小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

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第四十八話 くじ運は全てを決める!


Sideクロラージュ

夕方になり竜宮神社へと移動する。

エヴァも面白そうだ、と言ってついてきた。

「しかし……多いな」

「ほう、武道大会か。超も面白いことを考える」

大会賞金一千万は確かに尋常じゃない額だ。

ほしい、ほしい。

「おい、クロラージュ。キサマ、金のことしか考えてないだろう」

「うっ、なぜばれた! あ、読心術か?」

「それもあるが……、貴様の目がマークだったからな」

おう、それはどうも。

「なあ、エヴァから見てどう思う?」

「実力者のことか? フン、どれも話にならん」

「そうか……」

「ただし、私のクラスの奴らは別だ」

やっぱり強いか…。

「あ、クロラージュさん、エヴァさん、見つけました!」

この声は…

「一十も来たのか。あの店はいいのか?」

「夕方ごろに閉店しちゃったみたいです。材料がなくなっちゃって…」

「そうか」

のんびり話していると一十百の後ろのほうからネギ君ご一行が現れた。

「あ、クロラジュさん、エヴァさん! もしかして、この大会に?」

「そうだよ。やっぱりネギ君も出るのか」

「優勝したかったんですけど、ちょっと無理かもしれません…」

「そんな弱気でどうするんだ! 男なら当たって砕けろ、の精神で挑んだほうが面白いぞ」

「それはキサマだけだ。まあ、ぼーやじゃ優勝は難しいだろうが……」

なんだかエヴァが考えてるな。

こう見えてエヴァは弟子であるネギ君のことをちゃんと考えてるからな。

たぶん……。

「ぼーや、本戦で私に当たるまで負けるなよ。少しばかり手ほどきをしてやろう」

「えっ、エヴァさんも出るんですか!」

「本当なら観戦する予定だったが、ぼーやのいい訓練になりそうだ」

「うぅ……」

「ネギ先生頑張ってください!」

おお、一十百が応援してる。

これで少しは…

「おい、一十。貴様も出ろ」

「ふぇ? ……ふぇぇぇぇぇええええ!!!」

「お、おい、エヴァ……。さすがにそれは無理だろ」

「魔法や武器がないだろうからな、死ぬことはないだろう。私の執事なら本戦くらいまで勝ち残って見せろ」

「あぅぅ……」

助けを求めるような目でこっちを見られても…。

てか、可愛いからそういう目をしちゃダメだ。

「おや、クロラージュ君もでるのかい?」

「タカミチ……も出るんだよな」

「出場者が面白くなってきたからね。十百君にリベンジしたいのもあるし」

「いや、負けてないだろ?」

「さすがに一発も当てられなかったのは悔しいからね」

いや、だって当たったらたぶん即KOだろ?

「さらに勝ちにくくなった…」

「ふぇぇ…」


何だかんだ言って大会の予選が始まろうとしていた。

夕映と転回は出ないらしい。

まあ、ルール上、詠唱魔法が使えないのが辛いからな。

あれ?

夕映って無詠唱雷の斧、使えなかったっけ?

まあ、出るかでないかは本人の自由だからな。

一十百の情報によると、人里と月詠は出ないらしい。

人里はエヴァとの決着はここでつける必要がないから、月詠は人が斬れない戦いはつまらないから、らしい。

さて、予選のチームわけはどうなるかな。

俺はBブロックだ。

俺と同じチームで強そうなのは……。

「いないか……うん?」

「マッタク、ダメ。戦力外ノヤツラバカリダ」

何か、ロボがいる。

ああ、田中さんだな。

何か、ちょっと違うけど、まあいいか。

本戦には行けそうだな。

……正直言って一十百が心配だ。

「それでは、予選開始!」

おっ、始まったな!

まず適当に…

「ダメー!!!」

「「「「のぶぁぁあ……」」」」

俺の目の前で四人くらい吹っ飛んだ。

あれ〜、田中さんってあんなに強かったっけ?

「うおおぉぉ」

「ダメ」

「ぐばぁ」

「ダメ」

「べぶっ」

「ダメー」

「「「アバアババ」」」

勝手に人数が減っていく。

うわぁ、らくちん。

「Bブロックでは人が舞っています。どうやら金髪メタリックの何者かが吹き飛ばしている模様です!!」

朝倉、実況お疲れ!



Side 一十百

「それでは、予選開始!」

あうぅ、始まっちゃいました。

えと、どうしよう。

「悪いなお嬢ちゃん、リングアウトになってもらうよ」

「へ? ……僕は男です」

そういって、一歩踏み込みます。

クロラージュさんの当身瞬動っていうのは出来ませんけど……、それっぽいのならできるかな?

「たぁ!」

「がぁ?」

思いっきり突き飛ばしたら、簡単に跳んでいっちゃいました。

あれ?

ここの皆さんって、体重が軽いんでしょうか?

「おい、あの女の子みたか?」

「あの小娘やばいぞ」

「触らぬ少女にたたり無しだ」

……今の三人の方には飛んでいってもらいましょう。

「いーち」

ドン。

「うゎぁああ」

「にー」

ドン。

「へぁぁぁああ」

「さーん」

ドン。

「あれぇっぇえ」

やったぁ!

エヴァさんとかには絶対通用しないけど、ここの体重の軽い人には通用します。

「Aブロックでは百キロ級の巨漢を少女が突き飛ばしている〜!! これはすごい!!!」

「僕は男ですって!!」



Side クロラージュ

まあ、予選は簡単に突破できた。

主に田中さんのおかげで。

勝手に吹き飛ばしてくれてたから、避けるだけですんだ。

「やはりキサマも残ったか」

「エヴァ、おつかれ。まあ当たり前だろ?」

「そうだな」

「た、ただいま帰りました」

一十百が帰ってきた。

服装が乱れてないところ見ると……負けたか?

「一十、Aブロックだったか?」

「は、はい」

「やはり朝倉の言っていた少女はお前か」

「ぐすん、僕は男なのに…」

「え? もしかして一十百、勝った?」

「ふぇ? は、はい。体重が軽い方ばかりで、突き飛ばすだけで勝てました」

体重の軽い方?

そんなのが集まっていたのか?

「エヴァ、Aブロックってそんな小柄なヤツが多かったのか?」

「そんなわけあるはずがないだろう」

「なら、何で一十百が突き飛ばせるんだよ?」

「……まだ気が付かないのか?」

「何をだ?」

「一十は一人であのログハウスを建てたんだぞ」

「そりゃ知ってるよ」

「……木材や鉄材はクレーン車くらい使わないと運べないだろう? どうやって運んだんだ?」

「……え?」

いわれてみれば、気が付かなかった。

どうやって運んだんだ?

「実は協力者がいたんじゃないか?」

「はぁ、まだわからないか。なら、おい一十」

「ふぇ? なんでしょうか?」

「片手で私を持ち上げてみろ」

いや、そりゃ無理だろ。

「ほぇ? わかりました」

そういって一十百がしゃがんで手をエヴァの前に出す。

そしてそれにエヴァが乗る。

「はい」

次の瞬間、エヴァがあっさりと持ち上がった。

「……ぇ?」

「やはりな。もういいぞ降ろせ」

エヴァがひょいと降りてくる。

「わかったか? 一十は桁違いの力持ちだ」

「いや、いや、いやいやいや、おかしいだろ!」

「単純な腕力なら、どれくらいだ?」

「ふえ、そうですね……。田んぼに落ちた車を運んだことはありますけど…」

「そうか」

そういってエヴァはニヤリと笑う。

「どうする? 本戦で一十と当たったら、吹き飛ぶぞ」

「ソンナバカナ…」

どうか俺の相手が弱い方でありますように!



そして、本戦のトーナメント表が発表された。

一回戦目 タカミチVS中村達也

二回戦目 一十百VSクウネル・サンダース

三回戦目 エヴァVSネギ君

四回戦目 古菲VS竜宮真名

五回戦目 タナカイVS高音・D・グッドマン

六回戦目 長瀬楓VS桜崎刹那

七回戦目 小太郎君VS佐倉愛衣

八回戦目 俺VSアスナ


九回戦目 一回戦勝者VS二回戦勝者

十回戦目 三回戦勝者VS四回戦勝者

十一回戦目 五回戦勝者VS六回戦勝者

十二回戦目 七回戦勝者VS八回戦勝者


十三回戦目 九回戦勝者VS十回戦勝者

十四回戦目 十一回戦勝者VS十二回戦勝者


決勝 十三回戦勝者VS十四回戦勝者



さてと、まずネギ君を見ると、顔が真っ青。

「お〜い、ネギ君?」

「エ、エヴァさんと……」

確かに運が悪いな。

俺はアスナとだろ、その後は小太郎君だろうな。

これは運がいい。

「クロラージュさん」

「何だ一十百」

「クウネルさんって強いんでしょうか?」

「はい?」

そりゃ強いさ、赤い翼の一員ですから。

……て、ちょっとまったぁああ!!

よく見たら一十百のクジ運が悪すぎる!

一戦目がクウネルだろ。

奇跡が起こって勝ったとして、次戦がタカミチだろ。

完全に奇跡を超越して勝ったとして、三戦目がエヴァ…だよな、原作どおり相打ちがあれば。

つまり、赤い翼×2と闇の福音を倒さないと決勝までいけないのか。

……うん。

一十百、本戦に出れただけでもよかったな。

「あ、れ? クロラージュさんの視線が暖かいものになってる気が…します」

「うん、ケガはするなよ」

「ほぇ? はい!」



そして……次の日。

「さあ、始まりました! 賞金一千万の大勝負! 魔帆良一強いのはだれか!!」

会場が盛り上がってるな。

朝倉の司会が上手いからだな。

「皆様お待たせいたしました!! これより、まほら武道会本戦を始めます!!」

会場が完全に盛り上がった。

もうなにいってるか聞き取れないくらいだ。

俺は選手控え室ではなく、観客席から見ている。

横にはエヴァと一十百がいる。

「おい、一十。番狂わせのためにクウネルに勝て」

「ふぇ……。頑張ってみます!」

「そろそろ行かないとダメですよね」

「そうだな、二回戦目だからな」

「それじゃ、いってきます!」

手を振りながら一十百が会場のほうに向かっていった。

「エヴァ、勝てるのか?」

「ぼーやが相手だからな、負けは…」

「いや、一十百のほうだ」

「…無理だろうな」

「だよな」

「だが……な」

なんだかエヴァが言いよどんでいる。

「何かあるのか?」

「“絶対無理だ”と言った場合、ことごとく覆してきたんだ、一十は」

「……今回は無理だろ」

「………」

なぜか、そこでエヴァが黙ってしまった。

もしや、奇跡を期待しているのか?

「一十の執事精神に少しばかり期待するか」

そういってエヴァが立ち上がった。

「ちょ、どこに行くんだ?」

「一十に少し暗示をかけてくる」

「催眠術か何かか?」

「いや、そうじゃない。だが、それ以上に効果があるだろう」

何をするつもりだ?

よくわからないうちにエヴァは一十百を追いかけていってしまった。


「さあ、一回戦目の出場者の入場です!!」

朝倉がそういうと歓声が巻き起こり、その歓声に包まれてタカミチともう一人が出てきた。

「右手の選手は皆様ご存知、デスメガネ異名を持つタカミチ・T・高畑! 予選でも他の選手をまったく寄せ付けぬ実力を披露! 圧倒的なその力に挑むのは中村達也、噂では遠くの相手を吹き飛ばしたとの事。これは一回戦目から目が離せない!!」

中村達也って、だれ?

舞台に登場しても知らないし……。

う〜ん、やられ役の一人か?

「それでは、両者準備はいいですか? 一回戦目、はじめ!」



Side 一十百

ふええ、始まったみたいです。

昨日は突き飛ばすだけで勝てましたけど、今度はそうもいかないよなぁ……。

ぐすん、なんだか緊張して涙が。

「こんな所にいたのか?」

「ふぇ? あ、エヴァさん」

「…一十、主として貴様に命令する」

「ほぇ? ……あの」

「勝て、そして私と戦って見せろ!」

「あの…」

「返事はどうした?」

「は、はい!」

「よし、話はそれだけだ」

そういうとエヴァさんは帰っていっちゃいました。

……エヴァさんが、主として僕に命令を。

………。

………。

…勝たなくちゃ。

立派な執事なら、主の命令を絶対守る。

だから、勝たなくちゃ。

「フフッ、キティも人が悪い」

「あなたは?」

「あなたの次の相手、クウネル・サンダースです」

白いローブ姿の人。

この人がクウネルさん。

僕が倒さなきゃいけない相手……。

「……覚悟してください、主の命により、貴方を倒します」

「!!! この、気配……」

一回戦目が終わったみたいです、勝ったのは……高畑先生みたいですね。

「確か次だよね、頑張って」

「はい……」

これは、僕に課せられた試練。

見ていてください、我が主(マイ・マスター)



Side クウネル

今の少女は……。

いえ、考えすぎでしょう。

「すさまじい圧力でしたね。まさか、ここにあれほどの圧力を持つ人がいるとは」

まあ、ここで負けるわけには行きません。

私にも色々事情がありますから。

-50-
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魔法先生ネギま!(1) (講談社コミックス―Shonen magazine comics (3268巻))
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