小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

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第四十七話 麻帆良祭始まる


Side クロラージュ

「これで僕の……いえ、僕たちの勝ちです!」

「そ、そんな、一十百に負けるなんて…何かの間違いだ!」

「僕を甘く見たから悪いんですよ! これで世界に魔法が認識されます!」

まさか、そんな……。

「うわぁぁぁぁ!!!」



「ハッ!!」

飛び起きると、いつもの別荘だった。

ゆ、夢か…。

「ど、どうした、何か叫び声が聞こえたぞ!」

「いや、気にしないでいいぞ、エヴァ」

かなり大きな声で叫んだみたいだな……。

「まったく、休憩してたかと思えばいきなり叫びおって。何の夢を見たんだ?」

「……一十百に負けて、超の計画が成功した夢を見た」

「クックック、何だプレッシャーか? キサマにそんなナイーブな一面があるとはな」

「いや、これに負けるといろいろ大変だぞ。主にネギ君あたりが」

俺はネギ君のほうを手伝うんだよな。

そっちのほうが、この先も手伝いやすいし……。

「どちらに正義があるかはわからないが、強行手段に出るよりはこっちのほうがいいなとおもってな」

「フン、どちらに付こうが私には関係がないがな」

「なら、少し休ませてほしいネ」

「「へっ?」」

こ、このチャイナなまりは…

「超!! どうしてここに!!」

そういって振り返ると、かなり疲れた顔をした超がいた。

「ど、どうした? 明日から麻帆良祭なのに、何でそんなに疲れ顔なんだよ」

「いや、ワタシにもプレッシャーがかかってるのヨ。ここまでやって、計画が失敗…イヤ、失敗する以前に終わってしまうのではないカ思うと、おちおち寝ても入れれないのヨ…」

「い、いや、そこは寝るべきだろう? 今にも倒れそうだぞ」

「同じ事を十百サンに言われたヨ。ゆっくり休むようにと、これを貸してもらたネ…」

「ゆっくり休んでいってね!!!」

クッション代わりのゆっくりゼロか。

しかし、今にも倒れそうだな…。

「そこまで疲労しているなら、すぐに寝られるんじゃないのか?」

「計画を始める前に失敗する夢をもう何度となく見たノヨ。その度に絶叫して起きてしまたネ…」

「ほう、どこぞの誰かも同じ状況だな」

「ほっといてくれ、俺も俺でプレッシャーがあるんだ」

あれ?

てことは…

「なあ、超。今って作戦とか作る大事な最後の時期なのにここにいていいのか?」

「それは心配ないヨ。作戦はできたし、後はハカセがやってくれるカラ」

「うん? なんだ、一十ではないのか?」

そこで超が目線をそらした。

これは、何かあったな。

「一十百は何か別の仕事をしてるのか?」

「お化け屋敷の準備が間に合いそうにないと連れて行かれたノヨ……」

ああ〜、まあ仕方ないな。

一十百がいるといないとじゃ作業のはかどり具合が変わるからな。

主に、三倍から五倍くらい。

「しかし、十百サンが持っていた資材が……少し、怖かたよ」

「墓石とかか? なんだ、随分と怖がりだな」

「いやいや、夜になると、呻き声が聞こえてくるノヨ…。あれは何?」

「……あまり詮索するな。少なくとも私は記憶の底に封印した」

そういえば、エヴァは一十百と一緒に買い物行ったんだよな。

何を見てきたんだ……。

「とにかく、ここなら休めると十百サンが言っていたネ。本当カ?」

「休むのはかまわんが……、悪夢を見ないという保障はないぞ。クロラージュも見たようだしな」

「それでも、他の場所よりは休めそうネ」

そう言うとふらふらと別送の奥に行ってしまった。

相当プレッシャーを感じてたんだな。

「キサマも休んだらどうだ?」

「そうする。さすがに休まないとな」



Side 夕映

「その資材を切って、貼り付けてください!」

「間に合う? ちょっとまずくない?」

「任せてください! エヴァさんにも超さんにも頼まれてますから、やり遂げます!」

いろいろとアクシデントがあって思ったよりも捗らなかったので、急遽十百さんが借り出されてきたです。

それでも人数的に辛いと十百さんが助っ人を呼んできたですね。

「オイ、コレハココデイイノカ?」

タナカイと呼ばれたロボットと…

「猫使いが荒いにゃ〜」

ネコトモモと…

「私たちも手伝いますネ」

「戦力になるだろうカラナ」

「…手伝い中」

すらいむの三人が手伝ってくれているです。

「しかし、よく他の人たちが驚かなかったですね。どう誤魔化したですか?」

「ふえ? そうですね、タナカイさんは超さんとハカセさんの代わりで、ネコさんはピンチになったら駆けつけてくれる、すらむぃとあめ子とぷりんはお手伝いさんと言ったら納得してくれました」

「……それで納得するクラスが少し悲しくあるです」

「綾瀬、いいじゃないか。クロージュもなんか疲れてたみたいだし、手が足りないのは現実問題なんだから」

「千雨さんはよく納得できるですね」

「納得してねーよ。でも、早く帰れるなら納得するほうがいい」

「う〜ん、これだけ助っ人を呼んでも間に合わないんでしょうか……。困りました、仕方がないです、こうなったら、確か、ポケットに……」

そういって十百さんがポケットに手を入れました。

はっ!


この頃、クロロさんみたいな力が付いてきたです。

主に十百さんが常識を超えるみたいなことをする前にわかるようなものです。


ここは、一度とめないと!

「な、何をするですか? あまり人間離れしたのは…」

「ふぇえ、僕は魔法とか使えないので安心してください」

いえ、まったく持って安心できないです!

「あ、ありました!」

そういって十百さんが取り出したのは一枚のカードでした。

仮契約のは違うみたいですけど……。

「いきます!」

バシュン、と言う音と共に十百さんのカットインが見えた気がしたです……。

いえ、突っ込んでは負けですね。

「「「「よしこれでいけます!」」」」

……増えたです。

いえ、これはアレですね。

「千雨さん、私もメガネを買う必要があるようです。十百さんがダブって見えます」

「安心しろ。増えてる」

なんだか千雨さんは驚いてないみたいですね。

「平常心を保っているのはすごいですね……。私は既に諦めてしまいそうですよ」

「いや、もうかかわらない事にした。一十百が常識はずれのことをしたときは、かかわらない事にした。そうじゃないと、もたない」

「「「「さらに!」」」」

バシュン×4

いま確かに十百さんのカットインが見えたです。

そして、十六人になっていたです。

「これで間に合います」
「お茶の用意や」
「お菓子の用意」
「仮眠室の寝床の用意まで」
「「「「バッチリです」」」」
「さあ、あとひと頑張り」
「皆さんと協力して」
「早く仕上げましょう!」
「行きますよ!」
「「「「オォ―――!!!」」」」

………これは。

「つっこんでいいですよね」

「ああ、いいんじゃないか?」

では息を吸い込んで……。

「「何、自分自身でやってるんだ!・やっているんですか!」」

「うわぁ、息ぴったり」

「「あなただけには言われたくない!!」



そして、日にちは麻帆良祭を迎える。



Side クロラージュ

とうとう麻帆良祭が始まった。

てか、今思ったんだが世界中広場の告白防止の話がなかったな。

まあ、麻帆良祭を楽しみたいから却下しただろうけどな。

今はエヴァと一緒だ。

夕映は部活の発表があるとかで先に行ってしまった。

ちうちうは何か用があるとかで……。

まあ、エヴァと二人きりってのも、とてもいいものだ。

「な、なんだ、私の服装が変か?」

「いや、可愛いんじゃないか? 俺的にはお持ち帰り決定の服装だ」

原作のような、フランス人形っぽい格好だ。

一十百がいなくても普通に可愛い服装を着てくれるんだな。

「さてと、特に行く場所はないが……」

「なら、クラスに向かってみるか? 一応、間に合ったらしいけど」

「わざわざ自分のクラスに向かうのも変な話だが……行ってみるとするか」


3−Aにはすさまじい行列が出来ていた。

カップルが多いのかと思ったのだが、そういうわけではないようだ。

「あれ〜? お兄さんもここに来たの?」

佐々木まき絵が出迎えてくれた。

お化け屋敷っぽい格好、てか魔女の格好だ。

「どうなったか心配でな。それで、この行列は?」

「いや〜、十百君が頑張ってくれたみたいで、すごいスペックらしいよ」

「そうか? てか、入り口が三つあるんだな。レベルでも違うのか?」

「そうだよ。見てみる?」

扉の文字を見ると……。


向かって一番右、子供用レベル。

楽しみたい人や、お化けが苦手な人でも楽しめる。

いい思い出を作りたい人に。


真ん中、大人向けレベル。

恐怖のお化け屋敷、ホラー好きにはバッチリ!

本格的お化け屋敷に行きたい人や、カッコいいとこを見せたい人に。


一番左、デスレーベル。

死ぬがよい。


「………、俺の目がおかしいのか? 一番左が変に見えるんだが」

「安心しろ。私にも同じように見えているはずだ」

「そ、そうか……」

コホン、とまず咳払いをして…

「あれは何だ?」

「う〜ん、よくわからないけど…。十百君が言うには“扉が開けられる人なら入っても大丈夫ですから”って言ってたよ?」

なんだそりゃ?

「ちょっと試していいか?」

「う〜ん、並んでる人がいるから、少しだけね」

まあ、急がないと。

所詮扉を開けるだけだから、問題はないだろう。

そう思ってドアノブに手をかけた。

「っ!!!」

決して開けてはいけない扉……だな。

触った瞬間に、本能的にわかった。

ドアノブをひねれば開いてしまうのに、それが出来ない。

……一体この先に何があるんだ。

「どうした、クロラージュ?」

「いや、これは開けられない」

「何を言っているんだ? まあいい、どけ」

そういってエヴァが手をかけた。

その瞬間エヴァの表情が固まった。

「……おい、一十はこの中に何を入れた?」

「しらないなぁ。“こっちは任せてください”っていって仕上げちゃったから」

「開けられれば入っていい、か……。確かにそうなのかもしれないな」

そういってエヴァが出て行ってしまった。

「エヴァが行っちゃったな、追いかけるか。じゃ、佐々木まき絵頑張れよ」

佐々木まき絵の頭を撫でてからエヴァを追うことにした。


「まったく、あの中に入れるやつがいるのか?」

「ま、まあ、客寄せパンダってことじゃないのか? 結構好評みたいだぞ」

伝説の剣みたいに、開くことが出来れば勇者とか看板が出る始末。

その後いろいろな人が試したんだが、五百人くらい来て誰も開けられてないらしい。

既に一日目にして噂になるくらいのお化け屋敷となっている。

「それで、次はどこに行く?」

「そうだな……行く場所がない。エヴァの部活は?」

「わ、私のか? 茶道部と囲碁部に入っているが……、キサマにはどちらも似合わん」

「確かに。足がしびれたとか言って立てなくなりそうだ」

他の出し物でも見に行くか。

「まあ、そこらへんの食べ物屋とかでも結構面白そうだな」

「ほう、まあいいか」

近くにあったのは、洋風な喫茶店のような店。

一体どこの出し物だ?

「店の名前が書いてあるな……。よ、読めない」

「何だクロラージュ、これくらいも読めないのか。なになに『アーネンエルベ』だそうだ」

「……エヴァ、ここはダメだ。他にしよう」

「何を言っている、店の名前だけで決めるな。それに、客の人数もいい感じだ」

いや、そこじゃないんだ。

この名前ってことは……ヤツがいるだろう。

どうしたものかと悩んでいるとエヴァが先に入ってしまった。

仕方ない、入るか。

「いらっしゃいませ〜」

店員は普通だった、内装も普通だ。

何だ、名前だけか。

ふう、おどろい…

「おや、よく来たにゃ〜」

ぐばぁぁぁあ。

希望が砕け散った。

「おい、なぜキサマがいる」

「ここの店主であるからして、いるのは当たり前でございますよ、ロード」

「ふん、まあいいか。適当な席に案内しろ」


店員が案内をしていって席に座ることになった。

「あのネコが店主か。まあ客の入り、その表情から悪いところではないな」

「納得できないんだが……。エヴァがいいならいいか」

しかし、メニューがないんだが……。

どうやって注文するんだ?

「あの、すみません。注文ってどうやるんですか?」

「私にもわからないんです」

「へっ?」

店員でもわからないって……。

「適当に頼んでください。たぶん目的のものが出てきますから」

「じゃあ、モーニングティーAセットで」

どうだ、さすがに出せまい。

「はい、モーニングティーAセットですね」

「私は、そうだな、私が納得する紅茶のようなものセットだ」

「はい、私が納得する紅茶のようなものセットですね」

「「……だせるのか?」」

「さあ…、作るのは私じゃないので。ですが、誰も文句を言っていないので納得されてるみたいです」

そういうとウェイトレスは戻っていった。

「エヴァ、どう思う?」

「…もしこれで、納得するようなものが出てきたなら、私の考えが当たっただけだ」

エヴァの考え?


少しするとしっかり料理…というかセットが届いた。

俺のは、夕焼け色の紅茶とセットのケーキだ。

確かにこんな感じのようなものを考えてたな。

さてと、エヴァのほうは…。

「えっ、それって…」

「ほう、なるほどな」

エヴァのは紅茶よりもずっと赤い紅茶のようなものに、真っ白のチーズケーキのようなものが届いた。

「では、ゆっくりしていってね!!!」

「はぃぃい!!」

「いえ、なぜか、こう言うように言われているので」

「そ、そうか」

そういうとウェイトレスが戻ろうとした。

その時…

「待て」

なぜかエヴァが呼び止めた。

何か不服だったのか?

「な、なんでしょうか?」

「…今の“ゆっくりしていってね!!!”の発音はバッチリだった。見事なものだ、それだけだ」

「は、はぁ…」

ウェイトレスは首をかしげながら戻っていった。

「エヴァ、何が言いたかったんだ?」

「い、いや、練習しているのだが、まだ上手くいかなくてな」

「練習?」

「ゆっくり語だ」

まだやってたのか!


紅茶もケーキもとても美味しいものだった。

あんな適当な注文から、これが出てきたら満足だ。

「ふう、美味しかった」

「そうだな。私のほうのもとても美味しかった」

「それで、エヴァの考えってなんだ?」

「これの作り主だ」

そういえば作るのは私じゃないって言ってたけど……。

「エヴァには心当たりがあるのか?」

「貴様のよく知るやつだ」

え?

だれだ?

「その表情だとまだ気が付かないか。一十だ」

「うぇっ……。でも、納得してしまった」

「よびました?」

いつの間にか横にエプロン姿の一十百がいた。

「えへへ…どうでしたか?」

「美味しかったぞ。さすが私の執事だ」

「でも、よくこんなことできるな。注文の名前だけで料理を作るなんて」

「難しいです。でも、こっちのほうが面白いですから」

何だかんだいって楽しんでいるようだな。

「そういえば、超さんから伝言ですよ」

「俺にか?」

「はい。“夕方頃から竜宮神社に来ることネ”だそうです」

???

ああ、まほら武道会のことか。

つまり、出ろということだな。

いわれなくったって出るつもりだ。

「了解した。確かに向かう」

「何かあるんですか?」

なんだ一十百には知らせてないのか。

う〜ん……。

「時間があったら来てみるといい。色々と面白いぞ」

「ふぇっ? そうなんですか、上手く時間を作っていってみますね」

まほら武道会か、楽しみだ。



「会計はサバ缶三つで」

「「あるか!!」」

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