小説『魔法少女リリカルなのは 悪魔も泣き出す転生者』
作者:トンボ()

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今回は少し書き方を変えてみました。
内容を修正しました。
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2、力の説明と女神の想い

「あ、そうそう神様から渡すように言われたものがあるの。忘れていたわ」

あの自己紹介の後に敬語をやめさせたガイアが唐突に相変わらずのおっとりした口調でそう言った。

「……何を?」

「これよ」

ガイアが渡してきたのはペンダントだった。

「なんだ?このペンダント」

「これはあなた専用のデバイスよ」

「よろしくお願いします。マスター」

とガイアがデバイスとよんだものは人間の女性の声で言った。
大切な物のようだったがあいにく俺にはこれが何なのかまったくわからなかった。
なので、

「デバイスってなんだ?」

と尋ねた。
すると、それを聞いた三人は俺に原作知識がほとんど無いと知ってのでそうだったと言いミネルバを中心にデバイスについて説明してくれた。

「……つまり、バリアジャケットとかいう服を作ったり魔力を使っていろいろ出来る
 便利アイテムというわけか。よし、理解した」

「間違ってはいないんですが……」

ただ一言、便利アイテムという言葉で表されたデバイスは人間だったら何とも言えない表情をしているということを容易に想像させるトーンでそう言ってきた。
だが、俺には実際にそれぐらいしか理解できなかったのでしかたがない。

「で、お前さん名前ってあるの?」

「いいえまだありません。マスターが名づけて下さい」

「じゃあ。お前の名前はホークアイだ。名前の由来は鷹にとっての目と同じぐらい欠かせない相棒になるようにと思ってな。どうだ?」

「登録完了。素晴らしい名前をありがとうございます。マスター」

気に入ったのか嬉しそうにホークアイは言った。
本当はかなり適当に考えたんだがわざわざそれを言う必要もないし、気に入ってくれたんなら全く問題ないな。

「早速ですが、私の機能を説明させてもらいます。まずは根本的なことなのですが私はこの世界の他のデバイスとは何もかもが違います」

とホークアイが自分の機能を説明し始めた。
ガイアとイリスはそろそろお昼時なので昼食の準備を始めようと席を外しているのでホークアイの機能はホークアイ自身と智の女神であるミネルバが俺への説明を担当してくれる。

「何もかもというと?」

「あなた、さっきの話の中で私たちはデバイスについて魔導師が魔法を使うための補助として使うものだって説明したけど覚えている?」

「……ああ」

思い出すために少し間が空いてしまったが、思い出せたので気にしないでおこう。

「そのときにこの世界の魔力はリンカーコアという機関から生み出されるものと説明したけれど、あなたにはリンカーコアが存在しないの」

「ってことは俺には魔力がないのか?」

「いいえ。あなたにはちゃんと魔力があるわ。あなたや悪魔はリンカーコアの存在が無くても魔力を生み出せるの。だから体を刺されたりしても魔力の生成に影響はないの」

確かにダンテも何回も刺されているのに魔力をつかえていたな。

「それで私だけの特別な機能を説明します。私を身に着けている間はマスターの力を抑えることもできます」

「俺の力を?」

「言い忘れていたけど、あなたは悪魔と対峙したときには悪魔の魔力にあてられて今は黒いあなたの髪が白くなるの。だからおそらく他の人に変に思われてしまうわ」

「つまり、俺が普通じゃないとバレるかもしれないということだな?」

「ええ。そういうことよ。話を戻すけど、ホークアイを起動していれば悪魔と対峙しても髪の色が変わることを防げるってことよ」

「なるほどね。時空管理局とかいう組織に目をつけられたら面倒そうだからそういう意味では便利だな」

余計な気苦労はしたくない。

「それが私の特別な機能の一つですがそれ以外にも武器生成が出来るということがあります。これはアームドデバイスをあなたの魔力を使い生成するという機能です。魔具に比べたら威力は低いので悪魔との戦闘ではあまり使えないかもしれませんが、非殺傷設定が使えます。また幻影剣の様な魔力を使った技を非殺傷にもできます」

確か、武器としての性能があるデバイスがアームドデバイスだったな。

「そりゃあ便利だ。起動中に作り出せるアームドデバイスはひとつか?」

「いいえ。これはマスターのイメージによって生み出せるので二種類までなら同時に実体化させられます。例えばエボニー&アイボリーとリベリオンとかですね」

「でも、ホークアイには起動しても飛べないっていう欠点があるから気をつけて」

「オーケー了解したよ。ガイア」

(とりあえずはホークアイを使った戦い方の訓練と悪魔の情報を手に入れやすくする為に準備が必要だな)

俺がそんなことを考えているとガイアとイリスの昼食ができたので、腹ごしらえをすることにした。
二人の料理の腕前はどんなだろうな。




台所で私、ガイアは一緒に送られてきたイリスと一緒に料理をしながら私たちがサポートすることになった少年のことを考えていた。
彼は偶然にも強大な力をその身に宿していた。
そして、この世界に本来なら現れないはずの悪魔が現れるということを知ると戦いに身を投じることを決意してくれた。
……でも一般人として生きてきた彼に命がけの戦いをさせていいのか。
その答えを私は見つけられないでいた。

「……兄さんのことが心配ですね」

不意に一緒に料理をしていたイリスが私にそう言ってきた。

「……ええそうね。彼はダンテさんのもとで修業したとはいえいきなり強大な力を手にしてしまったわ。その力に溺れてしまうことだってあり得るかもしれないものね」

この世界にダンテさんはいない。だからこそ今まであまり無かった強大な力をもっているという意識が芽生えるかもしれない。そしてそれがきっかけで力に溺れることもあるかもしれないのだ。

「……それだけじゃありません」

そんなことを考えていた私にイリスがそう言ってきた。

「兄さんは悪魔との戦いを通じて自分が人間ではないと感じて心に傷を負ってしまうかもしれません。そして何よりそれが兄さんの幸せを奪ってしまうのではないか……。それが私は一番心配なんです」

イリスの言葉を聞いて私は言葉がでなかった。
正直、彼との会話や前世の行いなどで感じた印象ではむしろそっちの方が能性は大きかったからだ。

「……私たちが彼を支えましょう」

少し考え私はそう言った。

「こちらが彼にお願いしておいてそのうえ彼の幸せまで奪うわけにはいかないわ。だから後でミネルバにも話して三人で彼を支えましょう。彼が力に溺れないように、そして彼が自らの幸せを捨ててしまわないように」

これが私の結論。当たり前のことなのかもしれないけど、私は言葉にすることでこの結論を必ず実行してみせると自らに言い聞かせた。

「……お兄さんみたいに思ったんです」

「え?」

「初めて会ったときになんか私にお兄さんが出来たようなそんな感じがしたんです」

「そうだったの」

驚いた。ただ遊びかもしくは家族の設定を順守しているだけだと思っていた。
でも、ちゃんとした理由があったんだ。

「ガイアさんの言う通りですね。みんなで兄さんを支えましょう」

「ええ。だって私たちは今日からは例え血がつながっていないとしても……



 家族なのだから」

私たちがそう決意したときにちょうどお昼の用意も完了し、向うの話もひと段落したみたいなので声をかけた。



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次回こそは原作キャラを出したいと思っています。


-3-
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