小説『魔法少女リリカルなのは〜心の剣と小さな奇跡〜』
作者:ディアズ・R()

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第十二話・会話×乱入





温泉旅行から帰ってきて数日。
すっかり忘れていたフェイトの母親に会う為に、リニスに提案してみた。

「時の庭園とやらに連れてってくれないか?」
「今忙しいので後にしてください」

パソコンから目を離さず、拒絶するリニス。
画面を覗いて見ると、♪猫@人♪というユーザーネームと再生数13万と表示されていた。
リニスは、何を目指しているのだろう?

「一応フェイト関係なんだが……」
「えっ!?……くぅ!皆さん、すいません!!」

リニスは涙ぐみながらパソコンの電源を切る。
そのままでよかったのに。
てかフェイトが大切なら、この前気付いてやれよ。

「うぅ……行けるならすでに行ってます。夜空と契約してから、転移魔法が使えないんです」

じゃあダメじゃん。
フェイトの母親に会いたかったんだがな。
そう言えば、リニスってフェイトの母親の使い魔とか言うのだったっけ?

「フェイトの母親って、どんな感じだ?」
「そうですね……根暗?」
「目の下に隈でもありそうだな」
「あと……マッドサイエンティストですかね」
「白衣か?」
「あぁ、それから病気持ちですね」
「病院にはいかないのか?」

結果、よくわからん。
白衣を着た根暗な病人。
本気で意味が分からん。
首を捻って考えていると、リニスが何かを思い出したように叫ぶ。

「あぁ!デバイスを作れば転移魔法も使えます!」
「材料は?あんまり高いと無理だぞ?」
「……フェイトに連れて行ってもらってください」
「それが一番早いか」

と言う訳で、リニスを引き摺ってアルフに教えてもらったフェイトの住処に行く事になった。
チャットとか予約がどうとか五月蠅かったので、途中でノートPCを買ってやった。
大体30万のヤツ。
凄い嬉しそうに、猫状態で俺の頭に乗るリニス。
パソコンの方は家に送ってもらった。
あと、亀さんもとい玄武を胸ポケットに入れている。
リニスに亀で調べて貰ったら、玄武と出てきたので玄武にした。
特に意味は無い。
別に白虎とかはいない。
ちなみに、玄ちゃんと呼んでいる。
のんびり歩いていたら、マンションに着いた。
結構良い所だな。

「野宿ではないんですね……よかった」

野宿するような奴だったっけ?
……とりあえず行くか。
部屋の前に来たんだが、留守だった。
針金を二つ出して、ピッキングする。

カチャカチャ、ガチャン。

ちょろいな。
この程度の鍵、数秒あれば開けられるぜ。
アリサとすずかの家は、少しキツイかもしれんがな。

「お邪魔しま〜す」
「……完全に不法侵入ですよね?」
「リニスは保護者みたいなもんだろ?なら問題無い」
「その技術をどこで習得したか、後で教えてもらいますよ?」

面倒くさいな。
とりあえず、部屋に入ってみる。
ゴミが……冷蔵庫を確認するべきだな。
リニスが部屋を見て溜め息を吐いているが、気にしたらダメな気がした。
冷蔵庫を開けると、ゼリー食品と水があった。
数秒停止して、冷蔵庫を閉める。
近くにダンボール箱があったので、確認してみる。
中には、ドッグフードとカップ麺があった。

「……なぁ、リニス」
「一生のお願いです。それ以上言わないで下さい」

その後、適当に片付けて帰ることにした。
一応、来たことを告げる紙を置いておく。
リニスは、ずっと考え込んでいた。
そっとしておこう。

「玄ちゃん。リニスのこと見守ってくれな」

俺の言葉に応えるように、リニスを見つめる玄ちゃん。
玄ちゃんは良い子だな〜
リニスを抱っこして、部屋を出る。
帰りの途中、市街地のビルが爆発した。

「おぉ〜テロか?」
「何時の間にか結界の中にいたようですね……それに、あの魔力はフェイトとなのはちゃんでしょうか?」
「だろうな。行って見るか?」
「はい、お願いします。フェイトは、止めてあげないといけないんです」

随分真面目だな。
俺も真面目にやるか。
足を魔力で強化して、全力で跳び上がる。
高めのビルの上に着地し、戦闘を眺める。
リニスは、俺の身体能力について何も言わない。
きっとコレぐらい普通なんだろ。

「なのは、随分強くなったな」
「元が普通の少女とは思えませんね。まあ、アナタの方が異常ですけど」
「そうか?ところで、あの石が凄い光ってるんだが。アレは放置でいいのか?」
「……何故先に封印しないんでしょうかね」

介入した方が良さそうだな。
そう思ってビルから飛び降りようとしたら、目の前を桃色の魔力球が通り過ぎて一瞬止まってしまった。
そして、なのはとフェイトがジュエルシードの前でぶつかり合い、それが起きた。
アレがジュエルシードの暴走とやらだろう。
魔力の流れがかなり歪だ。
このままじゃ流石にヤバイだろう。

「……行かなきゃダメかな?」
「逝って下さい」

と言う訳で、ビルから飛び降りる。
めんどくさいが、俺がやらないと誰かが怪我しそうだ。


◇◇◇◇◇


なのははフェイトを知る為に、フェイトは母の為に戦う。
そして、二人のデバイスがぶつかり合った時、ジュエルシードが暴走する。

「レイジングハート!?」
「バルディッシュ!?」

なのはとフェイトが持っていたデバイスが、ジュエルシードの暴走の余波でひび割れる。
二人が呼びかけるも、返事は無い。
だが、このままではジュエルシードが暴走し続けてしまう。

「なら、私が!」
「フェイトちゃん!?」
「フェイト!」

フェイトがジュエルシードに生身で向かおうとする。
アルフとなのはが止めようとするが、フェイトは自分から止まった。
何故なら、上から男が降ってきたからだ。

ドォォォンッ!!

地面にクレーターを作り、無傷でそこに立つ生身の彼。
デバイスも無しにそんな非常識なことができる存在。
最初は怯えたフェイトとアルフだったが、その姿を見てすぐに警戒を解く。

「ちょっと響くな……まあ、余裕だけど」
「よぞ、ら?」
「ん?あぁ、フェイトか……少し待ってろ」

そう言って、夜空はジュエルシードに向かって歩く。
本来ならまともに近づくことすらできない筈の暴走したジュエルシードに、あっさり近づく。
そのまま無造作に掴み、地面に投げつけた。

「「「「ちょっ!?」」」」
「まったく……お前等、ちょっと話をしようか」
「私も手伝いましょう」
「リ、リニス?」

ジュエルシードは、夜空が踏みつけて放置している。
リニスがなのは、フェイト、アルフ、ユーノをバインドで縛る。
リニスはデバイスが無いと戦闘は出来ないが、この程度のことならできる。
と言うより、夜空のほとんど使わない魔力を使っているからこんなことができる。

「あのさ、せめて封印だっけ?それをしてからにしろよ。暴走するって分かってんだろ?」
「そうです。夜空がいたから良かったものを……ましてやフェイト、貴女は生身でジュエルシードを止めようとしましたね?」
「……はい」
「バカですか?いえ、訂正します。バカですね。生身でそんなことすれば、体がボロボロになるに決まっているでしょう?夜空は例外ですよ」

魔力纏えば、誰でもできると思うんだが。
リニスも遠慮が無くなってきてるな。
良い傾向か?
まあ、いいか。

「で?このジュエルシード、どうしたい?」
「えっと、できれば、欲しいの」
「私も、欲しいかな」
「反省の色が見えないなこいつ等」

反省してるなら俺に渡すと思うんだがな。
一応五個ぐらい持ってるし。
とりあえず、没収だろ。
踏んでいたジュエルシードを拾い、ポケットに入れてフェイトとアルフの首根っこを掴む。

「なのはは帰れ」
「で、でも!」
「あ?」
「はいわかりました!」

しつこそうだったので、少し威圧したら青褪めながら返事をしたなのは。
なのははユーノに任せ、フェイトとアルフを引き摺ってなるべく人のいない所に行く。
ちなみに、フェイトは怯えている。
何故だ?

「……こ、殺さないで」
「誰が殺すか。とりあえず、時の庭園に連れてけ」
「え?なんで?」
「……いいから連れてけ」
「う、うん」

アルフとリニスが期待の眼差しを向けてきているが、はっきり言って期待通りの事にはならないぞ。
そう、心の中で呟いておいた。


◇◇◇◇◇


時の庭園って、城なんだな。
なんか、ラスボスがいそうな感じだ。
とりあえず、一番奥の方にある部屋の扉を開け、目当ての人物に会う。

「アンタが、プレシアさんかな?」

リニスが言ってたのとちょっと違うな。
意外と健康そうだ。
口元から血の匂いがする以外は。

「えぇ、そうよ……で、貴方は誰かしら?リニスもいるようだけど、管理局かしら?」
「水無月夜空だ。何回か聞いたが、管理局ってなんだ?」
「……なんなのかしら、この子は?」
「え〜普通ではない少年ですかね」

よく分かってるじゃないか。
ところで、壁の向こうから魔力を感じるんだが……人でもいるのか?

「それで、フェイト……いくつ持って来たのかしら?」
「あ、その、三つです……」
「そう」

短くそれだけ言ってイスから立ち上がり、フェイトに鞭を振るった。
フェイトに当たる前に鞭を掴む。
少し掴むのに失敗して、手から血が出たが気にしない。

「何してんだアンタ?」
「教育よ。役立たずのね」
「なるほどな……アルフが言っていた通りか」
「あら、あの犬が何か言ったのかしら」
「アンタ、何がそんなに気に食わない?」

俺がそう言うと一瞬表情に驚きが混じったが、すぐに無表情になる。
予想通りっちゃ予想通りだな。

「……なんですって?」
「もっと分かり易く言おうか?お前はなんでフェイトを見ない?」
「ふ、ふふ、あははは!貴方、正義の味方でも目指しているのかしら?止めておいた方がいいわよ」
「……あくまで、答えないか」
「私とフェイトの関係を知った万人が言いそうな台詞なんて、答えが必要かしら?」

こいつは、何から目を逸らそうとしてるんだ?
壁の向こうにいる奴が理由か?
リニスは黙ってるし、フェイトは俯いてる。
アルフは部屋の外で待機してるし、情報がちっと足りんな。
確か、フェイトは誰かを基に造られた。
そして、その誰かはすでに死んでいる。
死んだ誰かを、ジュエルシードの魔力を使って生き返らせようとしている。
ここまでが俺が知ってる情報。
死んだのが誰か分からないし、何でフェイトを造ったのかも知らない。
だから、ちょっと誘導しようか。

「なら聞きたい。アンタは、なんでフェイトを殺さない?」
「……ジュエルシードを集めさせる為よ」
「その程度の為に?なら、俺が集めてやるよ。だから、今すぐフェイトを殺せ」
「え……」
「夜空!?」
「……何故、かしら」
「フェイトが嫌いなんだろ?見たくないんだろ?存在を認めたくないんだろ?なら、必要無い筈だ。何故生かしてる?俺は善人でもなきゃ、悪人でもない。ただ、必要無い物を何で残しているのか、それが気になったんだよ」

まあ、フェイトはなのは達の友達になりそうだから、絶対死なさないけど。
てか、言ってることが完全に外道だよな。
一応本心だけど。
だってそうだろ?
本物に近づけようとして、うまくいかなかったんだろうけど。
なら、なんで自分の傍においてるんだ?
別のを造ればいいし、感情を消したっていい。
そのままにして残す意味が分からん。

「……殺す必要なんて、無いわ」
「どうして?悪いが、俺はフェイトよりも強い。それに、ジュエルシードも五個以上持ってる。目的の為なら、手段は選ぶ必要ないだろ?」
「そんなの関係無いでしょ!!」
「どうした?何を怒ってる?あぁ、自分じゃ殺せないか?なら、俺が殺してやるよ」

と言う訳で、フェイトに手を伸ばす。
呆然としているフェイト。
プレシアには背を向けているから、俺の顔が見えない。
なので、リニスは呆れた表情だ。
だって、こうした方が早いじゃん。

「やめて!!」
「だが断る」
「イタッ!」

無情にも、俺の手がフェイトの額にデコピンをした。
フェイトは涙目で俺を見上げる。
振り向くと、目が点になったプレシア。

「とまあ、茶番はやめて。目的はなんだ?場合によっては手伝うことも吝かじゃない」
「……騙したわね!?」
「落ち着け」
「モゴッ!?」

フランスパンを口にねじ込む。
唯のフランスパンだと思うだろ?
だが、違うんだな。

「モゴ、モゴォ!!」
「HAHAHA、そのパンは一度口に入ったら食べ終わるまで取れないんだよ。名付けて、このパンは呪われている、だ」
「アナタは何を作ってるんですか……それと、何所から出したんですか」
「母さん!?」

俺、仮想のシリアスは好きだけど、現実のシリアスは嫌いなのよ。
フェイトを殺す云々は、若気の至り?その場のノリ?芸人のフリ?まあ、そんなもんだ。
何処にパンを持ってたって?
そんなの、俺がパン屋だからに決まってるだろ?

「じゃあ、プレシアが食事中の間に壁の向こう側を見させてもらおう」
「モゴォォォォォ!!」
「あ、ちなみにそのパンが取れない理由は、食べてる本人の魔力を使ってるからで魔力が切れれば普通のフランスパンなんだぜ?凄いだろ?つまり、そのパンを食べきらないと魔法は使えないんだ♪」
「モガァ!!ゴホッ!?」
「母さん!?パンが赤くなってるよ!?」
「プレシア!無理をして食べないでください!!」
「ちょ!?何があったんだい!?」

なんか、凄いことになってきたな。
壁の向こう側を確認したら、帰るかな。
壁を蹴って破壊する。
そこには、全裸の幼女版フェイトがいた。

「……フェイト、お前の妹だ」
「どちらかというと姉ですよ」
「ア、アリシア……」
「もご、もご、ぷは!はぁはぁはぁ、アリシアに、近づかない、で……」
「食うの早いな。アリシアって言うのか……ホントに死んでんのか?ま、いいか。帰るぞリニス」
「いやいやいや。もっと何かあるでしょう?」
「ん?あ、じゃあ、このジュエルシードやるよ。また来るわ」
「もう来ないで!!」

もはや悲鳴だな。
そして、意外と元気だ。
病は気からってやつか。

「フェイトと少しでも仲良く家族出来たら、俺の持ってるジュエルシードやるよ。じゃあな」
「あ、待ってください!それではプレシア、フェイト、アルフ、失礼します」

帰るだけならリニスでも大丈夫らしいから、帰宅した。
フェイトには、もっと笑ってもらわないとな。

「夜空。いくらなんでも、あの発言はどうかと思います」
「そうか?俺にとっては、あれが普通だな。いや、優しいとさえ言えるかな」

昔から、俺には家族がいなかった。
掠り傷一つでも病気になって、命取りになるような孤独な生活をしていたんだ。
それに比べたら、フェイトは幸せだと思う。
正直、家族がいるだけでも羨ましいぐらいに。
リニスが立ち止まるが、俺はそのまま歩く。

「アナタは……もう、待ってください」


◇◇◇◇◇


夜空帰宅後のフェイト達。

「……」
「……」
「……」

気まずい雰囲気になっていた。
プレシアは、今更どんな風に母親をすればいいのか分からない状態。
フェイトは、自分がプレシアに嫌われていないか、それが心配であった。
アルフは展開に着いて行けず、見守ることに。

「……フェイト、今日はもう休みなさい」
「……はい」
「……それと、もう少し、時間を貰える?今更母親だなんて、難しいわ」
「……うん!」
「おやすみなさい、フェイト」
「おやすみ、母さん」

そんなやり取りをしている二人を見て、夜空に感謝するアルフがいた。
プレシアは、アリシアの様にフェイトに笑って欲しかった。
でも、夜空の言葉でフェイトを見た。
そこにいるのは間違いなくフェイトで、アリシアではない。
そのことが胸を締め付けると同時に、安堵させる。
何故こんな気持ちになるのか、少し不安になる。
アリシアへの執着が少しずつ薄れてしまっている現状を、全て夜空のせいにしたプレシアだった。
次会ったら、電撃を食らわせる決意をした。


◇◇◇◇◇


「キングク○ムゾン!」

朝っぱらからリニスが壊れた。
何時も通りだ。

「いきなりどうしたリニス?」
「いえ、言ってみたかっただけです。コーヒーとBLTサンドをください。コーヒーには砂糖2つとミルク3つで」
「牛乳で良いじゃん」
「コーヒーがいいんです」
「了解だ」

プレシアさん(気に入ったので敬称を付ける事にした)に会ってから、数日。
特に変わったことはなかった。
はやてが悲鳴を上げる様なパンを食べたり、アリサに本気で作った美味いメロンパンを食わせたり、すずかの買い物に付き合って変なおっさんに襲われたり、なのはにジュエルシードを探すのに協力して欲しいと言われて、リニスの相方をすることで了承した。
なのはは意外と歌が上手かった。
本物の歌手みたいだった。
現在は、リニスに夜食を作っている。
これから夜の散歩なので、ちゃっちゃと作り上げる。
まあ、そんな感じの数日。


〜朝食を食べてから十数時間後〜


そして、樹の化け物である。
なんか飛んだ気がするな。
よくわからんが。

「あれはなんだ」
「ジュエルシードが樹に取り憑いたの!」

何がどうなって?
日課の夜の散歩をしていただけなんだが。
なのはに関わると面倒くさいから、今度から無視しようか。
……いや、泣きついてきそうだから止めとこ。

「お得意の砲撃でなんとかしろよ」
「分かったの!」
「私も手伝うよ!」
「フェイトちゃん!うん!一緒にやろう!」

随分とまあ、仲良くなったな。
それにしても、視線というかなんと言うか、見られてる感じがするな。
誰だ?

「ディバイーン・バスター!!」
【Divine Buster】
「サンダー・スマッシャー!!」
【Thunder Smasher】

ドォォォン!!

あ、終わった。
あの二人が強いのか、あの樹が弱いのか、悩む所だな。
まあ、いいか。
また暴走的な感じになられても面倒なので、俺が回収しておく。
なのはとフェイトが向かい合い、お互いの気持ちを話している。

「私は、ユーノ君の為にジュエルシードを集めてたの。でも、それじゃいけないんだって、夜空君が教えてくれたの」
「私は、母さんの役に立つ為にジュエルシードを集めてた。でも、夜空が私と母さんをちゃんとした家族にしてくれた」

なんか、恥ずかしいんだが。
俺、そんな大した事してないんだけど。
何故、あの二人は俺を持ち上げる?

「だから、自分の意思でジュエルシードを何とかするって決めたの。この町を、大切な人達を守る為に!」
「母さんに、もう集めなくてもいいって言われたけど、必ず全部手に入れるって決めた。それが、私にできる親孝行だから!」

血の気が多いというか、戦闘したいだけじゃね?
ストレスでも溜まってんのか?
今度、カラオケでも誘ってみるかな?

「ジュエルシードなんて危ない物、全部封印するの!」
「奪ってでも、ジュエルシードは手に入れる!」

なのはとフェイトがお互いに得物を構える。
まさしく臨戦態勢。
ちなみに、建物の影と木の上辺りに二人ほど気配を感じる。
魔力からいって、赤髪と青髪だろう。
何で隠れてるんだ?

「フェイトちゃん……私は、フェイトちゃんとお友達になりたいの!だから、本気でぶつかり合おう!!」
「なのは……私は―――」
「そこまでだ!!私は時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ!ここでの戦いは危険すぎる!詳しい事情を聞かせてもらおう!」

フェイトの言葉を遮って、空気の読めないコスプレ男子がなのはとフェイトの間に現れた。
こいつか、さっきから気になってた視線は。

「なんだ、あの空気の読めない奴は」
「えっと、管理局みたいだね……」
「……ホントに自分達が正義だと考えてるみたいね。フェイト!逃げるよ!」
「でも、ジュエルシードが……夜空が持ってるなら大丈夫そうだね。行こうアルフ!」
「なっ!待て!!」

KY男子が逃げるフェイトとアルフを攻撃しようとしたが、横から剣が飛んできて遮った。
ギリギリで反応したKYが剣を防ぐ。

「誰だ!!」
「背後からはいただけねぇな。ましてや、男が女に対してすることじゃねぇだろ!」

赤い髪の男子が建物の影から出てきた。
今迄から考えると、予想外だな。

「ホントは出てくるつもりなかったけど、お前は止めさせてもらう!!」
「クッ!公務執行妨害で逮捕させてもらう!!」
「それが、管理局の正義かよ!!」

ぶつかり合う二人。
KYが魔法を放ち、熱血君が白と黒の双剣で魔法を切り裂く。
あの赤い髪の男子、あんな熱血してたっけ?
そう言えば、あんまり絡んでこなくなってた気がする。
無視してるから覚えてないけど。
そんな事を考えていたら、上から戦っている二人の所に青髪男子が落ちてきた。

ドォンッ!!

だんだん面倒になってきたな。
なのはも、フェイトが向かっていた方を見て呆然としてるし。
しょうがない、俺がなんとかするか。
とりあえず、なのはを何とかしてみよう。

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