小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

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第三十三話 弟子ための過酷な試練


Side クロラージュ

今は世界樹広場にいる。

ネギ君がエヴァの弟子にしてもらうためのテストをする場所だ。

「来たなぼーや」

「はい!」

「さて、弟子にするためのテストだが……」

やっぱり茶々丸と戦わせるのか?

でも、今茶々丸いないんだけど……。

あれ?

じゃ、まさかエヴァ自身が相手に……いやまさかな。

「ぼーやに選ばせてやろう。五分で相手をダウンさせる、十分で相手に一撃入れる、日が昇るまでに相手に触れる、さあ選べ!」

おいおい……、レベルがおかしくないか?

どう考えたって、最後のが一番簡単で、最初のが一番難しいだろ?

なんでこんなこと選ばせるんだ?

「なあエヴァ…おかしくないか?」

「フン、黙っていろ。さあ、ぼーやどうする?」

「……五分で相手をダウンさせるでお願いします」

え゛……。

なんで?

「な、なあネギ君。たぶん俺より頭いいからわかってると思うけど、何で一番難しいのを選んだんだ?」

「これから僕はエヴァさんの弟子にしてもらうんです。簡単なテストをクリアーして弟子になってしまうのはいけないと思うんです」


うわ……。

えらい!

普通にえらい!!

クロラージュお兄さんは感動した。

「簡単なテストか…クックック。まあいい、もう変更は出来ないぞ」

「はい!」

「ぼーや、その考え方で正しいよ。私が簡単なテストで弟子にしてやるつもりがあると思うな」

「何だよエヴァ。つまり簡単なのを選んでクリアーしても弟子にする気はなかったのか? ひどいな」

「フッ、クリアーできたら弟子にするつもりだったぞ。“クリアーできたら”な」

???

どういう意味だろう?

一番簡単なのをクリアーできなかったら他のもクリアーできないと思うんだけど…。

まあいいか。

「で、誰がネギ君と戦うんだ?」

「キサマだ、クロラージュ」

そうか、俺か。

………

……?

「はいいいぃぃ!! 何で俺?」

「ぼーやが選んだテスト内容ならキサマにするつもりだった」

「どうしてそうなるんだよ? ……テスト内容なら?」

エヴァがにやりと笑う。

おお、邪笑のエヴァだ。

「テスト内容がもし十分で相手に一撃入れるなら場所を別荘に移して私が相手をするつもりだった」

おいおい、エヴァってかなり強いだろ?

十分で一撃は辛いぞ。

「俺が言うのもどうかと思うけど、俺のほうでよかったなネギ君」

「は、はい。あのエヴァさん…」

「もし日が昇るまでに相手に触れるなら誰だったか聞きたいのか?」

確かに気になるな。

「一十に任せるつもりだった」

うげえええええええ!!!

「エヴァ、ムリ。それ絶対ムリだって! 一十百の速さとスタミナと回避率の高さ知ってるだろ」

「だからいっただろう“クリアーできたら”と」

た、確かに。

ネギ君、運がいいよ。

少なくとも一番簡単なのを引いたんだし…

「あの…、十百さんってそんなにすごいんですか? 魔力とかそんなに高くないような感じはしますけど…」

「もしこのテストに合格できたらイヤでもわかるさ」

「おいエヴァ、まさかネギ君の修行相手に一十百を使うのか?」

「一十の訓練にもなってちょうどいい」

一十百も災難だな。

ここに連れて来られてないのに勝手に決められて…。


「さあ、そろそろ始めてもらおう」

「と、言う訳だ。正直、弟子の件は応援してるが全力でいかせてもらうぞ!」

「はい! 負けませんよ!!」

「それでは、はじめ!!」


エヴァの声とともにテストが始まった。



Side 一十百

エヴァさんとクロラージュさんはネギ君のテストのために外出中です。

「戦う力かぁ……」

「イキナリ何言ッテルンダ?」

「はい。この前、月詠さんから妖刀を取ろうとしたとき、僕は何も出来なかったなぁと思いまして…」

「…シッカリ妖刀を削リッキタジャネエカ」

そうなんですけど……。

それはゼロさんが時間を稼いでくれたからなんです。

「僕一人じゃきっと…」

「マア、コノママ逃ゲテルダケジャ、イツカハ命ヲ落トスカモナ」

「ひぅ……」

「御主人ニ頼ンデ鍛エテモラエバイイジャネエカ?」

「エ、エヴァさんにですか? これから弟子を取るんですから、大変ですよ」

それに、きっと厳しそうです…。

うう……。

「訓練ノ前ニ、魔力トカ気ガナインダ、ソレホド強クハナレネエヨ」

「そうなんですよね……、ぐすん」

「ソウダナ、セメテ体術デモ身ニツケレバ少シハマシニナルダロ」

「体術ですか……」

誰かいい先生いないかなぁ…。


「オイ、ソロソロ警備ノ時間ダ」

「は、はい! それじゃ頑張りましょう!」



Side クロラージュ

「もらったぁ! 白の炎!」

始まってから2分くらいか、いや3分くらいだな。

戦況はいい勝負ってところだ。

ネギ君の拳法もなかなか上手になっていて、うかつに接近戦に出来ない。

少し前に重いのを一つもらったからな。

まあ、何とか耐えたけど…。


「どうしたぼーや、もう時間がないぞ」

「っく、ラス・テル マ・スキル マギステル…」

「させるか! 当身瞬動!」

この当身瞬動がネギ君にはかなり有効だ。

体格差があるから俺への衝撃は少ないし、魔法の詠唱も止められる。

「うわっ……」

「どうだ、ネギ君。さあ、時間切れが近いぞ!」

正直言うと時間切れで勝つのも負けるのも嫌なんだよね。

せっかくだから、正面からぶつかって決着をつけたい。

う〜ん、エヴァが怒るかなぁ?

ま、いいか。

「ネギ君、次で決着だ! 君の持てる最大の力で最高の魔法を撃ってくるといい!」

「お、おいキサマ何を…」

「エヴァだって見てみたいんじゃないのか? 時間切れで終わるなんてつまらないだろ?」

「……好きにしろ」

さあエヴァの了解も取れたし、いきますか!!

「ネギ君、食らうがいい! 今俺が使える最高の魔法!! コル・コスト・ラス・ラージュ・エスタルロージェス 来れ火精 焔の精…」

「ラス・テル マ・スキル マギステル 来れ雷精 風の精…」

雷の暴風か……。

ネギ君も全力で打ち返すつもりのようだな。

「炎よ渦巻いて 焼き払え 爆炎の都 火の爆風!!」

「雷を纏いて 吹きすさべ 南洋の嵐 雷の暴風!!」

爆炎の渦と雷の渦が俺とネギ君の真ん中でぶつかり合った。

「くっ…」

「うううっ」

威力はほぼ互角。

あとは魔力量の勝負……。

……あれ?

魔力量って、絶対勝てないじゃん。

だが…

「うおぉぉぉ!!!」

ここにきて俺の爆炎の火力が少し上がる。

負けたくないから全力だ!!

「そ、そんな…」

「もらったぁ!!」

「あっ…ハ、ハクシュン!」

あれ?

くしゃみ……って。

今まで渦巻いていた爆炎が消え雷の暴風が突っ込んできた。

「うそだろ――――――!!!」

ぐばぁあ……。

さすがに失神しました。


「エ、エヴァさん! 時間は…」

「フン、五分以内だ。仕方ないな、弟子の件引き受けてやろう」

「あ、ありがとうございます!」

「まったくこの馬鹿は……。まあ少しいいものが見れた」

「エヴァさん、そのクロラジュさん大丈夫でしょうか?」

「まあ、無事だろう。仕方ない引きずって帰るか」



「マスターお疲れ様です……。その、クロラージュさん、何かしたのでしょうか?」

「いや、特にはないが……。まあ、あのぼーやに負けたんだ。明日からぼーやと一緒にみっちり修行だな」

「クロラージュさんお疲れ様です」


―次の日―

「では始めるぞ!」


今は別荘で訓練中だ。

アスナや本屋ちゃんは驚いてたなぁ。

確か原作ではすぐに別荘で訓練してたわけじゃなかった気がするけど……。

まあいいや。

「クロラージュは西の空に向けて、ぼーやは東の空に向けて魔法の射手199発、撃て」

「俺ムリ」

「……(ピキッ)ヤレ」

「ハイ」

エヴァがめっさ怖いです。

負けたのが原因じゃないと思うんだけど…

「まあいいか。コル・コスト・ラス・ラージュ・エスタルロージェス 火の精霊 199柱 集い来たりて 敵を射て 火の199矢!!」

「ラス・テル マ・スキル マギステル 光の精霊 199柱 集い来たりて 敵を射て 光の199矢!!」

俺の黒塗りの杖から火の矢が、ネギ君の長い杖から光の矢がそれぞれの空に向けて放たれた。


「ふうぁ…少しクラッとしたな…」

「ほう、意識を失うかと思ったが……」

そういえば、何で撃てたんだ?

絶対無理だと思ってたんだけど…

「エヴァ、もしかして俺って多少成長できてる?」

「魔力量なら中の上くらいまできているぞ。いつまでも自分が弱いと甘やかすな」

そうか……。

いつもの自主練も効果があったんだな。

そういえばネギ君は大丈夫か?

「ネギ君無事……じゃないな」

「う〜ん……」

「さっさと起きろぼーや!!」

さすがエヴァ、スパルタだ。

「さすがに無理っすよ。今のだけでも修学旅行の時…」

「黙れ小動物。焼いて食うぞ」

エヴァ怖いって……。

あ〜あ、カモがガクブルしてるじゃん。

「まあエヴァはネギ君を一人前にしたいんだよ。多少のスパルタは目をつぶってやってくれ」

「なっ……。無駄口をたたく余裕があるならもう少し厳しいのでも大丈夫そうだな」

え、ちょっ…

「エヴァ、本音を言われたからって俺に当たるのは…」

「ほう……。そこまで厳しくしてほしいか、いいだろう」

うわぁあ…エヴァの邪笑が…

「覚悟しろ、クロラージュ!!」



Side夕映

クロロさんもネギ先生も大変そうですね。

私もエヴァさんから魔法を教わりましたが…

「あれほどスパルタではなかったですね」

私自身の才能が高いと言っていましたけど……。

それだけでこれほど変わるとは思えないですね。

まあ、エヴァさんは自分の心を少し正直に相手に伝えるのが苦手そうですから…。

ああいう方法でしか教えられないんでしょうけど。

「クロロさんの魔力量が私くらいまで追いついたら一緒に訓練するのでしょうか?」

……それはそれでいいのでは?

「///いえいえ、追いつかれるわけにはいかないですよ!」

一緒に訓練は…魅力的ですが、魔法使いとしてなんだか負けたくない気がします。


「さてと、京都での私の魔法を振り返ってみるです……」

……クロロさんとの仮契約カードの力しか使ってない気がするです。

確かにこのアーティファクトは強力ですけど、これだけに頼ってはいけないですね。

「そうですね……」

「おや、綾瀬君か?」

振り返ると人里さんがいたです。

十百のお姉さんらしいですけど……。

まったく似てないですし、雰囲気も違うです。

「私の顔に何かついているかい?」

「いえ…十百さんのお姉さんなのですよね?」

「ああ。まあ血は繋がっていないから似ていないのだけれどね」

義理の姉なのでしょうか?

「いままで十百さんから聞いたことがなかったので驚いたですよ」

「まあ、彼の姉になったのもついこの頃だからね」

「えっ!」

「彼は少し…いや変わってるよ」

「それは否定できないです」

「けれど……とても優しい、いい弟を持ってしまったよ」

確かにそうですね。

おや?

そういえば…

「十百さんの姿が見えないですけど…」

「学校で新しい部活を開拓する…らしい」

……何をするつもりでしょうか?


「人里さん、確かエヴァさんを超える目標があると聞いたですけど…」

「ああ。私の最終目標…というと一十君に怒られてしまうけど、そうだよ」

「怒られる?」

「“最終なんて言ったらダメだよ、離お姉ちゃん”と言われたよ。彼は常に先を追い続けているのかもしれない」

十百さんの考えを理解するのは難しいですからね。

「そうですか。それで、少し手合わせをお願いしたいのです」

「手合わせ? …私は少し君たちとは違う魔法を使うよ。練習になるといいのだけどね」

「ぜひお願いするです」

「では、お互い怪我しないように気をつけよう」

「はい」


私も実戦形式を少し練習したほうがいいですから。



Side 一十百

「オイ、新シイ部活ッテ何ヲスルツモリダ?」

「はい。でもそのためにはあの人に協力してもらわないと…」

そういって職員室の扉を開きます。

英語の先生のネカネ先生を探しにきたんです。

「あのっ、ネカネ先生はいらっしゃいますか?」

「ネカネ先生かい? 少し待っていてくれるかい?」


「ナルホドナ。ツマリ新シイ部活ッテイウノハ魔法関係ノコトカ」

「はい、ってあんまり喋っちゃダメですよ」

「ケケケ、マア気ヅカレナイ程度ダカラ大丈夫ダ」


「あら、一十百君でしたね。どうかしましたか?」

「はい! 新しい部活の顧問になってほしいんですけど……」

「新しい部活? 私、日本に来たばかりでわからない事だらけだから…」

「大丈夫です!」

そういって僕がかばんから取り出したのは…新しい部活の内容が記載された紙。

「この部活の顧問になってくれませんか?」

「!! え? どうして……」

「ネカネ先生にしか頼めないんです」

「……わかったわ。でも、部室が問題ね」

「それは大丈夫です! すでに用意は出来てますから!」

「イツノ間ニ用意シタンダ?」

「今さっきです」

「そうね。明日から始めましょうか、そのお人形さんも部員でいいのかしら?」

「はい!」

「オイ……マアイイカ」


さあ、これから忙しくなりそうです。



Side クロラージュ

「次、魔法の射手18矢撃て。即座にクロラージュは白の炎、ぼーやは白の雷を放て」

くそ〜、エヴァのスパルタに磨きがかかってる。

休憩がほとんどない上にさっきから難易度の高い事ばかり言ってくる。

まあ、実践で使える連携魔法なんだろうけど…

「ゼイゼイ、コル・コスト・ラス・ラージュ・エスタルロージェス 火の精霊 18柱 集い来たりて 敵を射て 火の18矢!」

「ラス・テル マ・スキル マギステル 光の精霊 18柱 集い来たりて 敵を射て 光の18矢!!」

杖から放たれるの同時に次の呪文詠唱を唱える。

「ラス・テル マ・スキル マギステル…」

「うりゃぁ、白の炎!!」

魔法の射手を追いかけるように白の炎が放たれる。

よし!

「どうだ! ネギ君、エヴァ……どうした?」

なんか二人がこっちを見てるんだけど…

「おい、クロラージュ……。今のどうやった?」

「え? え〜と、魔法の射手を撃ったあとに白の炎を使った…」

「それはわかっている! 白の炎……無詠唱で撃てるのか?」

「そりゃ撃てるだろ? だって、簡単だし……」

その一言でネギ君の表情が固まった。

「か、簡単なんですか?」

「簡単だよ。魔法の射手よりこっちの方の無詠唱のほうが早くマスターできたし……、てか魔法の射手ってまだ無詠唱で撃てないし」

「……エヴァさん、そうなんでしょうか?」

「ぼーや、魔法の射手と白の雷…どっちが簡単だ?」

「ま、魔法の射手です」

「そうだ。つまり……」

エヴァが俺のほうを指差す。

「コイツがおかしいだけだ」

「ひでえ。でも、確かに考えてみるとそうだな。なんで無詠唱で出来るんだ?」

「いつから使えるようになった?」

「……? ちょっとまて……思い出す」


いつだ?

修学旅行のときは使えてたな。

その前は…夜の警備のテストで神多羅木先生と戦ったときは……遅延白の炎を使ったよな。

でもあの時はまだちゃんと詠唱してたな。

それより少しあとだから……あ!

「思い出した!! エヴァがネギ君と戦ったときに夕映が一緒だっただろ。エヴァと別れたあと夕映の雷の斧を防ぐためにダメもとで撃ったんだった。まあ威力が微妙でほとんど軽減できなかったけどな」

「……あのときか。だが、あの時はお前が夕映を運んでこなかったか?」

「そうだよ。過剰魔力とその前の追いかけっこでかなり体力使ってたから夕映ふらふらしてたからな」

「雷の斧を受けて、それだけの余裕があったのか!!」

「まあ、多少は軽減できたし…」

「クロラージュ、お前は少し勘違いをしていないか?」

勘違い?

「もし白の炎が白の雷と同じ威力だとしよう。それに対して雷の斧はどれほどのものだと思っている?」

「え、まあ……そうだな、白の炎3発分くらいだろ?」

「……約6発分くらいはある。それを無詠唱の白の炎で防ぎ、なおかつ夕映を運んでくるなんて事をやったんだぞ」

「し、知らなかった……」

そんなに威力に違いがあったのか。

今になって恐ろしくなったな。


「それでクロラージュ。お前のその白の炎の無詠唱は天性の才能かも知れないな」

「天性の才能?」

「ああ。なるほどな……ぼーやと違う伸ばし方が見えてきたぞ」

うぇ……。

今いやな予感が……。

「クロラージュ、これからキサマは一切呪文詠唱をせずに訓練してもらう!」

「ムリだろ絶対!!」

「いや…出来る。私にはわかる気がする」

なんかエヴァの目が輝いてるんだけど……。

これは本気で期待してるよ。

……仕方ない。

大切な妹兼未来の仮契約者の頼みだ、ここで受けなければ男じゃないな。

「よし、わかった!! これからの訓練はそっちの方向でやってみよう」

「よし! ぼーやは今までどおり、クロラージュは無詠唱主体で訓練再開だ!」

「おう!」

「はい!」


転生時には何ももらえなかったけど、訓練で何とかしてみるか!!

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