小説『魔法少女リリカルなのは 悪魔も泣き出す転生者』
作者:トンボ()

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ダンテの口調があっているか不安です。
修正完了しました。
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1、転生



真っ白な空間で二人の男が剣を用いて戦っている。
一人は赤いコートを着て両刃の大剣を振るい、もう一人は全身が黒で統一された半袖と長ズボンという動きやすい服装で日本刀を振るっていた。
だが二人の剣を振るうスピードは常人のそれではなかった。
もしも普通の人間が見ていたとしたらその眼には何かがとてつもない速さで振るわれ、それらがぶつかってこの空間に響く大きな金属音を響かせているのだということをかろうじて理解できるかどうかであろう。

「最初に比べたらずいぶんよくなってきたじゃないかボウズ」

鍔迫り合いになり赤いコートの男、ダンテがそう言った。

「俺もそう簡単には死にたくないんで今まで必死で鍛えたからなっ!」

黒服の男、黒崎克也はそう言い力強く押し返す。
ダンテはバランスを崩さないように自ら後退することによって勢いを殺し、大剣リベリオンを上から下に振り下ろした。克也はその斬撃を手にしている日本刀、閻魔刀(やまと)で切り上げるようにしてはじき、ダンテの脇腹を狙い右から左に切り払う。
完全に決まったと克也は思った。
確かに普通の相手ならこの一撃で仕留めることが出来るだろう。しかし、相手は伝説の悪魔狩人だ。
ダンテはこの攻撃に対してやはり一歩下がることでかわしリベリオンを振り下ろす。
この結果を頭のどこかで予想していた克也は後ろに跳ぶことリベリオンの一撃を躱し、閻魔刀を鞘に収め遠距離攻撃が可能な抜刀術、次元斬を放つ。
だが次の瞬間ダンテの姿が克己の視界から消える。

「Game Overだな」

克也の首筋に背後からリベリオンがあてられる。

「また負けか」

そう言い。まだ一回も勝てていないと克也は悔しそうに続けた。

「何言ってんだ。俺にエアトリックを使わせただけでもたいしたものだぜ」

そう、先ほどの戦いでダンテが一瞬で克也の背後に回り込んだのはスタイル・トリックスターの技であるエアトリックを使い瞬間移動したからだ。しかし克也はイライラしているような表情で

「でもアンタ。エアトリックを使わなくてもかわせたろ」

と言い。ダンテも、まぁなと言った。

「だがそれがわかるようになっただけでも十分成長しているさ。しかし性格も口調もずいぶん変わったな」

「朱に交われば赤くなるって言葉知っているか?アンタと四六時中一緒にいれば性格も口調も変わるさ」

確かにな。
とダンテが言った瞬間、修行をダンテに任せていた神が現れた。

「調子はどうだい。克也くんは強くなった?」

「ああ。最初は力に使われていたが今じゃあうまく使えるようになっている。俺の兄貴に似ているが自分なりの戦い方も身につけたようだしな」

さらにダンテはだから……と続け、

「もうボウズは卒業だな」

と言った。

「おいおい待ってくれよ。俺はまだアンタから一本もとってないんだぜ。そんな俺が卒業かよ?」

「俺はボウズの何倍もの時間戦ってきたんだ。そう簡単に抜かれるわけないだろ。今のお前なら例え俺やボウヤ並みの生命力が無かったとしてもそう簡単には死なねえから後は向うで実戦経験を積むんだな」

「……オーケーわかったよ」

今回は修行のために使わなかったが克也はバージルのスタイルであるダークスレイヤーもバージル本人ほどではないがある程度使えるのでダンテの言う通りかもしれないと思い、克也は神によって与えられ自由に消したり出現させたりできるようになった閻魔刀を消す。
必要なときは何時でと出現させることが出来、武器を持っているとマズイときには消すことが出来るようになっているのでこの神からのサービスはありがたいと思った。

「そろそろ送っていいかい?」

と神が聞いてきた。この時、克也はある疑問を思い出し、

「そういえば聞き忘れていたんだが、悪魔はいつまでも現れ続けるんだ?」

と尋ねた。
ダンテとの修行ですっかり忘れていたがそれが克也の頭の中で引っかかっていた。
克也の問いに神はああ言い忘れていたと言い、

「悪魔がリリカルなのはの世界に現れた原因は実はフォルトゥナの事件のときの地獄門のようなものが現れたからなんだ。いくつあるのかは私にもわからないけど、一番大きいものはまだ開いていないんだけどそれの存在に引き付けられるようにリリカルなのはの世界に悪魔が現れた。だから本命のものさえ破壊すればいくつかある他のゲートとでもいうべきものは閉じるから悪魔は現れなくなる」

と説明した。
この説明で聞きたいことがなくなった克也は神にさっそく送ってくれと告げた。

「わかったよ。じゃあ今から送るね。生活面なんかでは一人では大変だと思うし、君のサポートをするためにあとで女神を三人君のもとに送るからね」

ダンテは克也のもとに三人の女神が送られると知り言った。

「羨ましいね〜閻魔刀は貰えるは女神は来るは至れり尽くせりってやつだな。作れるんなら俺も閻魔刀を一振り欲しいぜ」

しかし神はそれは無理だと即答した。

「この閻魔刀を用意したのは私だけれど、原料になったのは克也くんのなかの力とでもいうべきものだからそんなに簡単に用意出来る物じゃありません」

それにあなたには必要ないでしょう。
と言った神に対してダンテは、

「ハッ!違いない」

などと言っていた。
そんなダンテと神のやり取りを聞き流していると神の呪文にあわせ、克也の体を光がつつんでいく。

「Good luck ボウズ」

「Thank you ダンテ」

最後にそんな会話をし、体が完全に光に包まれたとき克也は意識を失った。





「ここは?」

克也が目を覚ますとそこはどこかの家だった。
誰かの家に無断で入り込んだ記憶はないのでここは神が用意した自分の新しい家だろうと思い、自分が寝ていたベッドから体を起こす。
この時なにか目線がやけに低いように感じた。
一瞬気のせいかと思ったが部屋を出ようとしたときにドアノブがやけに高い位置にあったので気のせいではなく本当に縮んだんだなと思ったが、特に気にせずに部屋を出ることにした。
この部屋は二階にあったらしく下に続く階段と上に上がるための階段があったので克也はとりあえず下に降りてみた。

「あら、目が覚めたんですか」

「おはよう」

「はじめまして」

一階に降りると三人の黒髪の女性が声をかけてきた。
最初に克也に声をかけた女性は二十代半ばにみえる母性を感じさせる女性で次に声をかけてきたのは十代後半に思える眼鏡をかけた知的な印象の女性。
そして最後の女性は十代前半に見える女性というよりは少女という言葉が似合う女の子だった。

「……大体見当はつくが一応聞いておく。あんたらは誰だ?」

とりあえず克也はそう尋ねた。

「私たちはあなたが神と呼んでいたお方によってあなたをサポートするために送られた者です。私は大地の女神で名前はガイアです」

二十代半ばに見える女神ガイアはそう答えた。
ガイアの答えに克也はやっぱりなと思いながらそっちの二人は?
と尋ねた。

「私の名前はミネルバよ。知恵をつかさどるから原作知識がほとんどないあなたをサポートするわ」

と言ったミネルバに続き、最後に残った少女も自己紹介をしてきた。

「私はイリスです。一応、虹の女神をやっています」

「知っているかもしれないが俺は黒崎克也。悪魔を狩るために送られた転生者だ」

三人に自己紹介されたので、最低限の礼儀として自分も自己紹介をする。

「あんたたちが神が言っていた三人の女神だということはわかった。けど何でこの家にいるんだ?ここは俺の家だと思っていたが俺の勘違いか?」

「いいえ。ここは新しいあなたの家ですよ。ただ私たちの家でもあるんですよ」

克也の質問に三人を代表してガイアが言った。
克也はどういうことだ?
と質問したがガイアにとりあえず座ってくださいと言われソファーに座り、ガイアたち三人は克也の正面にあるもう一つのソファーに座った。

「とりあえず質問の続きだ。ここはあんたたちの家でもあるってどういうことだ?」

「そのまんまの意味よ」

とミネルバが言った。

「もう気が付いていると思いますけれど、今のあなたは子供の姿をしているわ。子供が一人暮らしというのは大変だと思うから私たちがあなたの家族という設定で一緒に暮らすの。ちなみに母子家庭という設定で私はあなたの姉の黒崎はるかでガイアは私たちの母親の黒崎玲子、イリスは一番年下の妹の黒崎柚(くろさきゆず)ということになっているから」

「よろしくお願いします。お兄さん」

いきなり自分のことを兄さんと呼んだイリスの言葉を聞こえないふりをして流しつつ、そんな細かい設定があったのかと克也は思った。
だが確かに子供の一人暮らしは目立つと思い、家族として三人と暮らすことに納得した。
それに克也自身は家事能力が低いわけではなかったが高いわけでもなかったのでちょうどいいとも思っていた。

「オーケーんじゃよろしくな。ところでこっちは俺が悪魔と戦う以上絶対に知っておきたいんだが、みんなの戦闘能力はどれぐらいだ?」

家族と認め、三人の呼び方を『あんたたち』から『みんな』に変えて克也は言った。
そして悪魔と戦う以上仲間の能力を知っておくことは大切だったので彼女たちの戦闘能力について尋ねてみた。それを知ることによって、悪魔との戦いでの役割を決めようとしていたのだ。

「あなたには及ばないけれど三人の中では私が一番強いわ。でもそれ以外にも回復や結界なんかのサポートもできるわね。上級悪魔にはやや及ばないくらいの戦闘能力ね」

とガイアは答え、上級悪魔にやや及ばないくらいということは下級や中級の悪魔にやられることはないんだな?という克也の問いにも彼女は肯定した。

「私はガイアよりは弱いけど、中級悪魔には負けないわ。主に魔力を使った攻撃と回復系のサポートが得意ね。あとは原作知識や作戦なんかの頭を使うことはまかせて」

とミネルバが答えた。
最後はイリスだ。

「私は結界を張ることと回復系の魔法が得意です。私自身の戦闘能力は下級悪魔以下ですが私にはこの子がいます」

イリスがそう言った瞬間彼女の前に光の球体が現れそれが姿を変えていき、大きな白いネズミのような姿になった。

「……イリスそいつはなんだ?」

見たこともない不思議な生き物に思わず言葉が出てしまった。

「シロです。今はこんな姿ですが本当の姿は白いドラゴンなんです。その戦闘能力は上級悪魔クラスでガイア以上です。私が危ないときには守ってくれます」

とイリスが説明してくれた。

「みんなのことは大体分かった。悪魔とは基本的に俺が戦うつもりだが、いざというときには頼りにさせてもらう」

克也の言葉に三人は声をそろえて「「「はい」」」と言った。




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早くもオリキャラ登場です。
とりあえず次回までは克也の今の状況や能力やデバイスについての説明回になると思います。

ちなみに、オリキャラの女神たちの見た目はガイアが黒髪になった真・恋姫無双の黄忠でミネルバがハイスクールD×Dのソーナ・シトリー、イリスがTo LOVEるの結城美柑をイメージしています。





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