第三話・学校×友人
私立聖祥大附属小学校の一年生として入学した。
霞さんに強制的に通わさせられた。
教室で自分の席に座っていたら、少女三人に絡まれた。
「夜空君!一緒のクラスだね♪よろしく♪」
「アンタ、同い年だったの?」
「あの時はありがとうね♪」
「「「え?」」」
「えっと、高町なのはです。なのはって呼んでなの!」
「アリサ・バニングスよ。アリサで良いわ」
「月村すずかです。すずかって呼んでね?」
自己紹介してるとこ悪いが、一つ良いか?
「誰だ、お前等?」
三人娘が停止した。
まあ、高町と月村は知っているがな。
そのまま告げる。
「何よりも、高町は何故俺の名前を知っている?」
「……」
高町が、教室の隅でいじけてしまった。
悪いことをしたか?
月村は、高町を慰めている。
微妙に涙ぐんでいた。
そして、バニングスは……
「何で忘れてんのよ!!」
「それはもちろん、どうでも良いからじゃないか?」
高町と月村の方から、グサッという音が聞こえた気がした。
「もういいわよ!馬鹿!!」
そう言って、高町と月村を連れて教室を出て行った。
三人娘がいなくなった次は、二人の男が来た。
「テメェ!よくも俺のなのは達を!!」
「お前のじゃないが、同感だな」
なにやら、漫画の主人公の様に熱血してそうな赤髪の馬鹿っぽいのと、痛々しい俺カッコイイ的な感じで、前髪をかき上げている青髪の中二病だった。
相手しないとダメか?
「誰だお前等?」
「フン!お前如きに名のる名はねぇ!」
「貴様の様な雑魚に、興味無いな」
「器ちっさ」
聞こえない様に呟いておいた。
なんと言いますか、小物だな。
学校めんどくさいな。
帰るか。
席から立ち、帰る準備を始める。
「なんだ?逃げる気か臆病者!」
「見た目通り、カスか」
何か言っている様だが、車椅子少女用に作ったパンを思い出していて、まったく聞いていなかった。
八神用に作った、黒砂糖が挟んである様に見えて、実は中に刻んだ唐辛子やわさびなどが入っているパンだ。
きっと、最初は警戒して表面の黒砂糖を舐めるだろう。
そして、油断して食べた瞬間、最高のリアクションが見れるだろうな。
見れないのが残念でならない。
八神は家に持って帰ってから食べるからな〜押し掛けるか。
二人の男がまだ何か言っているが、無視して教室の扉を開けると、三人娘がいた。
◇◇◇◇◇
教室から出た時の三人娘。
「何なのよアイツは!!」
「あの事を忘れるのは、ちょっと……」
「うぅ〜夜空君酷いの」
「そう言えば、あんた達は、あいつと知り合いなの?あと、あいつの名前って何?」
「水無月夜空君なの。夜空君の御蔭で、家族と仲良く出来たの!」
「私は、危ない所を助けてもらったよ。名前は聞く前に、何処か行っちゃったけど……ねぇ、なのはちゃん、アリサちゃん。もしかすると、水無月君ワザと忘れた振りしたんじゃないかな?」
「はぁ?そんなわけ……忘れたとか言ってたくせに、なのはの名前は覚えてたみたいよね」
「?目の前で自己紹介し合ってたからじゃないかな?」
「だとしたら、わざわざ怒らせる様な言い方する必要無いじゃない」
「多分、私達が仲良く出来る様にしてくれたんじゃないかな?なんだかんだで優しいし」
「むぅ……癪だけど、それが一番しっくり来るのよね〜」
「よくわかんないけど、夜空君は良い人?」
「アンタはそれで良いわ」
「そうだね」
「?」
そこで教室の扉が開いた。
◇◇◇◇◇
「「あ」」
「何?もう帰るの?」
「あぁ、家の手伝いをしたいからな」
「へ〜何かのお店?」
さっきまでと違って機嫌が良さそうだが、何かあったのか?
「そうだ。パン屋をしている。ル・クールて言うパン屋だ。俺がいる時なら、何か奢ってやっても良いぞ」
「そう。じゃあ、今から行きましょうか」
「別に良いが、先に行くからな?」
そう言って、三人の横を通り過ぎ、学校を出る。
少しして、三人が追いついてきた。
「はぁ、はぁ、アンタ、早、はぁ、はぁ」
「ふぅ〜ちょっと疲れちゃったな」
「……」
一名汗だくで死に掛けてるが、大丈夫か?
今にも倒れそうだったので、高町を背負ってやった。
何故か嬉しそうだった。
◇◇◇◇◇
夜空がいなくなった教室にて。
「なのは!あんな奴放っておいて、俺にその二人を紹介してくれよ!」
「もう友達を作ったのか?流石だな。俺にも紹介してくれよ」
男二人は、なのは達に近づき話しかける。
アリサは嫌そうにし、すずかは困った笑いをしていた。
ちなみに、なのはは無視して帰り支度を始めている。
アリサとすずかも、帰り支度を手早く済ませる。
「おいおい、無視は酷いぜなのは!」
「幼馴染だろ?そういう態度はよくないと思うぞ?」
未だに話しかけてくる男二人。
アリサが、なのはに小声で話しかける。
すずかは、その会話を聞いている。
「なのは、アイツ等誰?ウザイんだけど」
「……神凪劉(かんなぎりゅう)と皇柴御影(こうしみかげ)なの。昔から付きまとってきて、幼馴染だとか言ってる気持ち悪い二人なの」
「OK。理解した」
三人娘が二人を無視して教室を出ようとしたが、二人がドアの前に立つ。
何かを言おうとしたが、アリサが睨み付けて一言。
「邪魔」
二人を押しのけて、教室を出る。
走って、なんとか夜空に追いついた。
こんな出来事があり、三人娘は本来よりも早くに仲良くなった。
地味に原作ブレイクしている夜空であった。
◇◇◇◇◇
夜空が学校にいる時のパン屋にて。
懲りずに、またはやてがパンを買いに来ていた。
「なんや、今日はおらんのか」
「えぇ、今日から学校なのよ。でも、そろそろ帰って来る筈よ?そう言えば、夜空君がはやてちゃんにパンを作ってたわよ?」
「私に?」
「えっとね〜このパンね」
「……黒い、パン?」
そこではやては、考える。
(アイツのことや、きっとブラックペッパーとかにきまっとる!今回は騙されへんで!)
パンに挟まれている、黒いモノを少し指で取り、舐める。
「……唯の黒砂糖やと!?ありえへん!」
「あ、夜空君から伝言預かってるの。味見した時と一口食べた時の二つなんだけど……まず、一つ目からだね。えっと、『偶には真面目に作るさ』だったよ」
「夜空……しっかり味わって食べたるわ」
そして、はやては大きく口を開け、食べた。
「…………………………」
「二つ目の伝言がね、『見た目に騙されると、痛い目にあう教訓だ』だね」
はやては思う。
(絶対、殺したるわ……)
パン屋に、はやての絶叫が響いた。
◇◇◇◇◇
家に着いた俺達。
着いたんだが、このまま行くと、大変な事になりそうだ。
理由は分からないが、直感だ。
「意外と良い感じじゃない」
「アリサちゃん失礼だよ」
「ほぇ〜」
俺が、入るか入らないか選択を迫られているのに、三人娘がさっさと入っていった。
しょうがないので、三人に隠れる様に入る。
入った瞬間、車椅子にタックルされた。
「何だ八神か」
「はにほへひにほへ!?」(なんだとはなんや!?)
「……大丈夫か?」
「はにゃほにぇひょふぐしゃばにゃ!!」(大丈夫なわけあるかいな!!)
「……………やりすぎた。すまん」
「ふぎゅ……しゅばあにゅはみゅに」(むむ……反省しとるならいいんや)
とりあえず、甘めのパンを三個ほど奢ってやった。
成り行きを見守っていた三人が話しかけてくる。
「何で分かるの?」
「えっと、何があったか知らないけど、口大丈夫?」
「夜空君。その人誰なの?」
「八神はやて。あだ名を車椅子または狸。普段は図書館を行き来しているが、最近はここのパンにハマリ、三日に一度来ている常連だ」
「はにゃ!?ほに、ほにょれはにゃぐにゅりゅ!?」(狸!?てか、何で図書館のことを!?)
「勘だ。嘘だが。会計の時、財布の一番取り易い所に図書館の貸し出しカードがあったからだ。じゃあ、着替えてくるからそこら辺で待ってろ」
折角だから、俺の考えた新作パンの実験台……被験者……試食してもらうか。
そう言えば、魔法の練習しないとな。
魔法の練習は、夜中だな。
さて、どのパンを食べさせるかな。
◇◇◇◇◇
夜空パン準備中の時。
ちゃんと喋れる様になったはやてと、自己紹介をして話し合っている。
「ホント酷いんよ!私に変なパン食わせるんやで!?いったい何度目やねん!!」
「アイツって、落ち着いた感じなのに人をおちょくるの好きよね」
「多分、素だと思うよ」
「夜空君は忘れっぽいの!」
「そう言えば、同じ学校なんか?」
「そうよ。私立聖祥大附属小学校って所なんだけど」
「マジか!?私も其処の小学校入ったんやけど、この足やから休学中やねん。夜空がいるなら、行ってもええかもな。世話させたるわ」
「なんだかんだで、気にかけてくれそうだよね」
「夜空君は、同い年なのにお兄ちゃんみたいなの!」
「「「意地悪なお兄ちゃん」」」
「そ、そうかな?」
そんなことが囁かれていた。
原作友人関係を無視している夜空だった。