小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

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第五十話  機械仕掛けの強敵


Side クロラージュ

「ネギ君、大丈夫か?」

「う〜ん……」

「エヴァ、いくらなんでも…」

「…すまない、ぼーや。考え事をしていて手加減しそびれた」

今はネギ君のお見舞いのために、選手救護室にいる。

エヴァの渾身の一撃をもろに受けてしまったみたいで、うなされている。

と言うよりも、意識が戻ってこない。

大丈夫だよな……。

四回戦目のイエローと竜宮の一戦を見逃したが、まあいいや。

どうやら、原作と同じような感じでイエローが勝つには勝ったが、腕を折ったらしい。

原作では、確かネギ君に見られてるからとか、そんな感じだったけど……。

普通にイエローは強かった。

「で、イエロー、大丈夫か?」

「おまけみたいな言い方ネ……。まあたいしたことないヨ。次の試合に出れないのはザンネンだけどネ」

「まあ、腕が折れてちゃ、さすがに無理だろ」

え〜と、次の戦いは……ああ。

田中さんと高音なんとかとの戦いか。

たぶん脱げ女の称号が付くことになるんだろうな。

よし。

「エヴァ、ちょっと次の戦いが気になった。見に行ってくる」

「次? ……どちらが勝ってもあまり参考にはならないと思うぞ」

「ほら、一応茶々丸の弟が出てるんだろ。見に行ってみようかなぁと思ってな」

「そうか。まあ好きにしろ」

「エヴァは?」

「興味をそそられるのはその次からだな。少なくとも貴様の戦いは見てやる」

おや、エヴァが応援してくれるのかな?

「エヴァ〜、応援してくれるのか?」

「……私の弟子としてな」

「うぇ、勝てないともしかして……」

「練習量を増やしてやる。ありがたく思え」

ありがたくない!!

これは、本気で勝たないと……。

「と言うわけだ、バカレッド。負けるわけにはいかないから、覚悟しておけ」

スパン!

思いっきりハリセンで叩かれた。

「アスナだって言ってるでしょ!! こうなったら意地でも勝ってやるわ」

「はいはい。それじゃ」


俺が観客席に戻る頃には既に五回戦が始まっていた。

「え?」

そこで俺が見たのは、高音・D・グッドマンの影の攻撃を次々をかわし、華麗な剣技を見せる田中さんだった。

「おおっとタナカイ選手、次々と人形のようなものの槍をかわし、持ち前の……え〜、魔力電磁剣さんだ〜せ〜ば〜でしたか、それを華麗に振りかざす!! もちろん刃はついていないので安全です」

「マッタク、面倒ダナ。オイ」

「くっ、こんな機械仕掛けに、私が押されている!?」

「ぼーだーらいん……チョイ下ダナ。嫁候補カラハズシテオク」

「なっ…」

よくみたら名前が田中さん、じゃなくてタナカイだった…。

……なぜに?

「オ、戻ッテキタノカ?」

「なんだチャチャゼロか。お前がこういうのに興味があるとは思わなかった」

「マア、一応弟ノ応援ダナ」

「……あ、まあそうなるのな。てか、タナカイって何? 田中さんとは違うのか?」

「違ウゼ。オマエノ言ウ田中サンッテノハ、タブンアノはかせガ作ッタモノダロウ」

「?? じゃ、あれはハカセが作ったのじゃないのか?」

「半分ハはかせガ作ッタ。アト半分ハ十百ガ作ッタ」

「うぇっ……、つまりあれって一十百の傑作のひとつか?」

「ソウダゼ。アノさんだ〜せ〜ば〜ッテノモ十百ノ作リ上ゲタモノダ」

一十百がとうとう科学の分野にまで……。

考えてみれば、一十百のノートには訳のわからない公式とか書かれてたもんな〜。

まあ、所詮は機械仕掛けだからな。

恐れるに足りないか……。

「タナカイッテ、強インダゼ。アアミエテ」

「……マジ?」

「りみったー、トカ言ウノガカケラレテルラシイカラナ。ソレヲ外スト、十百ノ速度ニギリギリ対応デキルラシイゼ」

「ちょっ!!」

それって、かなり高性能じゃないか?

「マア、魔力ト電力ガ持タナイトカデ、理論上ラシイケドナ」

「驚かせるなよ…」

視線を闘技場に戻す。

すると、高音・D・グッドマンの影の槍がタナカイを包み込むように放たれていた。

おいおい……。

もう少し派手さを抑えてくれよ……。

「おおお!! 高音選手、ここで必殺技か? これは避けられない、どうするタナカイ選手!!」

「コンナモノ、コウダ」

ブオンとタナカイのさんだ〜せ〜ば〜とか言う剣が淡く光る。

次の瞬間、淡い光の突きが何発も繰り出された。

正直言って、何発撃ってるかわからないほどだ。

嘘だろ〜……。

影の槍は次々と砕け散っていった。

「そんなっ…」

「マッタク、ダメー」

ダンと踏み込んで、一瞬で間合いをつめた。

そのまま剣を振り上げ高音・D・グッドマンを空中に吹き飛ばした。

「コレデ、終ワリダー」

地面にいたタナカイが空中まで飛び上がり、連続剣技を空中で叩き込んだ。

「ゲンカイヲコエル(笑)」

おいおい……それはオマエじゃないだろ…。

とどめの一撃とばかりに思いっきり剣を振り下ろす。

剣は影の人形見たいのに防がれたけど……、代わりに影の人形が弾け跳んだ。

服は…無事か……残念。

「まさか…」

「マダヤルノカ? ダメナヤツハ、サッサト負ケヲミトメロ」

「……降参ですわ」

「おおっと!! ここで、五回戦終了です!! 華麗な剣技を見せたタナカイ選手の勝利!!」

会場から大きな歓声がわく。

そして、なぜかタナカイの後姿がかっこよく見えてしまった。

ただの……機械仕掛けなのに!!

解せぬ!!



Side 一十百

う〜ん、なんだかいつの間にか一回戦目が終わってました。

よく覚えてないんですけど、勝つ事ができたみたいです。

それで、今は地下水道内の超さんの研究所での最終調整を行ってるところです。

「十百サン……。ソノ、桁違いに強かたアルネ…。知らなかったヨ」

「ふぇっ?」

「イヤ、覚えてないなら別にいいネ。うん」

なんだか超さんが目をつぶってうなずいてます。

その時、警報が鳴り響きました。

誰かがこの研究室に近づいてきてしまったみたいです。

「どうしましょう…」

「竜宮サン」

「ああ」

「僕もちょっと見てきます!」

「私一人…では不安かい?」

「…だって、さっきあんなすごい試合をしたばっかりじゃないですか。きっと疲れてると思います」

「まあ、疲れている事は否定しないが……。おや、相手がわるそうだ」

画面に映ったのは、タカミチさんと小さい刹那さん。

「ふぇっ! 刹那さんが縮んでるっ!!」

「「そっち!?」」

「え?」

「まあ、いいか。超、悪いが十百君を借りていくよ。私一人じゃ、あの相手は少し辛い」

「わかったネ」

「それじゃ、いってきます」


暗い地下通路でタカミチさんと小さい刹那さんと向かい合います。

「まさか、キミがそっち側だと思っていなかったよ」

「ほぇ? よくわかりませんけど、ここを通しちゃダメなんです。引き返してください」

「……そういうわけには、いかないな」

あうぅ、交渉決裂っていう感じです。

「竜宮さん……どうしましょう」

「……力ずく、だろうね。苦手なら、私が引き受けるが」

「ふえっ? それじゃ、僕がついてきた意味がないですよぅ」

「まあ、そうなんだが…」

その瞬間何かが飛んでくる気配が……。

「!! やっ!」

バシンと、僕の半回転して放った裏拳と何かがぶつかりました。

「……やっぱり見えているのか。これは、辛いな」

「助かったよ、十百君。直撃していたら、意識を持っていかれていたかもしれない」

「いえいえ」

う〜ん、タカミチさんと戦うのか〜。

むぅ……。

「リベンジといったところかな」

「ほえっ?」

「ほら、世界樹の下で試験をしたじゃないか」

「はい」

「あの時は一発も当てられなかったからね。今度は、一発くらい当てさせてもらうよ」

なんだか、タカミチさんから白色のオーラみたいのが見える…。

「十百君。どうやら、結構本気のようだ。退いた方がいい」

「そういうわけには行きませんよ。それに……」

ちょっと試してみようかな。

タンッ!

一瞬でタカミチさんの目の前に移動。

「!!」

「意外と何とかなるかも…」

すぐにバックステップ。

「しれませんよ、えへへ」

「……これは、驚いた」

よーし、色々試してみようかな。

「タカミチさん、石を雨水が穿つって知ってますか?」

「いきなりだね。知っているよ、何年もかけて石を少しずつ削り、いつか穴を開ける」

「そうです! この戦法であなたを倒してみます!!」

「……そういうのは言ったらいけないと思うよ」

「えっ? そうなんですか?」

なんだかやれやれって表情をされちゃいました。

竜宮さんも呆れてるみたいですし……。

「ええっと、それじゃ行きます」

まず一気に近づいて…。

「いくら速くても、同じ手は使っちゃダメだよ」

目の前に何かが迫ってきます。

ここでっ!!

「たっあっ!!」

バシンとタカミチさんの腕を弾き飛ばしました。

「そんな…」

「まさかこの威力で撃ち負けるのかい?」

「一発だけなら、でも……」

「まさか…」

「そうです。タカミチさんには一発に感じられたかもしれません。でも僕は三十三発打ち込みました」

これなら、撃ち負けない!

よ〜し……!

まずいったん距離をとって……。

「覚悟してください! 最高速の最高拳打!」

「これは、手加減したらまずそうだ……。咸卦法は、間に合わないか!」

一歩、思いっきり踏み込みます。

そういえば、もしかしてこれって……。

超さんに追いついたときに似てる……。

擬似時間停止の練習の……。

周りが遅くなって、僕だけが動ける。

まだタカミチさんの拳は構えられてない。

放つ前に僕の拳打が叩き込まれる。

「これは……超のと同じ…」

「できたっ!!」

ゆっくりとタカミチさんが崩れ落ちる。

う〜ん、あんまり暴力は好きじゃないけど……仕方ないですよね。

「いまのは……」

「刹那さん、にげちゃだめですよ」

「しまった!」

よかった、これで何とかなりそうです。

「竜宮さん、何とかなりました!」

「……そうみたいだね」


タカミチさんと小さい刹那さんは、超さんが作った光の壁みたいなのに囲まれた部屋に連れて行かれちゃいました。

「大丈夫だったかなぁ…」

「どうしたんだい?」

「ちょっと、力を入れすぎちゃった気がして…」

「まあ、大丈夫さ。あれでもAAAの実力者だからね」

ふぇ〜……。

僕が勝てたのは偶然だったみたいです。

うん、きっと手加減してくれたんだよね。

「あ、そういえば、大会の方はどうしましょう……」

「それは私が伝えておくネ」

「ほえっ? 超さんがですか」

「一応主催者だからネ」

なるほど〜。

「それで、いま何回戦目ですっけ?」

「丁度六回戦目が終わったところのようネ」

「あぅぅ……。急がないと……」

「おや、十百君の出番はもう少しあとになるはずだが…」

「クロラージュさんのを見たいなぁとおもって…」

「そうか。どうする、超?」

「まあ、十百サンにも見たいものがあるならそっちを優先させるべきネ」

でも……それじゃ…。

「ちょっと間に合うか怪しそうで……」

「まあ、これくらいなら私でもできるネ。それに、十百サンが最後に確認してくれれば大丈夫ヨ」

「ほぇっ、そうですか? では、お言葉に甘えさせてもらいます。それじゃ、説明書を置いていきますんで」

よかったぁ、これでクロラージュさんの大会を見れそうです。

考えてみれば、超さんって頭いいですもんね。

僕があっさりと出来ることくらいきっとすぐに出来ちゃいますよね。



「竜宮サン」

「……わかっているよ」

「解読お願いするネ」

「…私には絶対無理だと思うけど」

「私だって無理ヨ!」



「よかった、間に合いました〜」

「一十か。超の手伝いはよかったのか?」

「大丈夫っていっていましたから、大丈夫だと思います」

「そうか…(差し入れでも持っていってやるか)」

「ほえっ?」

「いや、なんでもないぞ」

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