小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

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第七頁 各々のやること


Side クロラージュ

「すごいです……」

エヴァの別荘はすごいからな、さすがに驚くか。

「鏡張りの床ですか…。スカートでは入れなかったです」

そこか!

確かにすごいけど、それエヴァの趣味じゃないから。

「こうなったのは一十のせいだ」

エヴァが恨めしそうに見てやがる。


「さよさんもここに入れるんですね。幽霊ですから入れないかと思いました、良かった〜」

「はい。それに私はスカートでも映りませんから安心です」

「ケケケ、オイ十百、サッキカラ誰ト話シテルンダ?」

一十百がエアフレンドと話すようになってしまった。

女装させたのがかなり辛かったのか?

さすがにマズイな……。

「お、おい、一十百。その、な、エアフレンドを作るのは悪くないが…」

「へぁぅ! エ、エアフレンド? あ! そういえば、クロラージュさんには見えてないんでしたっけ?」

「見えてないって……。そりゃ…」

「一十、いつの間に相坂と知り合った?」

エヴァの一言で思い出した。

そうだった、いたねそんな子。

たしか幽霊で、存在感がなくって、友達が欲しい女の子だっけ?

エヴァには見えるのか。

「エヴァ、どのあたりにいる?」

「一十の肩のあたりだ」

「憑りつかれてないか、ソレ……」

「一十に聞いてみろ、そっちのがはやい」

そうだな、原作では朝倉が憑りつかれてたっけ?

実際は違うらしいが…

「一十百、その肩とか重くならないか?」

「ほぅぃ? なんでですか?」

「いや、相坂って幽霊だし」

「ひどいです、私悪霊じゃありません!」

ん? なんか、言われた気がする。

分からんけどね。

「えと、悪霊じゃないので大丈夫らしいです」

そうなのか、本人が言うんだからそうなんだな。

「それに、友達ですから大丈夫になるんです」

ああ、そうだったな。

相坂、良かったな、いい友達が出来て。


さてと、俺達もそろそろ始めるか。

「それじゃ綾瀬夕映、これ持って」

「杖ですか? 星が付いてるです」

「初心者用のやつだ。まず、これに火を灯せるくらいになってからだな」

「わかったです」

そうそう、エヴァが俺に杖をプレゼントしてくれたんだよ、結構前に。

昔自分を殺そうとした者から奪ったやつらしい。

30cmくらいの黒い杖だ。

で、夕映に持たせてるのは俺のお古。


「ええと、プラクテ・ビギ・ナル 火よ灯るです(アールデスカット)!」

そうそう、そんな感じに火が灯れば…

あれ? 一発成功ですか?

原作より才能あるんじゃね。

てか、俺が抜かれるんじゃ…!

「さ、さすがだな。俺が見込んだことはある」

「意外と簡単ですね」

「そ、そうだな…アハハ」

「次のスッテプへ行くですか?」

「え、もう次行くの?」

もっと感動するもんじゃないか?

俺は叫んだぞ。

まあいいか。

「それじゃ、なんか好きな属性ってあるか? 風とかそんなんでいい」

「好きなですか…。む〜」

考え始めちゃったな。

哲学的だからかなり考え込むなコリャ。


さて、俺も俺で頑張らないと。

「まずは集中…。そして…」

「ケケケ、クロ馬鹿、斬ラセロー!」

どわ――!

危うく首なしの騎士の仲間入りするところだった。

「いきなり何する、ボロ人形!」

「暇ダカラナ、チョット斬ラセロ」

ちょっと斬るなんて訳のわからないことを……。

いいだろう、やられっぱなしも腹が立つし、くらえ!

「コル・コスト・ラス・ラージュ・エスタルロージェス 闇夜を照らす(エリネス・フェルゴル) 一条の炎(コンギテンス・イグニス) 我が手に宿りて(イン・メア・マヌー・エンス) 敵を喰らえ(エルミーンス・エダット) 白の炎(フランムルス・アルビカンス)!!」

そう、ネギ君が使う白の雷の炎バージョン。

つまりオリジナルだ!

燃える天空? あんなの詠唱が長すぎて覚えられん。

赤き焔? 詠唱忘れた。

てかね、魔力が足りないんだよ!

とにかくだ、この魔法は手から炎が出る、結構いい威力の魔法だ。

「オ! ヤルジャネエカ」

かわされたか、単発式じゃ当てるの無理っぽいね。

どうしよ…。

「ほう、オリジナルの魔法か。なかなかさまになってるじゃないか」

ナイスエヴァ、チャチャゼロがどっかいった。

しかし、エヴァがほめるとは…。

案外いい出来だったか?

「まあキサマの魔力量では乱発はできんがな」

「うっせ」

「しかし……一十」

「ん? 一十百がどうした?」

「奴からは魔力を感じない」

「当たり前だろ、一般人なんだし」

何をつまらんことを…

「そういう意味ではない!吸血しているときから気になっていたが、奴に魔力はない」

「ない? 無いなんてあるのか? 気と同じもんだろ魔力って」

「だからこそおかしいのだ」

確かに一十百から魔力っぽいもの感じたことはないけど……。

いいんじゃないか、それはそれで。


それに、一十百なんてキャラクター俺は知らない。

少なくとも原作にはいなかった。

あのバカ神が言ってた世界がずれちゃうとか知らない人とかの知らない人の方だろう。

別に悪い奴じゃないし、てかいい奴だし、そこらへんはほっとくことにしよう。


そろそろ思考の海から夕映が帰ってきた頃か。

さてと…

「お〜い、きまったか?」

「はい、雷のようなものにするです」

原作で白の雷使ってますもんね〜。

「そうか、やっぱり雷か」

「…やっぱり?」

「なんとなくだ、なんとなくそうすると思っただけ」

「そうですか」

「じゃ、始める…前にもう一つ」

「まだあるですか」

そんなジト目で見ないでほしいな。

「始動キー、つまり詠唱の始まりの部分をオリジナルで決めてくれ」

「わかったです。むむむ……」

思考の海へ船出したか。

まあいいか、俺も集中して魔力量を上げとくか。



Side 一十百

「私も魔法使いたいです」

さよさんは杖が持てない、どうしよ〜。

「でも、杖が持てないんですよ」

友達として助けてあげたいけど……。

魔法の事はわからないから。

でもさよさんって幽霊さんなんだからポルターガイスト現象を引き起こせるんじゃ?

「あ、あの、さよさんってポルターガイストを引き起こせるんじゃ?」

「あ、そうでした。あれって魔法っぽいですよね」

机とかが空飛んじゃうんだから魔法だよね。

エヴァさんが聞いたら怒りそうだけど…

「ちょっとやってみますね。う〜…」

なんかガタガタ言い始めた。

さすが本物の幽霊さん。

「タンスが浮いてる…すごい!」

「え、えへへ。もっと浮かせられると思います」

ベッドまで浮き出した!

もしかしてさよさんってすごい幽霊さんだったりするのかな?

「何をやって……!!!」

「あ、エ、エヴァさん」

「エヴァさんも浮かせられます!」

「なに! って何をする〜」

すごいです! 人も浮かせられるんですね!

あ、エヴァさんは吸血鬼でした。


そのあと、結構怒られました。

すごいと思うんですけど、エヴァさんは納得してないようです。

「次はもっと頑張ります」

さよさんは頑張り屋さんみたいです。

僕も応援しています。



Side クロラージュ

夕映の始動キーは決まったらしい。何だっけ?

「フォア・ゾ・クラティカ・ソクラティカ 雷の精霊25人(クィンキムリーギンタ・スピリトゥス・トータンラル)! 集い来るです(コエウンテース) 魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾(セリエス)雷の25矢(フルグラーリス)!!」

そうそうこれこれ、いやしかし……、見事なものだね。

見事すぎる。

「キサマはすでに抜かれているが、それでも師を名乗るのか」

ほっといてくれエヴァ。

ここまで夕映に才能があるとは思わなかった。

ネギ君のを見たことがないからわからないが、かなりいい線いってると思う。

エヴァですら

「なかなかの練りこみだ綾瀬夕映。お前は将来いい魔法使いになるな」

とか褒めちゃってますから。

俺は褒められたこと少ないですよ、片手くらいしか……グスン。

とにかく俺は、弟子に負けないように魔力量を増やしてるんだが……。

上がらん、増えん、やってられ…ます、ハイ。


「落ち込むなです。弟子として師の背をいつまでも追いたい気持ちがあるです」

いい弟子だな。まったくもっていい弟子だ。

エヴァにはやらん。

本当なら、お持ち帰りとかする予定だったんだが、そんな気もなくなったわ。

本当によくできた弟子だ。

「安心しろ、少なくとも投げ出すつもりはない。有能な弟子を置いていくほど不幸者じゃないさ」

「ならいいです。弟子に置いて行かれないようにしてほしいです」

グフゥ……。

真顔で言われた。かなり辛い。

くそ、もっと俺にデレてくれないかな。

まあそれはいいか。

「ところでです、いつもいる十百さんとチャチャゼロさんがいないのですが」

「ああ、確か恐山に向かったらしいな」

「観光ですか?」

「いや、相坂さよのために藁人形がどうたらとか言ってたな」

「藁人形、なんのためにですか?」

「それはな…」

「相坂が自分で動けるようになるためだ」

お、説明役のエヴァさんが登場したな。

よし、いまのうちに……。


「コル・コスト・ラス・ラージュ・エスタルロージェス 魔法の射手(サギタ・マギカ) 火の36矢(トリーギント・エト・セクセム・イグニス)!」

よし、36矢まで撃てるようになった。

かなり頑張った方だ、風船と呼ばれた時代が懐かしいぜ。

そして新しい魔法を会得中なのだ!

いわゆる雷の暴風クラスのやつ。

エヴァ曰く

「あれば便利だろうが、お前の魔力量では無理だな」

らしい。

いいんだよ! 多少発動できれば!

エヴァの闇の吹雪がかっこよかったから、俺もあんなの使いたくなったのさ。

で、これが俺の現段階最強魔法!

「いくぞ! コル・コスト・ラス・ラージュ・エスタルロージェス 来れ火精(ウェニアント・スピリートゥス) 焔の精(フランムルス・イグナウス) 炎よ渦巻いて(ガルム・フランムルセルオーニ) 焼き払え(オル・ヴァセンス) 爆炎の都(エクスプロセブス) 火の爆風(フラーム・カピタイム・イグナムエンス)!!」

俺の杖から爆発する火球が現れ、爆炎が渦となって進む……。

確かに高威力なんだけど、泣きたくなるくらいのリーチの短さ。

多分、闇の吹雪の半分以下。


「すごいです…」

「い、以外とやるではないか」

気が付くとエヴァと夕映が後ろにいた。

「クロロさん、あんな魔法が使えたんですね」

「まだ未完成もいいとこだけどな」

「確かに未完成だが…もう少し誇ってもいいぞ、今の魔法は」

「そうか、まあエヴァが言うくらいなら少しはな…」

けどこのリーチの短さだよな。

魔力量が増えればもう少しくらい伸びるか?

それと、一発撃つとかなり疲れる…。

昼寝しよ。



Side エヴァ

奴の魔力が高まっていたから見に来たら爆炎が渦を巻いていた。

初めて戦った時、あの魔法を会得していたらどうなっていたかわからないな。

「すごかったです。あれだけの魔法を使えたんですね」

自分の弟子にも見せていなかったか。

確かに今の奴では手に余る魔法だろう。

だが、魔力量さえ追いつけばリーチも伸び優秀な魔法になる。

いや、優秀な魔法使いになる、か。

「あれなら、近いうちに完成させるな」

「すごいですね、いきなり私を弟子にすると大見得切っただけの事はあったです」

「奴は努力家だからな、弟子が出来て鍛錬の量を増やしたのだろう」

「そうにはみえないです。いつも私の魔法を見ていましたから」

まあ、確かにそうにしか見えなかっただろうな。

奴の練習方法は集中・実践・休憩を順に行う簡単なものだから、集中しているときと休憩しているときの区別はまだ見分けられないのだろう。

「お前の魔法を見ているときにも奴は鍛錬を重ねていたぞ」

「見ているだけではなかったのですか?」

「ああ、奴の魔力量はかなり低いからな。集中することで魔力量の底上げを図ったようだな」

「集中ですか…」


しかし、弟子を取ると言った時は反対したが、これほどの才能の者を見つけてくるとは…。

奴といると退屈せずに済む。

私の事を妹にするのだけはやめてほしいが…。

言っても無駄だな、奴の場合。


さてと私も奴の言っていた魔法の構想でもするか。



Side クロラージュ

そう言えば、夕映の身体能力が上がってきている気がする。

縮地法とかそんなのじゃなくて、体力とか走る速さとかそんなのが以前より高くなった。

なぜだ?

「エヴァ、夕映の事なんだけどさ」

「ん、なんだ?」

エヴァはティータイムか。

「なんか体力とか上がってないか?」

「そうだな、魔力の覚醒による身体能力の上昇と言ったところか」

「仮契約したやつにかける魔法の簡易バージョンてところか」

「そんなとこだ」

しかし、夕映が魔法を使ってて、近接戦闘に不満を感じ始めたら……。

体術を教えることになるのかな〜。

ネギ君もびっくりな魔法拳士だな。

まあ、師としておすすめはしないな。

エヴァの言っていた、砲台タイプの方がいい。

前衛は従者に任せて、後衛から火力で薙ぎ払うタイプ。

夕映もなかなか理にかなった方面で考えるタイプだから、いい従者がいればかなりの……。

てか、夕映の従者って誰になるんだろうな?

え〜と、誰が相性良かったっけ?

本屋ちゃんは、ダメだな。

むしろ後衛だし、ネギ君に魅かれちゃうだろうからな。

ほかにはパルか……、ダメだな。

さてと、どうしたものかな……。


俺も自分のことを考えてみるか。

誰と仮契約しようか?

う〜む、ハーレムは憧れるけど、さすがに無理だろうから……。

3人くらい集中して狙ってみるか。

え〜と、ちうちうとバカピンクと……。

あとは…エヴァか。

エヴァは無理かな、さすがに。

他は、どうにかなる。

特にちうちうは麻帆良学園が異常だってわかってるしな。

そろそろ、コンタクトをとってもいい時期か?

ネギ君が来る一週間前だし……。

やってみるか!



Side チャチャゼロ

「恐山マデ走ッテ行クナンテナ……」

「電車代がもったいないですから」

「ナンデ息ガ上ガッテナインダ?」

「時速70kmくらいですから、そんなに速くないですよ」

「ソウイウ問題カ? イヤ、人間ニシテハ速スギルダロ」

「そ、そうでしょうか? クロラージュさんもこれくらいだったんで…」

「アノ馬鹿ハ魔法使イダカラナ、速ク走レルンダロ」

「そうなんですか、す、すごいですね」

コイツ自分ノすぴーどトすたみなガオカシイト気ガ付カネエノカ?

魔力モ気モ使ワズニ、コノすぴーどダゼ。

人間ジャネエヨ。御主人ハ人間ダト言ッテルガ……。

「でも、恐山って、し、神秘的なところですね。風車もたくさんありますし」

「オマエノ価値観ッテ、タマニ変ダヨナ」

「へぁぉ! そ、そうでしょうか?」


マア、イイ暇ツブシダカラ文句ハ言ワネエケドヨ。

目的ノ物ガ手ニ入ッタラ、観光スルカ。

「ケケケ、サッサト手ニ入レルゾ」

「はい!」

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