小説『男女戦争』
作者:UMA.m()

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新は今だに走り続けていた。
足はヨロヨロで、何回もこけそうになりながらも必死に走っていた。
それは警官達の方も同じで、お互いの距離は変わらずだった。

その時!!
けたたましいサイレンとともに、パトカーが新の目の前で、道を塞ぐ様に止まった。
「くそっ・・・」
疲れ切り、今にも死にそうなかすれた声で新は言った。

新はビルとビルの間の薄暗い路地に入っていった。

今まで走って新を追いかけていた警官達は、パトカーに乗っていた警官2人に後は任せたと手を挙げた。
2人の警官はパトカーから降り、新の後を追った。

疲れきった新と、さっきまでパトカーに乗っていた警官から逃げ切るのはほぼ不可能に近い。

だが、新は諦めなかった。
これも全て家族の為・・・・・。

路地にあった、ゴミバケツ、ハシゴなど、あるもの全てを倒し、それで何とか警官の足を止める事が出来たが、警官はすぐに切り返し追いかけてきた。

路地裏を抜け大通りに出た新は、人ごみに紛れた。

「ゼェゼェゼェ・・・・・」
凄い音を出しながら息をする新に、周りにいた人(男)は変な目で見た。

人ごみに紛れたものの、警官はしつこく追いかけてくる。
このままじゃ捕まるのも時間の問題だ。





新はこうするしかなかった・・・・・。





近くに居た小学1年ぐらいの男の子を捕まえ、ポケットの中にあったボールペンを出し、男の子の首元に突きつけた。
本当なら女性を人質にしたいが、ここには男しかいない。
ましてや、男性を人質にしたところで、返り討ちに合うのがオチだ。
なので、小学生を人質にするしかなかった。

普通なら最悪な行為だが、

これも家族の為だった。



警官はそれに気付き、
「やめろっ!!」と言った。が、新にはもう後戻りが出来なかった。
大泣きをする男の子。
新を中心に円を描くように空間が出来た。

「早まるなっ!!!」警官は言うが、
「うるさいっ!!それ以上近づいてみろっ!!!この子の喉に穴が開くぞ!!!」新は凄い形相で言った。
が、実際、子供を殺す気などさらさらなかった。
新は、これしか方法がなかったんだ!許してくれ!と、心の中で思った。

「さぁ。落ち着け。その子をこっちに渡すんだ。」警官が優しく言う。
「うるさい。俺にかまうな。俺を自由にしろ。それなら子供を解放してやる。」新は言った。

少し考え込んだ警官は、間を置いて、
「分かった。分かったから。」と言った。
新は、子供を掴んだまま、ゆっくりゆっくりと後ずさった。
それと同時に人々も道を開けるように広がった。

よし。このまま逃げれる。
子供も殺さずに済む・・・・・。
そう考えたその時!!

後ろから一人の勇気ある男が新にめがけて飛びついた!
その瞬間、ひるんだ新を見たその他の男達も新に飛びついた!!
警官は男の子を抱きかかえて保護する。
倒れる新に何人ものしかかってきた。
「くそっ!!!くそぉ!!!!!」新が叫んだ。
警官は今だ!と、手錠を新にかけたのだった。

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