小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第三十話 楽しかった修学旅行


Side クロラージュ

眩しい……。

朝日?


しまった!

あの後気を失ったんだ!

「ほう、目が覚めたようだな」

「エヴァ! どうなった!」

「スクナは貴様が私に頼んだ魔法で塵にしてやった」

なっ!

つまり、EFBを使ったのか!

見たかった! マジで見たかった!

「エヴァ! ワンスモア!」

「なにがだ―――!!」

「もう一度、その魔法を俺に見せてくれ!!」

「まだ完成はしていない。だから……完成したら見せてやろう!」

「よし、約束だぞ! 絶対だぞ!」


そういえば、ネギ君はどうなったんだ?

木乃香と仮契約できたなら安心なんだが…

「エヴァ、ネギ君は?」

「ぼーやか? このかと仮契約をして石化を解いたようだ」

そうか、それならよかった。

まあ、ネギ君が脱落するとは思えなかったが…

「!! そうだ、フェイトはどうした?」

「フェイト? ああ、あの白髪の小僧か。お前の従者とか言う小娘に一言告げてゲートを使って逃げたぞ」

「エヴァを消そうとしなかったか? こう、石の槍とかで…」

「あの状態じゃ無理だろう」

「あの状態?」

…あ、転回が74回転パンチを打ち込んだんだっけ。

それで、地平線の果てまで飛んでったんだよな。

そのあとは…しらないな。

「どんな状態になってた? 願わくば、グロテスクじゃないほうがいいんだが…」

「まあ、骨という骨が砕けたと本人が言っていたぞ」

フェイト…余裕だな。

「で、転回になんて言ってた?」

「“新しい道を見つけたようだから少し安心したよ”だそうだ」

???

フェイト、いいやつじゃないか。

普通、あの一撃を受けたらもっと醜悪な台詞が出るもんじゃないか?

「他のメンツは? 小太郎君とか心配なんだけど…」

「小太郎? ああ、あの犬か。牢に入ってるはずだ」

「無事なんだ…、頑丈だな」

さすが、小太郎君。

「…牢から出たくないそうだ。夕映の魔法がトラウマになったようだな」

「精神面は頑丈じゃなかったんだな。まあ、たぶん立ち直れるだろ」

「千草とか言う札使いはゼロと一十が捕まえてきたぞ」

ああ、やっぱり。

原作だとチャチャゼロだけで捕まえられてたもんな。

さらに、一十百のスピードが追加されたら逃げられるほうが凄いな。

「あとは、月詠って言う神鳴流剣士はどうした? やっぱ逃げたか?」

「あのゴスロリ剣士か? 一十が看病してるぞ。妖刀のせいでかなり体にガタが来たらしい。一十がそいつを背負ってきたときは驚いたがな」

「何をしたんだ一十百は?」

「ゼロが言うには、妖刀を見た瞬間から一十百の雰囲気が少し変わったらしい。その妖刀が危ないらしくて折ろうとしたらしいが…」

「が…、どうした?」

「削りきった…らしい」

「なんだそれ?」

「“言葉ジャ説明デキネエヨ”だそうだ」

「なんだかチャチャゼロの言いたいことがわかる気がするな。一十百の行動をに言葉で伝えるのは相当大変だからな」

「まあ、とにかく体を動かすだけでかなり痛むらしいからそっとしてある」

そうか。

原作だとそれほどじゃなかったんだが……。

もしかすると、一十百を斬ろうとしてかなり無理をしたんじゃないか?

主に、速度的な意味合いで…

「とにかく全員無事……ということにしておくか」

「まあ…そういうことにしておこう」

エヴァはそういって庭に出て行った。

俺も追いかけるようにして出て行くと…


「ですから…」

「動いちゃだめですってば〜」

「斬りがいのある相手が2人もいるのに寝てられまへんよ〜」

「私はここからいなくなるので…その、一十百さん任せました」

「ふぇ〜、だめですってば〜。刹那さんも月詠さんもなんでこんなに自由人なんですか〜。常識はずれの自由人ですよ〜」

「「………」」

「ふええ、なんでそんな目で僕を見るんですか〜?」


なんだかカオスなフィールドができていた……。

どうしよう、近づきにくい…

「あ、クロラージュさんおはようございます」

「おう、おはよう」

「どうやら、体の方は大丈夫のようですね」

「大丈夫だ、刹那もお疲れ」

刹那がなんか暗い顔をして翼を広げてるけ……。

そうか、一族の掟とかでどこかに行くつもりなんだっけ?

「ここからいなくなるつもりか?」

「…掟ですから」

「そんな掟あるのか? 大方、昨日は勢いで翼を使ったけど今になって木乃香にどう思われてるか心配になったんだろ?」

「………」

全く、お前のお嬢様はそんなに心の狭い人じゃないだろ。

たかが翼……。

あれ?

「刹那……翼しまわないのか?」

「その……、しまえなくなってしまったんです」

「なんで?」

「私にも何故かはわからないんですけど…」

これは困ったな。

「いいんじゃないか? どうせ麻帆良の連中にはコスプレ程度にしか見えないだろう」

「エヴァ、他人事だと思って…。まあ、服着るときに面倒くさそうだな、アハハ……」

「笑い事じゃないんですよ!!」

だって、どうしようもないし。

いい案が浮かべば…

「センパ〜イ、そんなにいらないんならウチが切り落として…」

「やめい!!」

「僕の特性の薬で翼を6枚に出来れば…」

「してどうするんですか!!」

ダメだ。

ここにいる人でまともな解決方法を出すのは無理っぽいな。


「とにかく刹那、まず木乃香に聞いてみたら?」

「な、なぜお嬢様に!」

「“翼が邪魔になるかもしれないんですけど、まだお仕えしていてよろしいでしょうか?”って」

「!! ………」

「俺は、木乃香がそこまで心の狭いやつとは思えないからな。だから大丈夫だろう」

「し、しかし……」

「あ、やっと見つけた!」

なんかレッドがすごい勢いで走ってきたな。

そんなに慌てなくったっていいのに。

「なんだ? 何かあったのか?」

「旅館にいる私たちの式神が、ストリップショーを始めたらしくて…」

「なに!! しまった! 見そこねた!!!」

「「「………」」」

エヴァと刹那とアスナに冷たい目で見られた。

「とにかく、旅館に戻るわよ!」

「わ、私は…」

「刹那さん! 早く!」

しかたないな。背中を押してやるか。


トン


「え?」

「いくぞ」

「……はい!」


「十百はんは行かないんでええんですか?」

「ケガ人をほっとけないですから。エヴァさん、先に行っててください」

「お人好しだな。ゼロも残ってやれ、何かあった時にはお前がいた方がいい」

「シカタネエナ。アル意味面倒ナ従者ダゼ」

「えへへ……」



なんとかストリップショーを止めることが出来た。

まあ、結構力技だったけど……。

まあいいだろ。

で、刹那が木乃香に事情を話してるらしいんだが…

「せっちゃんの羽根もふもふで気持ちええなぁ」

「ちょ、お、お嬢様…」

なんか入り込みずらい空間だから、ほうっておこう。

これでこの京都での出来事は無事終わったな。

後は…

「おいクロラージュ」

「なんだエヴァ?」

「約束を覚えているか?」

約束? なんだっけ…

「忘れたようだな…」

「…忘れた、なんだっけ?」

「はぁ〜、まあそんな事だと思っていた。私と京都を回る……そうだっただろう」

……あ、そうだった。

「思い出した! そうだったな。で、今から行くのか?」

「…いや、また今度でいい。今度は忘れるなよ」

「忘れないさ。しかし、どこに行くつもりだ? 登校地獄のせいで遠くには出れないだろう?」

「週1回なら出れる、その時について来てもらおう」

どことなく頬を染めたエヴァはとてもかわいかった。

うんうん、京都の疲れも吹き飛ぶよ。

「そういえば、詠春がナギの使っていた別荘に案内してくれるそうだ」

「おっ! それは行くしかないな!」

俺も一度見ておきたいし。



「ここが…」

「はい、かつてナギよく使っていた部屋です」

「ナギが……か」

エヴァは……そっとしておくか。

何やら考えたいこともありそうだ。


「なあ、赤い翼の写真ってないのか?」

「ありますよ。確かこちらに…」

「私も見る!!」

「ネギ君も見ておいた方がいいんじゃないか?」

「はい!」

案内された部屋には本棚やベッド、机などが置いてある普通の部屋だった。

その机の上に…

「これが赤い翼の写真です。少し古いころの物ですけど…」

たしかに、詠春が若いもんな。

「…この人」

「どうしたレッド?」

「ううん、何でもない」

そうか、レッドは昔に会ってるんだったな。

まあ、そのうち思い出すだろ。

わざわざ俺が言う必要ないな。

「しかし、こう実際に見てみると豪華なメンツだよな。えと、千の呪文の男ナギ、千の刃ラカン、神鳴流剣士詠春、無音拳の使い手ガトウ、その弟子タカミチ、ナギの師ゼクト、あとアルビレオか……ん?」

写真に誰だか知らないのがいる。

真っ白の長い髪、女の子?

誰だ?

まさか…

「彼の事だけ知らないなん珍しいですね」

「誰だ……彼?」

「ああ、女性かと思いました? その人はれっきとした男性ですよ」

まさか、一十百クラスの女顔の男性がいるとは……。

てか、これ間違いなく転生者だろ。

「彼は聖魔(セマ)君です」

……ずいぶん厨二な名前だな。

「どんな奴だった? 俺最強!とかいうやつだったか?」

「いえ、優しげな方でした。料理の腕前が高かったですね」

料理?

ずいぶんと転生者っぽくない能力だな。

「他には?」

「そうですね……、彼には大切な主がいたそうです。その主の名前が思い出せなくて月に向かって涙を流し
ていました」

この子が月に向かって静かに涙を流すって……絵になりそうだ。

見たかった、相当可愛かったんだろうな。

なんか転生者っぽくないな、違うのか?

「このセマだっけ、まだ生きてるのか? 会ってみたいんだが…」

「生きていると思いますけど、どこにいるかは…」

「聞いてなかったのか」

「彼は、主のもとに帰れると言って空に溶けて行きましたから」

「…それ死んでないか?」

「そういう感じではなかったんで、たぶん生きていると思います」

まあ、そのうち会えるだろ。

転生者かどうかはその時に聞けばいいか。


「そうそう、ナギが千の呪文の男と呼ばれるように聖魔君にも二つ名がありましたよ」

「どんなのだ?」

「白銀の風、微笑みの神速、仮宿りの巫女、てかあの子雷より速く動いてるんだけどどうなってるの、というのがありましたね」

最後のは……違くないか?

とにかく、二つ名から見るに速かったんだろうな。

一十百も速いけど、さすがに雷よりは無理だろうな。



Side エヴァ

ナギ、お前がいなくなってから長い時間が立った。

お前のせいで私はまだ不自由で寂しい生活を送っている。

全く、腹が立つな。

「まあそれも少し前までの話だ。今、私には愚か者の兄がいる」

なんだか口に出してしまうと、笑ってしまうな。


お前を追いかけていた時にはこんな未来を考えてはいなかったからな。

次お前に会った時には紹介してやろう、私の愚かな兄を!

「エヴァさん、どうしたですか?」

「いや……ちょっとな」

夕映か、お前のことも紹介しないといけないな。

お前ほどではないが才能のあるいい魔法使いだ。

「? 私の顔に何かついているですか?」

「いや、私も変わったな、と思ってな」

「そうですね。エヴァさんの昔は知らないですけど、クロロさんといるエヴァさんはなんだか生き生きしてるですから」

「ヤツの……おかげか」

なんだかんだ言ってヤツが来てから変わったんだな。


「それでエヴァさん。小耳にはさんだのですがクロロさんとデートをするそうですね」

「なあっ!! どこからそんな噂を!」

「クロロさんと話しているのが聞こえたので」

うぐ……。

夕映がたまに出す私に匹敵するオーラが…

「まあ、いいです。約束だったらしいですから」

そう言って私の肩に手を置いてきた。

「頑張るですよ」

「え…」

「どうやら写真を撮るようです、エヴァさんも来るですよ!」

そう言って夕映は走って行った。


「エヴァ〜、写真撮るらしいぞ! はやくこ〜い」

行かないとうるさそうだな。

このうるささはなんだかいいものだ。



Side クロラージュ

「ウチ……ううん、私はもう少しこっちにいるよ」

西の本山によって転回を連れて行こうと思ったんだが……。

どうやら、罪を償うとかでもう少しここにいるらしい。

「彼女の罪はそこまで重くないので、安心してください」

「そうか。一応俺の従者だから厳しい罰とかはやめてくれよ」

「心配性ですね」

まあ、それくらいじゃないとな。


「月詠さん、体を大切にしてくださいね」

「そのセリフもう14回目どすえ〜」

「もし麻帆良に来るようなことがあれば、エヴァさんのログハウスを訪ねてください。お茶くらいはお出しできますから」


なんだか一十百が月詠になついてないか?

……どこがいいんだ?

「なあ、エヴァ…、一十百ってこう黒い殺意剥き出し、みたいなのが好きなのか?」

「私に聞くな! だが、ゼロもその類だな」

どうしようか。

まあ人の好みにどうこう言うのは失礼だな。

よし、放っておこう。

「あ、そうだ転回、俺はエヴァのとこにいるから。こっちに来るならエヴァハウスを目指してくれ」

「うん、わかった。 ……いつまででも待っててくれる?」

……可愛いじゃないか。

「従者をおいていく主人はいない。待っててやるさ」

「うん!!」


「おい、ずいぶんと親しいじゃないか」

「そうか? まあ、いろいろあるんだよ」

「ほう……いろいろか」

「あまり聞き捨てならないですね」

「夕映までどうした……なんか、怖いぞ」

「いえ、何でもないですよ」

なんか、エヴァと夕映が怖い。

なんでだ?

やきもちか? まあそれなら可愛いんだが……この2人はちょっと怖いな。

アハハ……。


新幹線の中では、アスナやネギ君、刹那や木乃香、他6班のメンツは全員寝ていた。

「まあ、中学生の少女には少し疲れる旅だったな」

「じゃあ、寝てない私は中学生じゃないのかよ」

ちうちうは起きていたみたいだな。

「疲れてるんだろ? 寝たらどうだ」

「いや、寝顔を見られるのって…どうよ」

…あ!

「茶々丸、起きてる?」

「はい」

「エヴァの寝顔しっかり取っておいて」

「御安心してください。ベストショットをお約束します」

「よし!!」

「……おいお前ら」

「「可愛いはジャスティス」」

「そろって言うな!!」

「あまり大きな声出すなよ、ちうちう。まだ夕映の寝顔を取ってない」

「…これだから眠れないんだよ」

そっと、カメラを出して…

「よし。夕映〜 ハイチーズ」

カシャ

「よし、これで良し。ちうちうも寝ても安心だぞ。まだフィルムに余裕はある!!」

「そっちかよ! そして、ちうちう言うな〜!!」


こうして、京都への修学旅行は無事終わりを遂げた。

-31-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




ネギま!? DVD1 スペシャル版
新品 \666
中古 \1
(参考価格:\7350)