小説『男女戦争』
作者:UMA.m()

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第15章 二日目終了

「あぁ。分かった。」
大崎が車の中に設置された電話で誰かと話している。
「隊長。どうでした?」一人の兵士が訪ねる。
「広島の基地からの情報だ。ついさっき、四国の方で大きな爆発が起こったみたいだ。巨大きのこ雲があがっていたという情報から核爆弾だと思われる。」大崎は深刻そうに言った。
「どうします?」兵士が尋ねる。
「心配するな。まだ撃ってきやしないだろう。さぁ、いらん心配しないで、お前達も早く行った行った!!情けない話、今男性軍の方が圧(お)されてきている。全力で立ち向かえ!!」
「はっ!!」そういって、兵士達は外に飛び出して行った。

「ふむ・・・・・。早く東京に帰って対策を練った方が良いな・・・・・。」大崎は一人でそう呟いた。





その頃、外では、二日目の戦いの終了が近づいていた。
空砲がその合図だ。



ドーーーーーン!!!



二日目戦闘終了。

「ハァハァ・・・・・。」
新は息を切らし、呆然と立ち尽くしていた。
そんな新の服は、返り血で赤く染まっていた。

今日、俺は何人の女性を撃ち殺しただろうか。
目の前には昨日と同じ光景・・・・・。死体があちこちに散らばり、黒い煙がモクモクと上がる。
そして、撤退する女性兵士の姿。

「おい。友田っち。早く行こう。」西田が言った。
「あ、あぁ・・・・・。」新も歩き出した。





戦艦 会議室

「明日の戦闘をもって、男性軍は撤退する事になった。」
大崎からそんな言葉が発せられ兵士からは驚きの声があがった。
「ちょ、何でですか!!俺達はまだまだいけます!!もっと、女共をぎゃふんと言わせたいんだ!!」池田は大崎に向かって叫んだが、大崎は静かに首を横に振った。
「女性国が核実験をしているという情報が入った。いきなりの事だが、東京に戻って対策を考えないといけない。それに、今男性軍は不利な状況に立たされている。軍を立て直す為にも、急いで撤退しないといけないだろう。」大崎は言った。
「そんな・・・・・。」池田は愕然と肩をおとした。
新と西田はキョトンと顔を見合わせた。
「明日が最後になるんだ。今日はゆっくり休んで、明日に備えろ。明日は男性軍の巻上げ勝利だ!!良いなっ!!」大崎は半ば強引に話を終わらせた。

大崎の去った後の会議室では数分、シーンとした空気が漂った。

「くそっ!!!」池田が机を蹴り飛ばした。続けて、
「お前らがちゃっちゃとしないからだよっ!!足手まといなんだよっ!!くそっ!!!」と言いながら、新の胸ぐらを掴んだ。
「俺達は関係ないだろっ!!」そう言って、新は池田の腕をなぎ払った。
「くそっ!!何で・・・・・何で大の男達が女なんかにおされないといけないんだよ・・・・・」池田は相当悔しそうだ。
確かに、女性国の軍事力はかなりのものだ。
兵士の強さは半端なものではなかった。
明日が最後か。だが、素直に嬉しがれない。

何か不穏で、とんでもない事が起きそうな予感がしたからだ。

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