小説『異世界旅行券が当たったのでISの世界行ってきます』
作者:読む短刀()

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第30話 俺が守る



修司Side
「「……。」」
俺が椅子に、シャルルがベットに座ってそろそろ30分ぐらい経とうとしている。
き、気まずい。普通なら飲み物でも飲んで落ち着くものだが、生憎ここは俺の部屋じゃないから勝手に飲み物を飲むわけにはいかない。
「え〜と、シャルル。」

ビクッ!!

「何?」
「お前がよかったら、話してくれないか?何故男装していたのかを。」
「うん、いいよ。バレた以上隠す理由もないし。」
シャルルは一度深呼吸をして、俺の方を見た。
「修司は、僕の家がデュノア社ってこと、知ってた?」
「デュノア社って、量産機ISの開発シェア第3位だったよな。そこがシャルルの。」
「うん。そこの社長の命令でね。」
「命令?」
「僕は、愛人の子なんだ。」
「!!」
「2年前にお母さんが亡くなった時にね、父の部下が引き取りにきたんだ。それで色々と検査をしたらIS適応が高いのがわかって、非公式にデュノア社のテストパイロットやることになってね。」
イライラする。原作で知ってるとはいえ、目の前で辛そうに話すシャルルを見て俺はシャルルの父親に怒りを抱いている。
「父と話したのは2回くらい、会話は数回かな。一度本妻の人に殴られたよ。「泥棒猫の娘が!」ってね。」
頼む、そんな辛そうな顔をしないでくれ。
「それから少し経って、デュノア社が経営危機に陥ってね。」
「確かに、開発シェア第3位でもそれが第二世代じゃな。…つまり男装の理由は広告塔と同時に俺と一夏に接近するため、目的はデータか。」
「そう。第三世代ISを造れないと、デュノア社はISの開発資格を剥奪されるからね。」
「そうなったらどうなる?」
「倒産か、他所の企業に吸収されるしかないよ。」
「違う、俺が聞きたいのはシャルルはどうなるんだ?」
「え?僕は…どうなるんだろ。多分、本国に呼び戻されて、牢獄行きかな。」
「だったら俺が守る!」
俺はいつの間にかシャルルの肩を掴んでいた。
「え?修司?」
「俺がシャルルを守る!その為にまずは学園に残れ!IS学園特記事項第二十一、「本学園に在籍する生徒は在学中において如何なる、国家、企業、宗教に帰属しない。本人の同意がなければ、それらの外的介入は原則許可しない。」これで3年間は無事だ。その間に何とかするぞ。」
「…どうして僕なんかの為に?」
「俺はお前を守りたい。それだけだ。」
「修司。…ありがとう。」
シャルルが俺の顔を除き込みながらお礼を言ってくる。…てかやばい。
「あの、シャルル。その、胸が見えそうなんだが。」
「え?…!!!」
シャルルが急いで俺から離れる。
「えっと、その…修司。」
「な、何だ?」
「ひょっとして、見たいの?」
「な、ななな、何を言ってるんだい!?シャルル・デュノアくん!!」
「修司のえっち。」
「グハア!!」
急所に当たったー!!効果は抜群だー!!
俺のライフはもう0です。

コンコン。

ビクゥ!!

「一夏ー。いるのー?」
この声は、鈴!?
「あんた夕食まだなんだってね。だったらちょうどいいし一緒に行くわよ。」
「まずい!!シャルル、隠れろ!!」
「う、うん!!」
「布団だ、布団!!」
「一夏ー、入るわよー。」

ガチャ。

「よ、よう。鈴。」
「しゅ、修司!?何であんたが一夏の部屋にいるのよ!?」
「いや、更衣室で一夏のケータイを拾ってな、届けに来たんだよ。」
「そ、そう。それで、一夏は?」
「なんか書かなきゃならない書類が有るらしく職員室に行ってるらしい。」
「ふーん。なら、何であんたはまだ部屋にいるのよ?ケータイ置いて帰っても問題ないでしょ?」
「俺もそのつもりだったんだが、シャルルの体調が悪そうでな。一夏が戻ってくるまで看病しとこうと思ってな。」
「シャルルが?」
「…ごほっ、ごほっ。」
それはバレるんじゃないでしょうか、シャルルさん。
「もしかしたら、今になって、フランスから日本の環境の変化に体調を崩したのかもね。」
通った!?
「まあいいわ、しっかり休んで治しなさいよ。」
「ごほっ、ごほっ。…うん、ありがとう。」
「じゃああたしは食堂に行くから。」
「あ、鈴。俺も行くわ。」
「え?だってあんた今、一夏が戻ってくるまでいるって。」
「一夏がいつ戻るかわからないからな。シャルルの分のご飯貰うついでに自分の分食っとこうかなと。」
「シャルルご飯食べれるの?」
「食堂のオバチャンに頼んでお粥でも作ってもらう。」
「そ、なら行きましょ。」
「んじゃあ、シャルル。ちょっと行ってくる。」





「そういや、一夏とはどうだよ。」
「な!?いきなり何よ!?」
「いや、ふと思ってな。」
「特に進展はないわね。」
「やはりあの「唐変木オブ唐変木」は簡単じゃないか。」
「まあ、それだけじゃないけど。」
「ん?どうした?俺の顔に何かついてるか?」
「あんたも一夏と同じね。」
「なん、だと!?だれがあんな鈍感野郎と一緒なんだよ!?」
「一緒でしょうが!!現に…。」
「現に?何だよ。」
「な、何でもないわよ!!」
「?まあ、とにかく俺と一夏は同じじゃない!!」
「どうだか。」
「あれ?シュウ。」
「ん?簪と本音?」
背後から呼ばれて振り返れば簪と本音がいた。
「やっほ〜シェフ〜。久しぶり〜。」
「いや、今日も教室で会ってるだろ。」
「何かね〜。本能が言うんだ〜。って頭にビビビって、きたんだよ〜。」
「それは電波系の予兆だ。今すぐ対処することをお薦めする。」
このままでは、中二病患者、「のほほん」が誕生する。
「部屋に帰ってこなかったけど、今終わったの?」
「ああ、いや、実は………てなわけで今から食堂に行くんだよ。」
「そうなんだ。」
「しゃるるんも大変だね〜。」
「しゃるるんって。」
またあれな渾名を。
「じゃあ、私達も今から行くところだから一緒にいこ?」
「別に問題ないよな?鈴。」
「まあ、別にいいわよ。」
「シェフ〜。おんぶして〜。」
「おまっ!!本音!!言いながら乗るな!!」
背中に柔らかい感触が!!
「むっ…。」
「か、簪さん!?何故腕を組んでくるのですか!?」
「本音だけ…ずるい。」
何だ?小声だから聞き取れなかったぞ。
「って!!どうして鈴さんまで腕を組んでくるのですか!?」
「あ、あれよ!!空気を読んだのよ!!空気を!!」
そこは空気を読んだなら助けてくれよ。
しかしあれだな、これはこれで、両手に花状態なんだよな?
けど、あれだな、簪も鈴も可愛いけど、もう少し胸があれば。

ズドム!!×2

「ぐふぅ!?」
りょ、両側から脇腹に一撃入れられた。
「シュウ?」
「修司?」
「「今何か失礼なこと考えなかった?」」
「め、滅相も御座いません。」
ま、まさか読心術修得者がここにもいたとは。




「シャルル、お粥貰って来たぞ。」
「ありがとう。修司。…どうかしたの?顔色が悪いけど。」
「い、いや、何でもない。気にするな。」
あの後もいろいろあったからな。
「それよりも、これお粥。」
本当なら、普通のご飯を貰って来たかったが、鈴達に言ってたし、鈴達の目の前で受け取ったからな。
「熱いから気を付けろよ。」
「う、うん。…あつっ!!」
「だから言ったのに。…なんならいっそのこと、俺がふーふーして食べさせてやろうか?」
ま、冗談だけど。
「え!?…じゃあ、お願いしようかな。」
「なーんて冗談、じょうだ、え?」
「だから、修司が食べさせて。」
マジすか!?
「本気か?」
「修司から言ったんだよ。それとも、ダメ?」
上目使いは反則です!
「わ、わかった。」
シャルルからレンゲを受け取り、お粥を掬う。
「ふー、ふー、ほら、あーん。」
「あーん。」
まさか俺がシャルルにあーんする日がこようとは。
「美味しい。」
「んじゃ、次。ふー、ふー、あーん。」
「あーん。」
「あーん。と見せかけパクっ。」
「ああ!?」
「美味い。ただのお粥ではなかったか。」
「酷いよ、食べるなんて!!」
「悪い、悪い。もうしないから、はいあーん。」
「え、あ!!あ、あーん。」
どうしたんだ?急に顔赤くして。
「シャルル。」
「ん、何?えええ!?」
俺はシャルルのおでこに自分のおでこを当てる。熱はない、か。ならなんで急に赤くなったんだ?
「あの、修司。…近いよ。」
「え?…うおおおお!?すまん!!」
「い、いいよ別に。」
「そ、そうか。」
「「……。」」
「そ、そういやさ。」
「な、何?」
「一夏はまだ部屋に帰ってこないのか?」
「そういえば、そうだね。」
何やってるんだ?あいつ。





「織斑君。見付かりましたか?」
「いえ、まだです。」
「やっぱり誰かが拾ったんじゃないでしょうか。」
「そうなんですかね。」
(はぁ、ほんと、何処いったんだよ俺のケータイー!!)
書類作業を終えて、落としたケータイを探していることを俺とシャルルは知るよしもなかった。

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