小説『魔法少女リリカルなのは〜心の剣と小さな奇跡〜』
作者:ディアズ・R()

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第十八話 決闘×覚醒





水無月夜空だ。
俺は今、チョココロネを銜えながらビルの屋上に座っている。
なのは対フェイトの対戦を観る為だ。
リニス(分かってると思うけど猫版)を膝の上に乗せ、待機している。
あと、屋根裏に居ついてしまった玄さんを頭に乗せている。
最近見ないと思ったぜ。
ボケッとしていると、赤いコート羽織った赤髪少年が隣に来た。

「……こんな戦いに、意味ってあるのか?」
「ん〜あの二人次第だな」
「適当なんだな」
「そりゃそうだ。これはあの二人の問題だよ。無関係かどうかは置いといて、俺やお前が間に入っても無意味だ。俺達に出来るのは問題の先延ばしだけ。この問題を終わらせたいなら、あいつ等二人がどうにかしないとダメなんだよ。参考になったか、赤髪少年」
「そっか……そういえば、ちゃんと名乗ってなかったっけ?俺は神凪劉。劉って呼んでくれ。俺も夜空って呼ぶ」
「了解だ」

劉は俺の返事を聞いて、その場に座る。
折角なので、コロッケパンただし炭水化物盛りを渡した。
焼きそばやたこ焼きの味がするコロッケパンだ。
一個200円で、高校生に人気のパンなのだよ。
二人揃ってモグモグしていたら、隣のビルにホタルと姫が現れた。
手を振ってきていたので、劉と一緒に手を振り返した。
数分後、なのはとフェイトが同時に転移してきて、すぐさま結界が張られる。
お互いに近づき、何か話しているようだ。
どうせ「勝っても負けてもお友達なの!」とか言ってるんだよ。
そして、俺の勘が告げている。
どっちが勝っても、面倒なことになると。


◇◇◇◇◇


「どっちが勝っても、お友達なの!」
「うん!でも、負けないよ!」

それだけ言って、二人は距離を取ってお互いにデバイスを構える。
最初に動いたのは、フェイト。
バルディッシュをサイズフォームにし、フォトンランサー・マルチショットを放ちながらジグザグに動いてなのはに近づく。
怒涛の勢いで攻め立てるフェイトと、その場から動かずにフェイトからの攻撃を全て防御魔法で受け止めるなのは。
それを見ている夜空から一言。

「魔王っぽいな」
「魔王じゃないもん!!」
「全然効かないみたいだね……なら!!アルカス・クルタス・エイギアス!疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ!バルエル・ザルエル・ブラウゼル!フォトンランサー・ファランクスシフト!!撃ち砕け、ファイア!!」
(Photon Lancer Phalanx Shift)

フェイトは距離を取り、30発以上のフォトンスフィアを浮かべる。
フォトンスフィアより繰り出される、フォトンランサーの一点集中高速連射。
なのはは動かずに、それを受けて爆煙に呑まれる。
フェイトはかなりの魔力を消費したのか、肩で息をしながら爆煙を見据える。

「ハァ、ハァ……やったの?」
「これが、フェイトちゃんの本気?」
「そん、な……」

爆煙が消えると、そこにはバリアジャケットが所々煤けているが、無傷のなのはがいた。
相対している者にとって、その姿はまさに魔王。
なのはは、自身の周りに誘導弾を五つ浮かべ、レイジングハートの砲身をフェイトに向ける。

「これが私の……本気の思い!!」

なのはの周りに浮かんでいた誘導弾が砲身に集まり、高密度の魔力球となる。
夜空は、その魔力を感じて顔を引き攣らせる。

「ホーリーライト・ブラスタァァァァァ!!!」
(Holy Light Blaster)

高密度の魔力球が、三つの魔砲として螺旋状にフェイトに向かう。
込められている魔力量は異常だが、速いというわけではない。
フェイトは、なのはの攻撃を避けて近接戦をしようとしたが、なのはの魔法は通り過ぎることなくフェイトを追尾する。

「っ!?」

フェイトは、魔法の予想外の動きに驚愕するも速度を上げて撒こうとする。
だが、なのはの魔法は消えるどころか速度を上げてフェイトに迫る。
最高速度で逃げ回るも、徐々に追いつかれていく。

「なんで!?」
「その魔法は、全部【吸収】するんだよ。魔力を一点集中させると、空気中の魔力を集めるよね?収束魔法って言うんだってね。でね、その魔法は最初の段階で複数に分けた魔力を一つにして、その収束率を強制的に引き上げたものなの。だから、その魔法は時間が経てば経つほど、強く、速く、多彩な効果を持つの。最初に吸収させた誘導弾、フェイトちゃんが逃げてる間に吸収させた拘束魔法、そして……ディバインバスター」
(Divine Buster)

自身の使った魔法の説明をした後、その魔法に向かって砲撃魔法を放ち、吸収させる。
砲撃魔法を吸収したことにより、より速くフェイトを追尾する。

「その魔法は、防ぐこともできないし、避けることもできないよ。吸収砲撃魔法とでも言うのかな。もう、終わらせよう?」
「私は、こんなところで!!」

なのはは、フェイトに砲身を向けて魔力を集中させる。
フェイトは逃げるのをやめ、自身を追いかけていた魔法の直撃を受けるも、ギリギリで耐えきる。
このままなのはへ向かおうとするが、吸収されていた拘束魔法が発動し、フェイトをその場に止める。
動きを止めてしまう、それが致命的な隙となった。

「私の思い、届いたかな?じゃあ、終わらせよう……これが私の、全力全開!!」

吸収砲撃魔法が散々吸収し集めた魔力が、渦の様になりレイジングハートの砲身に収束する。
星々から光を集め、その光は輝きを増す。
魔力の操作を覚えたなのはは、魔力を使いこなしている夜空以外から魔力を吸い取る。
それどころか、封印してあるジュエルシードからすら魔力を奪い取る。
レイジングハートの砲身には、一個人が収束できる魔力量を遥かに超え、魔力を持つものに絶対的な恐怖を与える。

「う、アアアァァァァァ!!!」
「スターライトォォォブレイカァァァァァ!!!」
(Starlight Breaker)

魔法が放たれる前に、フェイトは防御魔法を限界まで発動する。
だが、なのはの放つ魔法は防御など不可能だった。
全ての障害を破壊して、対象を光へ飲み込ませる。
ここに、なのはとフェイトの決闘は終わった。


◇◇◇◇◇


二人の戦いを見終わった夜空の一言。

「魔王っぽいな」

これが全てだった。
夜空の隣にいた劉は、口を開け呆然としている。
ここまで圧倒的だと思わなくて、開いた口が塞がらなくなっているのだろうと夜空は思った。
デバイスの機能である非殺傷設定というのが働いているようだが、何故か生まれたままの姿になって落ちるフェイトをなのはがキャッチ。
どうしたらいいかわからずオロオロしている。
というか、やり過ぎたという自覚はあるようだ。
なのはが俺を見つけたようで、こちらへ向かってくる。
が、動こうとした瞬間なのはとフェイトのデバイスに紫の雷が命中し、ジュエルシードがばら撒かれる。

「しまった!?」
「あぁ〜やっぱやったか〜プレシアさんも難儀なやっちゃな〜」
「プレシアと知り合いなのか!?」
「そうだけど、お前も?」
「え、いや、違うけど」

夜空は立ち上がり、魔力で足を強化する。
なのはとフェイトは、デバイスに異常をきたしたのか落下している。
夜空は落下する二人を助けるために、全力で空を駆けた。
二人をキャッチして着地する。

「あ、ありがとう、夜空君」
「気にするな。クロノだったか?見てたんだろ。転移できそうか?」
(あぁ、今検索してる……検索が完了した。何時でも転移できる)
「んじゃ、行きますか?」
「私も行くの!」
「……光が、光が」
「フェイトは、背負っていくか」
「にゃはは」

青髪を除いた魔法使いメンバーと合流し、プレシアさんの下へ転移する。
プレシアさん、どうしたもんかな〜


◇◇◇◇◇


転移したら、GOKIBURIの様にウジャウジャと出てくる機械たち。
キモいな。

「ここは僕に任せてくれ」

そう言って、クロノが前に出る。
俺以外は無言で頷き、先に進もうとする。
何がしたいんだろう?
全員で倒せばいいじゃん。
というわけで、クロノに近づく。

「クロノ。お前の心借りとくぞ」
「は?なにを、くぁ!?」

どいつもこいつも赤くなるな〜
なんでだ?
クロノの心器【氷結氷河(アイス・アイシクル)】。
氷で出来た美しいハルバート型だ。

「こんな雑魚は無視しなさいな」

俺はそう言って、魔力を込めたハルバートを横薙ぎする。
蒼い魔力光が広がり、機械Gたちを全て捉える。
そのまま、ハルバートを前の地面に叩きつける。

キンッ!!

魔力光に包まれていた全てが凍り付く。
外側だけでなく内側も凍らせたので、溶かして追ってくるなんてことの心配もない。
良い仕事したぜ。

「……レアスキル?」
「やっぱりすごいの〜」
「よぞらすごいな〜」
「これが、本物か……」
「あんただけで十分じゃない?」
「はぅ!寒いです……」

起きたはいいけど、フェイトが壊れてるな。
それに、リニス達動物組がいなくなってる。
とりあえず、さっさと進もうよ。

「止まってないでいくぞ」
『は〜い』
「暢気すぎないか?」


◇◇◇◇◇


なんだかんだでプレシアさんの部屋前。
途中、機械Gの群れや大機械Gに遭遇したりしたけど、基本俺が瞬殺した。
いちいち戦うとか、面倒じゃん?

「……簡単すぎないだろうか?」
『気にしたら負け』

こいつら仲良いな。
扉を開け、全員で中に入る。
そこには、カプセルに入ったアリシアとそれを見つめるプレシアさんがいた。

「プレシアさんよ、お前に逃げ場はない。諦めて、お前の隠しているプリンを出すんだな!!」
『……』
「……時空管理局だ。抵抗はせずに、一緒に来てくれると助かる」
「……残念だけど、もう後戻りなんてできないのよ」

あれ〜?無視されたぞ?なんでだ?
扉の傍で、首を傾げて一行を眺める夜空。

「母さん……」
「フェイト……ごめんなさい。私には、アリシアが必要なの……」

サクサクサクサクサク。

「プレシア・テスタロッサ!ジュエルシードを使って何をするつもりなんだ!」
「アルハザード。またの名を忘れられし都、そこへ行くのよ」
「馬鹿な!そんなのは御伽噺だ!」
「えぇ、そうね。でも、今この場にジュエルシード全21個全てが揃っているのよ?不可能ではないわ。まあ、可能性は低いかもしれないけど」

サクサクサクサクサク。

「時空管理局の局員として、貴女の行動を黙認することはできない。拘束させてもらう!」
「できるものなら、やってみなさい!」
「母さんやめて!」

サクサクサクサクサク。

「見てみろなのは。アレが娘を盗られた母親と手籠めにした男の争いだ」
「二人とも年上なのに大人げないの」
「夜空の言い方だと、アリシアって子が関係なくなるから駄目じゃないかしら?」
「美味しいです」
「……こんなことしてて、良いのかな?」

サクサクサクサクサク。

「さっきから、サクサクサクサク五月蠅いよ!!なんだそれ!!」
「ラスクだが、なにか?」
「なんでこんな時に食べる!?」
「小芝居見てるみたいだったから、つい」
「ついじゃないよ!何のために来たんだ!!」
「なんとなく」
「フェイトちゃんのために」
「暇潰し」
「あぅ、皆が来てたから、です」
「……クロノ、諦めろ」
「こんなの、こんなの絶対おかしいだろ!!」

クロノはめんどくさい奴だな。
ラスクをサクサクしてたぐらいでこんなに怒るなんて、器の小さい奴め。
プレシアの前に移動し、ジュエルシードを全部渡す。

「ほれ」
「……いい、の?」
「あぁ、別にいいぞ。絶対失敗するから」
「え?」
「考えてもみろよ。ジュエルシードは魔力の塊だぞ?例えそれを操作することができても、今できること以上ができると思ってるのか?」
「どういう意味だ?」
「つまり、今は魔力がないからアルハザードにいけないのか?魔力があれば、アルハザードに行けるのか?」
「ッ!?それは……」
「暴走するかなんかして御仕舞いだよ。ところで、アルハザードってなんだ?」
「なら、ならどうすればよかったのよ……」

おい、無視すんなよ。
まあ、いいだろう。
俯いてるプレシアさんの横を通って、アリシアに近づく。
相変わらず幼女フェイト全裸バージョンだな。
生命活動は止まってるが、魔力が僅かに流れてる。
保存状態が良かったのだろう、ギリギリ仮死状態を保っている。
死ぬ一歩手前ではあるが。
これなら、俺の力でどうにかできそうだな。

「プレシアさん、俺ならアリシアを助けられるかもしれないぞ」
「……本当に?」
「あぁ、本当だ。本当なんだが……ジュエルシード暴走してね?」
「……ぇ?」

プレシアさんが俯いた際、ジュエルシードが地面に落ちてジュエルシード同士がぶつかり合って、制御されてた魔力が暴走したようだ。
ジュエルシードが円状に浮かび、無尽蔵な魔力を撒き散らす。
足元が揺れだし、空間にヒビが入り始める。

「……ふむ。俺たち死んだ?」
「冷静に分析してる場合か!?」
「落ち着けクロノ!!」
「ヤバイの!なんかヤバイの!」
「あぁ〜来るんじゃなかった」
「はわぁ!?どうしましょう!?どうしましょう!?」
「わ、わわわ!?」
「魔力が、安定しない!?」

ジュエルシードから漏れ出す魔力が濃過ぎて、なのは達の魔力が安定しないようだ。
俺は普通に制御してる。
なのはと劉はデバイスを起動したら、魔力が安定しだした。
フェイトのデバイスは、現在御休み中だ。
揺れが一層激しくなると、空間のヒビが割れて暗い闇が見えた。

「虚数空間だ!!あらゆる魔法が消去される無限の空間が広がっていて、一度落ちれば重力の続く限り墜落を続け、二度と出る事は出来ないぞ!!」
「マジか!?アリシアが落ちかけてるんだが」
「アリシアァァァァァ!!!」
「間に合え!!天の鎖(エルキドゥ)!!」

アリシアが虚数空間に落ちる瞬間に、劉の鎖がアリシアの入ったカプセルに巻きつく。
かなりの力で引かれているのか、徐々に虚数空間の穴に向かって動いていく。

「グッ!?重、過ぎる!!」
「ッ!ティーア!セットアップ!!」
「デジヴァイス、セットアップ!!」

ホタルと姫がデバイスを起動し、劉の手助けをする。
なのははフェイトを、クロノはプレシアさんを連れて劉達の後ろに行って手伝い始める。
そんな中俺はというと、真上にジュエルシードがあるせいか魔力に押し潰されかけていたりする。
しかも、自身の足元以外は虚数空間の穴だらけ。
ほぼ詰みかけだ。

「これ、ヤバく、ね?」

アリシアが助かっても、俺が助からないかもしれないな。
冗談抜きで。
そんなことを考えていたら、リニス達動物組がなのは達に合流していた。

「夜空!何が起きているのかわかりませんが、貴方ならどうにかできる筈です!!」
「どう、しろ、と?」
「この時の庭園にはジュエルシードを制御するための魔方陣が刻まれていました!プレシアを対象にされていたので、書き換えて夜空を対象にするようにしました!この揺れでは魔方陣が起動するか怪しいですが、起動することを祈ってどうにかしてください!貴方以外に、この状況をどうにかできる人はいません!!」
「無茶、振り、にも、ほどが、ある、だろ……プレシア!!アリシア救ったら、フェイトを見てやれよ!!」
「そ、そんなの、言われるまでもないわ!!」
「ならよし!!」

魔力を全力で放出しつつ、全身を魔力で強化する。
俺の魔力とジュエルシードの魔力がぶつかり合い、暴風を生み出す。
俺がジュエルシードの暴走を抑えても、アリシアは救えないだろう。
俺の魔力がもたない。
だが、ジュエルシードの暴走を抑えないと、全員お陀仏。
ならどうすればいい?そんなの決まってる。

「たかが、石風情が……なめるなぁぁぁぁぁ!!!」

全魔力を一点集中して放出し、ジュエルシードまでの道を創る。
跳んでジュエルシードへと手を伸ばす。

「お前等の魔力、俺に寄越せ!!」

ジュエルシードを一個掴み、魔力を自身へと送り込む。
取り込んだ魔力が俺を支配しようと蠢くのを、強引に抑えつける。
脳神経が焼切れているようなひどい頭痛がし、身体の細胞が悲鳴を上げる。
なのは達が何か言っているが、鼓膜が破けたようで何も聞こえない。
それでも、ジュエルシードを離さずにより強く握りしめ、魔力を奪い取る。

「言っただろ……お前だけじゃない、お前等の魔力を寄越せってな!!」

魔力のラインで繋がっている21個のジュエルシード全てから、魔力を吸い上げる。
自分が自分でなくなる、そんな感覚が全身を支配し始める。
このままだと、魔力を手に入れてもまともに使いこなせないだろう。
だからこそ、ジュエルシードの特性を逆手に取る。
考えてやろうとしたわけではない。
ただ、本能的に思いついたのだ。
ジュエルシード20個が夜空の持つジュエルシードに集まり、夜空ごと紫の巨大な水晶化した。
見ている者には理解することはできない。
ただ、その水晶から感じる魔力は膨大すら生易しい、圧倒的で底が見えない魔力だった。
誰もが言葉を失う中、水晶にヒビが入りそのヒビから純白と漆黒の魔力が漏れ出す。
水晶が砕け、光の粒子となる。
純白と漆黒の魔力が螺旋状に渦巻き、一つの存在を覚醒させる。
純白と漆黒の魔力が中心にいる夜空へと集まり、純白と漆黒の翼へと姿を変える。
灰色のコートを身に纏い、閉じられた瞳を開いた。
それは、奇跡を体現するかのような美しさ。

「キレイなの……」
「カッコいい……」
「ジュエルシードを、デバイス化したというのか!?」
「なんだよそれ……カッコ良過ぎんだろ」
「うっわ、人間辞めてるし」
「はわ!?す、すごいです」
「あの子は、ホントになんなのよ……」
「流石は夜空、とでも言っておきましょうか」
「うわ〜普通じゃないとは思ってたけど」
「人外だねぇ〜」

こんなにのんびりしているが、時の庭園は崩壊前である。
夜空は劉の鎖を掴み、ごく普通にアリシアを引き上げる。
アリシアは虚数空間の魔力とジュエルシードの魔力に当てられたようで、今の状態なら確実に救えるだろう。
だから、夜空は力を使う。

「お前の心、救わせてもらう」


◇◇◇◇◇


時の庭園崩壊のその後。
アースラにてテスタロッサ家と管理局が、夜空を挟んで今回のことを話し合っていた。
アリシアは無事に生き返ったが、体力が衰えていたのでリハビリ中。
フェイトとアルフは、なのは宅でなのは、アリサ、すずか、はやてとお話し中。
プレシアの病は夜空がごく普通(?)に治した。
主にパンで。
リニスは、何故か夜空のペット継続中。

「今回のこと、私は不問にしてもいいと思っていますが、上は承知しないでしょうね」
「分かってるわ。今回のことは、私が全ての責任を取らせてもらうわ」
「じゃあ、俺はプレシアさんが無罪にならなきゃ管理局潰すわ〜」
「「……」」
(今のマスターなら可能ですね〜)

今喋ったのは、夜空のデバイスになったジュエルシード(夜空命名ジェシー)である。
ジェシーは夜空至上主義の性格で、他のデバイスと違い日本語で会話する。
ジェシーの待機形態は、ジュエルシードの付いた腕輪型だ。

「えっと、まあ、デバイス無しでもSSS級越えの夜空君なら、出来ちゃうんだろうな〜」
「魔力自動供給なんて機能があるんだから、デバイスを起動したらほぼ無限の魔力なのよね……」
(管理局の本部に脅迫状は送っておきました〜ついでに全システムをハックしてますので、マスターから攻撃命令があれば勝手に自滅しますよ?)
「……やめてもらえる?」
(だが断る!!)
「このデバイス嫌いだわ!!」
「……このケーキ美味しいわ〜」
「現実逃避すんなよプレシアさん」

そんなこんなでテスタロッサ一家は無罪を(強制的に)勝ち取った。

そして、時ははやての誕生日へとなる。

一つの終わりは一つの始まりであることを示すかのように、運命は廻りだした。

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