小説『魔法少女リリカルなのは〜心の剣と小さな奇跡〜』
作者:ディアズ・R()

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第六話・準備×契約?





今日は、普通のパンを沢山作ってみた。
オレンジやイチゴなどのジャムを挟んだジャムパンと、タマゴとハムとレタスを挟んだサンドウィッチ。
多く作ったので、教師に御裾分け。

「おいし〜♪これは水無月君が作ったの?」
「はい。時間があったので」

今会話したのは、担任の田中かなたさん。
逆から呼んでも、たなかかなたさん。
若くて美人だが、独身だ。
狙っている教師と生徒がいるらしい。
教師は良いとしても、生徒、テメェ等はダメだ。
マセガキどもめ。
他の教師にも配ったが、好評だった。
と言う訳で、いつものメンバーに食べさせる。

「ん〜♪おいしいの♪」
「ホント、美味しいパンは美味しいのよね」
「はむはむ」
「……美味しいんやけど、なんやこの物足りなさ」

なのは、アリサ、すずかは満足したようだが、はやては納得していない様だ。

「何か違ったか?」
「むぅ〜なんやろ?……まさか、そんな。いやいやありえへん」

なんなんだ?
気になるが、今は良いか。

「ロシアンルーレットやろうぜ」

一口サイズのミニパンを、五つ紙袋から取り出す。
唐突にやる意味は、特に無い。

「小さいパンなの」
「このパンをどうするの?」
「なんや、簡単そうやな」
「やる意味あるの?」

なのは、すずか、はやてはノリノリだ。
アリサは嫌な予感がするのか、嫌そうだ。
まあ、唐突に始めたからな。
とりあえず言っておく。

「一つハズレだ」

そう言った瞬間、全員の視線が一つのパンに向く。
そのパンは、他がこんがり小麦色なのに対して、赤かった。

「じゃあ、始―――」

言い終わる前に、四人がパンを持っていった。
残ったのは……赤いパン。
なんて奴らだ。
だが……アメェな。
このパンみたいにアメェ。
残ったパンを取り、食べる。
四人も、それに伴いパンを食べる。
俺の食べたパンは……イチゴ味。
そう、ハズレだ。
目の前の四人から、汗が出始める。

「言っただろ?一つハズレだって……俺がさ、そんなに分かり易くするとでも?」

小麦色に見えただろ?
だけどな、中は真っ赤なハバネロだ。
そろそろ、学習しようか?

「ひ、酷い、よ、夜空、君……」
「後で、覚えて、なさい、よ……」
「……ぅ」
「これや……これや、ない、と……ガハッ!?」

全員辛そうに、水を飲みに行った。
はやては、辛そうなのに嬉しそうという、不思議な表情だった。
とうとう壊れたかな?
まあはやてだし、大丈夫だろ。


◇◇◇◇◇


「少し良い?」

そう言ってきたのは、アリサやすずかとは違ったお嬢様オーラ全開の銀髪女子だった。
その後ろに、挙動不審な茶髪女子がいた。

「誰だ?」
「クラスメイトの名前も知らないのね、水無月夜空君?」

なら、第一印象で適当に言ってみるか。
多分当たるだろ。

「銀城(ぎんじょう)アカリと薄井綺羅(うすいきら)か?」
「そんな女子、このクラスにいないわ」
「名前は言われるまで覚えない性質でな」
「ふぅ、もういいわ。私は朝霧ホタル」
「えぅ……平坂姫です」
「そうか。で、何の用だ?」
「そんなせっかちだと、女子に嫌われるわよ?」

いや、別に良いけど?
前世でも未婚だったし。
あ、でも、靴に画鋲とか入れないで欲しいかな?
入れないか。

「ホ、ホタルちゃん。ちゃんと言わないと……」
「わかってるわよ。見た目は良いけど、中身がねぇ」
「あぅ……あ、あの!どうやって、高町さん達と仲良くなったんですか?す、すいません!変な事聞いてしまって!」

平坂のお嬢さんは、随分怖がってるな。
ヘコヘコ頭を下げてるぞ。
どうやって仲良くなったか……仲良くなりたいのか?

「そうだな、大した理由じゃない。泣いてるなのはを家に連れて行ったり、襲われてるアリサを成り行きで救ったり、ナンパされてたすずかを助けたり、家のパン屋の常連のはやてってだけだな」
「……それって、偶然なの?」
「あぁ〜そうなんだよな〜ランニングしてたらなのはがいて、アイスを食ってたらアリサが来て、買い物帰りにすずかがナンパされてて、家のパン屋にはやてが来たんだよ。凄い偶然だよな」

改めて確認すると、凄いな。
まあ、はやてはしょぼいけど。

「そっか……転生者じゃないのかな?」
「お、お友達になってくだしゃい!」

朝霧が何か呟いていたけど、平坂が叫んだせいで聞こえなかった。
友達って、俺とか?

「お前、対人関係苦手だろ」
「はぅ!?」

いや、なかなか面白い奴だな。
次から姫と呼んでやるか。

「ま、聞きたいことは聞けたから、またね〜」
「じゃ、じゃあね……よ、よ、よぞ……へぅ」

教室から出て行く二人。
ホタルと姫か……覚えとくか。


◇◇◇◇◇


今日は、なのはの家族が経営している喫茶店・翠屋に行くことになった。
理由は無い。
しいて言うなら、ロシアンルーレットか。
店に入ると、なかなか綺麗な所だった。
確か、三、四人で経営してるんだよな。
やるじゃないか。
まあ、家は基本二人だがな。
店が違うか。

「お帰りなさい。あら?男の子?」
「こんにちは。自分は水無月夜空といいます。以後お見知りおきを美しいお姉さん」
「あらあら。ありがとうね、夜空君♪私は高町桃子よ♪……あれ?水無月夜空?何所かで……」

美人だったんで、ちょっと猫被ってみた。
なにやら考え事を始めてしまったので、放置しておけば良いのだろうか?
俺を見ている四人が驚愕の表情をしているが、見なかったことにした。

「アレが、夜空、君?」
「アイツ、あんな風にも出来たのね……」
「ちょっとカッコいいかも……」
「あんなの、夜空ちゃうわ……」

ケーキを見てみる。
美味そうだな。
ふと視線を感じたので振り返ってみると、席に座ってケーキを食べていた女性と目が合った。
紫髪のすずか似のお姉さんだ。
一緒に座っているお兄さんとも目が合った。
なんか、二人とも会った記憶が……あ。

「確か、忍さんと恭也さん?」
「すずかから聞いて、ずっと会いたかったのよ?」
「どうして君が、なのはと?」

忍さんは、ちょっと拗ねてる。
恭也さんは、殺気立ってる。
何故だ?

「お兄ちゃん、どうしたの?」
「はっ!い、いや、なんでもないんだ!早く着替えておいで!」
「むぅ〜わかったの!」

そう言って、なのはは奥に入っていく。
恭也さんは、なのはが居なくなった事に安心して、息を吐く。

「はぁ〜危なかった。そうか、君が水無月夜空君か。なのは達から話は聞いているよ」
「ちなみにどんな?」
「言ったらダメ!」
「内緒にする約束ですよ!」
「教えたらあかん!」

なんだ?何を話したんだ?すげぇ気になる。

「ふふ、皆夜空君の事が気になるのよ♪」
「あぁ!夜空君はなのはの―――」
「にゃぁぁぁぁぁ!!お母さん!言っちゃダメなの!!」
「うふふ、ごめんなさいね♪」

う〜む、女子のトークには着いて行けないな。
恭也さんの隣に座る。

「いつもあんな感じですか?」
「あ〜今日は別格だな」
「そうですか」
「飲み物でも奢ろうか?」
「むしろ奢りますよ?」

株に成功したんで。
手持ちで40万は出せます。

「いや、家の店だから。飲み物ぐらいはタダで出せる」
「じゃあ、遠慮無く。抹茶でお願いします。後、ガトーショコラ一つ」
「了解」

さて、恭也さんがいない今、男子一名女子六名の完全アウェーだ。
どう乗り切る?

「夜空君♪夜空君は、あの四人の中で誰が一番好み?」
「「「っ!?」」」
「お姉ちゃん!?」
「あ、それ私も知りたいわ♪」

なんだ、これ?
誰が一番好みか?
なのはは、まあ、頑張ってるな。
アリサは、元気?だな。
すずかは、影が薄いか?
はやては、なんだろ?
四人の中ではだもんな……じゃあ、アイツかな?

「はやてですかね。俺のパンを泣きながら食べてくれますから」
「嬉しくない。嬉しくないで……」
「はやてちゃん……ガンバ!」
「まあ、そんなもんよね」
「ふぅ……お姉ちゃん。帰ったらOHANASIしよ?」
「あ、え、その、はい」
「あらあら♪」
「何かあったのか?」

丁度恭也さんが戻ってきたので、ケーキを食べることにした。
見た目通り、美味い!
買って帰るかな。
そう言えば、気になったことがある。

「恭也さん」
「ん?なんだ?」
「忍さんとは上手くいきましたか?」
「なっ!?な、何故それを……」

小声で話してくる。
聞かれたくないのだろう。
俺も小声で話す。

「二人で座ってたんで、多分何かあると思って」
「……その、なんて言えば良いのか……それに、俺には剣位しかないからな。忍には、相応しい相手がいるさ」

絶対両想いだと思ったんだけどな。
忍さん、許婚とかいなさそうだし。

「言うだけ言ってみたらどうです?」
「だが、言って断られたら?今みたいに会い辛くなりそうだし……」
「おいヘタレ」
「ヘタ!?酷くないか?」
「黙れ。お前は思春期の高校生か?高校生か……まあいい。忍さんは美人だぞ?わかってるのか?今言わないと、後悔するかもしれないぞ?」
「う……だ、だけどな」
「まだ言うか。なら、忍さんがチャラチャラした男と付き合って、酷い事されたら?」
「ソイツをシバく」
「なら行け。タダの友達止まりで良いわけないだろ?それに、よく考えろ。好きでもない相手と、一緒にケーキなんか食わないだろ?」
「た、確かに!」
「つまりはだ。少なくとも嫌いではない。むしろ、好きって気持ちの方が強い。後は、お前次第だ!言って来い!」
「そうだよな。男として、尻込みする場面じゃない。俺は、言うぞ!!」

そう言って、忍さんの方に向かう。

「いや、今じゃないんだけど」

俺の声は、届かなかった。
こうして、カップルが誕生した日となった。


◇◇◇◇◇


俺達が入学して、一年と数ヶ月が経った。
もうすぐ三年生だ。
なんだかんだで、充実していて、楽しい学校生活だった。
はやてがパンを食べて発狂したり、テストでアリサと勝負して同点(満点)だったり、運動会ですずかと全力の勝負をしてたらクラスが勝利してたり、なのはといろいろな遊びをして泣かしたり、やっぱりはやてがパンを食べて発狂したり、未だに名前を知らない男子二人が絡んできては適当にあしらったり、ホタルと姫がよく話し掛けて来る様になって、締めにはやてがパンを食べて発狂した。
良い思い出です。

「よかないわ!!」
「おいおい。人の作文にケチ付けんなよ?」
「確かに、何度か発狂した気がするけど……それを作文に書く必要あらへんやろ!?」
「八神さん。人の発表中に叫ばないでね?」
「教師が敵になった!?」

さて、邪魔が入ったけど、なかなかに楽しい学校生活で、はやては発狂するほど危ないパンが好きという結論に至りました。

「結局それかいな!!」
「八神さん!先生怒りますよ!」
「もう嫌やぁ!!」

今日は、パンを食べる前にはやてが発狂した。
正直、飽きました。
これで、私の学校生活の作文を終わります。


◇◇◇◇◇


「フェイ、ト……頑張り、なさい、ね……」

夜の散歩(普通止められます)をしていたら、女子が倒れていた。
何故か持っていたコッペパンを口に突っ込んでおいた。

「もごっ!?」

もごもご言いつつも、しっかりと完食していた。
こやつ、完食が速いな。

「いき、なり、何を、する、の、ですか?」
「死にそうだけど、大丈夫か?」
「ダメ、で、す……魔、力が、足り……」

倒れてしまった。
魔力が足りない?
魔力を送ればいいのか?
倒れている女性に触れ、魔力を流し込む。
魔法は使えないが、魔力の操作はかなり上手くなった。
落ち着いたみたいだが、この人どうしようか?
持って帰るか。

-7-
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