小説『魔法先生ネギま ロマンのために』
作者:TomomonD()

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第八話 実力試験


Side クロラージュ

「今回は、潜入ではない。革命(レヴォリューション)だ!」

「黙っていろ、消すぞ」

「……エヴァ怖い」

「仕方がないです、いきなり訳の分からないことを言ったクロロさんがいけなかったです」


今、俺は麻帆良学園中等部にいる。

というか、昨日エヴァが学園長に呼ばれたらしい。

どうやら俺の事らしいけど、なんだ?

「あの爺の事だ、どうせ下らん用事だろう」

「ならいいんだけど、夕映まで呼ばれてるからな」

「魔法の事でしょうか?」


学園長室に入ると……妖怪がいた。

ああ、学園長だった。

「よくきたのぅ、クロラージュ君」

「俺に何か用ですか……と言うより、人間?」

「あの爺は人間だ」

「エヴァの方がよっぽど人間ぽいな」

「私は呼ばれてなかったですか?」

「ああ、私が呼んでおいた。説明は一回で済ませた方がいいだろう」

「あの〜、わしの話を…」

そうだったな。

つい、いつもの癖でね HAHAHA。

「聞いてるぞ、話してくれ」

「はぁ〜、まあいいか。クロラージュ君、それと…」

「綾瀬夕映です」

「綾瀬夕映君、君たちが裏の世界の関係者なのはわかっている。そこでじゃ、少しばかしここの警備をお願いしたいのだが…」

「警備? 結界があるのに必要なのか?」

「いろいろとあるわけじゃ。本来なら…」

「いくら? いくら出す?」

「いきなり金の話ですか! ハッ、つっこんでしまったです」

なぜか夕映がうなだれてしまった。なぜだ?

「まあ金額は…このくらいでどうじゃ?」

「……商談成立で」

「オイ! いいのか! 内容とか聞かないで…」

「エヴァ、心配してくれるのか。さすがエヴァだ」

「///ッ だ、誰が心配などするか!」


「それでじゃ、深夜ここにやってくる者たちを追い返してほしい」

「乱暴な方法でか?」

「話し合いでどうにかなる連中じゃないからのう」

「わかった……と言うか、俺の実力知ってるのか?」

「その事じゃが、今日の夜21時ごろ世界樹広場に集まってもらえるか。そこで…」

「実力の確認か。いいだろう、死人を出したくなければ結界を強く張っておくことだ」

「そ、それほどなのか…?」

「俺が本気になればここら一帯が火の海になるぞ」

「そ、うか。うむ…」

「オイ、いつからそんなに強くなったんだキサマ?」

「クロロさんの実力は、火の爆炎1回、白の炎6回くらいですから、火の海にはならないです」

エヴァ、夕映、すこしくらい大げさに言ってくれてもいいじゃん(泣)

「安心しろ爺、それほどの奴じゃない。適当で十分だ」

「なんじゃ、そうか。ふぅ〜、寿命が縮んだわい」

「と、とにかく、今日の21時に世界樹広場だな」

「うむ」

「私はどうするです?」

「夕映、お前も用意しておくといい。引き受ける必要はないが、見せつけておくのも手だ」

「エヴァさん、わかったです」



こうして学園長と別れたけど……。

俺、大丈夫か?

実力を確かめるって、誰かと手合せするんだろ……。

タカミチなら終わったな俺。

「オ、オイ。どうしたキサマ。顔が白いぞ…」

「オデノイノチハボドボドダ―――!!!」

「クロロさんが壊れたです!」

「…放っておけ。そのうち治る」


そして、夜…。

世界樹広場の前には知っている顔が並んでた…。

「うむ。ではクロラージュ君、君の実力を…」

「待ってください学園長」

む、あの黒い先生は……誰だ?

いちいち覚えてないし。

「いくら実力が高くとも“闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)”の身内に警備をまかせるなんて納得がいきません!」

「オイ、待てキサマ。いつからコイツが私の身内になった」

「違うのか…。たしか妹がエヴァと言っていたが」

ヤバ、エヴァが恐ろしい顔でこっちを見ている。

眼が反転してるし…。

「ま、まてエヴァ、そう、言葉のあやだ」

「そうか、言葉のあやか。覚えておけクロラージュ」

名前を呼んでもらえたぜ〜。

でも、死刑宣告にしか思えないんだけど…。

「とにかくこのような悪人に…」

「まて、俺は悪人じゃないぞ! この学園に不法侵入するつもりだったけど…」

「………」

「しまった―――!! 口が滑った――――!!!」

「学園長!!」

「ま、まあ大丈夫じゃ。それに、この頃やけに外部からの干渉が多い。人手が足りないのも確かじゃろう……え〜ガンブロフィーギ君?」

「ガンドルフィーニです! けれど…」


ん〜、エヴァが快く思われてないのが良くわかるな。

エヴァだって少女、いや美少女なんだから、心が痛むだろうな。

仕方ない、撫でておくか。

「よしよし、四面楚歌だが、一応お前の味方だからな」

「な////  そうか。 って、なぜ撫でている!!」

可愛いじゃん、茶々丸に後で写真もらおう。

「とにかくじゃ、まずは彼の実力を見てからでもよいじゃろ!」

「……わかりました」

「では、クロラージュ君。誰と手合せをしてみたいかのう?」

「高畑先生以外で(即答)」

「……僕は君と手合せしたかったんだけどね」

やめろぃ!

原作知ってるから断る!

勝てる勝てないとかじゃないだろ、死ぬかもしれないぞあの一撃!

「無理です。さすがに実力が不足してるんで」

「そうかい、残念だ」

「では、だれにするかのぅ」

「え〜、じゃあ、そこのサングラスの人で」

「神多羅木君か、いいかのぅ?」

「かまいません」

「それでは……」

「ちょっと待った!」

「ど、どうしたのじゃクロラージュ君?」

「神多羅木先生ですよね? その内でいいですから、そのフィンガースナップ魔法教えてくれませんか?」

「別にかまわないが……、君の前で見せたことはないはずだが」

「そこらへんはスルーで、実力とは関係ないですから」

カッコいいよな、あの指パッチンで魔法が飛び出すアレ。

これで俺も指パッチン魔法が使えるようになるかな?

さて、気合入れていくか!


「コホン。ではよろしいか」

「はい」

「おう!」

「では、始め!」



Side 一十百

「帰るころには暗くなってしまいますね」

「ソウダナ。ドウセ走ッテ帰ルンダカラ時間ハ関係ナイケドナ」


今、僕は露店周りをしています。

藁人形をもらいに行ったら……

お寺に案内されて、使い方を聞かれて、藁の選別をやって、時間が余ったからお掃除をさせてもらって…

なぜか“観音様が降り立たれた”とか間違われちゃって、ゼロさんが付喪神と間違われちゃって、お祈りされて、藁をまとめて、露店周りをしているところです。

「ケケケ、ボロ寺ガ掃除シタダケデアソコマデ変ワレバ、間違エラレテモ仕方ナイナ」

「ほぇぇ? そ、そう、なんですか」

まあでも、藁もいっぱいもらったし、強い霊を憑かせることが出来るらしいから…

「さよさんも一人で動けるようになりそうです」

お土産何にしようかな〜?


「!」

「ドウシタ?」

「なんとなく、クロラージュさんが大変なことに巻き込まれてる気がする」

「ナンデワカルンダ?」

「友達ですから!」

「普通ワカンネエヨ…」

「ゼロさんがピンチのときも絶対にわかります」

「ケケケ、ヤッパリ人間ジャネエヨ」

「ひぃぇ、人間ですよ〜」

とにかく学園に急がないと!

「ゼロさん、掴まっててください! 高速道路を使います!」

「……ツッコマネエヨ」

「? と、とにかく行きます!」

ちゃんとお土産は買えなかったけど、友達のピンチかもしれないから…。

任せてください、すぐ戻ります!


「あれ、僕って料金所どれで通るのかな?」

「大型ジャネエノハ確カダ……ハァ」



Side クロラージュ

「速攻! コル・コスト・ラス・ラージュ・エスタルロージェス 魔法の射手(サギタ・マギカ) 火の20矢(ウィギンティ・イグニス)!」

放たれる俺の矢。

いきなりとは恐れ入ったろ!

瞬殺だろ……あ、そう言えばフィンガースナップで魔法発動って…。

パチン、パチン……

俺の火の矢が、風の衝撃波に消されていく…。

「だが!」

俺の魔法がこれだけだと思うなよ。

たとえフィンガースナップの無詠唱魔法があってもこれは防げまい。

「コル・コスト・ラス・ラージュ・エスタルロージェス 魔法の射手(サギタ・マギカ) 火の12矢(デュオデシム・イグニス)!」

律儀に俺の炎の矢を全て落としてくれるから、隙がデカいぜ!

使えるかどうかわからないが、やってみせよう!

脚に魔力をためて、踏み込む!

「もらった―!」

「くっ、瞬動術か!」

気が付いたが、遅い!

ってあれ〜? どうやって止まるんだこれ?

「うわぁぁぁ〜」

バキバキってすごい音がした。

植木に突っ込んだらしい。

イタイ。


「…アホめが」

「エヴァさん今のは?」

「瞬動術だ。足に魔力をためて蹴り移動する、簡単に言えば直線の高速移動だな」

「ブレーキを考えてから使うべきです」


なんか、エヴァと夕映が話してるけど……。

う〜ん、うまくいかなかったか。

出来ると思ったんだけど、仕方ないな。

「よっと、よしやり直しだ」

「瞬動術は使わないのかい?」

「使えません、てか初めてやりました」

なんだろ、周りの人が呆れてるような……。

そんなこと言ってる場合じゃないな。

「ならこれならどうですか? コル・コスト・ラス・ラージュ・エスタルロージェス 闇夜を照らす(エリネス・フェルゴル) 一条の炎(コンギテンス・イグニス) 我が手に宿りて(イン・メア・マヌー・エンス) 敵を喰らえ(エルミーンス・エダット) 白の炎(フランムルス・アルビカンス)!」

ぽすん……

「………」

「………」

「あの、せめてコメントください、神多羅木先生」

「いや、そんなものか?」


なんか学園長とその他もろもろの人の視線が痛い!

「ええい! コル・コスト・ラス・ラージュ・エスタルロージェス 魔法の射手(サギタ・マギカ) 火の10矢(デシウム・イグニス)!」

そして、また指パッチンで弾く、そうだろ?

甘いよ、神多羅木先生。

瞬動術の別の使い道を見せてあげよう。


「あの馬鹿、また瞬動術を!」

「失敗するですね。白の炎も失敗しましたし」


そう、止まろうとするから転ぶ。

なら、いっそぶつかるまで進めばいい。

「ぐっ…」

「がっ…、だが、この程度の当て身では…」

そして…

解放(エーミッタム)!」

「遅延魔法か!」

そうさ、あの白の炎は遅延させた。

ゼロ距離なら当たるんだよ、服つかんでるしね。

もらった!

白の炎(フランムルス・アルビカンス)!!!」

「ぐあっ……」

「そこまでじゃ!」

とにかく勝てた。

まあ勝ってはいないが、合格できたか。

「驚いた、瞬動術を当て身に使ってくるとは」

「まあ、なんとなく気が付いただけで、初めてです。ついでに遅延魔法も初めてでした」

あれ? 神多羅木先生があさっての方向を向いてしまった。

何か悪い事でもしたか?

「うむ、戦い方が歪じゃが何とかなったようじゃから大丈夫じゃろう」

「よっしゃ、金額をまちがえないでくれよ。そのためにやったんだからな」


しかし、つかれた…

「では、次 綾瀬夕映」

「はいです!」

ちょっと待った、なんで戦おうとしてる!

夕映、いつから戦闘マニアになった〜!!!

「ちょっと待て。さすがに…」

「エヴァさんがやって見ろだそうです」

「無茶だろ」

「クロロさん、師として、その応援していてほしいです」

なぜ赤くなる?

そんな展開じゃないだろ……

「この世界がそんなに甘くないことを知るいい機会だ」

「エヴァ、さすがに危険だろ」

「死にはしない。それで杖が握れぬようになればそれまでの者だったというわけだ」

「まじかよ…」


確かに、これからかなり危険なことが起こる、原作通りなら。

そのための予行演習と言えば形的には……。

でも…

コツン!

「いたっ! 夕映?」

「少しは弟子を信用しろです!」


…はぁ〜、よくできた弟子だこと。

仕方ないか。

撫でとこ。

「///な、何をするです」

「いや、まあ、あれだ」

この弟子には一言で十分だったか。


「がんばれよ」

「いってくるです」



Side 夕映

「では、誰と手合せするかのぅ」

「ガンドルフィーニ先生、お願いするです」

はっきり言うです。

腹が立ったです。

実際のエヴァさんも知らないで、勝手に憶測で物事を決めつけるなです。


「では双方用意はいいか?」

「はいです」

「いつでも」

「では、始め!」


悪いですが、一瞬です。

解放(エーミッタム)

「な、遅延魔法か!」

エヴァさんから教わったです。

簡単な障壁は効果が一瞬しか持たないらしいですね。

雷の114矢(セリエス・フルグラーリス)!」

「なに!」


「エヴァ、なぜに3ケタの魔法の射手、それを遅延させられるんだ?」

「わ、私に聞くな。お前の弟子だろ」

「教えてないし、遅延魔法ってさっきのが初めてだよ」

「3ケタの魔法の射手か…。キサマに撃てるか?」

「無理だ、無理だと思う」


「ぐぁぁぁ…」

「そ、そこまでじゃ」


エヴァさん、あなたの怒りは私が代わりに放っておいたです。

「ゆ、夕映? あれ、何?」

クロロさん、私はちゃんとやれていたですか?

最後の言葉は口から出なかったです。

-9-
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