小説『魔法少女リリカルなのは〜心の剣と小さな奇跡〜』
作者:ディアズ・R()

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第五話・日常×平和





学校に入学してから、数日。
高町、バニングス、月村の三人が仲良くなって、何故か俺に絡んでくる。
そして、名前も知らない男二人が喧嘩を売って来る。
買う気は無いが。
あと、八神は毎回怒鳴ってくる。
俺のパン、食わなきゃ良いことじゃね?
とまあ、そんな感じだったのが昨日まで。
今日の朝のホームルームにて、そいつは来た。

「八神はやてや。足が悪くて入学してすぐに休学しとったけど、今日復学させて貰ったんよ。車椅子やけど、気にせずに仲良くしたってぇな!」
「はやてちゃん!?」
「はやて!?」
「ふふ♪」

高町とバニングスは驚いているが、月村は驚いていないな。
ちなみに、名無し男二人も騒いでいたが、クラスメイトも慣れたのか完全に無視している。
とりあえず、後で話しかけとくか。


◇◇◇◇◇


「八神狸。すまん間違えた。八神車椅子」
「どっちもちゃうからな!?」

どっちも一緒じゃね?

「いきなり来て、頭でも可笑しくなったのか?」
「何故そんな発想にいたるんや!?身体の調子が良くなってきたから復学しただけや!」
「へ〜急に良くなったのか?」
「いや〜あそこのパンを食べ始めた頃から、少しずつ調子が良くなったんよ!辛い思いした甲斐があったちゅうことや!」
「じゃあ、今度からもっと過激なのにしてやるよ」
「それは勘弁してください」

ヘチマの活用法がわからないから、ヘチマパンとか作ろうと思ったんだけど、残念だな。
今日の帰りにでも、裏メニューのデスパン・地獄の炎は蜜の味♪を食べさせるか。
裏メニューは、俺の作った八神用のパンを見た一部の方々(辛党など)が、食べたいと言って来たから出来たメニューだ。
まあ、裏メニューの最初の生贄もとい試食者は、全て八神だ。
犠牲があってこそ、良いものが出来るのだ。
そして、デスパンにはいろいろある。
他の味をあげるなら、天国へご招待♪や死のカウントダウンなどがある。
大抵の人が、最後まで食べれない。
そんなパンだ。
ちなみに、八神は最後まで食べる。
ベロとか唇がヤバイ事になっていたり、汗や涙を流しながらも最後まで完食する。
何がそこまでさせるのか、俺にはわからなかった。

「夜空?ボーっとしてどうしたんや?」
「ん?いや、帰りにどんな劇物……パンを食べさせようかと」
「ちょい待ちいな!!劇物!?劇物って言った!?」
「デスパンの新作、とだけ言っておこう」
「う……アレかいな……唇が痛くなってきたわ」

そんな風に楽しく?会話していると、三人娘が来た。

「はやてちゃん!今日から同じクラスだね♪」
「おぉ〜なのはにアリサ、すずかも一緒かいな。ずいぶんと楽しそうなクラスやな!」
「お前の顔が一番面白……くもないか」
「せめて最後まで言って!!ツッコミ難いから!!」
「ツッコンでるじゃない」
「あはは」

三人娘が、四人娘になりそうだな。
そしたら、通り名でも付けてみるか。


◇◇◇◇◇


転生者達の思考

神凪劉の場合。

(な、なんではやてが!?原作だと、闇の書事件が終わってからの筈だ!もしかして、イレギュラーの俺等がいるから?ま、まあいいか。予定より早く仲良くなれるだけだ!アリサとすずかの時は、ちょっと強引すぎたんだ。車椅子で大変だろうから、そこを助けて仲良くなれば……よっし!フラグをしっかりと立てるぜぇ!!)

謎の決意をしているバカだった。
とにかく行動するアホ。



皇柴御影の場合。

(原作通りじゃない!?まだ、なのはが魔法少女になってすらいないのに、なんでだ?まさか、俺が何処かでフラグを立てたのか?ククク、と言う事はだ。今の内にはやてと仲良くなっておけば、守護騎士達とのフラグも……劉の奴に先を越される前に、はやてとのフラグを立てないとな!待ってろよ、俺の嫁達!!)

世界が自分中心に回っていると思っている、唯のオタクだった。
根拠も無いのに、自分が一番だと思っている。



朝霧(あさぎり)ホタルの場合。

(あの二人のうろたえ様、原作通りじゃないって事ね。まあ、原作がどうなろうと知ったことじゃないけど。どうせなら、良い男に出てきて欲しいわ。何より、あの子達綺麗すぎるじゃない。私も美少女だけど、あっちの方が上って言うのが気に食わないわ。そう言えば、あの子達と一緒にいる男、結構良い線いってるかも?今度話しかけてみようかな)

何かのフラグが立った。
追い詰められると、叫ぶ癖がある女子である。



平坂姫(ひらさかひめ)の場合。

(えっと、どうしたら仲良くしてもらえるかな?う〜と、普通に話しかけた方がいいかな?なにか、持っていった方が……ど、どうしよう?)

唸っていた。
周りに流されやすい、オドオドした女子。


◇◇◇◇◇


体育の時間がやってきた。
現在、体育館で待機中。
この時間は、暇だ。
目を瞑り、片手で逆立ちしながら考える。
ちなみに、バスケットボールの上。
絶妙なバランス感覚と力加減で、一切動かない。

「凄いの……」
「何がしたいの?」
「全然動かないね」
「あんなことされたら、やるしかないやないか!」

何かが近づいてくる気配。
腕の力だけで、飛び上がる。

「な、なんやと!?うぎゅ!?」

綺麗に着地し、突っ込んできた奴を見る。
八神だった。
俺に突っ込んできて、壁に激突したようだ。
何がしたいんだ?

「うぅ〜避けるなや」
「唐辛子を生で食べながら早口言葉を三種類30秒以内に言えたら考えなくもない」
「鬼か!?」
「断らないだけマシだろ?」
「む、確かに……って、そんなわけ無いやろ!?」
「高町。下の名前で呼んでやるから、こいつ黙らせろ」
「ホント!!はやてちゃん!ちょっとOHANASIしよう!!」
「え?ちょ、ま、えぇぇぇぇぇ!?」

車椅子が無いと動けないはやてを引き摺って、外に出て行った。
それにしても、高町は何で下の名前で呼ばれたいんだろうな?

「なのはのこと、名前で呼ぶんだ」
「ん?まあ、約束したからな」
「ふ〜ん」

バニングスが、なにやら不機嫌そうだ。
女子ってわかんねぇ。

「夜空君。アリサちゃんは、自分も名前で呼ばれたいんだよ」
「なっ!?すずか!!」
「そうなのか?じゃあ、アリサって呼べば良いのか?」
「ふ、ふん!呼びたいなら勝手に呼べばいいじゃない!」
「アリサちゃんは素直じゃないね。私のこともすずかって呼んでね?」

そう言えば、前世の孤児院でも名前を呼び合ったら家族だって、院長が言ってたっけ。
懐かしいな。

「アンタ、大丈夫?凄い年老いて見えたけど?」
「いや〜昔のことを思い出しててな」
「昔って、同い年だよね?」
「いろいろあるんだよ」

アイツ等帰ってこないな。
お、帰ってきた。
高町もといなのははニコニコしているが、引き摺られているはやては顔が真っ青だ。

「ソイツ大丈夫か?」
「お話しただけだから大丈夫だよ♪」
「ゆるしてごめんなさいもうしませんたすけてかんべんしてください……」

ブツブツと謝り続けている。
何をした?
とりあえず、跳び箱の中に入れておくか。

「……ハッ!!危ない所やった……なにしとんねん!?」
「いや、邪魔になるかと思って……………チッ」
「舌打ち!?……なあ、なんで顔がこんなに近いんや?」
「ん?抱っこしてるからじゃないか?」

所謂お姫様抱っこだ。
よくねだられたから自然に出来る。
はやての顔が赤くなっていく。
恥ずかしいのか?
車椅子なんだから、このぐらい普通だと思うんだけど。

「な、なんでや。いつも変なパン食わせてくるだけやないか。こんなことで、意識するなんて、そんなバカな。ありえへん。だ、抱っこされたくらいで……結構、しっかりした身体やな」

小声で何を言っているか聞こえないが、どうでもいいだろ。
何故か俺の身体を撫で始めたので、車椅子に戻す。

「ぁ……」
「どうした乙女みたいな顔して?病気が悪化したか?今なら階段から突き落として楽にしてやるぞ?」
「……気の迷いやな。食らえ!」

何事か呟いた後、俺の足を轢こうとしたので車椅子を蹴飛ばした。

「ぬぉ!?」
「女として、大丈夫か?」
「そっちのせいやろうが!!」

ギャーギャー五月蠅いので、無視した。
そのあと教師が来たが、自習になった。
ドッジボールの。
普通に授業しろよ。
ドッジボールは、すずかが異様に強かった。
異様に目立っていた男二人が、俺の投げたボールを取ろうとして、保健室送りになったのは良い?思い出になるだろう。
たぶん。


◇◇◇◇◇


学校が終わり、四人娘が男子に話しかけられているのを見て、一言。

「励めよ」
「「励むか!!」」
「励まないよ!!」
「?」

襲い掛かられても面倒なので、帰ることにした。
歩いていると、四人娘が追いかけてきた。

「先に行くんじゃないわよ!」
「そうやそうや!追いかけるこっちの身にもならんかい!」
「まあまあ」
「はひぃ、はひぃ」

ギリギリ喋れるまでになったか。
ゲシゲシガスガスと蹴ったりぶつかったりしてくるので、持ち上げる。
アリサを猫の様に、はやては車椅子ごと。

「ちょっと!放しなさいよ!!」
「いくらなんでも可笑しいやろ!?どんだけ力あるんや!?」
「わ〜」
「楽しそうなの」

家に着いたので、二人を下ろす。
襲い掛かってくるアリサの攻撃を避けて、着替えに行く。
はやてはパンを買っていた。
なのはやすずかも同じで、アリサもそっちに向かっていたのが見えた。
着替えて戻ると、四人がパンを選んでいた。
何故か全員、裏メニューを一つずつ選んでいた。

ちなみに、全員ハズレパンだ。
なのはが選んだのは、とにかくすっぱい。
喋れなくなるほどに。
アリサが選んだのは、とにかく辛い。
叫びたくなるほどに。
すずかが選んだのは、とにかく甘い。
吐きたくなるほどに。
はやてが選んだのは……うん、強く生きろ。
大丈夫、死にはしない。

「早速食べるの」
「一緒に食べるんだからね」
「大丈夫、きっと大丈夫」
「今までのパンで、ある程度耐性はついたんや。いける筈や!!」
『いただきます!』

一口。
咀嚼。
沈黙。
そして。

「ッ!?ッッ!?」
「あぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!!」
「うぇ、あま、うぇぇぇぇぇ」
「……」

一名、ビクビクして泡吹いてるがまあ、許容範囲内だ。
もう少し薄めにした方が良いかな?

「要調合っと。ほれ、オレンジジュースだ」

そう言って、コップに入ったオレンジジュースを一つだけ出した。
三人の争いが始まった。
人って言うのは、醜いな。
とりあえず、はやての顔から血の気が引いているので、助ける事にした。
と言うのは冗談で、学校で考えていたデスパンを千切って口に捻じ込む。
体がビクッと跳ねたが、しょうがないよね。
食わせる予定だったんだもの。
瞳孔が開き始めてしまったので、近くにあったオレンジジュースを飲ませた。
約三名から、殺意を感じる。
はやてを車椅子に戻し、一言。

「飲み物は、100円になります」

殴られました。


◇◇◇◇◇


「と言う事があった」
「へ、へぇ、そ、そうなんだ……もう少し、優しくしてあげたら?」
「くぅ〜」

あの日の凄惨な出来事を那美に教えたら、笑顔が引き攣った。
久遠は懐いてくれたのか、膝の上でお腹を差し出している。
所謂服従のポーズ。
可愛いやつめ。
撫でてやろうではないか。

「優しくしても、しょうがないじゃないですか」
「優しくない自覚はあるんだ」
「♪」
「那美〜」
「はいはい。何買いに行けば良いの?」
「いや、暇だから何かしようって言おうとしたんだけど」
「……」

どうやら、パシリとして目覚めたようだ。

「まあ、パンでも食べな」
「……ありがと」
「クオン♪」

お互い、何も喋らずにパンを食べた。
喉が渇いたが、今回は我慢することにした。


◇◇◇◇◇


とある雑誌の一ページ。

海鳴市にある、最近有名になったきたパン屋・ル・クール。
ここのパンは、豊富な種類と出来たてが売りの様で、海鳴市では喫茶店翠屋と並ぶ程の人気となってきているようです。
さらに、裏メニューというものがあり、その店の子供が作っているそうです!
しかも、売られるのは三日に一度で、ほとんどが開店すぐに完売するそうです。
一部、残っているパンがあるそうなのですが、完食することが出来ないようです。
部下の一人が挑戦しましたが、三日ほど寝込みました。
まさしく、ピンからキリまである裏メニューといえるでしょう。
「ちゃんとしたパンなら三ツ星クラスの味や!」と常連の小学生が言っておりました。
どうやら、もう少し調査が必要なようです。

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