「難シインジャネエカ? 中々ノ使イ手ダロ、アノ刀ノ持チ主」

「たぶん…ですけど」

「腕ヲ斬リ落トセバイインジャネエカ?」

「そ、それはだめです!」

腕を斬るなんて……。

くっつかないんですよ、普通は。

「覚悟はええどすか?」

「ケケケ、ドウスル、逃ゲルカ?」

僕は…

「ゼロさん、ちょっと手伝ってください!」

「面倒ナノハゴメンダナ」

「ひぁ……その…えと」

「……シカタネエナ、チョットクライ手伝ッテヤル」

「はい! お願いします」

あの刀を月詠さんから離さないと!



Side クロラージュ

よ、ようやくついた。

既にネギ君は到着してフェイトと戦っていた。

ついでにリョウメンスクナノカミも出ていた。

「やっぱ、スクナ召喚に間に合わなかったか」

てか、デカい…。

やられキャラのスクナがここまでデカく強そうだとは…。

正直勝てる気がしない。

「お、なんや、あん時の兄ちゃんやん」

振り返ると小太郎君がいた。

あ、そういえばブルーとかに連絡するのが遅かったからこっちに来ちゃったのか。

やばいな。

「小太郎君もここを守るように言われたのか?」

「そうや! ま、俺がいなくてもアッチは大丈夫そうやけどな」

ネギ君はフェイト相手にかなり苦戦してる……。

「ま、しかたないか」

俺は大きく息を吸い込んでから…

「ネギ君そろそろだ! 二人を呼べ!」

「は、はい!」

まあ、これでどうにかなるだろ。

「なんや、ほかに誰かおるんか?」

「まあな。悪いな小太郎君、君はここで脱落してらうよ」

「へっ、そう簡単に…」

「待て待て、戦うのは俺だけじゃないからな」

「何やて?」

召喚(エウォコー・ウォース) 綾瀬夕映(ユィエ アヤセ)転回巡(メグル テンカイ)!」

俺の前に頼りになる弟子と寛大な転生者が現れた。

「ここは?」

「あ、クロ」

「よし。上手くいった!」

「いったい何をしたんや!」

「仮契約カードを使った召喚だ。強力なパートナーを一瞬で呼べるんだ」

なんか、小太郎君が納得してないようだけど。

「なんで西洋魔術師はそうやって女に守ってもらうんや! 男として恥ずかしくないんか!」

いや、まだ守ってもらうと決まったわけではないだろうに。

「…クロロさん、その少年は私が引き受けるです」

ん?

なんだか夕映がやる気出してるんだけど…

「夕映、どうした? そんなふうにやる気出して」

「あの少年には戦いに性別が関係ないことを教えておかないといけないですね」

あ〜、そういえば夕映は覚悟を決めて裏の世界に足を踏み入れたんだっけ…。

性別どうこうは関係ないか……。

「よし! ここは任せたぞ、我が弟子!」



Side 夕映

「またあなたと戦うことになるとは思ってなかったです」

「やっぱりあん時の西洋魔術師か!」

どうやらこの少年は私の事を覚えていたようですね。

あれほど容赦のない一撃を与えたのにまだ私に向かってくるですか……。

ム、何かこの台詞、悪役のような感じがするですね。

「覚悟してもらうで、今度はそう簡単にはやられへん」

「そうですか、来たれ(アデアット)

白いローブととんがり帽子と長い木の杖が現れたですね。

「へっ、そのローブに触らなければええんや。なら…犬神流・空牙!」

気で作られた爪のようなものが飛んできたですね。

なるほど、確かにそれなら感電することはないですけど…

「無駄です」


このアーティファクト、私の怒りに反応するものだと思っていたんですがどうやらちょっと違うようですね。

これは、私の感情の高ぶりに反応するようです。

怒り、悲しみ、喜び…。

色々な感情でこのアーティファクトは力を得るようです。

そして今、私の心の中をめぐる感情は……私の師からの信頼による感情の高ぶり。

それが、私の魔力になるです!


風花(フランス) 風障壁(バリエース・アエリアーリス)!」

そう、始動キーを無くして魔法が使えるほど今の私には魔力があふれているです!

少年の放った気弾は障壁にぶつかり消えたですね。

「なっ、とっときの気弾が…」

「悪く思わないでほしいですね。こちらも手加減してるほど時間に余裕がないのですから」

「へっ、この前の雷の斧とかゆーやつは単発式や! 体さえ動けば当らへんで!」

そうですね。

確かに雷の斧では当たりそうにないですね。

「しかたがないです、物量戦です!」

「手数なら負けへんで! 狗神使いの力なめんなや!」

そういって影から黒い犬のようなものをたくさん出してきたです。

たくさんといっても20〜30くらいなのですが…

「まさか、手数で負けないと言って…これだけですか?」

「なに! じゅうぶんやろ!」

なんだかこの少年に相応しいことわざが頭をよぎったです。

井の中の蛙、大海を知らず…。

まあ仕方ないですね。

「物量戦と言ったはずですよ! フォア・ゾ・クラティカ・ソクラティカ 雷の精霊743人(セプティムギンタ・スピーリトゥス・トータンラル)! 集い来るです(コウエンテース)…」

「な、743! な、なんやその数!」

物量戦と言ったはずですが…。

まあ、この状態で打てる最高本数ですから、あとはクロロさんに任せるですよ。

魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾・雷の743矢(セリエス・フルグラーリス)!!」



Side クロラージュ

魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾・雷の743矢(セリエス・フルグラーリス)!!」

なんかとてつもない数の魔法の射手を放つ声が聞こえたから振り返ってみる。

光の壁…のようなものが小太郎君を飲み込んでいく瞬間だった。

なんか悲鳴っぽいのが聞こえたけど……。

すまん、小太郎君。

君は立派に戦った…ということにしておこう。


さてと、こっちもこっちでヤバそうだな。

「クロ、私を呼んだ意味ってある?」

そんな不安そうな顔をしなさんな。

「ある。転回、あのアーティファクトの威力を出来るだけ上げておいてくれ」

「転がるとすごい威力になる、あれ?」

「そうだ」

「わかった! よし、来たれ」

現れたリングを腕と足にはめた転回はころころと転がりだした。

なんか、コミカルだな。

4回転であの威力だから、性能はコミカルなんてものとほど遠いけど…

「目が回る〜。あ、そうだ! この一撃って誰に向かって撃たせるつもり?」

「フェイトだな。原作知ってるならわかるだろうけど、エヴァが影のゲートを使って出てきた後、フェイトを吹っ飛ばしてるから…」

「ああ〜、あれを私がやるんだね。でも…当てられるかな?」

「まあ、そこは俺に任せておけ」


さあ、京都編最後の関門だ。

気合を入れていくか!

「残された魔力量は…白の炎2発分。さっきの召喚でちょっとばかり魔力を使ったか」

まあ大丈夫だろ。

「よし。ネギ君、アスナ、刹那、作戦会議だ!」

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