小説『男女戦争』
作者:UMA.m()

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その頃東京。
ここにも新たな新しい動きが見られた。

「国を元に戻せーーー!!!」
「女性を解放しろーーーーー!!!」
「狂った法案を訂正しろーーーーー!!!!!」

国会議事堂の前で、四六時中、デモ隊による反乱が起きていた。

「毎日毎日・・・、どうします?総理・・・・・。」秘書が心配そうに聞いた。
「ほおっておけ。後の事は警察に任せて、自分達の仕事をしよう。」そう言い、総理、尾高友春はどこかに電話をかけた。

「私だ。男性国の尾高だ。」そう言ってかけた相手は、なんと女性国総理美輪。
「もうお前に話す事はない。」そう言って美輪は電話を切ろうとする。
「待ってくれ!!話を聞いてくれ!!」尾高は電話越しに美輪に訴えた。
「しょうがない。なら、5分時間をやる。」美輪はそう言うと黙った。

尾高は少し一呼吸し、本題に入った。



「もうやめにしよう。」尾高がふいにそう言った。これには流石に美輪も驚いた。
「なっ!?どういう事だ?」美輪は驚きを隠せない。

「いいか。よく聞け。お前は元々JJSDのリーダーで女性に支持されていたかしらないが、お前も民間人の一人に過ぎなかった。そうだろう?前の総理のつくった、「多子化法」以前は。」
「それがどうした?」
「多子化法は確かにおかしい法だった。そのせい全国で犯罪が続出したのも事実だ。そして私はそれを阻止すべく、男女決別令を発したんだ。」
「そんなの知っている!!何が言いたい!?」
「いいか。そんな大掛かりな事をただそれだけの理由で行ったと思うか?」
「・・・・・?」
「この国の少子化問題は相当深刻なものだ。このままでは本当に日本は滅んでしまう。だからといって前の多子化法は卑劣過ぎた。じゃあどうする?そうして出来たのが第二の多子化法、「男女決別令」だ。私は男女を決別させた上、男性は一切の女性への関与を禁止した。そうするとどうなると思う?男達は女性を返せと、この法に恨みを持つ。そんな時この法が消えたら・・・・・。男共は感激するだろうなぁ。愛す者のもとへ、はたまたこの法があいまって、新しい恋人を見つける男もいるだろう。その中には愛し合い、子供をつくるカップルもいるだろう。そう。この法は一時的なもので、いつしか終わる時が来るのは目に見えていた。」
「・・・・・!!?」
「もうこの法を却下しても良い頃だ。そう思っていたが・・・・・

お前達女性国は軍事力を発達させた上、男性国に宣戦布告までしてきた。今、北海道で戦争が起きている。誰もこんなの望んでいない。今すぐ撤退して、男女決別令は中止だ。国を元に戻すんだ。」
「・・・・・。」
「いいか。全て伏せんだったんだよ。これはすべて日本の為、未来の為なんだよ。少子化問題はこれで解決するんだ。もう終わりにしよう。」



衝撃の真実を語った尾高。
それを聞いて呆然と黙る美輪。

「多子化法」は続いていた。
それも、かなりのスケールになり。

「・・・・・。」美輪はなおも黙っている。
「さぁ、撤退命令を出せ。日本を一緒に元に戻そう。」
「・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・フ・・・・・フフフ・・・・・。」

美輪はいきなり笑い出した。そしてこう言った。

「いや、終わらない。男女決別令はこのまま続ける。」それを聞いて尾高は動きが止まった。
「今更もう遅い。男共が女にやってきた事は事実だ。一生交わってはいけな種族なんだ。それを今更元に戻すだと・・・・・?ふざけるな!!!戦争も終わらない。お前達を殺し尽くすまでは、戦争をやめる気などない!!!」美輪は興奮気味で尾高に叫んだ。
「なっ・・・・・!?自分が何を言っているか分かっているのか!?このままだと、少子化は進む一方、本当に日本は終わってしまうぞ!?」尾高は必死に説得する。
「うるさい!!もう遅い!!」美輪は聞く耳を持たない。
「この法は私が作った法だ!!却下するも私次第だ!!いいか、今すぐ取りやめろ!!」
「ふん、今や女性国は独立しているんだ。他国の指図など受けない!!」そう言って美輪は、乱暴に電話を切った。
「ま、待て!!おいっ!!!・・・・・・・・・・



大変な事になったぞ・・・・・。」尾高は電話を放し、呆然と立ち尽くした。

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