小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

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第六話 弟子と友達


Side クロラージュ

困った、困ってしまった。

エヴァの機嫌? 

いやいや、確かに大変だったけど何とかなった。

登校地獄の解除を必ずしてやる!って言ったら、なんか俯いて

「約束だぞ」

と言われてしまった。まあ、昨日のことが許されたからいいか。


その事ではなくて、俺のロマンノート内でもかなり優先度が高い項目。

仮契約と弟子 のことだ。

弟子には心当たりがある。

綾瀬夕映、だな。

原作では確か、魔法世界に行った時“白の雷”まで使えてたしな。

才能はあると思う。

仮契約は……まだ考えてない。

ロマンノート第十三頁『綾瀬夕映の魔改造計画』を実行させるためにも、何としてでもコンタクトを取りたんだけど……

「あそこって、女性だけだよね入っていいの……」


そう。今、普通に乗り込んではただの変質者まがいなわけだ。

だから困ってる。

「なにをさっきから唸っている」

そうか!

エヴァに頼めば……、無理だな。

エヴァはそういう事には無頓着だったな。

茶々丸もダメだ、もっと愛想が良くて、うまくいく人物…いないかな。


「おい!」

「なんだ?」

「さっきからなんだ、唸ってばかりで気味が悪い」

「実は、俺のロマンのためにお前のクラスの一人とコンタクトを取りたいんだが、いい方法が浮かばなくてな」

「また下らないロマンとやらか」

くだらないだと、この幼女め。

ロマンは得てして人には理解されにくいんだよ。

「俺一人じゃできない事もあるからな、少しばかり強い味方を増やしておきたいんだ」

「ふん、私一人では満足できぬか」

「え?」

「///い、いや、なんでもない」

なんか、エヴァが挙動不審なんだけど、何かあったのか?

とにかく、どうしたものか。

「しかし、キサマの言うとおりに動き、女子生徒の中に入っても疑われない…」

「いないよな〜」

「探すだけ無駄だ」

くそ、俺のロマンが……。


「ただ今戻りました〜」

「ケケケ、戻ッタゼ」

俺のいう事を聞いて、女生徒の中に紛れ込めて、人当たりがいい……

「どうしました?」

やはりお前は最高だ!

一十百!

「おい待て、まさか……」

「そうだ! 一十百、お前に頼みがある!」

「ほぅぇ? な、なんですか?」

俺のロマンがまた一頁。



Side 一十百

「えと、その僕がこれを着るんですか?」

「ああ」

「その、僕にそういう趣味は…」

「わかってるつもりだ」

僕の手に持たされてるのは学生服。

女子用のやつ……。

なんで?

「クロラージュさん、僕は男「の娘」です」

あれ? 今勝手に声が入った? 誰?

「大丈夫だ、一十百。天の声だ」

そっか〜、天の声か〜。

はうぅ、納得できません。

「とにかく、頼む。麻帆良学園中等部にいる綾瀬夕映にコンタクトを取りたいんだ!」

「…なんで、僕なんですか? エヴァさんとか茶々丸さんとか……」

「人当たりが良くないとダメなんだ。それに…」

クロラージュさんが真剣な表情になってる…。

「お前を信用できる友達として頼んでいるんだ」


…ずるいと思いました。

僕からしてみれば感動できる一言でした。

断る気は……全くなくなってしまいましたし。

「わかりました! 少し待っててください!」

女子用の服を着るのってこれで三回目かな?


(試着完了)


「こ、これで、どうでしょうか?」



Side クロラージュ

「こ、これでどうでしょうか?」

俺は、油断してた。

所詮は男の娘(おとこのこ)だから、と。

似合う、くらいだと思っていた。

だが、俺の前にいるソレは遥かに俺の予想を超えていた。

白とオレンジで彩られた制服に小柄な容姿、そして頬をほんのり赤く染めたそれは俺を消し飛ばすには十分すぎた。

かろうじて言えたはずだ。一十百、お前を称賛するに値するコメントを……。


最高だ(マーベラス)

俺は戻ってこられるだろうか…。



Side 一十百

クロラージュさんが気を失ってしまったので、もらったメモを頼りに麻帆良学園に入ることになりました。


結論から言うと、違和感すら持たれませんでした(涙)

そんなに男の子に見えないのかな……グスン。

それで、メモの人は……


クロラージュの探し人
名前:綾瀬夕映
番号:4番
身長:140cmくらい
特徴:変なジュース、でこ、〜です


……?

特徴のあたりが変だと思うんだけど……。

とにかく僕に任されたお仕事を全うしないと。


無事学園に入れました。

せめて止められたかった(泣)

でも、今だけは好都合かも。

これなら、すぐに見つかるかもしれないな〜。


――30分経過――

クロラージュさん、せめて学年くらいは書いておいてほしかったです。

困った。困ったときは……

「誰かに聞いてしまおう!」


あ!

「すみませ〜ん」

「ん? なんだい」

背の高い色黒の美人さんです…。

中等部だよね、ここ。

「あの、人をさがしているんです」

「人探しか、もしかしたら力になれるかもね」

あれこの人…?

「えと、あの、ハーフさんですか? 背が高くて羨ましいです」

「ああ、まあね。それで人探しは?」

「はい、えと、綾瀬夕映さんって人を探しているんですけど、お知り合いですか?」

「綾瀬…、確か私のクラスにいたはずだ」

「はゎ! 本当ですか、よかった〜」

「せっかくだ、案内しよう」

「お願いします!」


「どうやらいないようだな」

「はぅ。残念です」

「これからどうするつもりだ?」

「もう少し探してから帰ります」

「そうか、私これで失礼しよう」

「案内ありがとうございました」

「いや気にしなくていい」

そういうとお姉さんは帰っていきました。

どうしよ〜

このクラスの人が残ってれば……。

あれ?

シャーペンがくるくる回ってる…?

宙に浮かんでるし、なんで?

よく見ると制服の白っぽい女の子がいました。

見えずらい?なんてこと初めてなんだけどな〜?

「こんにちは〜、ペンまわし上手ですね」

「はい?」

あれ、きょろきょろしてる。

少しして、自分のことを指さして

「私が見えるんですか!」

と聞かれてしまった。

見えるって、見えない人いるのかな〜?

「はい、しっかり見えますよ。こんにちは」

「こ、こんにちは……」

結構いい人だなぁ。

僕はあいさつできる人は好きですから。

「あの!」

「はわぁ、なんですか?」

「私が見える人なんていつ以来かわからなくて…」

「?」

「その、友達になってください!」


初めて、このセリフを先に言われた気がする。

とってもいい気分だよね!



Side クロラージュ

一十百、頑張ってるかな、アイツになら任せられると麻帆良学園に潜入させたけど……。

俺が行きたかった!

間違いなく、いろいろフラグを立てられるはずなのにッ!

「ウガァァァ―――!」

「ブッ! いきなりなんだ―――!」

エヴァがワインを吹きだしてるし、可愛いじゃないか。

「いやなに、一十百なら大丈夫だろうけど……」

「ならなんだ? 何か不満でもあるのか」

「フラグが立たない」

「何の話だ――!」

「俺の出番が少なくなってる。居残りの宿命だな、エヴァ」

「一緒にするな―――――!!!」


そういえば、チャチャゼロがいなんだが……。

ついてったか?



Side 一十百

「綾瀬夕映さんですか? 図書館島の方に行くとか…」

「図書館島ですか……」

今、相坂さよさんと一緒に世界樹広場の前を横切っています。

気が付かなかったんですけど、さよさんは幽霊らしいのです。

幽霊ってもっと恐ろしいものだと思ってたのでかなりびっくりです。

「えと、さよさんはどのくらいあのクラスにいるんですか?」

「60年くらいです」

「その間、誰とも話したりできなかったんですか?」

「ぐすん、はい。友達も作れませんでした」

僕もクロラージュさんに会えなかったら同じくらい友達出来なかったのかな?

そういう意味では似た者同士なのかな〜。

「ですから今こうやってお話しできるのがとっても嬉しくて」

話すのはいつでも楽しいよね。

きっとクロラージュさんともいい友達になれそうだなぁ〜。

「きっとさよさんにも、もっと友達ができると思います」

「ほ、本当ですか!」

「僕でも友達を作れましたから、きっと」


そんなお話をしていると前から目的の人物と思われる女の子がやってきました。

「あ! もしかして…」

「そうですね」

メモに書いてあった通りの姿でした。

ジュースも持ってるし、おでこも広いみたいです。

おでこが広い人って頭がいいと思えるんです。

いいな〜。



Side 夕映

今目の前にいる少女は多分初めて会ったと思います。

けれど、彼女は私の事を知っていたです。

「えと、4番の綾瀬夕映さんですか?」

せめて出席番号くらいつけた方がいいです。

とにかく、私の事に間違えないようです。

「そうです。なにか?」

「は、はい。実はクロラージュさんから頼まれてて…、えと、メモメモ…」

カバンの中を探し出したです。

「はうぁ!! ゼロさん、な、なんでカバンの中に?」

「早ク気ガ付ケ、苦シカッタダロウガ」

「はぅぅ、ごめんなさい〜」


カバンの中と喋ってるです…。

怪しいです。

と思いましたが、カバンから人形がでてきたです。

人形相手に喋るのも…

「ケケケ、コイツカ?」

「はい」

腹話術ですか、うまいですね。

いつの間にかメモを持ってるです。

「えと、『このたびはファーストコンタクトが上手くいった事に感謝しよう。さて、綾瀬夕映、君にはとある才能が眠っている。そのためにわざわざこういう手段を取った。その才能を目覚めさせる気はないか? Yesかハイで答えて、このメモを渡した者についていくと良い。もしも、断った場合は平凡な日常が待っている。
まだ見ぬ同士へ クロム・クロロ・クロラージュ』だそうです」


……つっこむべきでしょうか。

私の回答が肯定のみなのとか、断ったら平凡な日常とか…。

いえ、つっこんだら負けですね。

「アイツ、カナリノバカダロ」

「き、きっとクロラージュさん緊張してたんですよ」

この少女どちらが本音なのでしょうか?

腹話術の方が本音っぽいですね。

しかし、とある才能ですか……気になるです。

好奇心は身を滅ぼすと言うですが、ついて行ってみるです。

「わかったです。面白そうなのでついて行くです」

「ほぁ。よかった〜、断られたらどうしようかと思いました」

「ケケケ、アノバカガ喜ビソウダナ」

腹話術の方が本音の様ですね。

なんとなくわかるです。



Side クロラージュ

どうやら上手くやったらしいな。

窓から見ると…、どうやらあれが綾瀬夕映か。

しかし、今の一十百と夕映が二人で歩いていると、お持ち帰りしたくなるな…。

とと、マズイマズイ。

一応、俺の弟子になるんだから第一印象はよくしておかないとな。

扉が開く、さてファーストコンタクトは…

「さっきのメモを書いたのはあなたですか?」

「そうだ。よろしく綾瀬夕映」

「もっと頭を使うといいです」

ガファゥ…。

いきなりの指摘か。

「一十百に渡したメモ、何かおかしかったか?」

「まるでつっこみを待つような書式でした」

「しまった――!エヴァと戯れてたためにボケ担当になっちまってた!!!」

「どういう意味だそれは―――!!!」

さすがだエヴァ。

いきなり後ろから華麗につっこむか。

これだから俺がボケ役になるんだよ。


さてと、このたぐいの話はこれくらいにして…

「綾瀬夕映、君の才能についての話だが…」

「ぜひ知りたいです」

結構興味津々だな。

もっとドライかと思ってたが、まあいいか。

一応、確認を取っておくか。

「この話をすると、平和で平凡な日常は二度と帰ってこなくなる。それでも聞きたいか?」

「…聞きたいです、というよりも平和まで帰ってこないのですか?」

「あれ? 書いてなかったっけ?」

「書いてなかったです」

「え〜と……、それでも大丈夫か?」

「まあ仕方がないです。それくらいは覚悟をしないといけないみたいですから」

良い目だ。わからないけどそんな感じじゃないか?

まあ、放っておいても勝手に気づくだろうな君なら。

「わかった。コホン。綾瀬夕映、君には魔法の才能がある」

「…つっこみませんよ」

「いや、ボケじゃないからね。本気だからね」

「魔法ですか」

「そうだ」

「信じられないです」

「ならこれを見るがいい! プラクテ・ビギ・ナル 火よ灯れ(アールデスカット)!」

杖に火をともす俺。

常人ならかなり驚くだろ。

どうだ、綾瀬夕映。

「その杖、ライターですか?」

「ガフェルン…。なぜにそこまで信じない」

「いえ、冗談です。本当に存在するんですね」

「まあな。才能っていうのは簡単に言うと、良い魔法使いになれる素質が高い、ということだ」

「素質ですか」

「とにかく、ここに来たからには、ちゃんと弟子として扱ってやる」

「弟子ですか」

「オマエ、ソコマデ魔法上達シテナイダロ。ナノニ弟子ヲトルノカ?」

「だまっとけ、ボロ人形」

まったく、これだからチャチャゼロは。

きっと御主人似だな。

「おいキサマ、私を侮辱しなかったか?」

「いや、気のせいだ」

鋭いな、さすがエヴァ。

さてと、これから忙しくなりそうだ。

「てことで、別荘を今後も使わせてもらうぞ」

「好きにしろ」


「あの〜、私の事見えてますか〜?」

「気が付いてないみたい、がっかりしないで」

-7-
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